2015/10/24 のログ
ご案内:「魔族の国 辺境の村」にロザリーさんが現れました。
ロザリー > 「……成程、手酷いものだな」

あちらこちらに白煙があがり、魔族の死体が転がる。
比較的穏やかに暮らしていたはずの辺境の村は激変、一面が地獄絵図のようだ

村からの使者が城に訪れたのはついさっきのこと、
転移魔法を用いて、不死者の軍勢を送り込んだものの時既に遅し

村は壊滅状態であるとの報告を受け、現場に訪れたのだったが……

生き残った者の話では若く美しい者達は捕まえられ、連れて行かれたという

ロザリー > 王城にすら魔王アスタルテの手が及んでいる以上、戦局のアドバンテージは魔族側にあるはず
その上で尚、報復行動にしても行き過ぎである侵略行為を行う者がいるという事実

「………」

ドレスが汚れることも気にせずに滅びゆく村を歩く
既に生き残った者は隣村へと避難しはじめているせいか、生物の気配すら朧気である

建物の残骸には火が燻り、畑や田といったものにも火が及んだか、焼き払われている

「……残酷な真似が出来るものだ。
 こんな下賤な種族に加護を与えるなど、アイオーンという神もとんだ気狂いであろう」

ロザリー > 人間達の国はアイオーンの加護に守られている
よって、魔族はその街々に大きな損害を与えるような手を打つことができない
一部の強力な力を持つ者が密かに街へ出入りする程度である

軍勢を送り込んだとしても加護に縛られ、人間達に拮抗される
もしくは劣勢に追い込まれることが見えている

あれがある以上、一方的な力での蹂躙などということは魔族側には出来ない
……これまでの人と魔族の戦いは、大きな戦争といってもタナール砦の奪い合いくらいのものだった

「!」

崩れかけた家の中には散々凌辱された後に殺されたと思われる魔族の母娘の死体があった

ロザリアが人間から不死者へと身を堕とした時に感じていた、人への怨嗟
キルフリート家を魔女の一族だと糾弾し、迫害した人間などに未練こそなかったものの、
再びその下賤な行為に苛立ちが募る

この村につけられた傷痕は、人間達が自衛のため、生きるためにやったものではない

「自身の国が脅かされれば、それは腹立たしかろう。
 自らの同胞が惨い目に合わされれば、それは憤りもあろう。
 ……だが、人間どもがこう出てくるのであれば、相応の覚悟をしてもらわなければな」

ご案内:「魔族の国 辺境の村」にエドガーさんが現れました。
エドガー > 浜辺から港町、そこから遥か離れた魔族の国へ。気分が乗っているのか、長距離の移動をこなす男。
適当に何処かへ顔を出して冷やかしをしてみようかと思ったが、視界に入った白煙に釣られるように、空から緩やかに降りてくる。
遠目からでも襲撃にあったと分かる程に崩壊した村を見回して、少々苦い顔になる。

「…これはまた、惨いものだね。」

周りに広がる死体、死体、死体。
地面に杖を突いて両手を乗せるような姿勢を取っては、少し大きいため息をついた。
そして、そのままロザリアの方へと顔を向けて口を開いた。

「君は…たまたま通りかかった、というわけではなさそうだが。 助けでも請われたかね?」

ロザリー > この村は数少ないロザリアの、キルフリート城の勢力下であった
村からの献上品はささやかなものだったが、その新鮮な野菜や穀物は城の者に振る舞われ、
アンデッドの多い城ではあるが、その中の生気をもつもの達の支えの一つとなっていた

大勢の配下の魔族や不死者達が村の捜索を行っているが、どうやらこれ以上の生存は絶望的のようだった

不死者の軍勢に撤退の命令を下そうとしたその時、不意に声をかけられ、そちらに顔を向ける

「…見ての通りだ。此処は我が領土の一つでな。人間どもに勝手を許したたことが悔やまれてならない。
 ……お前は?ここの村の者ではなさそうだが」

エドガー > 「そうかね、領民をか。残念だが、気の毒なことになってしまったようだ。」

此方へ顔を向けたロザリアからの言葉に答えながら、もう一度村全体を見渡す。
最早此処までされては、復興しようがないくらいに破壊されていた。何よりも復興をする民が居ない。
口元をへの字にして、もう一度鼻から息を吐きだした。

「あぁ、よそ者だ。今さっき通りかかっただけの老いぼれだよ。
 それにしても、凄いものだね。これだけの不死者達を従えているとは。」

感心するような言葉をかけながら村を捜索する不死者の軍勢を見遣る。
面白そうに顎に手を添えながら、それぞれの様子を観察していた。

ご案内:「魔族の国 辺境の村」にヨゾラさんが現れました。
ロザリー > 不死者達に撤退の令を出す
コープスやレイス達は現れた巨大な闇の門の中へと消えていき、
不死者の鎧騎士達は吸血馬に跨がりその場を後にする

「魔術に素養のある者がいたならば、我が城の魔鏡を通じ、すぐに連絡がとれたのだろうが。
 生憎満足に戦えるものも少ない辺境の村、霧烟る渓谷にある我が城に伝令が届いた頃には時遅しであったよ」

淡々と言葉を紡ぐロザリア
しかしその声は何処か重苦しい

「よそ者か、ならば吾を知らぬのも無理はないな…。
 宵闇城キルフリートの城主、ロザリアだ。…お前の名は?」

ヨゾラ > そんな訳で、タナールの砦を抜けて空間転移。
電車よりも高速で、ジェット機よりも高速で、尚且つ料金は魔力だけの快適な乗り物である。
余計な話はさておく。

目に入った光景は、焼け跡。白い煙。
死屍累々。その上で、アンデット族という魔物が徘徊する街は、どうにも異質だった。

…公用語で話す声が聞こえるので、ともあれそちらへと人間らしく歩んでいく。
恐らく、この中では数少ない生きている魔族、なのだろう。
言葉を使うことが、何よりの指標だ。なにをいっているかは聞こえないけれど。
わざとらしく咳払いを一つ。

「あー、お取り込み中失礼?
…ネクロマンシーの研究でもやった跡形かしら。
ここは確か、何とかというそれなりに活発な村だったと記憶しているのだけれど。」

重たい雰囲気に、半分冗談めかした口調の、高くも仄暗い女声が横槍を入れた。
男女二組の魔族…会話は今まで聞こえていなかったけれど、
少なくとも面識がなさそうだ、くらいはうかがえた。
状況が状況故、緊急の事に集まっていたのだろうか。

エドガー > 「おぉ、凄いものだ。良く統率がとれている。彼らを従える君は、きっと有能なのだろうね。」

一斉に戻っていく軍勢に軽く手を叩きながら茶化すような言葉を送る。
ロザリアの言葉に、少し思案するように腕を組み

「…まぁ、こうやって駆け付けてくれただけで、犠牲になった者たちも少しは浮かばれるだろう。
 これはこれは、キルフリートの城主様だったとは。 暇な時に冷やかしにでも行こうと思っていたところだった。
 私はエドガーと言う。よろしく頼むよ?」

ロザリアへと向き直り、おおよそ城主に対する態度には程遠いくらいに軽い態度で名前を告げた。
そこへ、また聞き慣れない誰かの声が聞こえて、顔を向ける

「…生憎だが、そういうわけではないよ。」

ロザリー > 「エドガーか、お前も魔族のようであるな」

男の軽率な態度には特に声色も変えずに、
ただ僅かに残りロザリアの近くにいる不死者達が僅かに眉を顰める

続いて割って入る言葉に、同様に顔を向ける
顔と顔をあわせる、それだけで理解が及んだ

こいつは何か違う

「この村は人間に滅ぼされた、これから弔ってやろうというところだ」

やはり淡々とした口調でそう返す
魔族といえど命は命、不死者に弔われるというのもおかしな話ではあるが

ヨゾラ > 「ふぅん…そう。」

見たら分かることではある。明らかにネクロマンシーの研究なんて言うもんじゃないだろう。
やるにしたってこんなんじゃ非効率だ。男性の方からの答えを聞いては景色を一周見回してみた。
会話を横から聞いてみるに、まぁ大体の事は分かった。

「あら、そうだったの。」

して、女性の方と顔を合わせれば…何かが察された、のやもしれない。
しかし、それを気にする事はあまりなく。
概ね何者かに滅ぼされたことについては予想通りといったところだった。
だが「人間に」というのは予想外だった。

「たかが人間に…ねぇ?村規模の人口の魔族が負けるなんて。怖い時代になったものね。
けれど、さっきタナールの砦、あそこも人間に占拠されてたっけ。嫌な事だわ。」

その癖他人事の様に言ってのける。

「…で、城主様は弔いにお墓でも建てるってわけかしらね。話を聞くにお二人は主従…じゃないわよね?多分。」

目線を遣るでもなく、けれど普通に見ている様に両人に問った。

エドガー > 「はっはっは、私が人間だったらどうするのかね?
 まぁ、その時は君の傍に居る彼らにくびり殺されていただろうが…君の言う通り、これでも魔族だよ。」

けらけらと笑いながらロザリアへと答える。
その周りにいた不死者たちが睨みつけてくるが、男は怖い怖いとおちゃらけた態度を崩そうとはしない。
後から現れた誰かも、どうやら村での出来事を察した様子で

「人間も人間なりに足掻いているということなのだろうさ。
 ほぉ…取ったり取られたりの繰り返しだねぇ。
 あぁ、つい先ほど出会ったばかりだよ」

いつの間にか出現させた椅子に腰かけながら、誰かの言葉に耳を傾けている。
主従関係ではにと、脚を組みながら答えよう

ロザリー > 城主に対し敬意を払った態度を取ろうとしない二人に何か言いたげな従者達を視線で軽く諌め、先に戻れと命を下す
このような場所で、このような時に妙な揉め事を起こすものでもない

「足掻いている…?
 ただ魔族に対し対抗するだけであれば、女子供を凌辱する必要が何処に在る。
 下賤な人間どもの薄汚い侵略行為であろう」

口ぶりこそ淡々としたものだが、その言葉には明確な苛立ちを感じさせる

「エドガーの言う通り主従などではない、たまたま、此処で出会ったのだ
 ───いいや、同じ数だけの人間の命を奪い、その魂を地獄に落とす。
 …魔族に墓標などあっても仕方がなかろう」

ヨゾラ > 「人間にしては良くやってるんじゃない。
いやぁ、私もこっちに気てそう長くないから知らないけれどね。
何で取ったり取られたりしてるんだか。一気に攻め落とせば良いものを。」

何やら思う所もあるらしい。拮抗しているだけ無駄なのだが、所詮権力も持たない平民魔族。
こんなつぶやきも庶民のぼやきとして消え去るに違いない。
別段鬱陶しがっている様子はなく、ただ無表情に意見として溢した。言っても無駄だと分かっているが。

「ああ、そう。道理で。何となく自己紹介していたような。」

その会話は良く聞こえなかったが、取り敢えず愛想が良さそうな男性だとは思った。
求められなければ、こちらも名乗る必要はなさそうなのでそれに留めた。

「ふうん、んふふ。そう。よく分からないけれど、つまりここはあなたの街だった、と。
城主だけでなく村まで統治に置いてるのねぇ。…ああ、ええと。キルフリートの、だったかしら。」

何となく聞き覚えがある様なない様な。じー、とその端正な美貌を見遣りながらはてと首をかしげる仕草。

「地獄に落とす」と、これは間違いない、やるんだろう。
事の経緯は分からないが、そんな感じがするのだ。

「どれくらい、殺すのかしらね。」

物見客の様な、何となく楽しそうな半笑いの口調でそう尋ねる。

エドガー > 「ふふ…人間達も、魔族に対して同じことを考えているのだろうねぇ
 魔族も魔族で、全てが君のように誇り高いわけではないだろうさ、ロザリア君?」

ロザリアの苛立ちを含んだ言葉に、くす、と男が笑う
そして、また茶化すような言葉をロザリアへとかけるのだ。

「自分のものに手を出されたら怒るのも当然だということだね。
 まぁ、やられてばかりでは領主としての威厳も保てないだろうからねぇ…大変だね。
 さぁ、どれくらい殺すのだろうねぇ…怒り心頭のようだからねぇ?」

椅子に座ったまま背もたれに寄り掛かるようにして、ロザリアを眺める

ロザリー > 「ふん…残念だがそこには決定的な違いがある」

均衡を保っている、という言葉と、
人間達も魔族に対して同じ感情を持つ、という言葉に対する、同時の返答

「人間どもの国には信仰が失われて尚その加護を与え続ける酔狂な神がいる。
 それによって魔族は人間達の街を破壊し尽くすことができない。
 いわば、我々にとってはあの砦唯一にして最終の防衛ラインなのだ。
 …それ以上攻め入ることはできない。逆に人間達は砦さえ落とせばこちらには攻め入ることができる。
 一方的なのだ、今回のような陵辱劇も」

唾棄すべき不公平さだ、と眉を潜めて

「しかしこのままではすまさん。
 多くの魔物や妖魔、魔族達が加護によって人間の国を攻めることができないならば、
 強大な力を持つ魔王達だけで戦えばいい。
 魔王アスタルテのような生ぬるい遊び半分のやり方ではやはりダメだ。
 時間がかかりすぎる、また、この村のような目にあう場所が出てくるとも限らぬ」

ぐ、と小さな手を握りしめる
言葉に出せば出すほどに、怒りが込みあげるのだ

「……街一つ、不死者の街に変えてしまえば連中も顔色を変えよう。
 二度と魔族の国に手を出す気が起こらぬよう、見せしめてやるのも必要であろうな」

ヨゾラ > 「ああ、そういう事なんでしょうね…、憎みあって憎みあって。
ま、私も誇りも何にもない魔族なんだし。」

もっとも、その立居振舞や存在からそれが魔族であると比喩していいかさえ微妙だが、
男性の言葉に横槍ついでに同意して頷く。誇り高くある魔族や王としてあろうとする魔族もあれば、
そうでない者もいる。今更だが、ここで自分も魔族であることをカミングアウト。

「…ま、殺すのだったら何にしても派手にやりたいものよね。
これだから領主や長や王なんかにはなりたくないのだけれど。」

なろうと思えばいつでもなれると言う事を仄めかすのだから、慢心に満ちている。

「はぁ…成程ねえ…。」

何というか、憤りがストレートで歯止めが聞いていない感じがする。
完全に怒りで自分の世界に入っているようにも見える。ただ、言っている事は概ね正しいのやもしれない。
あくまでも、魔族から見たらの話だが。

「砦くらい叩いて防げばいいでしょうが。とは思うんだけれどね。
…はあ、見せしめね。それこそ酔狂な事をすると思うわ。
どうせなら御城でも陥落させればいいんじゃないの?
人間だって別に全部が悪徳ってわけでもないでしょうに。気に入らない人間だけ殺せば良いものを。
何人殺すか聞いて街一つだなんて、酔狂極まりない。
…けれど、何となく面白そうね。怒りに身を震わせた無差別な虐殺って、興が乗るわ。」

ネクロマンシーとは死体を操ってアンデットを作る魔法の事である。
何故かしら蚊帳の外である人物が楽しそうにノリノリであった。
言われればそれに感けて勝手に話に乗っかって虐殺しにいきそうなくらい。

エドガー > 「あぁ、そんなのも居たかね。
 私はそれほど意識したことは無かったが…アイオーンだったかな?」

ふと思い出すように腕を組んで聞いたことがある神の名前を口にする。
そして、椅子の肘掛けに頬杖を突きながら、ロザリアの言葉を聞いていた。
誰かの言葉も聞いていたが、どうやら人間を殺すことに愉しみを見出すようだった。

「まぁ、余興で砦を落としに来るような魔王様だからね。遊び半分だと思われても仕方ないのかもしれないねぇ
 悪い奴だけ殺せば良いと言い出すと、どちらの立場でも言えてしまうから面倒なものだ。
 ロザリア君のようなやり方の方が、いっそ分かりやすくて清々しい。 そして、効果的だ。」

く、く、と笑いながら魔王のことを思い出す。
そして、行きたそうにしている誰かとロザリアを眺めながら口を開いた

「それで、今から行くのかい?」

ロザリー > 「……吾にはお前が単なる一魔族には見えないのだがな」
言いつつ、ヨゾラを一瞥する
靄がかかったように、その底が見えないその魔力総量
高い爵位をもつ魔貴族とてここまで見通せない者はいない
魔神か、魔王か、それらと並ぶ力の持ち主ではないかと怪しむ

「先程言った神、アイオーンの加護の強さは並ではない。
 王城など、魔王の力をもってしても落とすことはできないのだ。
 内部から瓦解させようと動いている者はいるが……」

それでは時間がかかりすぎる、というのは先程述べた通りなのだろう

「とはいえ、吾ならばその加護の下でも人間を殺す程度のことは造作もない…。
 片端から命を奪い、不死者に堕としてやれば…街一つならば半日もかかるまい」

その街の強者をグールにしてしまえば、その被害は鼠算式に拡大してゆく
王城から討伐隊が到着する頃には、そこは不死者の街だ

「残念だが吾もヴァンパイアとしての枷からは逃れられぬのでな。
 今から出向けば朝陽の洗礼を受けることとなろう。
 ……再び人間どもの街が宵闇に沈む時に、弔いの宴をはじめてやるとしようぞ」

ヨゾラ > 「ああ、じゃあ全部殺せばいいんじゃないかしらってね。分かりやすくていいでしょう?
0か100か。ね。でもまぁ…私は遊びの方が好きだけれど。
マジになったって良い事ないのよ。人生長いんだし、ね。」

適当で気まぐれで、それを悪びれる事もしないのが在り方。
持て余す程の永い寿命を持っているのは、何も自分だけではないだろう。

「んふふ、慧眼。良く分かるわね、…貴方も大概だと思うけれど、城主様。」

対するその城主とやらが内包するも見飽きる程に見てきた馬鹿げた魔力量だった。
尽きることのない魔力は、互い同じではないのだろうか。
ただ、その時空間に収まりきる量ではない異次元的な魔力量を内包しているヨゾラは、
結構珍しい方なのかもしれない。
ただ、今現段階ではただの平の魔族であることは、偽りではなかった。

「…ふぅん。成程。面倒ね、加護だなんて。
本物の神の力…。」

アイオーンが絶対の創成の力を持つ神であるとすれば、
ヨゾラは食いっぱぐれた矮小で憐れな偽神とでも言うのだろうか。

「そんな面倒くさいことしなくても良いと思うけれどね。
城主様だっていうんなら、砦に軍勢を嗾けて、人間を虐殺しまくるでも良いと思うわよ。
その内人間も諦めるでしょうに…ま、何を言っても無駄だろうけれど。
焼き打ちでもすれば速いのに。」

いまいち、そのネズミ算的な効率性が分かっていない様子。
砦に侵攻してくる人間を討ちとるのでは我慢が行かないのだろう。
あくまでも、魔族からも侵攻してやるぞと言いたいのだろう。

「吸血鬼なの?ああ、道理で。じゃあ確かに無理でしょうね。
…あ、ならとっておきの物があるわ。試しに使ってみる?」

半ば意地悪く笑って、首をかしげる。無論ただで貸す気はなさそうだが、一種の興がそそられたらしい。
最初からそこにあったかのように手に握る、陰陽玉が描かれた日傘。
祓魔、退魔、除霊、神聖等のダメージをカットしたり、
太陽光からの波紋を退けたり、そんな効能があるもの。
もっとも、アイオーンの加護だとかそのレベルまで遮断は出来ないだろうが。

エドガー > 「………私から見たら、両方大概なものだがね。
 まぁ、本人がそう言うのだから、そうなのだろう。」

肘掛けに頬杖をついたまま、視線だけ移して二人を交互に見遣る。
ふぅん、とでも言いたげな顔をしながら言葉を口にする。
だが、特に深く追求するわけでもなく、適当に流そうとしていた。

「ほぉ、そうなのかね。まだ王城には行ったことは無かったが…気を付けるとしようか。
 そのまま放っておいても、その内に自滅しそうなものだが。
 まぁ、みせしめにするということが大事なのだろうさ。後、ロザリア君が個人的に許したくないのだろう。」

話を聞くとどうやら次の夜には攻め入るらしい。
そして、誰かが取り出した日傘をまじまじと眺める

「ふぅん、面白そうなものを持っているのだね」

ロザリー > 貴方も大概、と言われれば無言のままに小さく肩を竦めて見せる、否定も肯定もしないのだ。

「砦に現れる人間は死を覚悟した蛮勇なる者ばかり。
 …此度の人間どもは、魔族の国にあって平穏に暮らす者達を虐殺したのだ。
 人間達が相応の戦力であれば、殺さずとも制圧できた程度の規模の辺境の村を…。
 確かに吾はそれを許せぬ。……弔いなどと、方便かもしれんな」

軽やかとはいえぬ表情のまま、ヨゾラの取り出す日傘を目にする
いわゆる、マジックアイテムというものだろうか

「吾には不要だな、万全とは言えないまでもそれらを遮断するローブくらいは手元にある。
 ただしグールと化した者達が街を埋め尽くすには、夜でなければ都合が悪いということもあるのでな。
 ……それに、如何な対価をとられるやもしれぬ、なぁ?名も知らぬ魔族よ」

そう言って僅かに口元に笑みを返す

ヨゾラ > 「じゃあ、皆大概って事でこの御話はやめましょう。」

そう言って勝手に締めくくった。

「ほお…。」

日傘。不要と聞けば、関心模様に一息。
分かっていた事だが、勿論このレベルの吸血鬼、日光に何らかの対策の1つ2つ持っていてもおかしくない。

「んふふ。面白いわね貴方。ああ…ええと、城主様のロザリア君、だったかしら。
お見通し、と言いたげね。…残念だわぁ。
高貴でカリスマ性の高い吸血鬼の城主様からふんだくってやろうかと思ったのだけれど。」

冗談半分に笑っているうちに、その日傘は何処かへ消えた。

「それにしても、何で人間に攻め入らせたのよ。そこが一番腑に落ちないわ。」

呆れ半分に言う。

「ま、面白いもの見せびらかしたんだけれど、断られちゃった。
貴方…からはふんだくれそうにないしねぇ…。」

男性にそう返す。

エドガー > 「まぁ、タダで何かを貰える、なんて都合の良いことが早々あるわけはないだろうね。」

マジックアイテムで何かを対価として得ようとしていたらしい誰かと、それを見抜いたロザリアのやり取りを横で眺めている男。
興味深そうに日傘を眺めては、そういうものもあるのだなという表情でいた。
消えてしまうと多少残念そうに視線を戻して。

「さぁ?
 まぁ、攻め入らせたくてってわけでもないと思うが。
 生憎だが、私も日傘は間に合っているのでね。他でやってくれたまえ。」

珍しいけれど、特に日傘を求めてはいないと誰かに返した

ロザリー > 「そうそうの物では釣られぬ。我が城には大体のものは揃っているのでな」
特にそれを自慢気に言うでもなく、静かな口調でそう返して…

なぜ攻め入らせた、と言う言葉には僅かに視線を落とした

「…これまで、人間どもが砦を制圧してもそこから魔族の国に攻めいって来るなどほとんどなかった。
 それに加え、吾の居城は霧深い谷の奥底。城下と呼べる領域も狭い。
 ましてやこの様な村は落としたところで人間達の得にもならぬはずであった。
 辺境故に拠点にもならず、奪うものなど、魔族そのものと農作物ぐらいしかないのであるからな」

そこまでする人間がいる、ということに考えが及ばなかったといえばそれまで
むしろ、人間側にそのような醜悪な連中がいることはわかっていたはずだ

それ故に、歯噛みする

ヨゾラ > 「残念。今日は中々売れないわねぇ。
ま、普通はそういう物よね、商売って。ああ、羨ましいわね。
全く、御城の御嬢さんは。」

美味しい所だけは欲しがる傲慢な魔族だった。

「じゃあつまり、貴方は防衛を疎かにしてたってわけね。」

要約して、うんうんと頷きながらまた勝手に話を進める。
どうにも、ここの為政やらは彼女の手で作られていたらしい。

「人間の所へ攻め込むー、だなんだとか言って熱くなる前にー。
その無駄に余りある魔力で結界だとか警備兵でも置いたらどうかしらねぇ?
それに、人間の得にならないなんて考えは捨てた方が良いわよ。
醜い魔族は分解されてマジックアイテムに、美しい魔族はその生命力を尽きるまで地下牢で。
人間から見ればとっても割に合う良い品物だとおもわない?」

そう、人間にとっては。その魔族の絶大な力を得られれば大きな得だ。
魔族を品物と言ってのけるあたり、この化け物はやっぱり魔族への同胞観念があまりない様子。

「逆に、人間攻めたって得は無いと思うけれどね。自己満足でしょうに。
あ、私は自己満足で食っていける魔族だから良いんだけれど。
城主様ともなれば、自己満足だけじゃ成り立たないでしょうし。」

皮肉っぽい口調ではあれ、一応アドバイスの心算ではあるらしい。
どっちかというと、煽動している意図が強そうだが。

エドガー > 「まぁ、そういうことになってしまうわけだね。」

誰かの言った言葉に頷く。
現にそういう事態になってしまっているわけなのだから、
今更何を言ったところで仕方の無いことだろうと男は思っていた。

「次から気を付ければ良いのではないかね。
 防衛に回せるだけの軍勢だっているのだから」

ロザリー > 皮肉ともとれる言葉は軽く流したものの、その次に続く言葉にはそうもいかず…

「…そうだな、疎かであった。
 守りの固める必要性とともに、人間の魔族に対する価値観も改めよう」
ヨゾラとエドガーの言うことはもっともだ。
次があってはならない、ならないが…

「だが報復はまた別の話だ。許せるものか。
 人間どもの王が吾と同じように憤るかは知らぬが、自らの非道を悔させてやらぬままにはおれぬ。
 私的な感情であろうと、自己満足であろうと、
 この怒りを抑えねば城主が務まらぬということであれば吾はそんな立場などかなぐり捨てても惜しくはない!」

自らの従者たちが側にいないこともあってか、僅かにその語気を荒くする
同族感情というべきものか、この少女にはそれが強いということを感じさせる

ヨゾラ > 「ふふ、御立派な城主様ですこと。」

手を叩く。

「どうにもこの国もあの国も腑に落ちない事ばっかりで。
結局するのねぇ。アイオーンがどうのういってたのに。
女の身なりで、やめといた方がいいんじゃない?
囚われて永遠に地下に繋がれて悲しい運命辿る事になるわよ。」

忠告、というよりは水を差す、と言うのが正しい物の言い方だった。

エドガー > 「はっはっは、仲間思いな城主様だね。
 そういう義憤は嫌いじゃないよ、私は。」

口元に笑みを浮かべて、ロザリアを見遣る。
ゆったりと足を組み直しながら

「とは言え、誰かさんの言うことも尤もだ。
 感情だめで突っ走ると、それこそ人間の慰み者になってしまうよ。
 やるのだったら、周到に用意をするべきだ」

ロザリー > 手を叩くその様子は、素直に歓迎できるものでもない、故にその視線は冷ややかで

「アイオーンの加護の下といえど、人間どもに遅れをとるような吾ではない。
 ……それに、今お前がいったような悲しい運命など、この村から連れ去られた魔族たちが今まさに享受していることなのだろう。
 そんなものを恐れて足踏むような臆病さなど、生憎持ちあわせておらぬ」

可能ならば王城の地下から救い出すことが最善なのだろう
しかしそれは現状では不可能に近いこともわかっている、故に、歯痒い

「そして、人間を舐めているわけではない。
 正当に評価した上で…吾が捕らえられることなどはありえない話だ」

ヨゾラ > 「あらやだ。そぉんな冷めた目で見なくたっていいじゃないの。
…んふふ。そうねえ。じゃあ、それでやってみたらいいんじゃない?
何となく気になってたのよね、あっちじゃ上手く動けない理由。
馬鹿みたいな魔力持ってるあなたが、アホみたいなアイオーンの加護の下でどれだけ暴れられるか、
データとして是非記録させてほしいものね。」

悪びれもせず手をひらひら振って、冷たい視線を払いのけるような仕草。
その言葉は、とても利己的だった。

「…だ、そうよ。」

と、そのまま男性へと言葉を流した。多分これといった意図もないのだろうが。

エドガー > 「まぁまぁ、そう構えるのは止めたまえよ。
 しかし、私は君を止める立場には居ないからね。
 ロザリア君が行くというのならば、精々見送ることくらいしか出来ないだろうさ。
 だが、見物するのはとても面白そうだね。」

ロザリアの部下でもない男は他人事のように口にするが、
ロザリアの実力がどれほどのものか気になると、誰かからの言葉に笑みを浮かべたままで答える。

ロザリー > 「ならばお前もその実験動物を見るような目をやめることだ」

小さく鼻を鳴らすようにして、その視線を背ける
畏敬を払わない魔族など珍しいものではないが、
城主、そして死祖としてプライドの高いロザリアにとて
そういった目で見られることはやはり不愉快であるらしかった

「…高みの見物でも好きにするがいい。
 街一つといわず二つでも、不死者の蠢く廃都としてやる」

このエドガーという魔族も、同胞が陵辱を受けたことには特に気持ちは動かないらしい
ロザリアにはそれが理解できないのか、やや表情を陰らせる

ヨゾラ > 「ああ、成程。それは確かに。
キルフリート?の城主様自ら断罪しに行くのだから、見ものでしょうね。
吸血鬼なんだしさぞ面白い事になるでしょう。」

確かにと幾度か頷く。

「あらダメなのね…ま、その時が来たら。
こっそり外野から見守らせてもらおうかしらね。…んふふ。」

但し、態度は改めないし無反省に笑うにとどめた。
変幻自在の肉体能力があるから、観戦も何のそのだ。

エドガー > 「大した自信だね。流石は、かの宵闇嬢キルフリートの城主様だ。
 まぁ、それくらいではないと、あの軍勢を率いる器ではないと言うことかな?」

何やら険呑な雰囲気になり始めている二人を、尚も横で眺め続ける。
これからどうなるのだろうかと面白半分で眺めているだけで、諌めようとはしなかった。

「村人が惨い目に遭ったというのに、私がへらへらと笑っているのが理解できない。
 …そんなことを考えているのかな?ロザリア君?」

表情を曇らせるロザリアに、からかうように問いかけてみた

ロザリー > 「観戦好きの多いことだ」
そう言って肩を竦める
元来魔族は長寿故に享楽的な者が多いことは周知している、
普段ならば自分もそう在る存在の一人だ
それを否定はするまい

「同じ種のものが斯様な目に遭ったならば、
 同族として思うところもあるだろう、とは思うが。
 そもそも他所からの流れ者であったならば、そういったものもないのかもしれんな」

問いかけるエドガーにはそう淡々と返す

ヨゾラ > 「どうせ暇しているのよ、私はね。
だから、縛られた状況で馬鹿でかい力がどれだけ発揮できるかとかも、見ものじゃない?
最悪無理矢理加護なんてぶち破って暴れられそうだけれど。」

楽観的で適当で。
さりとて観戦好きであることも否定しないのだった。

エドガー > 「まぁ、私も総じて暇だからね。
 愉しみは多いに越したことは無いさ。」

暇を潰せると言うのであれば、どのようなものであれ見てみようと思う男だった。

「ふふ、君の言う通りだ。
 昔ならば、君のように怒り狂うこともあったかもしれないがね。
 無論、君のそれは悪いとは思わないよ?」

そう言うと、男は椅子から立ち上がり、その椅子を何処かへと転移させる

ロザリー > 「……まだ枯れているようには見えんがな、エドガー」
その言葉に苦笑を浮かべる

「どのみち、勝算なき行いをするつもりは毛頭ない。
 人間の街が死都へと変わる様を眺めているがよい」

…見れば、僅かに夜が白いで来た頃だろうか
城主の意向を察するように、荒々しい足音を立ててその場に馬車が現れる

二頭のバイコーンに引かれる大きな馬車、その鋼の扉が開き、巨躯の執事が一礼する

「…吾はそろそろ城に戻る。
 一眠りしたところでこの怒りが冷めぬうちに、打って出るとしよう。
 ……そこの魔族はまだ名を聞いていなかったな」

馬車にふわりと乗り込み、ヨゾラへと声をかけて

ヨゾラ > 「んふふ、豪勢な作りです事。
こんな廃墟には、もう用もないかしら。
あら、皆さんお帰りの様で?」

男性の椅子が消えて、女性に豪勢な迎え。
自分は別に何をするでもない。空間的法則に等したがってさえいないのだから。

「ん?ああ。そうねぇ…夜霄(よぞら)とでも呼んで頂戴。
さて、明日は観戦、かしらね。用意は周到に。」

異界のなり崩れた死神の名を告げた。

エドガー > 「ふふ、褒め言葉として受け取っておくよ。」

苦笑するロザリアの言葉に依然として笑みを浮かべたまま答えては
とん、と軽く杖で地面を突いた

「そうかね、たまたま出くわしたら観戦と洒落こもうかな。
 まぁ、そうでなくても、何処かで冷やかしにでも寄らせてもらうよ、ロザリア君。」

馬車へと乗り込むロザリアへと言葉をかけてから、やっと名前がわかったヨゾラを見る

「ふむ、ヨゾラ君か。よろしく頼むよ。
 では、老いぼれはこれで失礼しよう、それではね」

そう言うと、男は村の外まで歩いていった後、一瞬にして姿を消してしまうのだった

ロザリー > 「ヨゾラ…か。
 吾は宵闇城キルフリートが主ロザリア。
 ……今宵の様子ではどのみちまた会うであろう。
 我が城に訪れたならば多少の饗しはしてやるぞ」
改めて名乗り、エドガーの言葉にそう返すと馬車の椅子へと腰掛ける

「…ではな。
 ……次の夜にでもまた会おうではないか」

再び執事がその重苦しい扉を締め、再度二人に向き直ると一礼する

執事が乗り込んだバイコーンの馬車は、
此処に来た時と同じく荒々しい足音を立て、この場から去っていった───

ご案内:「魔族の国 辺境の村」からロザリーさんが去りました。
ヨゾラ > 「暇が出来れば、御邪魔しようかしら。
いいえ、また是非邪魔させてもらうと約束するわ。」

去って行く彼女へと向けて、そんな約束を。

「ヨゾラで良いわ。…さぁ、て。帰ろうかしら。」

皆いなくなった後、人知れず、空間を越えて何処へやら、跳んだ。

ご案内:「魔族の国 辺境の村」からヨゾラさんが去りました。
ご案内:「魔族の国 辺境の村」からエドガーさんが去りました。