2015/10/23 のログ
ご案内:「魔族の国 辺境の村」にオーギュストさんが現れました。
オーギュスト > 人族は魔族に対し、基本的に劣勢である。
戦場はタナール砦とその近辺に限られており、人族は防戦一方――なのだが、人族もたまには反撃をする。

「焼き払え! 犯すのは後にしろ、戦利品はとっとと荷馬車に積み込め!」

オーギュストの怒号が、炎上する村に響く。
第七師団は現在、魔族の国のもっとも辺境の村へ侵攻中だった。
目的は略奪、だけではない。かといって人族の国が襲われている意趣返しでもない。
彼はこの近辺の地図を製作しているのだ。魔族の国がどんな場所で、どんなルートで侵攻してくるのか、どのような道が整備されどの程度の兵が運用できるのか。それが謎に包まれたままなのは、戦争を遂行する上で致命的な弱点となりかねない。

「犯すのは後にしろってんだろうが! 手向かう奴は殺せ!」

オーギュスト > 既に村の代表は戦死、それに自警団は壊滅。
流石に魔族だけあって手強かったが、所詮は村人。歴戦の第七師団の部隊相手には分が悪かった。

「――公文書はこれだけか。まぁ、無いよりマシだな」

魔術師達に最優先で略奪させたのは、近辺の地図と領主とのやり取りの書類。これだけでも多少は魔族の国の概要が明らかになるというものだ。

それに、村にあった武器や防具、食料、魔族の奴隷が十人ばかり。それが今回の戦果だった。

「――ったく、何時まで続くのかねぇ」

オーギュスト > 魔族の村人――今、奴隷となる運命が決まった者たちは、首に魔力封じの縄をつけられ、縛られたまま荷車に載せられていた。
彼らの運命は、さて、奴隷として売りさばかれるか、魔族の生体解明の為に王立研究員あたりの材料にされるか――

「ま、運が無かったな」

それだけ言ってオーギュストは彼らの事を意識から消した。
人族だろうと魔族だろうと、戦争とはこういう物なのだ。

魔族の中でも見目麗しい者は、何人か戦功のあった連中に下賜してやらねばならない。
第七師団は精強だが、略奪、暴行、なんでも自由のゴロつき集団でもある。そうでなければ、魔族の相手などという命知らずな事をやってのける連中は集まらないのだ。

「――俺は、まぁ砦に捕らえてるあいつでいいか」

そしてこの男もまた、こういう男だった。

オーギュスト > 「閣下、調査完了しました!」

配下からの報告に頷く。
今回はこれくらいだろう。藪を突いて蛇を出す事もない。

「よし、隊列を組め!」

第七師団が隊列を組み、行軍を始める。
オーギュストは最後尾、殿で辺りの気配を伺った。

オーギュスト > 邪魔する者もなく、第七師団は撤退を完了する。
後に持ち帰った地図のおかげで、人族側は少しずだが魔族に対する理解を深めていく事になる

ご案内:「魔族の国 辺境の村」からオーギュストさんが去りました。