2023/05/25 のログ
ご案内:「タナール砦」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
メイラ・ダンタリオ >
 砦内 夜
 天候は気まぐれな雨雲が大股で歩くように過ぎていった後
 地面もすっかり乾いている頃合いだった。
 砦を奪い奪われる日頃のせいか、一度獲ったからと門を硬く締めるだけで安心する。
 そんな愚者ばかりで集まっているわけではない。

 見回る兵 寝床で体を休める兵 そして一部の魔族の中の女を剥き身で凌辱する兵などがいる。
 拷問で次に此処に兵を向けるのはいつになるのかと問う場所だってあるだろう。
 メイラは、兵の恨み辛みを消費させ、又、こういった機会がないと損得の天秤が傾き続ける
 戦場の現実を知っていたせいか、目に余る様子でもない限り、兵にそういった精神的補給
 これに特に意識を向けていない。
 肥え豚貴族の日中行うような行為に比べて、可愛げがありすぎる。


 「…、…ん。」


 全身を包む黒い鎧を未だ脱がす、槍と剣を傍に置く。
 葡萄酒で体を温め、冷たくなりかける鎧の内側
 其処の熱を維持するかのようにしたまま、壁際に身を寄りかからせて黒い革のマントに身を包む
 一匹の獣が身を丸めて寝そべているかのような姿で、メイラは身を休めている。
 砦の中のそれなりにマシな部屋を与えられることもできように、貴族よりも一兵卒のような寝方。
 普通なら体の関節が硬くなり、眠気は取れても疲労は消えずに思える。
 が、日頃怪物呼ばわりされるこの女化生にはそれも遠いことだろうか。
 
 

メイラ・ダンタリオ >
 どこでもそうだ。
 鎧を脱ぎ 簡素な姿になり、天幕の内側で身を顰める。
 衣を解き、血を流し、肉を緩めなければ体は休まらない。
 時間が惜しいからと、そのままの姿で身を窶す新兵が、体の軋みと疲労の訴えに
 今までの時間が無駄だったと知る。
 急な敵襲はそれに対して効果的で、鎧を脱いだ者らを殺める行為が甘美なものになる。

 それに対してみれば、未だ体の内側から沸く熱があるというのか
 メイラの鎧を脱がずに寝静まる壁際の姿は、寝息続く限り大きな物音を出さないように歩く者らが増える。
 起こすことが怖いと思うのは、メイラを良く知らない兵だけだろう。
 鎧を未だ着たまま寝ている姿を怖いと思う者が、本当に怖く感じている。
 アレが脱いで寝静まることがない限り 今一時の安心が生まれない。
 次がそこにいると思わせる。
 将は兵の前で余裕を持ち、勝ちを馴染ませて士気を怯えさせない。
 余裕を持った姿で寝床につくのも将の仕事だろう。

 が、メイラのような戦餓鬼がそんな寝方をしていては
 何かあるのではないかと廻りの意識も、耳一つ 目一つ
 死角や天井だって目をやるだろう。


   「…、…。」


 

ご案内:「タナール砦」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。
ご案内:「タナール砦 近隣の戦場」にグラムヴァルトさんが現れました。
グラムヴァルト >  
「―――おお、中々良い物持ってンじゃねェか。貰っとくぜ。」

鎧ごと引き千切られた上級騎士の軀から、装飾も見事な魔法剣を掠め取ったグラムヴァルトは立ち上がり、血と臓物、そして大規模魔術のイオン臭の香る夏風に灰色の蓬髪を靡かせながら戦場を睥睨する。

本陣を急襲されて名のある指揮官を討ち取られた人間側は、最早軍としての体裁も保てぬ程に瓦解して散り散りに逃げ惑っていた。大勝である。
魔族の正規兵が嬉々として敗残兵を追撃する様子を遠目に見やり、彫り深い銀の三白眼は改めて戦場跡に目を移した。

怪我を負って逃げられなくなり大勢の魔族に群がられ凌辱される女兵士。
必死で剣を振るい雑兵共の包囲網を突破しようと力を尽くす女戦士。
遠い森の入り口では決死の逃走を繰り広げる女猟兵が狩り感覚の弓兵に追い詰められていた。
グラムヴァルトの周囲に転がり、くぐもった呻きを漏らす者達の中にも、鎧兜に意外な美貌と美味そうな肉付きを隠した女騎士などが居るかも知れない。

「ククッ、いいねェ。これだよこれ。これの為に今回は魔族側に与した訳だからなァ。オレもたっぷり愉しませてもらうぜェ。」

鋭い犬歯も剥き出しにニヤリと口角を持ち上げる長駆は、獰悪な凶相を作りつつも外見的には人そのもの。その中身は人の枠から大きく外れているものの、種としては魔族ともまた別物。
乱戦のどさくさに紛れて魔族から剣戟を浴びせられたのも1度や2度の話ではなく、グラムヴァルトの腕脚はそんな連中の蒼血でも汚れていた。

ご案内:「タナール砦 近隣の戦場」からグラムヴァルトさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にプリスカさんが現れました。
プリスカ > 王国と魔族が激戦を繰り広げる要衝、タナール砦。
今回は砦を支配する王国軍に対し、魔族側が攻城戦を挑んでいる。
魔法に削られる城壁、迫りくる攻城塔、押し寄せる魔物の軍勢、上空から攻撃する邪竜…。
それらを相手に、兵士達は城壁に立ち必死で迎撃戦を繰り広げる。
しかし、驚異は思わぬ場所から忍び寄っていた…。

「……はぁい、転送♪」

慌ただしく兵が行きかう砦の内部に、突如として現れる召喚陣。
そこからにこやかな笑顔の女魔族が現れたかと思えば、召喚陣はどんどん数を増やし魔物の軍勢を吐き出していく。
そして、始まる殺戮劇。

「ふふ、結界に隙があったわよ?やっぱり人間の魔術師は大したことないわねぇ…」

このような奇襲を防ぐための魔術師の結界。
この女魔族、エンプーサのプリスカはその微かな綻びを見つけ、こうして軍勢を送り込んできた。
対処しなければ、王国軍は外と内から挟み撃ちとなるだろう。
そうなれば砦の維持は困難である。

「さぁ、仕事の時間よ…?」

しかし、プリスカは間髪入れず次々と魔物を召喚し、物量で砦内を制圧せんとしていた。
各地で王国の兵士とゴブリン、オークら魔物の死闘が繰り広げられる…。