2019/02/13 のログ
■カイン > あくび混じりにのんびりと構えてた所に、ふと感じるのは嫌な気配。
勘の類のものではあるが、残念なことにその手の勘が外れたことは今の所殆ど無い。
息を吐きながら腰の剣に手をやれば、元々用意されていた符丁でもって砦の中に異変を知らせる。
とはいえ砦の状況を考えれば準備ができるまでにそれなりに時間がかかるだろう。と、なれば、
「まあ、時間稼ぎは必要だろうな。とはいえありゃ何だ、
竜牙兵やらゴーレムやらのたぐいならまだ楽なんだがね」
遠目にも魔力の光の中、起き上がっていく影が見える。
命のない連中とのやり取りは術者を潰さぬ限り終わらないことが多いのでどうにも面倒だと思いながらも、
敵襲に気を引き締めるように剣を引き抜き。
■ハーティリア > 『さぁさ みんなで遊びましょうや。』
戦死者の魂を土で作り上げたゴーレムに憑依させて作った人形が数十体……
のそのそと緩慢な足取りで砦に向かってあるいていき、尖った石などを含んだ腕で生者にじゃれつくようにして襲い掛かる。
土の身体は脆く、柔らかい土の腕をぶんぶん振り回すだけのため、正直言って「弱い」が……
なんせ素材がどこにでもある土なせいで、半端に体を削いでも自分で土を掬って埋めてしまう。
痛くも硬くもないのに異様にしぶとく、だだっこのように暴れてじゃれついてくるだけの……要は物凄く鬱陶しい死者の行列が、砦に迫っていた。
「……ん、まあこれで義理は果たしただろ。うん。」
この呪文を選んだ理由は単に一つ。「ゴーレムみたいに1から10まで指示せずにすんで消費はほどほど、あと嫌がらせに最適だから」……術を仕掛け終わった術者は、近くの木の枝までふわりと浮かんで腰かけ……「嫌がらせ」の成果を眺めるつもりで。
■カイン > 「…ああ。『そっち』の方か」
遠目に近づいてくるものの正体を見て取れば、露骨に声のトーンが変わってくる。
当然それを見ている相手には伝わりようもない内容ではあるものの、
軽く息を吐きながら単騎だというのに足音を隠すこともなくゴーレムの群れに突っ込んでいき、
徐に手にした剣ゴーレムに突き刺し、力任せに押し込んだかと思えば、剣先から風圧が爆ぜた。
風の魔法を突き刺した剣をから前方に向けて放射状に力任せにぶっ放したのだ。
なまじな削ぎ方等ではなく文字通り芥子粒にして吹き飛ばして見せ。
「ネクロマンサーの類は好かんからな、とりあえず出元を潰させてもらうぞ!」
完全に私怨の篭った言葉である。
先の声とは違い相手に向かって走り込みながらわざと聞こえるように大声で言い放ち一直線に相手の腰掛けた木の方へ向けて駆ける。
道中立ちふさがるゴーレムを同じ要領でふっとばしながら、相手の出方を伺うように腰を低くて射程距離に入ればそのまま飛びかかる構えである。
■ハーティリア > 「……おや?」
墓地のゴーレム グレイブヤードゴーレムと呼んで良いだろう物体の群れに突っ込む影に目を細め……風の魔法で木っ端みじんに吹き飛ばせば、土の留まっていた死霊や思念の類が宙に溶けるように消えて、再生はおこらない。
「おぉぅ、適格な判断……やるねぇ。」
これは、少し面白くなってきたかもしれない……と一直線にこちらにやってくる男を見れば……少し目を細める。
「……なぁんか見覚えあるような。」
何百年か前に、どっかで有名になった誰かに似てるような、なぞと記憶を掘り返しながらも……やってくるなら、木の枝から飛び降りて、クルリと金属製の箒を杖のように構えよう。
「いらっしゃい、ごきげんよう。 まさかここに一直線とは、思わなかったねぃ。」
そう呟くお互いの距離が100mを切ったところで……箒を大きく振りかぶる。
『我が魔力は不可視の礫……アサルト……ストライク!』
何かを放り投げる仕草と、それに向けて箒を振りかぶる仕草……その直後、文字通り不可視の魔法弾……本来は掌から射出するそれを箒で「ぶっ飛ばして」加速させるというトンデモ魔法が、ピッチャー返しのようにカインに3発、迫りくる。
■カイン > 「うん?逃げると思ったら、そういう訳でもないか」
肝が座っているのか、あるいは真正面から打ち合えるだけの実力があると自負しているのか。
逃げる素振りすら見せない術者に、しかそれなら尚の事好都合とばかりに足を速める。
と、継いだ行動を見て取れば何をしようとするのか直感的に理解できる。
見えない何かをこちらに飛ばしてくるのは察しがついた、が。
「飛んでくるものが見えないのは確かに面倒だが…飛ばしてる先が見えるなら何とかなる!」
魔法を放った相手と自分との間は直線。そしてわざわざ手動で加速したということは、
誘導に長けた魔法ではなかろうと判断して剣に再び魔力を込める。
が、今度は魔力を風にしてまとわせる等という器用なことはしない。
魔力をそのまま刃に纏わせて青白く光らせ、同時に刃先の長さを2m程に延長してみせる。
「…そぉ、らよっと!」
一見小器用なようで力技としか言いようのない使い方ではある。
予測できる魔法の軌道に刀身を重ね、自分から更に突っ込むことで魔力の塊を押し切った。
流石に当たった瞬間の衝撃は軽いものではなかったものの、
顔をしかめるだけに済ませて肉薄と同時に剣を手にしたのとは反対の手首に仕込んだ小型のボウガンからクォレルを2発、立て続けに放ち。
■ハーティリア > 「ん~、しまった。調子に乗って逃げるの忘れてたが……まあ、いいか。」
興が乗ってしまったなら仕方ない……だってまあ、見るからに強敵っぽい男がこっちにやってくるのだから、相手をしなきゃ損だろう。
近づくにつれてはっきりと見えてくる顔に……あ、とやっと思い出す。
「誰かと思えば、血爪王じゃねぇか。生きてたのか。」
何百年か前に魔族の間で話題になった男の姿に、むしろぱったり噂が途絶えたから死んでたと思ってた男は呟き混じりに。
不可視の純魔力の弾丸をやすやすと見切って切り払う男に眉根を寄せつつも、こちらの箒に手を這わせれば、箒が浅黒く発光して。
『護りの風、来たれ!』
短縮された詠唱と共に、ブオッ!と数秒間、周囲に風が吹き荒れ、剣の影に隠れて放たれたクォレル、しかし完全な闇の中でも見通せるアンデッドの視界はそれを捉えると、風で遥か彼方に吹き飛ばし……その風に便乗して、魔法金属で作られた箒を脳天めがけて振り下ろす。
「ごっきげんようっと! 悪いねぇ、しばらくしたらお暇するから、それまでは、遊んでおくれな……?」
魔力を乗せた箒を触媒にして、自分の身体を人形やゴーレムのように動かすそれは、一流の戦士とそん色ない威力と速度で襲い来る。
■カイン > 「うん…?」
あまり自分にとって良い印象のない名前を遠くに聞いて若干眉根を寄せながらも、
振り払われた矢に思わず舌打ちが漏れる。
遠距離からの攻撃が弾かれるとなれば当然近づいて切り伏せるしかない。
となれば近づいてくれれば好都合とばかり、剣の腹で振り下ろされた箒を滑らせて弾いて側面に回り。
「ちィ…!またぞろ古い名前を知ってる奴が居たものだ、
尚の事生かして返すわけにはいかんな!」
舌打ちする所がそれに大してである。
男にしてみれば黒歴史のようなものだ、容赦する理由が一つ無くなったと言い放ちながら、
火花を散らして振り抜いた剣の代わりに振り上げた足で箒を文字通り足蹴にし、相手の体から箒を放り出そうとする。
■ハーティリア > 「ん~……やっぱ近接戦は向こうのが得意、か。」
割と普通の相手ならこれで脳天ぶっ叩いて終わるのだが、あっさりと流されると眉根を寄せて呟く。
側面に回った男の古い名を知っているせいか、微妙に上がった気がする殺意に目を細めて。
「古いっていっても、ほんの数百年前だろうに。知ってる奴は知ってるぜ?古馴染みのとこに顔出したら昨日の事みたいにたまに話題に出るんだから。……いってぇっ!?」
実年齢4桁の不死者が、成人したての男性が14歳くらいの時の事を思い出して悶えるような子を見るような目線で思わず見てしまいながらも、その隙に伸びた足が箒を勢いよく蹴っ飛ばして手から離れてしまい。
■カイン > 「やれやれ、これだからあっちの方はろくでもない。
まあその年より連中を、お前さん含めて一人一人潰してけばそのうち知ってるやつも居なくなるだろ、っと!
大体男が相手じゃお楽しみってわけにもいかねえしな!」
とてつもなく物騒かつ自分勝手なことを言い放ちながら、
相手の箒が手元からなれたのを好気と見てる。
足が地面に戻る間に反動を利用して剣相手の首筋に向けて突き立てようと一気に突き入れた。
とは言え無理な攻撃である、どうしても大振りで防御に隙が生じるのは否めない。
■ハーティリア > 「まあ、この体スペアだから別に潰されても良いっちゃ良いんだけど……あぁでも、どんな手段でアイツらを殺しに行くかは興味あるなぁ。……おや、女じゃないとは一言も言ってねぇけどなぁ、俺。」
くっくっと喉を鳴らして笑いながらも……箒が手元から離れ、大振りに首を狙う仕草に、目を細めて軽く首を傾ける。
それで刃の全てがかわせるはずもなく、喉をさけて頸動脈がずっぱりと刺されたような感覚だが……血の一滴も零れることはなく。
へいぜんと、その剣を持つ手首を掴めば、ギチィッ!と見た目にそぐわぬ膂力が片手を押え。
『あぁ、我が手に血は通わず 命はなく 全ての熱を奪い去り ただ凍れ……アブソリュート』
触れた相手を氷の中に閉じ込める、射程距離を犠牲にした分、直接魔力を流し込むため魔法のキャンセルが非常に難しい凍結魔法が、彼を襲う。
■カイン > 「まあ、想像はしてたが死霊術師だ。やっぱりそういう陰険な手合か。
体になれる、なれないまでは判別がつかんがな、今のお前さんの体からは女の臭いがしない」
それだけで現状抱く、あるいは蹂躙する対象から外すのは十分だとキッパリ言い放つ。
どうにも獣じみた言動が混ざるのは人間側に立ってはいた所で魔族側ということか。
あるいは単純に粗野なだけやもしれないが。
「…ここは、接近戦が得意な連中お得意の『死の手』やらじゃなかったことを感謝しとくかね」
相手がアンデッドだろうがなんだろうが直接エネルギーを削ぎに来る、
面倒な魔法のことを口に出しながらも、
服が冷気に包まれる感触を感じた瞬間腕に魔力を纏わせる。
「――これなら、どぉ…だ…アヅ…ッ!」
キャンセルできないならば対属性の魔法で相殺してしまえと、
強引に腕に力を纏わせる火の魔力。魔法というほど精錬されたものでもなく、
ただ火に変換するだけのものである。それだけにバーナーから放たれた炎のごとく、
青みがかった炎が自身と相手の腕を包もうと燃え上がる。
当然ロクに収束もされてないものである。熱の散逸も早く少し離れればあっという間に消えるものの、
火元の周辺の熱量だけは折り紙付きである。…当然その熱量をモロに食らうということは、
掴まれた腕の近辺も猛烈な熱にさらされてダメージを被ることになるのだが。
■ハーティリア > 「陰険ってのは初めて言われたな。そもそも、俺より古い奴なんて、基本ちゃんとした手順踏まねぇと死なねえ奴ばっかりだから、これで陰険とか言われても困る。
それにちゃんと1から自分で作ってんだから良いだろ別に。あと死霊術師じゃねぇよ、強いていえば呪術師だ。」
ネクロマンシーは使えるけど、と眉根を寄せて言うが、いい加減刃が体内にある状況は気分がよろしくない。ズルッ、と彼の手を押し出すように刃を引き抜けば、ふわりと……淫魔特有の甘い……魅了の魔力を孕んだ香りが傷口から零れて、溢れる。
「あー、あれは俺使えないんだよなぁ……エナジードレインならできるけど。
ってか、匂い消しの魔法切れちまった……っうわ、あっぢぃっ!?」
一瞬で焼けただれる熱量に、凍気が消し飛ばされて腕が焼ける。手を離して飛びのき、ブンブンと腕を振って火を消せば、ただれた片手……ただ、熱いと言った割には顔はせいぜい「驚いた」程度の表情の変化で。
「おっまえ、無茶すんなぁ……下手すりゃ自分が焼ける奴じゃねぇかそれ。」
ただれた腕にうっすらと光る紋様は、詠唱を省略するための魔術の刻印、焼けただれた片腕のそれは少なくとも今のところは使えなくなったようで。
■カイン > 「お前さんだって、今ここで叩き切った所で多分死なんだろ?だったら俺にとって陰険さに大した差があるかい。
それこそ尚の事悪かないか、っと。おまけに淫魔の手合か…何か幾つか思い当たる名前がないでもないな」
相手の物言いに胡乱な眼差しを向けながらも、相手の手が離れれば火を消す。
直後感じた「モノ」に元々向こうで生活していた時のうろ覚えの名前を幾つか掘り起こしながらも、
その上で男性か性別不明となれば更に絞れるのだろうが如何せん記憶が曖昧であった。
当たり前だが焼けた臭いと感覚に大きく息を吐いて目を細めて手を一瞥した。
魔力を篭手のように展開することで咄嗟に保護はしているものの、
元々そういう器用な事ができる手合ではないのだ。
それなり以上にダメージ…というよりも単純に熱の残滓を億劫そうに手を振るって払い。
「多少の無茶で氷漬けが収まるなら、安い買い物だろ?
――それで、どうする。そろそろ砦の方は収まってきてるようだが」
そのまま肩に剣を担ぎ上げながらちらりと砦の方に視線を向けてから問いかけを投げ。
■ハーティリア > 「まあ、確かに死にはしないな、痛いけど。 っていうか、鳥に空飛ぶなんてずるいぞ、って言ってるようなもんじゃねぇか、全く……え、俺こっちでそんな名前残るようなことしたっけ?覚えねぇなぁ。」
前の世界ならともかく、こっちで何かしただろうか……ちょっと記憶にないが、しつこく問われて「砂薔薇の魔王」を名乗ったことは、あったかもしれない。まあ、淫魔の力を残したままリッチに転化した不死者なぞ、自分しか居ないだろう。彼がそれを知っているかはしらないが。
『我はただただ望む……疾く息絶えよ。』
口ずさむのは、いわゆる相手を即死させる死の呪い。それを自分に向ければ、呪いの力が全身をめぐり…死の力を取り込んでその体が元に戻る、焼けた腕も、裂かれた首も、『死んだ直後』の姿……胸が張りだし、悩ましげなスタイルの美女へと。
「まあ、そういわれるとそうか。……ん?とりあえず義理は果たしたから俺はもう良いかなぁ。 お前さんが居たなら、多分流星落としてもあんまり結果変わらなかっただろうし。」
なんかメテオ落としても隕石切り払われそう、とかのたまえば。くぁ……と欠伸交じりに髪をかき上げ、ぐっ、と伸びをしたところで……自分の身体の変化を思い出し、まるで服でも着替えるようにさっきと同じ、美女めいてはいるが中性的な容姿へと戻す。
「おっと。……あ、ポーション要る?」
戦っていたとは思えない程呑気に、鞄からフラスコに入った液体を何本か取り出して見せ。
■カイン > 「だったらそう言われるのは、そういうもんだと思うしかないだろ?」
所詮は他者の評価だと笑い飛ばして見せながらも喉を鳴らして返す。
まだまだ余力はあるものの、それはお互い様である。
「ふうん…?なるほど、また珍しい身の上みたいだな。
まあ、あっちの国には淫魔何ぞ掃いて捨てるほどいる訳だが」
どちらかと言うと女性の方が強いのは何でやらと方をすくめながらも、
相手の変化を見て取ると顎に手を当てて首をひねり。
「そっちの体なら抱くのも悪かなさそうだが、
今の方だと全くそんな気にならんな」
デリカシーの欠片も何もあったものじゃない発言を真顔で言い放った。
色々な意味でブン殴られても文句を言えない物言いだが、
気にした風もなく相手の言葉には首を横に振り。
「遠慮しておく、この程度唾を付けてれば治るしな。
またどっかで出くわしたらその時はもう少し念入りに殴り倒してやるから覚悟しとけ」
今のままでは用意が足りないといけしゃあしゃあと言い放ち、
ニヤリと口の端を上げて肩を揺らし。
■ハーティリア > 「む……むぐぅぅぅ!」
なんか一理あるようなことを言われて、返答が思いつかなくて地団駄踏む実年齢四桁である。
「俺はそもそもあっちの国出身ってわけでもねぇからなぁ。 そうそう居る居る、それはちょっとびっくりしたわ。」
俺のとこだと割と種族的におおくなかったから、と頷きつつ……デリカシーの欠片もない発言に。
「うっせぇバーカ。むしろ俺が襲ってやろうかこの野郎。」
ケラケラと笑ってそんな軽口を返せば、要らないと言われたポーションは鞄にしまい。ふよふよと自分で飛んできた箒にすとんと腰かける。
「そっか、次があったら、俺も手加減……っていうと語弊がある気がするけど、まあもっと強い呪文用意して待ってるわ。」
目を細めて、ひらりと手を振れば……そのままふわりと空に浮かんで、夜空に飛び去っていき。
■カイン > 「あの国の連中は権力闘争好きなのが多いからな。
そこに淫魔が入り込んだらそりゃ淫魔の子供はだいたい淫魔なんだから、増えるのもさもありなんだが」
そう言えば淫魔の子が別の種族というのはあんまり聞いたことがない気がする。
ハーフというのもあまり聞かないなと埒もないことを考えて喉を鳴らし。
「女の格好でなら何時でも歓迎だ、それ以外ならやれるものならやってみな」
笑い飛ばして言い返しながらも去っていく姿を見送って、軽く息を吐きだし。
「全く、とりあえずは終いとはいえ…もうちょっと粘れるって考えは捨てたほうが良いだろうな」
依頼主に告げなければいけない報告を億劫に考えながらも、
その場をゆっくりとしたしどりで後にしていくことになるのだった。
ご案内:「タナール砦」からカインさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」からハーティリアさんが去りました。