2019/02/10 のログ
ご案内:「タナール砦」にリリーさんが現れました。
リリー > 今日もタナール砦内で仕事中。
今、砦には人間側の軍隊が常駐していると聴かされている。

女が着くまでに散発的な戦闘があったのか。
先日直したばかりの城壁は所々欠けていた。

今は自分が直した城壁の出来栄えを確かめる為、砦の最上部に居た。

「…うわぁ、凄い眺め。」

女が見ている先は魔族領だと言う。
親切な女将軍に聴いた話では魔族に捕まるとどんな目に遭うか分からないと言うが…。

「で、おまけに国内にも潜んでいる訳よね。
実際どんな感じなのかしらね。
ちょっと興味はあるわね。」

別にえっぐいシーンを見たいわけではないが、この世界の魔族がどんな人たちなのか。
直接見たことのない女は好奇心を膨らませていた。

リリー > 足元の方から女を呼ぶ声が聞こえる。
他にも直して欲しい箇所が出てきたようで。

「はいは~~い。」

そそくさと仕事に戻るのであった。

ご案内:「タナール砦」からリリーさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にギュンター・ホーレルヴァッハさんが現れました。
ギュンター・ホーレルヴァッハ > 恒例となりつつある砦への物資搬入と司令官達との会談。
王国の師団が駐留していた事もあってか、砦内各所の補修も進み、軍紀もそこまで乱れていない様に見える。

「今回は、搬入した物資をきちんと使い切ってくれると良いのだがな」

会談を終え、砦を散策しながら小さく呟く。
今迄は、大量の物資を流しこんでは魔族に侵攻されて奪われる、という事が続いていた。売る側としては別に構わないのだが、偶には正当に金を稼ぎたくなってしまうのは普段の行い故だろうか。

ご案内:「タナール砦」にダグラスさんが現れました。
ダグラス > 古い友人の下士官から最近砦を奪取したはいいが修繕や警備に人手が足りないと頼まれ。
ともに訪れた部下に指示出しを終えればほかに問題ないか見て回ろうと砦の中を歩き。

「まったく、海賊を何度も陸の仕事で雇うなってんだ」

確かに自分のところに依頼すれば冒険者を個別に雇うよりは安上がりだろう。
この国も近隣国も海軍はあまり整備されていないのも原因の一つではあろう。
ぶつぶつと文句を言いながら、腰に差した斧を指で叩きながら歩いていれば向こうから小柄な子供が歩いてくるのが見え。

「おいおい、坊主。ここは子供が遊びに来るところじゃねぇぜ?」

来ている服装からどこかの貴族の子供が視察についてきたのだろうかと考えながら近づいて声をかけ。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 投げかけられた声に僅かに眉を上げて視線を向ける。
其処に立っていたのは、歴戦の戦士である事を誇示する様な風貌の男。その佇まいも風格も、砦の兵士とは比べ物にならないだろう。
傭兵か何かの類だろうか、と思いながら男に向き直り口を開く。

「遊びで来られればまだ気が楽なのだがな。一応仕事で訪れている身だ。子供である事は否定せぬが、物見遊山の貴族共と同列にされては心外だな」

こういう手合いが、貴族を敬う様な態度や口調を取るとは露程も思っていない。
それ故に男の言葉遣いを咎める事は無いが、遊びに来た訳では無いのだと表情を変えずに答えるだろう。
体格差から、男を見上げる様な視線にはなっているだろうが。

ダグラス > 「ほぉ……仕事にねぇ」

腕を組んで貴族らしい話し方をする相手を見下ろし、放たれる言葉には肩眉を上げ。
ぱっと遠目から見た限りでは少女かとも思ったが声や話し方から相手が少年であろうことは理解して。

「それは失礼した。それで?子供の身でどういった仕事をしにこんな場所まで来たんだ?」

体格から見るに戦士ではないのだろうが、だからといって魔法使いのようにも見えない。
勿論自分より年下で有能な人間なんて腐るほどいることは理解しているが。
どのみち今回は監督か部隊長の仕事なので問題が発生するまですることは無く。
相手が急いでいるのでなければ暇つぶしにちょうどいいだろうと訪ね。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「…まあ、この砦を訪れる軍人では無い貴族が碌でもない連中ばかりなのは理解出来る。貴様が疑うのも致し方ないとは思うが…」

此方を見下ろす男に、小さな溜息と共に言葉を返す。
僅かに考える様な素振りを見せた後――

「今日搬入された物資。武具や糧食、酒等の嗜好品に至るまで。全て我々が軍に売却したものだ。となれば、搬入の立ち合いくらいはせねばならぬからな。兵士諸君が飢えに苦しむ事の無い様、取り計らうのも仕事の内でな」

改めて見上げる彼を観察してみれば、幾つもの死線を潜り抜けた様な古傷が見て取れる。
こういう古強者がいる間は砦が落ちる事も無いだろうと算盤を弾きながら、男の質問に答えた。
此方を眺める男の視線に気付けば、やはり戦場を訪れる格好には見えないだろうかと小さく肩を竦めてみせた。

ダグラス > 「物資か、なるほどな」

確かに今日そういった搬入があると連絡は来ていたかと思い出し。
その仕事内容を聞けば相手の立ち振る舞いにも納得がいく。

「ということは商人貴族ってやつか。この時代じゃさぞ儲かるだろう。
この砦もすぐに魔族の手に落ちてまた人間が取り返すだろうからな」

嫌味はないがどこかからかうように言えば口角を上げて笑みを浮かべる。
自分がいる間は落させるつもりはないが、所詮は傭兵である。
いつまでもここにいるつもりはなく、そのあとに砦が陥落しようと関係ないと考えていて。
むしろ相手の話を聞けば別の方法で利用できるかもしれないと考え。

「まぁ、立ち話もなんだし俺の部屋に来ないか?菓子くらいはあるぞ、貰い物だが」

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「そういう事だ。所謂政商……まあ、国や貴族相手に商いを行っているという認識で相違ない。
実に儲かるとも。戦争とは、物資を只管に浪費するだけのもの。戦争が続く限り、我が一族の財貨は山脈の如く積みあがるだろうさ」

儲かるだろう、と告げる男に当然の様に頷いた。
実際、儲かっているどころの話ではない。何せ、売りつけた物資は市場では無く戦場で浪費される。底なし沼の様に人と物が呑み込まれ、それを維持する為には膨大な金が動くのだから。

「…ふむ。別に構わんが、名も知れぬ戦士の世話になる訳にはいかぬでな。貴様の名を告げる事を許そう」

此方も一通り仕事は終わったところ。男の提案を断る理由は無いが、流石に名も知らぬ兵士についていく訳にもいかない。
王族らしく尊大に。支配する者としての態度で、男の名を訪ねて首を傾げる。

ダグラス > 「それは何よりだ、貴族が儲かってもらわんと俺が物を売りつける相手がいなくなるからな」

実際かなりの利益を上げている様子の相手に頷き。
貴族が利益を上げて腐敗してもらわなければ自分のような略奪品や非合法な奴隷を扱う商売は成り立たないのだ。
残念なことに投機性の強い商売ゆえに相手ほど利益を上げるわけにもいかないのが欠点だが。

「名前か、世間ではダグラスと名乗ってる。海賊のダグラスと言えば知ってるやつもいるだろう」

堂々と砦の中を徘徊してはいるがこれでも賞金がいくつかかかっている身である。
貴族でかつ商人である相手であればもしかすれば噂の一つは知っているかもしれない。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「…聞き覚えがある名……ああ、成程。私の知人にも、貴様を使っている者がいる。恐らく、私の一族の者にも世話になった者はいるだろう。しかし、貴様が砦の警備とは、海から離されて難儀な事よな」

男の名前を聞けば、合点がいったような態度と共に視線を向ける。
此方とて、清廉潔白な商売ばかりしている訳ではない。知り合いの商人や貴族、果ては分家筋の同族から話を聞いた事はある。

「となれば、此方も名乗っておくべきであろう。私はギュンター・メルヒオール・フォン・ホーレルヴァッハ。家名に聞き覚えがあるかは分からぬが、我が一族に連なる者が貴様の世話になった事はあるだろう。より良い関係を築いていきたいものだな」

腕の良い傭兵とは、幾らでも顔を繋いでおきたい。
貴族らしからぬ草の根活動の様な行いでも、己としては現場で通用する優秀な人材は幾らでも欲しいところ。
高慢な態度ではあるが、きちんとフルネームで名を名乗り返し、握手を求める様に手を差し出した。

ダグラス > 「ホーレルヴァッハ………なるほどな」

相手の名前と仕事から王都の名家である貴族と紐付き。
確かに自分の客にもその性を持つ相手はいたがどれも金払いは最高に良かったと記憶している。
それもギュンターと言えば確か本家の嫡男であったはずだ。
よもやこんな辺境でそれほどの名家と会えるとは思っておらず少し驚くも手を差し出されればこちらも手を伸ばし。

「こっちこそ、ホーレルヴァッハ家とはぜひ良い関係を築きたいものだ」

海賊とは言え、貴族の味方が大いに越したことは無い。
差し出された貴族らしい汚れも節くれもない綺麗な手を握ればまるで絹の質を確かめるように指を滑らせ。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「聞き覚えがあるなら話も早い。私からも、貴様にしか頼めぬ事を依頼する事があるだろう。何、内容は兎も角、見合った報酬は約束する。金払いの良い事だけが、我が家門の取り柄故な」

クスリ、と笑みを浮かべて理解の色を浮かべた男に言葉を返す。
そして、此方からも依頼を出す可能性がある事。その内容は彼に頼む様なモノなのだから推して知るべしといったものである事を告げる。

「貴様の様な傭兵を飼いならそうとは思わぬ。支払った報酬に見合った仕事をしてくれれば、互いは対等な関係である事を覚えておいて欲しい。
……何だ。貴族の手がそんなに珍しいか?武器等握らぬ故、貴様に比べれば軟弱なものかも知れんがな」

己の掌を滑る男の指の動きに、ゆるりと首を傾げて可笑しそうに尋ねる。
幾つもの戦場を潜り抜けた男の手は、己とは違い男らしい逞しいもの。羨ましい事だ、と内心小さく溜息を吐き出す。

ダグラス > 「金さえ払ってくれるならどんな仕事でも請け負うさ。
 それが俺の商売だからな」

やはりどんな名家であっても自分のような人間に頼むことはあるのだろう。
こちらとしてはむしろそういった依頼のほうが今回のような退屈はせずに済むためむしろ歓迎で。

「おっと失礼。仕事柄、上物なものに触れるとすぐに品定めしてしまう癖があってな。
 そういう意味では俺のような人間は価値がないさからな」

相手に指摘されればパッと手を離し、軽く肩をすくめてみせる。
自分の仕事を知る相手であればそれがどういった品のことを指すのかはわかるだろう。
確かに男らしさは乏しいし、おそらくこれから成長したとしても逞しい体にはならないだろうことは経験から想像できる。
だが、市場価値としてはそちらの方が高いだろうと勝手に計算し。

ギュンター・ホーレルヴァッハ > 「…王族相手に品定めとは豪胆を通り越して呆れた奴よな。とはいえ、此の国では私とていつ"商品"になるか分からんからな。精々、自分の身は大事にすることにしよう。
…案外、貴様の様な男でも需要はあるやも知れぬぞ?とはいえ、私であればその戦闘能力を真っ先に買いたいところだが」

肩を竦める男に、呆れた様な視線を向ける。
しかし、別にそれを咎める事も怒りを見せる事も無い。元より、そういった礼儀作法を押し付ける事はしない主義だし、男のあけすけな物言いを好ましく思って居る部分もあるのだから。

「…さて、立ち話も過ぎた。貴様の部屋で茶菓子でも………?」

吹き抜ける冬風に身を震わせると、取り合えず暖を取りたいと思いながら白い息を吐き出す。しかし、そんな少年を後方から呼び止める声。
振り向いてみれば、砦付きの兵士が此方に駆け寄り、近隣の貴族が是非挨拶をと訪れているのだと告げるだろう。

「……貴様の戦場での武勲も聞いてみたかったのだがな。本当に、遊びに来た貴族の子供でありたかったよ。
では、すまないが此処で失礼しよう。また会う時まで壮健に。そして、任務中は此の砦を守り抜いてくれ給え」

僅かな溜息と共に零した言葉は、若干ではあるが年相応の少年のものであったかも知れない。
残念そうに己の紅い瞳で男を見上げた後、直ぐに貴族としての立ち振る舞いに戻れば、兵士と共に砦の奥へと消えていく。

自分も訓練すれば、男の様な逞しい体つきになるだろうかと無駄な事を考えながら、貴族達との会談に臨んだのだろう。

ダグラス > 「そうだな、王族の末裔が性奴隷にまで堕ちたやつは腐るほど見てきたからな」

戦乱の時代ではいつだれが死んだり奴隷に落ちるかは誰も予想できないもので。

「ふふふ、大貴族という身分も楽ではないようだな」

貴族との付き合いに苦労が多いというのは自分も何度か経験がある。
相手の気苦労を察すれば苦層を浮かべ。

「まぁお前がいるうちはしっかり守っておくとしよう。
 良客が死んでは儲け話もなくなるからな」

去り行く相手の背中に言えば自分も踵を返し。
部下の様子を確認しに戻っていった。

ご案内:「タナール砦」からギュンター・ホーレルヴァッハさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」からダグラスさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にリリーさんが現れました。
リリー > タナール砦にて。
女は物陰に身を隠していた。

いつも通り、砦の仕事に励んでいる所で魔族側の奇襲攻撃に見舞われる。
駐屯している王国軍が守ってくれると思っていたが、魔族と思われる集団に不意を突かれたようで、砦内は混乱状態。

日頃世話になっている兵士の一人に隠れているように指示を出され、慌てて女は逃げ込んだと言う次第。

「大丈夫なのかしら。 言われたように隠れているけど、戦況悪いようなら加勢した方が。」

魔力だけなら、持っているアイテムのおかげで兵士達に引けを取らない。
ただ、女は魔族との交戦経験がなかった。

ゆえにどのような相手かと言う情報が全くない。
そして砦に常駐している兵士が皆女の事を知っている訳でもない。

混乱している状況で下手に飛び出せば、それこそ敵と誤認されそうで。

今はとりあえず状況が落ち着くのを待つとしよう。
女は小さく身を丸めつつ、時々隙間から様子を伺うことにした。

ご案内:「タナール砦」にアクラさんが現れました。
アクラ > 「つぎぃぃ!!」

魔族による砦の奪還戦
第一波として贈られた使い潰しの魔物達になかにそれは居た
狼に擬態し魔物達に紛れ一番に砦にやって来たそれは我慢の時間が終わったと歓喜に震えていた

「ゲヒャヒャヒャヒャヒャ!!」

狼が人型の怪物に変わり突如味方を捕食していく
そんな異常事態に兵士達は混乱する
統制の崩れた兵士達などただの生きの良い食料
欲望のままに3人目を捕食したアクラは満足げに腹を擦る

「ん~…まんぞく……」

はふぅ、と息をつく周りでは魔物と兵士達が戦っている
逃げ出す兵士も多い中一旦空腹の紛れたアクラはのんびりとそこらを物色しながらおやつを確保しようと爪を尖らせ兵士達を切り裂き放置する
特に何かを探すでもなく散歩ついでに怪物は砦内を徘徊する

リリー > 「あわわわわ…。」

手足が震える。 体中が汗が噴き出る。 目尻には涙まで浮かんでいた。

混乱状態ながらもなんとか持ちこたえてくれるだろうと思っていた予想を裏切り、目に見えるのは
味方の兵士達が一方的に魔物の群れに虐殺されていく光景。

苦痛に呻く声や断末魔の叫び声が響き渡ると、女は耳を閉じたくなっていく。

人語を解する魔物も居るようで、まんぞくらしき言葉が聞こえてきた。
声の主は次第に女の居る方角へと近づいてくる。

足音が近付く度に、兵士達の耳をつんざくような叫び声が上がる。

(あいつ、甚振ってるだけじゃない…!)

元々平和な世界に居たこともあり、正義感が強い女は目の前の光景を前に黙っていることが出来なくなった。

意を決して立ち上がると、唯一の攻撃手段であるマジックアイテムを召喚すべく両腕をクロスさせる。

「…イグニッション!」

女の身体が虹色に輝くと、魔力、身体能力が一気に向上する。

「…そこの貴女! 私が相手よ。」

女は人型の怪物に銃口を向け、声を荒げる。

アクラ > 「んぁ?」

おやつを増やしながら歩いていると今回の戦闘で初めて自身に言葉を向けて来る相手が居た
振り返ればそちらには妙な光を放つ女が1人
今まで相手した兵士達とはかなり毛色が違う

「まじゅつし…?」

銃口を向けられているのに無防備に立ったまま観察する
ただの布の服に彼女に集まる魔力、今までの経験から魔術師だろうと判断した

「おまえ……こわい?」

その目に怖れを感じたので重ねて尋ねる
この砦で今まで見てきた魔族をも凌駕する者達には無かった色
しかしそこらに転がる兵士達の恐怖一色という訳でもないので不思議に感じている
そう、彼女に興味が湧いたのだ…

だから尋ねる。首を傾げ向けられる銃口をただの杖と思いながら

リリー > (…意外ね、こっちに話しかけてきたわ。)

魔族や魔物は交渉の余地もなく襲ってくるのかと思っていた女は
眼を見開き、相手を正面に捉えた状態を維持する。

「そう、魔術師よ。 あなたがこれ以上危害を加えるなら容赦なく攻撃するわ。」

折角銃口を向けたのに、問答無用で攻撃することは出来なかった。
女の中では話して分かる相手なら、と言う甘い考えもある。

「怖いわよ。 でも、目の前で人が傷つけられて黙っていられるわけないでしょ。」

相手はこちらに興味があるようだ。
そう思った女は出来る限り勢いよく答えた。

虚勢であることはすぐに分かるだろう。女は自覚していなかったが、声が震える時があった。

但し、女の身体を流れる魔力こそは本物で。追い詰められれば遠慮なく魔法を放つくらいはできる。

アクラ > 「そうか…じゃ、あとでたべる」

攻撃してくるなら満腹気味だが頑張るしかない
とっておいて後のおやつにしよう

「こわいならにげるか、かくれればいいのに…へんなやつだな?」

自我を得てから同族と呼べる存在に会ったことのないアクラ
その為その行動は全てが自己中心的
味方の為の行動等概念からして理解していない
黙っていられない理由が分からなかった

「まほうはこわい。だからすぐたおす!」

爪が尖り腕が大きくなりその肌は鈍い輝きを放つ
腕だけ大きくアンバランスな姿になりながら突進する
爪で切り裂いても貫手で貫いてもいい
距離を詰めれば大きな魔法は使えない筈

そう考えながらまっすぐ突っ込んでいく

リリー > 「やっぱり食べるんだ。」

そういう生き物が居ると聴いていたが、実際に目にすると恐ろしい。
意思の疎通が出来る相手を食べると言う事が女にはおぞましい行為のように思えた。

「私だって隠れたかったわよ。 でも、そうも言ってられないのよ。」

腹をくくったつもりでいたが、いざ相対するとかなりの恐怖だ。
鍛えた兵士達が容易く捕食されるような相手。
そんな相手と1対1で今から戦わねばならない。

「生憎だけど、私もそのつもりよ!」

爪と腕が突如として形を変える。
異形な姿と化した相手が女の方へと近づいてくる。

見るからに強靭な腕と、尖った爪。 まもとに喰らえば一撃でアウトだろう。

「…ランス!」

女が呪文を唱えると、長さ20cm前後の小型の光でできた槍が3本現れる。
空中を飛ぶ槍は、目の前の異形に向かって勢いよく突っ込んでいく。

刺されば御の字。 刺さらなくても最悪距離を保ちたい。

アクラ > 「たべるぞ。おいしいからな」

当然、と言いたげに頷いた
美味しいものを食べるのが幸せなのは当然なので仕方ないのだ

「むっ!」

突如現れた槍を両の手で弾き飛ばす
どれ程の傷を負うかわからないので立ち止まり迎撃する
硬さと勢いはそこそこ、一般兵の刺突と言った所
これならそこまで警戒は必要ないだろう

「こんどは、こっち…くしざし!」

再度接近し貫手を放つ
刺されば鎧も来ていない人の身体は簡単に貫けるだろう
生憎巨大化させたせいで動きはそこまで機敏ではない

リリー > 「ならせめて甚振るのは止めなさい。」

そういう種類の生き物なのだろう。
自分も他の生き物を食べているので女はその行為自体を否定することは出来なかった。

(…やっぱり、この程度じゃ防げないか。)

砦内はそれほど広くないのでどうしても変化球のような軌道を取らせることができない。

流石に予想の範囲内。女は次の攻撃の準備を…。

「…くっ! シールド!」

どちらかと言えば鈍重な動きであったため、躱すだけならどうにかなった。
しかし、狭い場所へ不用意に動けばかえって逃げ場をなくしてしまいそうで。

光の盾を己と相手の間の位置に発生させる。
これも何度か攻撃を与えれば簡単に弾かれるだろう。

「ライトニング!」

その間に次の呪文を詠唱する。
銃口を向け、一筋の雷が相手の元へと伸びる。
触れれば感電し、耐性が無ければ痺れるだろう。
こちらはさきほどのランスよりは細いため、ある程度の軌道修正も容易だ。

アクラ > 「いたぶる?」

甚振ってなどいないのでまた首を傾げた
獲物を逃げないようにしているだけでそこに悪意などない

「たて…っ!」

1度目が弾かれもう1度
そして3度目で障壁を破壊する
だが、その隙に身体に走る電撃に動きが止まり倒れてしまう
声が出せず短い悲鳴に近い声を漏らし…

が、直ぐにまた立ち上がる
耐性などないが異常なまでの回復力がそれを可能とする

リリー > 「…違うのなら、謝るわね。」

どうやら、女の勘違いであったようだ。
首を傾げられてしまう。
と言う事は、遅かれ早かれ食べられてしまうのであろうが。

「…そんな。 なんて回復力なの。」

盾を使った足止めは容易く突破されるが、雷撃の直撃をお見舞いする。
通常の人間であれば確実に戦闘不能に陥る様な威力で直撃させたのに、
苦悶を浮かべたかと思えばもう立ち上がってくる。
女は驚きながらも咄嗟に次の呪文を撃つことにした。

「バレット!」

銃口から拳サイズの光の球が一つ飛び出す。
威力と弾速に魔力を偏らせたので一発だけ。
しかし、当たれば腕の一本くらいは容易く吹っ飛ばすことが出来るだけの威力だ。