2019/01/03 のログ
フリムス > 十分に情報は伝わった頃合いだが、どちらからも動向はない。
これ以上待つのも無駄だろうと思えば、がしがしと後頭部を書きながら壁の上からひょいっと飛び降りた。
数メートルはある高さを、階段を飛び降りるような軽い足取りで。

「っと、帰るか」

どちらにも馬鹿と勇猛な奴は居なかったようだ。
掛かるかからないは運も絡み、釣りと似たような心地。
今日はどちらで夜を明かそうか、そう考えながらつがいを失った観音開きの片割れを蹴り飛ばす。
大きい木製の扉の片方がきりもんで飛んでいくと、その後を追いかけるように、ゆっくりと砦をさるのだった。

ご案内:「タナール砦」からフリムスさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にサロメさんが現れました。
サロメ >  
「……ひどい有り様だな」

歯噛みし、痛いほどにその拳を握る

──ダイラスにて途中の補給を行っている時のことだった
血相を変えた伝令が、駐屯地から走り、転がりこんで来た
内容は…タナールの自体急変

「…生存者を探すぞ」

早馬を飛ばして此処へ来れたのは一部隊ほどの人手に過ぎない
それぞれ散り散りに、惨状の中を手分けして生存者がいないか、探し始める

ご案内:「タナール砦」にフリムスさんが現れました。
フリムス > 「何もなかったな……」

ドアを蹴っ飛ばした後、王都側へと渡ったものの、酒も女もしばらくは見当たらない。
自然豊かな平原にげんなりとしながら、散々な気持ちで珍しく館へ戻ろうと踵を返していく。
丁度彼女達とは違う方角から戻ってきたらしい、すれ違うこともなく砦の前へと戻ってくれば、さも当たり前のように小柄な姿がドアを踏み越えてやってくる。

「……何か探してんのか? 人間ならいねぇぞ、つか来んの遅ぇんだよ。テメェら魔族と喧嘩してる自覚あんのか? このノロマが」

まばらに散っていく人間を、紫の人目をジト目気味に細めながら、小さく溜息を零した。
何をどう見ればこの腐った匂いの中に生存者が居ると思うのやら……と、内心悪態をつきながらも、見た目とは裏腹な生意気な言葉をズラズラと並べて中央へと歩んでいく。
まだマトモに強そうな輩か女はいるだろうかと、あたりを見渡しつつ、新たな将軍が目にとまるだろうか。

サロメ >  
血の匂いが充満する
誰か生き残りはいないかと声を張り上げ歩くも、その行為はより事の絶望性を感じさせてゆく

──串刺しにされた同胞の姿
ただの戦闘痕ではない、弄ばれた上での姿であることは容易にわかる、しかし……

「魔物も殺されている、のか…?」

魔物の死体もあちこちに散見され、思わず足を止めた
ただ魔物の群れと衝突しただけではこんなことにはなり得ない

「──妙だな。一度引いて…」

長年の勘が警鐘を鳴らす
──その時

気配に振り返り、その姿を目の当たりにした

「…お前がやったのか?」

目に飛び込んできた、その姿
そう言葉を発したのは確信めいたものがあったからではない
しかし腰へと下げた大剣の柄へとその手をかけ、鋭い視線をその先へと向け、言葉を投げかけた

フリムス > 此方へと問いかけてくる女へと視線を向けると、コキリと首を鳴らしながら軽く傾けていく。

「俺というか、俺の……まぁペット見てぇなモンだな。それに殺らせた。俺が手を出すまでもねぇ雑魚ばっかだからよ」

串刺しにされ、腹や胸に大穴を開けた死骸や、踏み潰された魔物の死骸を視線だけで一瞥すると、改めて応えるのも面倒だが答えていく。
その内心も退屈そうに呟き、変わらぬジト目の視線が物語っている。
見てくれはいいが、本気で何かをぶん殴って腰を抜かすような女じゃ、一晩の慰めぐらいにしかならないかと思いつつ踏み出そうとすれば……大剣へ手が伸びるのを見やり、目の細め方が変わる。
にぃっと口角を上げて、愉悦を帯びた獣の笑みを晒すとまっすぐに首を戻しながら、ポケットに突っ込んだた手を引き抜く。

「この状況で啖呵切る準備するたぁ、いい度胸じゃねぇか……女、そこの雑魚共に外に出るように言えや。テメェが相手するなら、殺さねぇでやるよ」

小気味よく指の関節が鳴り響き、量の掌が握り込まれていく。
小さいながら鉄のように引き締まる両拳を胸元の前で小突き合わせると、ゆらりと闇の魔力が蜃気楼の様に浮かび上がる。
見た目よりも濃厚で重たい魔力を踊らせつつ、握り込まれた手が降りていくと、クツクツと楽しげに笑いながら彼女へ悠然と歩んでいく。

サロメ >  
「……成程」

その返答に目を細め、柄に添わせた手を戻すとそのまま掲げ、小さな魔力光を放つ
単なる戦闘痕ではない、その時点で即時撤退、体制を整えて出直す必要がある
撤退経路を含む簡易的な支持を、自らの部隊を対象に念話として飛ばす
──無論、自分が此処に残るということも
彼女の親衛隊は優秀らしい、砦内に散らばっていった気配は、二人がいる区画を避けるようにして砦の外へと移動してゆく

「訊くだけ無駄…詮無きことかもしれないが…なぜこんな真似をする」

掲げた手を再び大剣の柄へと伸ばせば、今度はズラリと抜き放つ
冷気の漂う刀身を顕に、そう言葉を投げかける

──背筋に走る戦慄は、相対する相手の戦力の大きさを物語る
しかし、恐らくこの場で多少なりとも時間を稼げるのは自分だけだろう
ならば動揺は一切見せず、足は逃げるために使わず、手も降伏を示すためには使わない

フリムス > 「……ほぉ、分を弁えるってのは良い事だ。逃げ恥忍ぶ人間は、まだ伸びしろがあるってもんだ」

手を柄から離し、光を放つ様子を怪訝そうに見やり、まぶたがひくりと跳ねる。
魔術による意思疎通か何かだろうか、さっと砦内から引いていく兵士達がこちらを避けるように動くのに気付く。
感心したように何度か頷きながら、改めて歩みだすと、重なる問いに鼻で笑いながら彼女を見上げた。

「オメェみてぇな馬鹿が来んのを待ってたんだよ。別に人間だろうが魔族だろうが、どっちでも構わねぇ。そこの達磨になってる雑魚じゃ、手遊びにしかならねぇよ」

血の疼きを収める戦いを、渇望を満たす為の争いを、ただそれだけ。
紫の視線をすぃっと彼女からそう遠くないところへ転がっている死骸へと差し向け、顎をしゃくる。
屈強な魔族の身体には手足どころか首すらなく、防壁の上にゆれる旗に突き刺さっている頭部も、既に見ているかもしれない。
何であろうが構わない、言葉通りの答えに証拠を添えつつ剣から感じる冷気に小さく笑う。

「冷気か……いきなりおもしれぇ事になってきたな。女、名前を教えろや。それと……好きに掛かってこいや、試し打ちなんざしたら殺すぞ」

徐々に漏れ出す魔力は大きくなり、極限まで圧縮された力の鱗片だけでも背景はぐにゃりと歪んでいく。
ボクシングのような構えを取り、ぐっと身を縮込ませて戦闘態勢を取るが、先手は……否、全力を出し切るまでは譲る。
強い女の自信を砕く為の戯れだが、それが出来るだけの力を溜め込みつつ、足を止めた。
斬りかかるにも丁度いいだろう間合い、少し下がれば術を打ち込むにも手頃だろう。
一番立ち止まるのが危うい場所でワザと止まり、変わらぬ不敵な生意気顔が彼女を見つめていた。

サロメ >  
「私がもう少し莫迦であればここで逃げを打っていただろうが。
 生憎とそうもいかない立場でな…此処を貴様のような悪趣味な者の遊び場にされるのは些か困る」

抜き放った剣を掲げるようにし眼前に据え、
漂っていた冷気も、吹き荒ぶ吹雪のように荒々しく変わってゆく
冷たいながらも燃え上がるような闘志、それに呼応するかのように

「名を問いかけるのは享楽者の嗜みだ。
 …殺す?私とて貴様を生かして帰すつもりはない…故に名乗るも名乗らせるも──」

吹雪を纏うその剣を構え、夥しい血に塗れた石畳を蹴る

「──無為なことだ!」

恐らくそれがその棋士の全力
振り下ろされるその刃が触れれば対象は瞬く間に時間もろとも凍結し、そのままに命を斬り砕かれる
白刃戦において、この女が最も信頼を置くであろう必殺の一撃
文字通り、全力の投入による一撃必斃──瞬殺の意思と共に、放つ

フリムス > 「そん時ゃ、逃げるテメェの首根っこ捕まえて、一晩相手させて放ってるだろうな。俺が何処で何をぶん殴ろうが、指図される筋合いはねぇがな……?」

上段の構えを取る彼女を見やりながら、溢れ出す冷気と吹雪がより顕著に具現化されていく。
人間にしてはよく出来る方だと思いながら、まるで手品でも三鷹のような軽さで口笛を吹きつつ、目を丸くして少しばかり驚いていた。

「そらそうだ、楽しむためにやってんだからよ」

真面目な奴だと思いながら半目閉ざすも、それも一瞬のことだった。
無意味と言い切ると同時、瞬時に踏み込みながら刀身の最大遠心力が乗る箇所を叩き込む一閃が迫る。
その一瞬の合間、こちらは刃に合わせて防御を上げることもしなかった。
ただじっと、振り下ろされる刃を見やる目は何かを見分するような余裕のある表情。
刃が頭部に触れた瞬間、柄を握る手に到達の衝撃が鈍く重たく伝わるだろう。
小柄な身体を切りつけたとは思えない、永久凍土の山頂に刃を突き立てたような……硬く力強い手応えを。
命を凍てつかせる魔力を、強引に焼きとかして押し戻す、マグマのように溢れ出す暴力的な魔力の奔流を。
溢れる冷気もこちらの身体を包み、余波が王子じみた衣装を凍てつかせ、白い霜に染め上がる。
微動だにせず、わずかに足元が沈み、吹雪が通り過ぎた後のように、横薙ぎのつららが体中の端に生まれていた。

「……ぁ゛~……さっきの魔族たぁ比べモンにならねぇな……痛ってぇ……」

霜が服ごと崩れ落ち、殻のように破けていく。
浅黒い肌に刻まれた無数の爪痕と、引き締まった筋の上半身が露となると、その顔をしかめる。
つぅっとこめかみを伝い落ちる鮮血の一滴が頬まで伝い、強烈な冷気によって雫を頬にとどめてしまう。
彼女の全力の一撃は確かに叩き込まれている、だが、まだ痛いと宣う程度で堪えていた。

「……で、生かして帰さねぇんだったよな。よぉ、まだあんだろ? 受け止めてやっから、今よりもっと強ぇの打てや」

パンパンとこびり付いた霜を叩き払いつつ、紫色の瞳は楽しげに彼女を見つめたまま。
嘲笑や愉悦というよりは、遊びに夢中になるような無邪気とも言える笑い方だが、口角の上がり方は魔族の悪どさそのものだった。

サロメ >  
──ああ、こういった手合いが一番始末が悪い
楽しいからやる、それ以上の理由はない
迷惑だからやめろと言ったところで、往々にして無駄に終わる
故に、例え相手が魔王であろうと一刀で斬り伏せる、そのつもりで放った一撃ではあったが……
柄を握るその手には肉を斬る感触も、骨を断つ感覚も返ってはこない
強固の岩盤に斬り込んだかのような異様な手応えに、頬を汗が伝う
誰彼の戦力の大きさは、予測の範疇を超えるか
そう判断すると呑気に痛いなどと口にするその顔面を目掛け、初弾と全く同等の一撃を横薙ぎにて放つ

「く──」

この一撃よりも強いものなどはない
無論策を弄すれば優勢に立ちまわることも可能だろうが、こと攻撃力という意味では最大のものを放ったはずだった

フリムス > 迷惑と言われた程度では、やめるつもりはない。
従わせるなら、それ相応の対価を差し出す必要があるだろう。
富など必要程度でいいと考えるこの魔物に差し出せるとすれば、彼女なら女という自身だけかもしれないが。
恐らく、魔王でも当たりどころが良ければ即死を狙える破壊力は十分にあった。
けれど、力という力では絶対の自信を持つからこその防御なしの直撃である。
その揺るがぬ精神を具現化したの如く、僅かなダメージだけが伝われば皮膚を薄く切り裂いていた。
冷や汗をかく女が、間髪入れずの追撃に転じる。
同等の破壊力の横薙ぎが、今度は頬骨に直撃していく。
ガァンッ!! と金属がぶつかりあうような音が響き渡り、反響する音が鼓膜を揺さぶる。
不機嫌そうに顔をしかめながら、痛みよりも耳障りな音に耐えると……今度は冷気が横向きにぶつかったとおりに、横薙ぎのつららが身体に生え揃っていた。

「……嫌な音だ、すげぇ耳障りだなコレ」

頬を伝う更なる雫もパキパキと音を立てて凍てついては、冷凍止血されてしまう。
言葉と共に上半身に張り付いた氷が再び砕け落ちると、無情にも与えたのは切り傷二つという現実を突きつける。
気合を入れて筋を膨らませていけば、わずかに身体が盛り上がると同時に残りの氷を砕け散らせた。
ガラス片が地面に落下するように砕ける音色が重なり合うと、ノンルックで片手を突き出し、不意打ちのように胸倉を掴もうとする。

「で、今のが全力だろ? テメェの負けだ。まだ負けてぇねってガキみてぇなダダ捏ねるか? だとすりゃ、テメェの部下の方がまだ潔いけどな? 分かったらまずは名前を言え、まずはそれからだ」

この切り傷が幾ら重なろうとも、こちらを切り伏せる事は敵わない。
今更策を弄する余裕など、与えるつもりもなかった。
技と知恵がどれだけあろうと、力という絶対数の差が大きすぎれば、その全てが無駄になるからで。
わざと彼女の部下の逃げを逆手に取り、煽るようにして敗北を認めさせようと名を問いかける。
先ほどと変わらない、憎たらしいニヤリとした笑みが見上げながら。

サロメ >  
「──ああ、聡明な私の部下達はどうやら砦からの離脱を完了したようだ」

二発目の直撃もダメージを確認できない
これ以上は流石に剣がもたないか、と僅かな思案の隙に伸びてきた腕にその胸倉を掴まれる

「っぐ…残念ながら貴様の言う通りらしい……。
 …わざわざ死にゆく敗者に名を聞いてどうする?多くの同胞を戯れに殺した貴様に名乗ってやる名など私にはないぞ」

既に死に体であろう状況
しかしその視線にはどこか相手を見下すような色を見せる
相手が、こちらに敗北を認めさせようと言葉を選んでいるのが見てとれたからだ
負けたかどうかなどは自分が決める
ならばその言葉に無駄に抗うのも良し、とした
なんのことはない、小さなプライドのためだったのだろうが

フリムス > 彼女の意識がわずかに逸れたのと重なり、突き出した手はガッチリと胸ぐらを掴み上げる。
それこそ金属の部分があれば、それを布のように拉げさせながら、無理矢理掴み上げるような力技でだ。

「そういうこった。ぁ゛? 殺さねぇよ、テメェは後数年すりゃ、殴りたくなる強さにはなるだろうからな。戦利品抱くのに、お前だのテメェだのじゃ、締りが悪ぃだろ」

何やら撃墜星の名を問われたとでも思ったのだろうか。
死にゆく者という言葉に怪訝そうに眉を顰めると、名を問う理由を答えていく。
別段、乱暴に押し倒してそのまま抱くことも出来るが、倒した後は楽しむ牝へと認識は切り替わる。
男なりの礼儀として名を問うも、小さくため息を零しつつ突き返すように胸倉を離した。

「まぁ……負けて何も無しに帰りてぇなら帰れよ、好きにしな」

本来敗者に選択の余地など無いが、彼女がそれを望むなら否定はしない。
両手を改めてボロボロのズボンのポケットへ突っ込むと、鼻先で笑う嘲笑じみた音が響く。
今は少々呆れた程度の笑みを浮かべているが、こちらの背中の方にある王都へ続く出口へ踏み出したなら、その顔は冷えた笑みへと変わるが。

サロメ >  
「──? …このような惨状を砦に齎した者にしては随分と温い。
 ただ強者との戦いを求めるだけならば、わざわざこんなことをせずとも良いだろうに」

突き放され、何度か小さく咳き込みながら、鼻先で笑うその姿を睨めつける
その両手を無造作にポケットへと突っ込む様子を見れば、此処から策を弄し、無力化することも可能に思えた
強者故の慢心は時に最大の弱点とも成り得る、が……女の正義は不意打ちを良しとしない
大剣を石畳に突き立て、正面から見据えるように

「…王国軍第七師団長、サロメ=D=アクアリアだ。
 負けを認めたから名乗ったわけではないが、貴様の名も問う必要がある。
 と、なれば…名乗りも等価だろう」

本来ならばその首を持ち帰らねばならないところだが、と僅かに肩を竦めて

フリムス > 「温いって随分な言い様だな。これは丁度そいつらがいたから利用しただけだ」

ところどころ凍ってしまった死骸を改めて一瞥するも、炉端に転がる石ころを見るかのように感情はなく、言葉も軽い。
惨劇になったのは、あくまで結果であり、そこにいる者達が異なっていれば、ここまで血生臭くはならなかっただろう。
突き放し、どちらを選ぶかと様子を見ていれば……負けて尚、気高さを捨てようとしない。
ずる賢いことの一つでもすればいいものをと思ったが、その真面目さにクツクツと可笑しそうに笑いだし、笑いの深さに思わず前かがみになっていく。

「くくっ……ははっ! 久しぶりに見るタイプの女だ、俺はフリムス、巨人族の端くれだ」

過去の文献や、魔族立ちの間柄では荒くれ者だの、破壊者だのと散々に言われているが、何一つ間違っていない。
笑いすぎて目元にわずかに涙をためながら顔をあげると、ずんずんと彼女の方へと歩み寄っていく。
両手を伸ばし、届くなら片手は腰元を、反対の手は背中を周り後頭部を支えるように掌を重ねようとする。
そのまま少し背伸びするようにして、さも当たり前のように躊躇いなく唇を奪おうとしながらも、身体を密着冴えるように抱きしめようと試みる。

サロメ >  
「巨人族だと…?」

笑いながらそう名乗る少年に些か驚きを隠せない
小柄な女から見ても見下ろす程しかない体躯
てっきり魔族なのだろうと思っていたが──

しかし同時に納得もいく
人の外にあるものであれば、この惨劇に感情的なものを見せないことも
斬り込んだ際のあの異様な感覚も不思議ではないのだから
思案の隙間に、少年はこちらへと歩み寄る
殺気も感じず、何をするのかと思えば……

「……なんのつもりだ?」

腰を抱かれ、フリムスが背伸びして唇を奪おうとすれば反射的にその顔を背ける
殺気の類がないとはいえ、油断をしているわけではないようだった

フリムス > 「ははっ、そう見えねぇだろ?」

見た目からすれば、彼女の思った通り魔族であろうと見るだろう。
大まかな分類として言うなら魔族だが、その中でも本来は背の高い巨躯の種族が子供の身体をしていれば、訝しむのも当たり前の事で、確かめる言葉にニンマリと悪戯っぽい笑みを浮かべていく。
何やら考え込んでいるが、戦利品を楽しもうという自身にはあまり関係のないこと。

「ん? 何って、抱くっていったろ? キスの一つや二つしながら楽しまねぇとって思ったんだが……あれか、好きな奴にしか唇はイヤってか?」

そうだとしたら、お硬い見た目の割に、乙女なところでもあるのかと思えて、楽しそうに笑いながら回した手を更に下らせる。
届くなら膝裏に片腕を通して、自分よりも背がある彼女を横抱きにしてしまおうと試みる。
抱きしめたときにも伝わったことだろうが、子供の体の割に、あの斬撃を受け止めた身体らしい引き締まりの硬さが伝わるだろう。

サロメ >  
「………負けたから抱かれてやる、などと言ったつもりもないんだがな」

しかし意図は理解できたのか、溜息を吐きつつも驚いた様子は見せなかった

「そういう感情がないわけではないが、残念ながら───…おい…っ!?」

すっと身体の浮く感覚
自分よりも小さな少年(に見えるだけなのは重々承知だが)に横抱きにされるなぞ思ってもおらず

フリムス > 「殺されるよか安い代償だろ?」

とはいえど、殺さずに抱くのは抱きたいからなので、求めているのは此方である。
そんな言葉遊びをするほど頭がいい方ではないため、自分の論理そのままに答えつつ、カラカラと笑いながら抱き上げていった。

「ぁん? お姫様抱っこも駄目かよ、まぁちょいと我慢してくれ、確かベッドがそっちにあったからな」

幾ら中身が巨人としれたとて、見てくれは相変わらずの子供。
それも背の低い、肌の黒さがなければ生意気な少年にしか見えない姿に抱き上げられるのは羞恥か屈辱か。
壊れかけの扉を足で蹴り開けながら、士官用の広めの部屋まで連れ去ると、使い古されたベッドの上へ放るようにして下ろしていく。
ベッドをきしませながら自身もその上に乗っかれば、彼女の両手を片手で束ねるようにして手首をつかもうとする。
届いたならその手を彼女の頭上のシーツへ押し付けつつ、反対の手はその頬へ向かうだろう。
今度こそ唇を奪わんと近づけていき、腰元をまたいだ体は多少暴れた程度ではぶれない強靭さも兼ね備える。

サロメ >  
「(どちらかといえば殺される方を覚悟していたんだが)」

騎士としてはどうにも複雑な気分である
そんなことを考えながら、やれやれと暴れても仕方がないと運ばれてゆく

「……抱くつもりなら、もう少し丁寧に扱ったらどうだ」

ベッドへと放り投げられ、両手を頭上で抑え込まれて
じとっとした視線を投げつけながらそう言葉を投げかける

「っ…───」

今度は頬を抑えられて顔を背ける事はできず
薄くも柔らかな唇は為すがまま、奪われて

フリムス > 「わりぃな、ガサツなもんでよ……もうちょい丁寧にやるとするぜ、お姫様」

ベッドの上でわずかに跳ねた矮躯を見下ろし、悪態にすんなりと謝罪を紡ぎながら上がる。
何処と無く不機嫌そうに見えた視線にも、戦利品を貪る喜びにご機嫌な笑みを見せながら、今度こそ唇を奪う。
手首を抑えて強引に重ねこそしたが、一度重ねてはわずかに隙間を開けて重ね直し、幾度も重ね合わす熱っぽく彼女を求める執拗な口吻を繰り返す。
その合間に徐々に唇を啄み、隙間を広げようとしながら頬に添えたては彼女の身体へと伸びた。
つつ……っと、大胆なスリットの合間から白い腿の内側へ掌を這わせ、フェザータッチでなで上げる。
左右の内股を幾度も擽るように可愛がりながら、舌を隙間へと押し込んで絡め取ろうと侵入を試みる。
丁重に、その言葉に答えてなのか。
普段よりは雰囲気を重視して、淡い愛撫混じりに交わりの幕を開けた。

サロメ >  
「…やめろ、姫などと。そうは見えんかもしれんが私はもう28だ……──ん」

何度も繰り返されるキス
…想い人以外に唇を許すのも初めてではない
こういった交わりが得意、というわけでもないがいざこうなってしまえばそれほど抵抗もなかった

フリムスの指が振れる太股は柔らかくも靭やかな感触を返し、わずかにふるりと反応を見せる

相手を負かし、抱くなどという行為の悪いには随分と──

「…案外と、がっつかないんだな…」

唇が離れた隙に、紅潮しはじめた顔でそう呟いた

フリムス > 「28か、人間だと若いところの下りだっけか。 でもまぁ、キスを避けたり、丁重にしろって強請ったり、初心っぽいから姫でいいんじゃねぇか?」

横抱きに慌てたり、唇の重なり合いを避けたりと、何処と無く乙女な部分を感じさせられる。
歳を聞いても、嗚呼それぐらいかとと言ったような、重いのか軽い受け止めになるのも、自分らが長命だからだろう。
内股を撫でる手に震えるなら、具合は悪くないだろうとそのままビキニラインからなぞり上がり、下腹部を擦るようにしてなで、前垂れ状担った部分を巻き込むようにしてじわじわと捲りあげようとする。

「……ん? 丁重にっていったろ? それでエロくなってくれるんなら、そうしてやるよ」

唇が離れれば、わずかに混じった唾液が糸を滴らせ、彼女の顎に引っかかり千切れていく。
絡んだ舌先を口内へ導き、絡め取りながら問いに応えると、恥じらいの様子に背中が熱を持つようにして、羞恥に色香を覚えていく。
その唇を首筋に添えて、幾度も鬱血跡を刻むように強く吸い付き、甘噛みを繰り返す。
ちゅぷ、じゅぐっと空気混じりの水音を響かせながら、胸元の装備を丁寧に金具を外して解いていき、ボタンもジッパーも壊さず慎重に解きはじめる。
控えめな乳房を、乗っかるだけとなった上半身の装備ごと引き下ろすようにして露わにすれば、視線をそちらへとスライドさせて、遠慮なくその控えめな房を色づきもろとも全て堪能しようと這わす。
今宵はじまった交わりが何時幕を引いたのか、それを知るのはもう少し先だろう。

ご案内:「タナール砦」からサロメさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」からフリムスさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にラファルさんが現れました。
ラファル > タナール砦のてっぺん、そこに金髪の幼女が立っている。
 兵士のみなさんは、危ないからそこをおりなさーいとか言ってるけれど少女は聞く耳持たずある方向を見ている。
 その方向とは―――――魔族の国の方面であり、少女の母親が経営する酒造がある方向である。
 人の目には見えないものでも、ドラゴンの目であれば見えるものもあるわけで。
 じーっと、そこを見る姿は、物見の役割に見えるかも知れない。
 下で、慌てて降りるように言う兵士さんたちがいなければ。

「んー。」

 じぃーっと少女はそちらの方を見ている。
 何が見えているのか、何も見えていないのか、少女の様子からは計り知れないであろうけれど。
 とりあえず、兵士さんが意を決して屋根まで登って来るまでは、多分降りないだろうことが、わかると思われる。

ラファル > 首をコトンとかしげて、魔族の国の方面を見ている。
 帰ってくると聞いたのは二日後ではあるので、今から見てても仕方がないことではあろうけれど。
 やはりおかーさんが帰ってくるなら待ち遠しいものである。
 竜の感覚で言えば一日二日は一時間2時間程度のものでしかないのもあるのだろう。
 そして、不意に視線を下に向ける。

「あー。」

 兵士のおじちゃんたちは頑張っている模様。
 何やら騒ぎながらはしごを用意しているのが見える。
 頑張って、少女をこの砦のてっぺんから下ろそうとしているようだ。
 お仕事に忠実なのだろう。
 まあ、普通に幼女がそんなところ登っていれば誰だってそうするのだろう、幼女にはわからないことではあるが。
 
 とりあえず、下は気にしつつもまた視線は遠く魔族の国の方へと向ける。

ラファル > 「やっぱ、早く帰ってくるとかはないかなー。」

 うーん、少女は小さく呟く。
 こう、びっくりどっきりで早く帰ってくるとかあるかなーと少し期待はしていたものの、そんな様子はなさそうで。
 とは言っても、飛んで迎えに行くのも邪魔をしそうだしどうしようかなーって考える。
 幼女は仕方がないので、屋根の縁に腰をかける。
 足をプラプラさせて思考を。

 何やら足元で兵士たちがわめいているのが大きくなる。
 若い身空でとか、死ぬんじゃないとか、落ち着けーとか。
 何を言っているのかヨクワカラナイ。
 まあいいや、と気にしないで夜空を眺める。
 待つのも飽きたし、帰ろうかなーとか。

ラファル > 「よーし、かえろー。」

 思い立ったところで、となりにはしごが立てかけられた。
 兵士のおじちゃんたちが梯子を登ってくるのが見えるので、ぴょーい、と避けるように飛び降りた。
 おじちゃんたちが、もんのすごい絶望顔でこちらを見ている。
 地面にしたっ、と着地する。

「かえるね、ばいばーい!」

 にこー、と笑いながら全力で手を振って、とたたとたたー、とマグメールの方に走り出す。
 唖然としている様子の兵士のおじちゃんたちの間を抜けて、夜の闇に消えていくのだった。

 多分怪談とかホラ話にはなっていない―――――筈。

ご案内:「タナール砦」からラファルさんが去りました。