2018/07/09 のログ
カタナ > そもそも根無し草の用心棒…で、冒険者…で、傭兵だ。命を懸けてまでここを死守する理由も無い。
報酬は正直惜しいとは思うが、まぁまず命あっての何とやら。当たり前の事だ。

(…強敵と切り結ぶのも目的ではあったが…)

正直、魔術や異能を主体とする強力な相手が現れたら不利でしかない。
年は取らない体質となっているが…後は剣術といくつか技能がある程度。
それ以前に。人間の個の強さには矢張り限界がある。群が矢張り人間の強みだろう。
足りない分も、群による多様性により補える場合もある。勿論、優れた将などの統率者が必要だが。

「あとは、それなりの策と装備…他幾つか。…ふぅむ。」

王国の方はその辺り大丈夫なのだろうか?まぁ、ただの用心棒…本業は用心棒なのだ…が、気にしても詮無き事だが。
ぐびり、と酒を煽りながら緋色の双眸を僅かに開く。見える景色はまさに戦場、といった所。

カタナ > と、一人静かに酒を楽しんでいれば、眼下から声を掛けられる。
今回の戦で己と同じく雇われ傭兵として部隊に加わった一人だ。どうやら人手が足りないから手伝え、という事らしい。

「…ま、仕方ないかのぉ」

応急処置や既に手遅れの者、或いは遺体の火葬などの処置しか出来ないが。
ともあれ、人手が求められているならば仕方ない。そのまま身軽に飛び降りて音もなく着地。
その技量と体捌きに驚く男に軽く微笑みつつ、飄々と砦の中へと戻っていくのだった。

ご案内:「タナール砦」からカタナさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」に紅月さんが現れました。
紅月 > ーーーガタガタ、ゴト、ぱぁああっ!

最近、私のお仕事が掃除婦になってる気がする。
…そりゃあね?
浄めの祈りの魔法と浄化の魔法と…そういう系統のを合成して『お掃除魔法』なんてのを作り出すような変わり者、私くらいしかいないだろうってのはわかるよ?
でも、さぁ…ね?

「……、…この惨状を独りで浄めてまわるのは、ちょーっと厳しいんだけどな」

思わず虚空を眺める。
…眺めた先にも血の染みがあるとか笑えないです。

紅月 > 「…えっ、なんで龍の骨なんか落ちて……あー、そういやスケリトルドラゴンが出たとか何とかって言ってたな。
……歯ァ貰っとくか、スパルトイのサモンに使えるし」

以前、親切な天使族に加護をつけてもらった短剣で、カンカン、カラカラ、と。
何やら怨念籠ってそうな…その為に誰もが触りたがらなかったらしい黒々したオーラの出てる龍の歯を採取、収納。
…後できちんと浄化しよう。

そして牙のなくなった龍の頭蓋骨を持ち上げて、火葬している所まで持っていく。
骨とはいえそれなりに重量があるのだが、怪力の紅月には関係なし。
…なんか、火葬やってる兵士たちに攻撃された。
また動き出したのかと勘違いしたらしい。

紅月 > 「んぅ?瓦礫?
…あーらまぁ、確かにこりゃあ動かしにくいやな」

上空から攻撃でもされたのか、だいぶゴツい瓦礫が落ちていたりもする。
正直どかせる、のだが、流石にこれを動かしたら種族を疑われたとかに良くない。
…ので。

「そぉおおらぁぁあああ!!」

大太刀で割って運びやすく。
これで瓦礫の下敷きになった犠牲者も火葬できる。

紅月 > 「片付けが終わらねば補修が出来ない。
補修が出来なきゃ、強化も出来ない。
…早くどうにかしてやらんと、いつか砦が崩れかねんよぅ」

思わず苦笑する。
何となく瞳に生気のない兵士たちと黙々と作業してはいる、が。
正直気が滅入る…すごく。

砦の壁を見上げる…せめてこれが強化されれば、少しでも明るくなってくれるだろうか。
戦そのものに過干渉するのは悩むが、陣取り合戦の陣を強化するだけならアリだろうか。
…セーフな気がする、何となく。

紅月 > さて、やると決まればどうするか。
しげしげとじっくり壁を眺める。

聖魔法の罠を仕込む…のは、補修が終った後じゃなきゃだし。
…補修、補修かぁ。
仮に穴とか塞がって見えるだけでも違うかしら。
とすれば、後で外せる素材で仮塞ぎするのが無難よな?

「…ん、よし。
やるだけやってみて、怒られたら怒られただ」

うむ、と頷いて…伸びをひとつ。
もう一度砦の壁を眺めると、目を閉じて深く呼吸をする。

【精霊よ、精霊よ…我が声を聞け。
母なる大地よ、大地に根付く者達よ…我が祈りに応えたまえ。
この地に宿りし護り手よ…もし我が謌が、届いたならば。
姿を現し、願い、聞き届けたまえ。】

古い古い言葉で、砦や砦の周辺に住む『姿無き者』に語りかける。
…ふわり、ふわり、様々な色形の光が集まってきた。
見えない人々にはエプロン姿の女が訳のわからない、何となく耳に心地よい歌を歌っている姿に見えるだろうか。

紅月 > 【ごめんね、急に呼び出したりして…力を貸して欲しいんだ】
【この壁ね、見て?
ずーっと人間を守るために頑張ってきたから、ボロボロなの】
【元通りじゃなくてもいいから、穴を塞いで頑丈にしたいの】
【どうしたら良くなるかな?誰か、面白い方法を知らない?】

小さな光が踊る。
空中で、頭上で、足下で…あぁだこーだと話し合いながら。
『面白い方法』なんて言ったからお祭り騒ぎ、妖精の類いは楽しい事が大好きなのだ。

短気な火の精がマイペースな土の精をせっつき始めた…水の精が宥めにかかろうとして、転んで土の精にぶっかかる。
ああぁ、溶けて粘土になっちゃってるし…風の精に至っては終始ケラケラ笑ってる。
……、…あー、成程。

「…原始的だけどコレでいっかぁ」

土の精に良質な粘土を、水の精に土を泥にしてもらい壁にビチャビチャ染み込ませ、風の精に乾かして貰えば、火の精に焼いて固めてもらう。
他の精や霊魂達には傷や何かの箇所を探し調べてもらう。
土器なんかを作る手順をざっくりとやっているだけだが、言ってしまえばレンガだって焼き物だ。
ざっくり補修でも、無いよりずっと良かろう。

比較的無事な壁の補強はこれで、何とか。
問題は崩れた壁、である。

紅月 > 植物の精が靴を叩く。
…この辺りは燃やされたり、塩水撒かれたり、腐った液体ぶっかけられたりと相当に思うところはあるだろうに。
本当に、よくぞ来てくれたものだ。
その場にしゃがんで、ちょんちょん、と指先で撫でたりして構ってやる。

植物の精は嬉しげに草や花弁を揺らしていたが、そうではないのだとばかりに何やら植物を差し出してきた。

「……ん、と…?」
【蔦草?これをどうすればいいの?】

彼らが言うには、とりあえず蔦を編むように伸ばしてグリーンカーテンを作ったらどうか、という物だった。
確かにそれなら、自然な感じに穴を隠す事ができる…し、蔦って意外と頑丈だから補強にもなるかも。
何なら、室内から植物越しに突いたり刺したりできるし。
見栄えが変わるだけでも気の持ちようは変わるし、間に合わせには良さそうだ。

早速、砦に蔦を這わせていく。
そんな植物や植物の精達に、肥料替わりと己の魔力を注いでやる。

「…あっ、なんか思ったよりワサワサしちゃった」

でもまぁ、何となく塞ぐ事はできた。
よきかなよきかな。

紅月 > 「……、…なぁんか、人間より砦の方が元気な感じになっちゃったかも。
すっかり妖精の遊び場になっちゃってまぁ」

妖精が飽きるまでではあるが、少しの間は妖精達が砦を守ってくれそうだ。
オモチャを奪われたり壊されたくない子供的な心理で。

「…私がやったのバレたら、面倒になるよなぁ?
……、…よし、さっさと離れるかねぇ」

伸びをひとつ。
紅月は何食わぬ顔で、また別の作業に混ざるのだった。

ご案内:「タナール砦」から紅月さんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にアーヴァインさんが現れました。
アーヴァイン > 魔族の手から取り戻された砦は、普段の様相とは大分異なる。
高い音色の声が幾つも響き、砦の防壁の上には魔法銃を携えた少女達が見張りに立っていた。
近くの林や背の高い草むらにも潜むようにして待機する少女達が多くいるのも、自身の特性を鑑みた戦略といったところである。
高高度からは夜闇の白雲に隠れるようにして、巨大なエナガが数羽ほど飛び交い、空かも監視の目を光らせていく。
他の鳥達の姿は周囲には見えないが、直ぐ様駆けつけられる距離で、到るところに身を伏せている。
これほど自分がいると示すような守りを敷いたのには二重の意味があり、その一つは砦内にある焦げ跡が指し示していた。
奪還の際、施設を壊さぬ程度に振らせた雷の魔法矢は、以前の二つ名のように流星が如く降り注いだ。
雷鳴と共に魔族を焼き焦がすそれは、メテオサジタリウス健在なりと貴族や王族に示すのに丁度いい。
それ自体も隠れ蓑だが。

「さて……他の奇特なのが来ないうちに、事を済ませるとしよう」

砦の中へ踏み込むと、普段は茶色い瞳がまばたきの一瞬で蒼眼へと変化していく。
一呼吸の後、しゃがみ込みながら地面へと掌を当てると、世界の構造を示す符号が激しく周囲を駆け巡る。
古い人々の事が左から右へ幾重にも流れ、膨大な情報が脳内へと押し寄せる中、必要なものだけを拾おうと集中していく。
この地に起きた出来事、古い文献を漁るように一つ一つ奥へ奥へと向かっていった。
その文字の羅列も、自身にしか見えないもので、周囲の少女達には何も影響はない。
雷の矢を振らせたのも、近づけば激しい先制を受ける可能性を示す威嚇でもある。
それでも攻め込まれる事もあるかも知れないが、有無の差は大きいだろう。

アーヴァイン > もう一つの意味、それはここに度々現れた死者の師団長に対してだ。
ここにいけ好かない、澄まし顔の憎たらしいアーヴァインがいると、わざわざ示すだけでいい。
もし彼が想定通りに、オーギュストであるなら……彼は絶対に現れない。
あの土地を得るときに言葉を交わして以降、目的地は近けれども、彼と自分の考えは完全に違えた。
それだけでも敵とはなるが、それ以上に彼の気を逆撫でているだろうなと思うのは、自身の全てである。
日和者の上に、常に仏頂面。
とある貴族との争いの中で潰しそこねた面倒臭さもある。
事ある毎に、色々癪に障るのだろうと思いつつも……あまり変えるつもりもなく、ここまで来てしまった。
そんなムカつく輩に、わざわざ先制攻撃のチャンスをやるぐらいなら、自分が去った後に進撃するほうがマシだろう。
等と、彼の内心を想定しながらも、それ自体も利用して遠ざける要素にしようとしていた。
恐らくそういうところが、余計腹ただしいのかも知れない。

「……見えてきた」

奥へ奥へと記憶を掘り進めながら、必要な情報を漁り続ける。
狐との戦いで見せる動き、そして彼女が発す言葉から考えても、現れた不死の将軍は彼であろう。
更に過去へと読み進めていくのも、中断すれば最初からやり直しである。
そういった点では、奇特な魔王等が現れる前に事を済ませたい。
集中力が少しずつ削られていき、額から溢れる汗がしたしたと頬を伝って土を濡らす。

ご案内:「タナール砦」にタマモさんが現れました。
タマモ > 式の一人から、こんな連絡が入った。
タナール砦にて、主との過去が見られてますよ?と。
この式は滅多に動かない、動く時は、己達の事で何か触れるかもしれない可能性がある時だけだ。
そんな連絡をしたのも、己に少々知られたくない事が含まれているかもしれないからだ。
だから、仕方なく来た。

少女にとって、見張りは意味をなさない。
なぜなら、その場に直接現れるからだ。
気が付けば、男の側に佇む少女の姿があるだろう。

が、その情報を漁る邪魔はしない。
あくまでも式が提示したのは可能性の話、確実にそうとは限らない。
関係ない事を調べているなら、まぁ、捨て置いて良い。
もし、関係ある事を調べていたのならば………

アーヴァイン > その場に唐突に現れた彼女を見るや、周囲の少女達が一斉に魔法銃を構えようとしつつ、彼の名を呼ぶ。
しかし、彼女の姿をハッキリと理解した瞬間、構えながらも直ぐ様砦からの撤退を始めていく。
周囲に待機していた足の早い鳥達も直ぐに此方へと飛翔し、各々少女達を拾って集落へ撤退しようと動き回る。
そんな中、先日の将軍と彼女の戦いを見終えたところで、符号による読み取りを解除すれば、碧の瞳が普段の茶色へと戻っていき、仏頂面が彼女を見やる。

「……リーゼが言っていた通りなら、こんな迂闊な行動も納得できる…というところか」

此方の少女を数名、取り込むという形で殺害した上で、戦いの結果義妹を瀕死に追いやった過去を思い起こす。
立ち上がりつつ呟いたのも、それだけの敵対行動を行っていたというのに、敵陣の真っ只中へ現れたことへの考察。
何をしに現れたのか、今はこちらも、様子を見るだけである。

タマモ > 周囲の反応に、少女はものともしない。
その手にしている魔法銃には、見覚えがある。
2度程…見知った少女と、ここの牢獄で出会った少女のもの。
だから、それがどんなものかも、それが、自分に大した効果を持たない事も。
まぁ、そもそも、少女達には興味はないのもあるのだが。
視線を男に向けたまま、撤収する少女達には意識も向けず、である。

「………うん?…お主、初対面じゃろうに、妾を知っておるのか?」

いや、まず来た目的は男が何を調べていた事だろうに。
しかし、その言葉が気になったのだから仕方ない。
かくん?と首を傾げたまま、男を見遣る。
今の少女には、その時の記憶はないのだ。

アーヴァイン > 「義妹から話を聞いている、念の為と、姿も詳細に教えてもらったからな。名前はタマモだろう?」

こちらの少女の方へと刃を向ける様子もなければ、此方にのみ視線を向けてくる。
その合間に少女達はあっという間にこの場を立ち去っていき、砦には二人だけが取り残された。
問いかける言葉に小さく頷きながらも、義妹の言葉が確かになっていくのを感じる。

「俺はアーヴァイン、リーゼロッテの義兄だ。その様子だと……リーゼの言う通り、普段とは違う何かだったらしいな。彼女達を逃した理由も、分からないだろう?」

軽く辺りを一瞥し、他に残っている少女達が居ないか軽く確かめると、表情は変わらぬままに彼女へ視線を戻した。
義兄として義妹の友人を歓迎する…というよりは、探るような、警戒した様子で問いかけていく。

タマモ > 「………義妹?…むむむ…お主だけ、妾を知っておるとは、何か癪じゃのぅ」

唸りながら、腕を組み、向ける瞳をじと目に。
が、続く言葉に、視線が斜め上方向に逸らされ…ぽむ、手を打った。

「あーぶ…あーば………あー…あーちゃんで良いか?
それはさておき、そうか、りーちゃんの義兄じゃったか…ならば知っていてもおかしくはないのぅ。
………確かに、可愛らしい女子達ではあったが…さすがに、妾とて場は弁えるぞ?ん?」

どうやら、男も義妹と同様に呼び難い名前だったらしい、いつもの調子で勝手に呼び名を付けた。
と、次の問いに関しては、的外れな答えを返す。
普段の違う云々は、良く分からないのか流したっぽい。
異能やらの読心術で読み取れはしないも、出来たとしても、こう理解出来るだろう。
今言っている言葉は裏も何も無く、思った事をそのまま言っている、と。

アーヴァイン > ジト目で癪だと言われれば、特に何も言うことなく苦笑いを薄っすらと浮かべて誤魔化していた。
何故、わざわざ名前だけでなく姿も伝えていたのか。
それを口にするにはまだ早いと思ったからだ。

「……あぁ、とりあえずそれでいい」

東洋の服装というのもあってか、西洋の発音に慣れないようだ。
とはいえ、随分と砕けきったあだ名をつけられると、流石に面食らったらしく、ぽかんとしていたが、先程のように苦笑いを浮かべて頷いていく。
意味深な言い方は、その手の癖もまた、前回の出来事に関わっているのだろうと思わされるもの。
そうかと小さく呟くと、特に力を使うことはなく、素直な言葉を信じることにした。

「……2ヶ月程前ぐらいか、リーゼは君と戦って心臓が破裂し掛かる瀕死の状態になった。それだけじゃない、こちらのミレー族の娘が数名、君に吸収されるような状態で殺害されている」

伏せてきた事実を彼女へ告げていく。
淡々と告げながらも、これまでの反応から、彼女が望んで行ったことではない事は察し付いた。
諜報の仕事をしていたのもあり、多少なり嘘は読み取れるが、逆に嘘をついているような音の変化が全く感じられない。
ゆっくりと静かに応えた後、様子を見やりながらも言葉は続く。

「だが君も、普段とは違う様子だったと聞いている。二重人格といったところか、君ではない人格、意志がその事態を起こしている。彼女達を見て、それが表に出ると困るので、下がらせている」

妹も、普段と違うと告げていたのもあったので、確信に変わったというところだ。

タマモ > 「ふむ…しかし、あーちゃんや、もう少しこう…その顔をどうにかした方が良いぞ?
まるで、妾の式の一人と面合わせをしておるようで…こう…あれなのじゃ。
せっかくの男前が………あー…しかし、それはそれで、惹かれるものもあるのじゃろうか…?」

はふん、と溜息を混ぜながら、そんな言葉を掛ける。
段々と、本来話そうとしていた話題からずれてるが、気にしてはいけない。

と、男からの次の言葉に、少女は訝しげな表情を浮かべた。
当たり前だ、それはどれも、少女がやれるような事では無いのだから。

「そんな訳がなかろう?りーちゃんを襲う理由もなければ、可愛い女子を吸収…?する理由もないじゃろうに。
そんな事をして、妾に何も得も無いしのぅ?
それよりも…りーちゃんが瀕死じゃと?今はどうなのじゃ…大丈夫なのか?」

ずぃっと男へと近付けば、びしり、指差してそう言葉を返す。その手はすぐに下げられ、次には心配そうな表情を向ける訳だが。

そして、最後の言葉を聞き、考えるような仕草をした。
覚えがない、それは間違いない。
自分が二重人格との話も、知人や式達から言われた事もない。
…が、はた、と何かに気付いた。
そう言えば、一人だけ居た…己の力の一つが暴走したかもしれない、そんな話をした不死者の少女。
あの時は、何だかんだで話はあやふやで終わったが…

「………いや、しかし…そんなはずは…あれは、そんな力では…ないはずじゃ…」

先代の目覚め、それに考えが到る。
だが、あれは意識を失い、危険がなければ発動しないはずだ。
そんな事、この世界に来て一度たりともない。

段々と考えが、少女にとって悪い方向へと向いて行く。
もし、もしそれが真実なら、本当に己はそんな事をした事になる。
それなら、なぜすべてを知るだろう式の一人はそれを教えなかったのか。
その言葉にまともな回答を返せないまま、少女は深く考え込んでしまっていた。

アーヴァイン > 「普段はもっと、厳かな顔を演じてる。必要がないときぐらいは好きにさせてくれ」

表情についてとかく他人から直接言われる事は珍しく、ストレートな物言いに困ったように笑いながら呟く。
此方が受けた被害を伝えていくも、やはり覚えがないと言った様子だ。
符号を通じて義妹の記憶を垣間見たときと比べれば、今の少女のほうが幼さを感じる。
近づく顔をじっと見つめながらも、指差す仕草も、更に子供っぽさを感じるもので。
徐々にそれが不安と崩れていくなら、口角を上げながら柔らかに笑む。

「今は大丈夫だ、それとは別件で少々疲れ切っていてな、今は九頭竜山脈の森の中で休んでいる」

そして、重ねて行った情報に考え込む様子が見えると、やはり心当たりはないというところか。
しかし、何か思い当たる様子があるのをみると、思考が沈むのを遮るように、言葉を連ねる。

「普段の君がいるなら、リーゼも傷を負わされたことを怒ってはいない。ただ、君とは違う意志が手をかけたのは、リーゼの大切な弟子達でもある」

だからこそ、深く感情を揺さぶられ、悲しみと共に弄ぶように摘み取られた事に、深い怒りを感じていた。
その様子を脳裏に思い出しながらも、視線を合わせるようにかがむと、彼女の方に掌を重ねようとする。

「だが、リーゼが言った通り、君自身が望んだ結果ではないのだろう。だから、あまり自分を責めないでくれ、リーゼもそれを心配していた」

彼女と一緒に遊んだ時間は少し遠く、短くもある。
けれど、近い距離で慣れ親しんだ相手であることは間違いないだろう。
そんな事を軽く伝えてきた妹の言葉を代わりに伝えれば、じっとその様子を見つめる。