2018/07/08 のログ
タマモ > 「………しかし、あちらにとっては何とも…困ったものじゃ」

くるりと手にした唐傘を回転させれば、ぽんっ、と消す。
視線を魔族の国から、砦へと向ければ、反対の手にする扇子を扇いで涼を取る。
たった数回の斬り交わしで、少し汗ばんでしまった。

「いずれ、分かる事ではあるんじゃろうが…伝えるべきか、伝えぬべきか。
………一度、今の将軍様の様子を見て、決めるとしよう」

とは言え、あの部屋に、もう酒類は無いだろうな…そんな考えを、思考の端に。
少女はくるりと砦へと振り返れば、撤退を終え、誰も居なくなった砦の中へと姿を消していった。

ご案内:「タナール砦」からタマモさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にアザリーさんが現れました。
アザリー > ―――アンデッドによる制圧が終わる間際、だ。
砦に篭る兵士が逃げに転じ、アンデッドが今正に結界線に触れようかという間際。
さながら結界にでも触れたかのように全てのアンデッドは元の骨に戻される事態になっていた。

「あの狐娘には感謝をしておかなくてはいけませんか。――見られていれば面倒にはなりましたから。」

何故、彼女の二つ名に千眼とあるのか。
千里眼のように遠くを見通すのではない。千の眼で様々な箇所を同時観察するかのように非常な広範囲で状況把握が出来るからだ。
将の姿が去り、砦の兵達が本体たる自分が見えない位置に逃げ込んだ事を把握した後に。

すべての魔力結合を同時に解除してみせる。
召喚術は魔力の結合部分さえ解いてしまえば大抵のものは解除が楽だ。
操り人形の糸が魔力だとしよう。ではその糸を断ち切ってしまえば?
答えが今眼前に広がる光景である。

…その、ついうっかりと。自らの衣服まで分解してしまった為になんとも情けない姿になっているのだが。

アザリー > 積みあがる骨や竜骨。
勇壮なる死に方をした死体に弔いの一つを向けることも出来ないが、何れは砦に王国の兵士が戻る事もあるだろう。
その際に弔ってもらうしかない。――一応、どれほど歳を重ねようが女性は女性である。
本質的に素肌を外気に晒す事には些かの抵抗があるのもまた事実。

「さて―――お馬鹿な教え子の様子も見に行かねばなりませんか。何をしているのかと。」

目に宿る7つの輪。
蒼は静の意
緑は泰の意
他に金や銀、緋、紅。白、黒等感情や扱う能力によって様々な組み合わせとなる事が多い。
瞳を開いているのは疲れる――思考力を相当回すことにも繋がるからだ。
普段瞳を閉じているのは、得られる情報を少しでも削り負担を削る意味合いもある。
眼が閉じられ――静寂を取り戻す砦内で一人魔力の再結合を行なう。

重力に逆らうように上向きだった乳房の周囲に絹の白下着が。
無駄な脂肪を嫌う下腹部に、レースの細工を淵にだけ施した白いショーツが。
左右の肘から手首まではサテン生地の濃紺の手袋が。
併せるように自らの素体を魔族から人間形態に組み替えていく。

「ふ~~~。もう少し人間さん達が下がってから行動を起こすほうが良さそうですね~?」

砦内には生きた人間の反応は――少数だがある。彼らの救助を行なわないのは。
決して彼女が人間の味方ではないと言う事を示す為ではあった。
領地も、国も。城も持たぬ魔族は面倒ごとを背負い込むことは、決してリターン無しでは行うことが無い。

アザリー > 人間形態に身体を組みなおす事によるデメリットは相応にあるが、今必要であれば多少のデメリットにも目を瞑ろう。
身体を薄く覆っていくのはライトグリーンのミニキュロットスカート。
生地は木綿を用いた通気性の良い物として組み上げ、暑さの中得策ではないが黒いハイニーソに。

焦げ茶色の夏用ジャケットの内側に白と水色のラインストライプが入るタンクトップ。
――大分目立つといえば目立つ、アンバランスな服装である。
思考力が乱れてしまえばこのように服装一つとっても違和感は出てきてしまう。

「……ええっと。これは~手助けではないのですよ~?ちょっとだけ~なんとなく余っちゃった食材を使い切るとか~そんな感覚です~。」

生きている存在の鼓動はあまりに弱弱しい。
その弱弱しさが完全に停止してしまい。未来への芽が消えてしまう事に未練が無いといえば嘘にもなる。
僅かだが、土地に浸み込んでいる聖水から穢れや余剰物を取り除き。
さながら、宇宙空間で浮かび上がる水のように、それなりの質力の水の球体を幾つか作り上げていく。

「えぇっと~3番から5番の思考回路までで~。これを生存者さんに分配してくださいね~。運がよければ~。彼らも生き残れるでしょうし~。」

ある理由で1番と2番の思考回路は常に分離されている。
その1番と2番の思考回路を通じて『大馬鹿者』の様子は見る事が出来ている。さて、自分が王国軍として一時とはいえまた働くのは真っ平御免だ。
未来を感じさせぬ組織に向ける余力など存在しないのだから。

アザリー > 「では~いきましょうか~。」

そんな。のんびりとした声と共に幾度目か。一人の魔族がこの日、再度王国側に足を踏み入れる事になる。
目的は幾つかあるが、手早く済ませてしまおう。
そういえば6師団長から貰っている入城許可証もある。王城にも用がある以上は使えるものは何でも使おう。
念のため。

――そう、念のためだ。あの吸血姫が心配を自分に向けてくれていた事を思い出し、思考の分割能力を一部封印。
魔族の領土側にそれらを残し、先日王国側に足を踏み入れたときよりは弱体化した形で夜の闇に紛れ…いや目立つ色合いだが、目立たないように王国側に入り込んでいく。
自分の体に巻きついてくるのは――忌々しいとされる結界の物だろう。
自らの能力も大分出力が落ちる。

何故方向音痴なのかは、この辺りにも理由があるのだ。
きっと。
魔族の国でも迷子になるが。

ご案内:「タナール砦」からアザリーさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にミケ・ファムトさんが現れました。
ミケ・ファムト > 補給のために砦に訪れた時に、戦闘に巻き込まれた少年。

先輩たちに倉庫に押し込まれて響く戦闘音。
暫く静かにしろという言葉を聞き、頷く事しか許されず、かなりの時間が経過した。

骨で構成された魔物達が闊歩していたのに気づけば静かになった場内。
恐怖もあるが…。
ここを抜かれたら王都までゾス村を守るものがなくなってしまう。

出て自分も戦おうとしたが扉が開かない。
どんどんと木の分厚いドアを叩いていたが、なかなか出ることができずさらに時間を使ってしまう。

ドアノブを槍の石突で壊して表に出ると、自分以外誰もいない、静寂で満たされた砦の中。

盾を構えながら音や気配に注意をしながら歩きはじめる。

「大丈夫…かな… 静かだけど…」

そんな言葉を口に出し、勇気を振り絞りながらじりじりと進み続ける。
床には大量の骨…。
元スケルトンだった其れ…復活しないかビクビクしながら槍の先端でつついてみる。

ミケ・ファムト > うごかない大量のスケルトン。
槍の先でツンとついてみても動かない様子。
内心ほっとして、再び通路の前後を見まわし、窓の方へと近づいていく。

直に顔は出さずに、息を整えてから窓の外を顔を少しだけ出して覗きこむ。

うごくものはいない。月明かりによって照らし出される一面の白。
雪がふったっけ等と、混乱した思考の中、目を凝らす田舎育ちの少年。

「ひぇっ…」

ついそんな小さな悲鳴が喉の奥から漏れてしまう。
それは大量の骨で埋め尽くされている事に気づいてしまった。
だが、動く者がいなければ少年はとりあえず一つ安心する。

「ふぅ… どうして誰もいないんだろう…」

そんな疑問を頭がよぎり、だれか残っていないかと探す事を決意して再び歩き始める。

ミケ・ファムト > 静寂に満ちた場内。
おっかなびっくり進めば、あるのはやはり骨。
そして俯せに倒れている兵士。

ゆっくり近づいていくも…、胸は動いていない…。

それでも一縷の希望を胸に近づけば、石畳の床の上に広がる赤い湖。
べちゃりと、何とも言えない音を響かせながらその水たまりの中を進み、肩に手を掛け体をひっくり返すと、胸の鎧を貫いた刃の跡。
やはりすでに生命は無く魂は旅立っている様子にため息を漏らす。
冥福を祈ってから血だまりの中から相手を引きずり俯せに。
涙で潤みながら服の袖で目元を拭い再び歩きはじめる。
そんな時に廊下の奥ふよふよと近づいてくる水玉にびっくりしながら盾を構えて観察。
魔法の攻撃でもないように見やれば、頭上にとどまるそれ…。

よくわからないが実害が無い様でどうしていいかわからず、それでも、槍で突いて爆発するなんて言うのはぞっとしない。

今はそれをさておき再び歩きはじめる。
流石に誰かいますかと、声を出す事も出来ない。

ミケ・ファムト > そして、少年はそのまま怪我している者を探しそのまま夜の砦の中を進んでいく。
ご案内:「タナール砦」からミケ・ファムトさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にカタナさんが現れました。
カタナ > 「……やれやれ、報酬以上に扱き使われた気がするのぉ」

タナール砦。先日、魔族側の襲撃により陥落したという話。
何やら王国の方は何処ぞの軍の再編成やら何やらで人手が間に合っていないらしく。
自分のような、片手間に傭兵をしている者にも報奨金と引き換えに砦の奪還と一時防衛を任される始末だ。
いわゆる、何処の軍にも属しないが監督はされる傭兵部隊の一員として参じた此度の戦場。

結果的に、あくまで一時的にではあるが魔族の軍を退かせた――そう、一時的に、だ。

「……一時の奪還で人員や物資の損耗は中々のようじゃが…こちら側がジリ貧、という感じではあるなぁ」

生き残った傭兵達や砦の奪還に狩り出された兵士。それを手当てする衛生兵や術氏達。
砦の高い一角にて、刀を抱え込むようにして座りながら閉じた瞳で一瞥する。

「奪い奪われの無限地獄……果てが無いのぉ」

苦笑気味に呟きながら、こっそり持ち込んでいた故郷の酒。お猪口等は生憎持参しておらず、酒瓶からそのま飲む。

カタナ > ――さて、酒を飲みながら魔族が退いた方角を眺める。今の所は動きは無さそうだが…。
不意の奇襲も十分に有り得るし、何より今のこちら側は一時奪還した代償でガタガタだ。
それこそ、本来は万全の王国軍に任せるべきなのだろうが…その前にもう一度あちらに奪還されそうだ。

「…出会った事は無いが…話に聞く魔王と呼ばれる者達が出てきたらそれで詰みの気もするがのぉ」

その場合、報酬はドブに捨ててさっさと撤退を選ぶかもしれないが。
ただの剣鬼に魔王級なぞ相手に出来る筈もなく。せいぜい足止め出来るかどうか…。

「…おっと、いかん自惚れておるな儂は。足止めすら出来ないというのが正解か」

瞬殺される可能性がむしろダントツに高いだろう。それに、魔軍の連中も決して侮れない。