2018/07/03 のログ
ご案内:「タナール砦」にゲイゼリクさんが現れました。
■ゲイゼリク > 「……参ったねどうも…”予想はしてたけど”こりゃ困った…。」
謎の仮面の魔将率いる軍団の襲撃。まるで人間が知略を駆使するかのような布陣と構成。
砦の一角にて、一人葉巻を燻らせて魔族の国の方を眺めながら苦笑を浮かべる。
「…こりゃーー第九の名無しクンが”口封じ”と”情報規制”に忙しくなりそーだねぇ」
そして、昨夜の密談で聞いた、彼の第七師団長の遺体を持ち帰る…と、いう話は無理になりそうだ。
その遺体が…おそらく、例の吸血鬼さんの手によるものだろうが、アンデッド化させられたと仮定して。
「……やれやれ、遺体を回収されたから嫌な予感はしてたんだよなぁ。…で、大抵そういう予感は当たる訳だ。
さぁて、議会はあの体たらくだし…どーしたもんかねぇホント。フォーコの姐さんが戻ってきたのが多少は救いかなぁ」
紫煙を燻らせて溜息。本当に第六師団も矢面に立たないといけなくなりそうで憂鬱だ。
勿論、仮面の魔将の正体に気付いたとはいえそれを吹聴はしない、そんな事をしたら今度は自分がいい的になる。
後ろから寝首を掻かれるのは御免蒙りたい…とはいえ。これはますます第七師団の生き残りを復帰させないとマズい流れだろうか。
(…勘の良い連中はみんな気付いてるだろうなぁ。俺だけじゃないでしょ…まず第九は確実に把握してるだろうし)
■ゲイゼリク > 先ほどまでは魔族の軍勢が砦を占拠していたのだが、今はその姿は無い…とはいえ、直ぐにまた取り返しに来るだろう。
だが、周囲に青年以外の人も、兵士の姿も見えない。現状撤退しているからだが、なら何故魔族の軍勢も退却しているのか。
「……うーん、人目が無いほうがやっぱり戦い易いといいますか」
あちこちに残る派手な破壊痕を眺めて苦笑。何の事は無い。ちょっと一服したいから”退いて貰った”だけだ。
まるで一人で虐殺したかのようではあるが、実際は一人も殺していない。
ちょっと痛めつけて丁重に送り返した、もとい撤退して貰っただけである。
そもそも、第六の師団長の戦いぶりを知る者は意外と少ない。七本の剣を自在に操る…というのが一人歩きしている。
(まぁ、俺としては好都合なんだけど…うーん、今後こっちの手札を何時まで伏せられるかなんだよねぇ)
敵も味方も関係ない。人も魔も関係ない。どちらにも伏せたままで何処までやれるかだ。
ご案内:「タナール砦」にゲイゼリクさんが現れました。
■ゲイゼリク > 「…そういや、バルベリトの旦那が正式に第八の師団長になったっぽいけど…そうなると…。」
第五師団長のフォーコも加えて第五、第六、第八の三軍で退魔戦線の再構築…は、無理でもそれに近い形を作らせるつもりなのだろう。
「……と、いうか俺の師団は人が少ないってのに、矢面立たせんなよなぁ…。」
本気を出せ、と釘を刺したのはつまりそういう事か。やっぱあの名無しは苦手だなぁ、と溜息。
(あわよくば、そこに第七の対魔族用の戦術のノウハウを俺たちにも共有させて…ってところが妥当か。
…と、なると益々副官のサロメちゃんは無事に釈放して貰いたいんだが…変な嫌疑も掛けられてるみたいだしなぁ)
そんな事を言ったら、魔王級の魔族の美女と知り合って魔王化能力を得たり第七と吸血鬼の戦争を見ていた自分はどうなるのかと。
■ゲイゼリク > 「…これから忙しくなりそうだねぇ…まったく」
のらりくらりと昼行灯のスタイルは崩したくないのだが。そのまま葉巻を吸い終えれば、吸殻は律儀に腰に下げていた吸殻入れの袋にポイッと。
「さーーて、引き返しますかねぇ」
見れば、一度引いた魔族の前線がこちらに寄ってきている。さっさとトンズラ致しましょう。
背中に背負っていた藍色の刀剣を空中に放り投げれば、それがピタリと静止。
そこにヒョイッと飛び乗れば…まるで生き物のように刀剣が滑るように空中を移動。そして…次の瞬間、物凄い速度で王国へと男を乗せてすっ飛んでいくのであった。
ちなみに、魔族の前線で『空飛ぶ剣に乗った変な人間』が居ると微妙に話題になったとか何とか。
ご案内:「タナール砦」からゲイゼリクさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」に紅月さんが現れました。
■紅月 > ーーーぱたぱた、ぱた、クー!
人っ子ひとり居ない伽藍堂な砦の、一等高い場所…
紅の髪を風に遊ばせ、すやすやとお昼寝をする女の姿があった。
傍らには、まだまだ赤子な成猫サイズの飛龍…不思議な色合いの緑系の鱗をお日様にキラキラと透かし、砦の縁を背凭れに眠る女の近くをトテトテと。
…周囲に興味はあれど、女から離れる気はないらしい。
そこだけ見れば、実に平和。
…しかし、砦の魔族領側には何者かの暴れた形跡がそこここにハッキリと残っていた。
昨夜、というか今朝というか…何者かが何者かと一緒に、魔族の前線を背後から急襲し大立ち回りを演じたようで。
そこを知り合いである治癒術師が丸投げされた…という事にしておこう。
すっからかんの砦の、折角だから普段入れない場所等も存分に散策して…定位置というか、よく休憩している場所でゴロゴロしていたのだが。
…今は幸せそうに眠ってしまっている。
ご案内:「タナール砦」にゲイゼリクさんが現れました。
■ゲイゼリク > 「……ありゃ?」
書類仕事の山に嫌気が差し、率先して片付けなければならない書類だけを片付けてから王城から逃亡。
…で、七剣の一つ、藍色の刀身を持つ太刀状の刀剣に乗ってタナールへとやって来る。
ここ最近は連日来ている気がするが、フットワークが軽いからこそ出来る。
王都からここまでの往復も、男なら刀剣の飛行能力で片道数十分程度で済ませられる。
そして、砦の上空までやって来たのだが…何か、魔族側の前線が大分後退している。
あと、やたらと真新しい派手な破壊の形跡があちらこちらにある…どういう事なの…。
と、そちらから不意に視線を砦の一番高い一角へと移せば。何やら異国の衣装に身を包んだ美女が昼寝してた。
傍らには、まだまだ赤ん坊サイズな飛竜がトテトテと歩いている。
あちらはこちらに気がついたのか、ジーッと見上げてくる。何となくヘラリと笑顔で手を振ってみる。
「うーーーん、状況はサッパリだけど…。」
ともあれ、ふよふよと剣に乗ったまま美女の近くまで下降していく。
音や風圧は抑えているので、不本意に彼女を起こす事も無いように。
お昼寝の邪魔をしたらいけないよね、ウン。
■紅月 > 子龍が空を見上げると、なんか剣と男が浮いてる。
【変なの見付けた!】
【なんだあれ、なんだあれ!】
【変な奴降りてきた、遊んで遊んで!】
黄金の瞳をキラキラと輝かせ、興味津々に尻尾をペチペチしながら龍語で男に語りかける。
…龍語がわからぬ者にはキューだとかクーだとか、キュワワーだとかに聞こえているだろうか。
「……、…ん、ぅ…クローロ?
なにか、見付けた…?」
まだ半分以上眠っていそうなふにゃふにゃ声…伏し目がちにぼんやりと、やけに楽しげな子龍を見やる。
自身の周辺には、害意に反応する小さな結界が仕込んである故…多少何かあっちゃっても大丈夫と思えば、余計にのんびりである。
ふわゎゎ…あくびをひとつ。
■ゲイゼリク > 「おーー元気だねぇ、君。…あ、遊ぶのはいいけど手加減してくれな?俺、人間だから」
と、何故かナチュラルに飛竜の子供の言語を理解して普通に答えてる青年。
まぁ、こちらは普通に人の言葉で返しているだけだから、あちらがちゃんとこちらの言葉を理解してくれてるかは分からないが。
勿論、男が特殊というより男の肉体に流れる血筋が龍と縁が深い故の知覚能力の一種みたいなものだ。
ちなみに、結界を完全に素通りしている時点で害意なぞ全く無い。むしろ基本害意とか敵意は何ソレ?美味しいの?なタイプ。
欠伸をしながらもまだ半分意識が眠っているような美女に、「や、どーもどーも」
と、ヘラヘラした笑顔でナチュラルによっす!とばかりに右手をヒラヒラ振る青年。
―もっとも、宙に浮かんだ剣の上に両足を乗せてしゃがみ込みつつの挨拶、という些か変わった登場だけども。
■紅月 > 子龍は、男に龍語が通じた事に一瞬目をぱちくりさせて…更に尻尾をブンブン振り始める。
【やったぁ遊ぼ遊ぼ!】
【人間にはねー、優しくしなきゃダメなんだよ!…サンサイ?センサイ?なんだって!】
【紅月との『お約束』なんだよ!】
…まるで母御の言い付けを守る子供のように男に語る。
どうやら人語は理解出来ているようだ。
「…ふぇ?
え、あっ、どーも…?
…その軍服って事は王都の方、で、合ってますかしら?」
誰だろう、この近所の兄ちゃんみたいなノリのユルい人…敵意無さすぎて気付かなかった。
おめめをゴシゴシ、もう一度見詰めつつに所属を訊いてみる。
「私はコウゲツ…東の果ての地にては紅の月と書きまする。
この砦にてたまに、臨時の治癒術師をしておりまする。
そっちのエメラルド色の子はクローロ…人に害はないので斬らないで下さいましね?」
首から提げた治癒術師の証を相手に見せつつ、のほほんと微笑んで。
魔法の絨毯よろしく剣の上に乗った青年に、此方もナチュラルに挨拶。
仮にも魔道具職人、もはやそれくらいじゃあ驚かない。
ご案内:「タナール砦」にゲイゼリクさんが現れました。
■ゲイゼリク > 「あいよーー。とはいえ何して遊べばいーんだろなぁ。俺、竜の子供と遊んだ経験は流石に無いし」
と、言いつつ飛竜の子供の頭に手を伸ばしてうりうり~と、軽く撫でる。
敵意や害意どころか、初対面の竜(の子供)とすっかり打ち解けてる青年だった。
「ああ、ちょっとお仕事に疲れて気分転換と様子見も兼ねてタナール砦に”飛んで来た”んだよ。
…ふんふん、紅月さんねぇ。臨時の治癒…あー砦の連中が凄い治癒術師の人が居る、とか言ってたけど…。」
多分この人かなぁ、と思う。彼らが言ってたその人の特徴と何となくこの和装の美女さんは一致するし。
「あ、自己紹介遅れてごめんなー?俺はゲイゼリク・アルカンシエル。えーと、王国軍の第六師団の師団長やってるよー。どうもよろしくな?」
と、言いつつそのクローロという名前の飛竜の子供とうりうりーと戯れる青年。
斬るどころか完全に遊び相手になっている模様。治癒術師の証をチラリ、と一瞥しつつ。
「ともあれ、俺から今更だけどお礼を言わせて貰うさぁ。お陰で結構な人が助かったし。
いちおー、今回のアレコレの怪我人とか重傷人は、ちゃんと王都に運んで適切な治療も受けさせたけど…。
やっぱり、現場で活躍してくれる治癒術師さんが奮闘してくれたからこそ、だしねぇ」
男の動きに合わせて剣もススー、と動く。魔導具や魔剣…ぽいが、魔力の反応は”ゼロ”だ。
それはこの男の体も同様で、敵意や害意の無さも加えると…よく分からないにーちゃん的な感じだろうか。
ご案内:「タナール砦」にゲイゼリクさんが現れました。
■紅月 > うりうり~っと撫でる青年にキャッキャと大喜びの子龍…どうやら、それで充分正解らしい。
【にーちゃん好きー!】
と、すっかりご機嫌だ。
「おぉ、空のお散歩!いいなぁ…!
…んむ?……す、凄いかはわかりませぬが、ちょくちょくお手伝いは、うん」
薄く染めた頬をポリポリ掻きつつ、目を逸らして答える。
褒められ情報とか何だか照れ臭い…そりゃあまぁ、真剣に頑張らせて頂いてるからそれなりに、助けてはいるはず、だが。
「ん、6番のゲイゼリクさ…え、師団、長……?」
きょとん、と見詰める。
13番の人といい、この人といい…師団長ってユルい人が担当してるんだろうか。
5番の人も違ったジャンルではあれどユルい人ではあるし。
思わず軽く首を傾げる。
そもそも気配も何か、己同様に擬態っぽい気がする…やはり『変な奴』である。
「あ、あぁいや…私は冒険者として、治癒持ちとして、目の前の事と向き合ったまでですから。
…むしろ、何というか。
数が数だったので…内部の傷は治したものの、皮膚の仮止めまでしか出来ず。
メンタルケアの方も、やはり避難が先決と思えば軽くしか手が回りませんでした…今はメンタルケアこそ大事なのに」
あわあわ、と、顔の前で手を振って。
次いで…力不足を悔やむような、何とも言えない表情で話す。
「…あ、でも、そうだ。
たぶん8番の方からも遠回しに御礼頂いてるんですよ?面識は無いのですが。
お菓子、美味しかったなぁ…」
暗くなりすぎてもいけない…話題を少しずらして、笑ってみせる。
■ゲイゼリク > 「あはは、いやぁ書類仕事とか戦いばっかりだから、こういうのは気分転換に良いもんだねぇ」
クローロはご機嫌のようだ。その言葉も感情も青年は矢張り普通に感じ取っているようで。
撫でるだけでなく、尻尾とか背中とかお腹を擽ってみたりと…短時間で完全に馴染んでいた。
そもそも敵意や害意、悪意も無いから…変な男ではあるが警戒要素が殆ど無い、というのも大きい。
飛竜の子供とはいえ、警戒心が無い訳でもないし勘も働くだろう。
それを素通りしているという事は、つまり大体こんなノリが男は多いという事でもある。
「とはいえ、場所を間違えると撃ち落されそうになるけどねぇ。俺、魔術は一切使えないから隠蔽魔術とかで姿隠しも出来ないし。
…うーん、そのお手伝いで助かった連中が凄い多いんだよねぇ、これが」
目を逸らして頬を掻く美女。うん、可愛いから目の保養になりますな、という緩い笑顔。
「あ、今はプライベートだから呼び捨てで良いよーーむしろ、敬語とか苦手だからそっちの喋り易いノリで構わんし」
と、ケラケラと笑う青年。壁が無いというか何と言うか。自身のプライベートな領域が兎に角狭い。
彼女の考えまでは勿論分からないが、間違いなく今の師団長の中でも特にユルい一人ではあろうか。
気配は魔力が無く、怪しげな術の気配も無く、紛れも無い人間だが…僅かに違和感は分かる者には分かる。
擬態、という彼女の内心の感想も間違いではない。実際、肉体…ガワと中身は違うのだから。
「そうだよねぇ。体の傷は癒えても心まではそうは楽にはいかんし…。
実際、治療して健康を取り戻した連中は多いけど、精神にダメージを深刻に受けてる連中は立ち直りが難しいだろうねぇ」
王国では、正直メンタル面でのケアに適した人材が不足している気がする。
魔術や薬物、道具で精神安定を図る手もあるが、言葉と誠意でメンタルを癒せる人材は矢張り貴重だ。
「8番…あー、バルベリトの旦那か。そうなると俺もお礼をしないとだけど…うーーむ」
お礼…お礼……何かあるかな?と、考えるが直ぐには思いつかず。
「紅月さん、何か欲しいモノとか頼みとかってある?俺で出来る範囲なら融通するけど」
クローロと戯れつつ、そんな言葉を彼女へと投げかけてみたり。
■紅月 > 子龍は最早『にーちゃん友達!』くらいのノリで懐いている。
元々フレンドリーな子ではあるが…ここまで来ると、これはもう本当に警戒する必要は無さそうである。
とは言え一応、魔族と戦争中の国だから…ボロは出さぬように最低限気を付けようか。
「あらぁ、怖い…隠蔽出来ないのは不便そうだなぁ。
…今度、魔力充填型の隠蔽アイテム作ってみますね!」
何やらヤル気出した紅娘。
優秀な人材が怪我したりしたら宜しくない…今は、特に。
故、趣味半分での魔道具作成ではあるが何かしら贈りつけようと勝手に決意。
「…はい?あー…ふふっ、それじゃあお言葉に甘えちゃおっかな?
ん…ゲイゼリク、ゲイゼリクかぁ…リクさん、かな」
ほわわん、と、何とも嬉しげに敬語を崩す。
そもそも自分も次元レベルの迷子…充分すぎるくらい変な奴である。
とりあえず目の前のお兄さんは喋りやすいし、何となく和むからこれでいいや。
「うん、本当に…7の方の憔悴具合が本当に辛そうで。
正直、逆に、下手に回復したら変な事になりやしないかと思っちゃった…中途半端に元気な鬱が一番死にやすいからね、衝動的に動けるぶん」
今のところ、そういう話は聞かないが。
というか、何故か7の方を見掛けない…国にいるはずなのに。
お城で何かあったのかしら、それとも傷の経過が?
…正直心配は尽きないが、そこは自分の領分ではないから何もできないのが歯痒い。
「えっ、ああいやそんな!別にタカってる訳じゃあなくてですねっ!?
…って、欲しいモノ、頼み?……、…うーん?」
すっかり恐縮した表情で、あわあわと…でも一応、真剣に考えてはみる。
騎士団長にオネダリ、何か、何か…散々暴れてスッキリした後だからか、すぐには出てこない。
「…あ。じゃあ、お友だちになってみない?なぁんて!」
クスクス、と、冗談半分に言ってみる。
己はたまに城の中庭でのんびりするし、お喋り友がいたら楽しいだろうな…なぁんて算段を立てて。
■ゲイゼリク > 「うーーん、クローロは成長したらカッコイイ竜になりそうだなぁ」
と、遊びながら彼の成長後を想像してみる。今はあどけないが、成長したら凛々しく雄雄しくなりそうだ。
所々、そんな片鱗は見える気がするし…が、それはそれとして子竜と戯れるのはとても和む。
「おーー、そりゃ良いなぁ。じゃあ、良いの出来たら【第六師団長】宛てで送ってくれんかな?
多分、中身とかそっちの身分照会無しでもフツーに俺の方に届くから」
と、いうザルな警備…ではなく、第六の師団長はそういう扱いである。
別に馬鹿にされてたりハブられてはいないが、『あの師団長だからなぁ』、という感じ。
「リクさん…いいねぇ、何か新鮮な呼ばれ方な気がするさぁ。
じゃあ、俺も…んーと…紅月だから…紅(コウ)さん?」
あれ、でもイントネーションが「降参」と間違えそうで何か駄目な気がした。
でも、紅さん呼びが一番スンナリ来たから、発音間違えなければいいだろう、という事でそう呼ぶ事に。
彼女が次元の迷子なら、男…の、中身は次元の引き篭もりみたいなものだ。
――変人同士というのは惹かれ合う謎の性質でもあるのだろうか。まぁ、それはそれとして。
お互い堅苦しいのは苦手だろう、という男の考えだが間違っていなかった様子。
「流石に、その辺りはよく見てるし考えてるねぇ紅さん。実際そんな感じだもんよ。
…紅さんみたいな人材がウチとか他の師団…や、せめて王国にもうちょい居ればなぁ」
微力でも付け焼刃でも、精神を癒せる相手は矢張り欲しい所。
それが難しいのが現状であるのは、一つの師団を纏める者としてよく理解している。
流石に、第七の現状を喋ってしまう事は避けるが、察したのか一言だけ「だいじょーぶだよ」と、笑みを浮かべて頷いたとか。
「…ん?友達?そのくらいなら幾らでも。むしろもう友人じゃない?」
出会ったら即オトモダチ!という訳でもないが、この美女は話し易いし、マイペースさが自分と少し似ている。
つまり、変に肩肘張らないで話せそうだから色々と楽だなぁ、というのは現在進行形での感想。
「ま、でもそれが頼みなら了解って事で。…おっと、俺はそろそろ引き上げないと。お仕事片付けないといかんしねぇ。」
名残惜しそうにクローロから手を離す。次に時間がある時にでもまた遊んでやりたい。
それから、紅さんへと視線を戻しまして。あまりじっくり話せなかったのが残念だが…。
「そんな訳で俺はそろそろ帰るぜ紅さん。あー、それと俺の所でよけりゃ気軽に尋ねて来てくれよな。
紅さんが来たらフリーで王城とかウチの師団の執務室とか来れるようにしとくんで」
と、あっさりそう口にして。そして、笑顔と共に軽く一人と一匹に手を振りながらフワリ、と剣が上昇する。
「と、いう訳でまたなー紅さん。次は茶か酒でも飲みながら話そうぜ。クローロもまた遊ぼうな!」
と、去り際にそう笑顔で口にしつつ、もう一度手を振ってから…凄い速さで王国の方角へと剣に乗って飛翔して行くのであった。
ちなみに、音や衝撃波は一切無く、彼女たちに余計な被害が及ぶ事は無かったとか。
ご案内:「タナール砦」からゲイゼリクさんが去りました。
■紅月 > 【紅月紅月、カッコイイって!】
【イケメンになるよ!】
「…あんさんイケメンなんて言葉、何処で覚えてきたの」
…思わず苦笑する紅娘。
子供って急に変な単語覚えるから不思議だ。
「えっ、なにそれザルい…!
…第六師団長宛、ね?了解~。
ふふっ、コウと呼び捨ててくれてもいいのよ?」
城の内情など知らぬ紅月は、当然のようにザル警備と認識…たぶん腕がいいから大丈夫とか、変わり者だからとか、そんな感じだろうと何となく察しはするが。
というか、その雑さで大丈夫なら凄く強いんだろうな…なんて思ってもみたり。
…そこまで思い至るのは、やはり変人同士のシンパシーだろうか。
「ああぁ、やっぱりぃ…!
本当に…こんなに修羅場るなら、もっと真面目に癒師育てとくんだった!」
思わず頭を抱えるが、後悔先に立たず。
でもまぁ、彼が大丈夫と言うなら、大丈夫なんだろう…たぶん。
…今からでも少しずつ癒師育てよう、傷の治癒が出来る人材の絶対数が増えるだけでも色々マシになる、筈。
「わぁい、ユル友だ~!
…ん、あらぁ、書類とやらか。
クロちゃんおいで、リクさん帰るんだってー」
何だか遊び足りなそうな子龍を呼んで、己のお膝の上に。
頭や首を撫でてやりつつに。
「あらまぁ、随分とライトにとんでもない権限が…ふふっ、ありがたく貰っておくね?」
御礼としては、それだけでもう充分すぎる…だって、探検できるエリアが増えるのだから。
知的好奇心を満たすプレゼントなんて粋じゃあないか。
「ええ、是非にー!
あんまりお仕事サボっちゃダメよー!」
ヒラヒラと手を振りつつに、疾風の如く空を駆ける姿を見送る。
…変わってるけど、イイ奴だ。
愉快な出会いに幸せそうに、けれど…
「…ふはぅ、そういや昼寝中だった。
もう一眠りするかぁ」
のんびり寝直した鬼はやっぱり気の向くままに帰っていくのだった。
ご案内:「タナール砦」から紅月さんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にレイン・レジネスさんが現れました。
■レイン・レジネス > この女は政治に関して首を突っ込むつもりなど無い筈だった。
先祖からの財産を自分の代で食い尽し、緩やかに死ねれば良いと思っていた筈だった。
が――そういう怠惰な性質を今宵ばかりは打ち捨て、自らの足で砦を歩いている。
「布の端切れ……服か、旗じゃないな。旗は無いか、旗……」
奇妙な噂を聞いた。
タナール砦に攻め寄せるアンデッドの軍団の話だ。
知性無き存在を従えながらも行動は戦術的、砦を襲撃するが留まりはしない。
そして何より彼らが掲げる旗と、それに記された数値。
「〝第七軍〟……」
偶然の合致と片付けるにしては、あまりに興味深い話ではあるまいか。
女は、砦の中に残された戦の残骸を掻き集めながら、護衛も無くただ一人、砦の中を放浪している。
■レイン・レジネス > 大気にまで残る死の臭い。
血と臓物と排泄物の、壁に染みついて取れなくなった悪臭。
そんなものの中を女は、眉一つ動かさず歩いている。
「……人間側の惨敗か、困った困った」
目当てにしているものは見つからない。〝第七軍〟と呼ばれる存在達の遺留物だ。
せめて剣の一振り、せめて旗の一本。それだけでも――と、諦め悪く探し回る。
今、王国に住まう貴族達の話に耳を澄ませれば、第七師団撤退の噂ばかり聞く。
或いは財産を纏めて亡命を図るものとて居るらしい。
勝ちと負けを繰り返し戦線を保つばかりのタナール砦。ここさえ今は、人の領域とは呼べぬ世界に墜している。
「せめて生き残りはいないものか……最悪死に残りでも構わないか」
医療用の短刃刀を右手の長い指で弄びながら、女は幽鬼の如くふらふらと、死臭の中をゆく。
■レイン・レジネス > 鼻をひくつかせながら歩く。
悪臭の中を、異なる何かが混ざっていないか探しながら歩く。
幾つか、腐りかけた肉片を踏みつけたり、或いは真新しい亡骸を踏みつけたりもするが、
さしたる珍しいものではないとばかりに受け流し、女は歩く。
歩き続けて――
「……あっちかな」
――止まった。
首がぐるうりと横へ向いて、目をつけたのは、扉もない小さな部屋。
おそらくは将校クラスの者が用いる個室であろうが、その中は敗戦後相応に荒らされている。
机は書類を探す為に破壊され、扉がないのも剥ぎ取られたからであろう。
寝台の上には手脚を奇妙な角度に固定したままの亡骸が一つ。
女は寝台の近くまで歩き、唐突にその下を覗き込んだ。
「あっはぁ、見ーつけた……って、あーあ」
嬉しそうに笑った。探しているものが見つかった――ように思えたからだ。
実際の所、喜びの程はしばらくして薄れる。
見つけたのは生きた人間であるが、それは人間として既に壊れていたのである。
敵の襲撃を恐れて、未だ砦に潜んでいる者は居ないか。
居ないことはなかったが、それは既に心を破壊され、言葉すら発することのない、呼吸するだけの生きた肉であった。
「困るんだよねぇ、国が荒れると。私はずっと、だらだらと生きていたいのに……
この腐敗した国で、好きなだけ女の子を嬲って、美味しい物を食べて、寝て、穏やかに……」
その生きた肉を、寝台の下から引きずり出した。
戦士として良く鍛えられた女の肉体。包む布を引き剥がし、身体を覆う鎧を取り外した。
「……マグメールが滅びるのは困るんだ」
■レイン・レジネス > 「一生にそう何度もないことだ……愛国者にでもなってみようか」
そう言いながら女は、引きずり出した女性兵士の身体に短刀を突き立てる。
手際は良い――人の肉を切り開くのに慣れている。
腹を開き中身を弄り回し、胸を開いて弄り回し、頭蓋を開いて――
そういう作業を続けて、夜がいよいよ深まった頃。
女性兵士は幾度か瞬きをして、すうと立ち上がった。
しなやかな筋肉の動作は、彼女が鍛錬にて習得した力を十全と発揮しているが故のもの。
敗戦と残虐行為によって砕けた心の肉袋が、己の足で立っていた。
「……うーん、どうだろう。見栄えは整ったか……あと、臭いかな。三日もあれば取れるかな」
女は、立ち上がった兵士の周りをぐるぐると周り、身体の各部位を観察していた。
するとその目の前で、女性兵士の身体がぐらりと傾き――
びたん。
ぬめった音を立て、女性兵士の体内から這い出した触手が身体を支える。
そうだ。この兵士は既にして自我などない。
その身体が持つ本来の生存機能を利用し、寄生した触手生物の揺り籠となっているだけだ。
「一体作るのに数時間……ちょっと手間がかかるな。
この子自身に〝改造〟のやり方を覚えさせられれば倍々ゲームなんだけど……難しいか」
人間の顔をして、人間のような動き方をする、人間でないもの。
高い筋力と耐久力を持ち、恐怖など感じない、壊れた人間を材料とした傀儡。
「さーあて、お偉いさんに提案に行こうか……あぁ、めんどくさい、めんどくさい……」
愚痴をこぼしながら女は砦を去る。
その後を、触手の詰まった肉袋に変えられた女性兵士が、忠義心に溢れた従者のように追いかけて行く……。
ご案内:「タナール砦」からレイン・レジネスさんが去りました。