2018/07/02 のログ
ご案内:「タナール砦」にゲイゼリクさんが現れました。
ゲイゼリク > 「……おー、報告聞いたから念のために来てみたけど…成程、バルベリトの旦那はやっぱり総撤退させたかぁ」

と、一人呟く青年が居るのは砦でも、その近辺でもなく…その上空。
一振りの剣の上に両足を器用に乗せつつ、そのまま座り込んだ姿勢で下の様子を眺めていた。
撤退の鮮やかさは流石だ…何だかんだ、最前線に居る兵士達は練度もそれなりに高いもの。

(旦那は…もう撤退したっぽいかな?まぁ、最後の連中ももう砦を後にするっぽいし)

これで砦は文字通り蛻の殻となり、あちらの魔族の前線部隊がこちらを占拠しに来るのだろう。

「…で、暫くは魔族側がこっちを占拠ってのが妥当かねぇ?」

第七の抜けた穴が大き過ぎる以上、こちらの建て直しが早急に出来る訳も無く。

ゲイゼリク > 「…ま、どっちかが占拠して、また奪い返して奪い返されて…その繰り返しだから、何時もの事といえばそーなんだけども」

上空に浮かぶ剣の上に乗っかり、更にしゃがみ込んで様子を見ている…と、いうのは正直かなーり目立つ。
むしろ、魔族の前線の連中も青年の姿は視認出来ているかもしれない。
流石に彼らも、空中に浮かんでる剣の上で寛いで下界を眺めてる男、というのは見慣れない光景だろう。

「――ありゃ、あちらさんも気付く…のは当たり前かぁ」

視線と気配を感じて魔族の前線部隊へと顔を向ける。まぁ、隠蔽も何もしていない丸見え状態だ。
むしろ、向こうから撃ち落されないだけマシと言えばマシなのだろう。
そして、青年はといえばそんなリスクも何のその。暢気に彼らへと手を振っていたり。

ご案内:「タナール砦」にゲイゼリクさんが現れました。
ゲイゼリク > 「さて、と。じゃあ戻りますかーー」

砦の支配権の移り変わりは確認した。こちらもこちらで課題は山積みであり。
ホント、休暇とか取れたらいいんだけどなぁ、と叶わぬ願いを思いながら剣が自動的に方向転換。

そのまま、王国へと男を乗せたまま、名馬や飛竜よりも速く飛び去っていく。
どういう訳か、その剣に乗る男はその速度でも振り落とされたりしなかったとか。

ご案内:「タナール砦」にゲイゼリクさんが現れました。
ご案内:「タナール砦」からゲイゼリクさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にフォーコさんが現れました。
フォーコ > 久方ぶりに鴉の紋章がタナールの砦にはためいていた。

私は第五師団の面々を引き連れ、留守を守ってくれたメンバーに礼を言ってから交代する。
彼らにも僅かながら金品を与えた。
今の私は家に頼らずとも動かせる金が手に入ったのだ。
王国を留守にしている間、魔族の国以外の周辺国を荒らしまわっては富を収奪し、
また搾取するための仕組みを整備していた。

そうして集めた金品を嫌味を言いに来た貴族衆に惜しみなくばら撒いた。
戦争は旨味があるのだと彼らに再認識させる為である。

尤も、こんなやり方で靡かない者も居る。
そう言った者達にはこれから根気強く説得に当たるつもりだ。

「しかし、代償は大きかったがな。」

私は城壁から魔族の国を睨みつつ、深い息を吐いた。
まさか彼が戦死するとは。
逃げ延びた兵たちから聴いた話では旧神だの持てる限りを尽くしたようだ。
彼らしい頭の良い戦い方と言えるだろう。

「私は彼の真似は到底無理だな。
だからこのようなモノを担ぐ羽目になる。」

私は己の左手に視線を移す。
今は以前と同じ褐色の手だが、この手は最早私のものではなく邪龍のものとなっている。
魔王クラスに対抗するためとは言え、私はとうとう人の身ではなくなってしまった。

フォーコ > 生き残った第七のメンバーは辛い立場にあるらしい。
一部は牢の中に居るとか。

「今回ばら撒いた金で少しは警戒が解けるといいのだが。」

結局のところ、師団は単独で戦争行為に駆り出せると証明されたことが裏目に出たらしい。
私ではなく副官の考えを受け売りしただけであるが。

貴族連中はよほど我が身が可愛いらしい。
だからと言って彼らを糾弾したところで余計に態度を硬化させるだろう。
ああいう手合いには金を与えて転がせるのが一番簡単なのだ。
少なくとも金を与えている間は大人しくなる。

尤も、その為には方法の如何を問わず大金を集め続ける必要があるのだが。

フォーコ > 私で手伝える所があればなんとか力になりたい所だ。
しかし…。

「肝心な時に居なかったからな。
果たして彼らが受け入れてくれるだろうか。」

私は腕を組み、空を見上げる。
やはり退魔戦線を命がけで守ってきた彼らに私から軽々しく声をかけていいものかどうか。

「………はぁ。」

いかん。 気が重くなってきた。
私はその場に座り込み、吹き息を吐いていた。

フォーコ > 今のところは特に異変もない。
タナールとは思えない程に静かだ。

騒がしくなるのはこれから先だろう。
はたして、今後どう転ぶか。

「引き上げるぞ。」

私は部下たちに声をかける。

砦の後方では交代の部隊が既に到着しつつあった。

ご案内:「タナール砦」からフォーコさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にアーヴァインさんが現れました。
アーヴァイン > 第七師団の将軍の死、それに魔族たちの報復を恐れ慄く貴族や王族達。
いつもの顔合わせに現れた彼らの様子を見やりながら、祟り神の面構えを保ったまま、呆れたように小さく呟く。
無能共が。
ただ安地で彼らの背中を押して、敗走すればここぞと言わんばかりに罵詈雑言を並べて保身に走る姿は哀れとしか言いようがないだろう。
だが、彼の死で一つの不安が消えて、一つの希望が見えてきた。
タナールの防衛もちぐはぐになる中、ここぞと言わんばかりに攻め込んだ魔族達に砦を奪われたと報告が入れば、その後の準備は早かった。
港の要員へ指示を飛ばし、待機中の多目的船の準備と共に、集落からはスクランブルでも掛かったかのように慌ただしく、組合員達がタナールへ出立。
そしていまは、高高度から白雲に隠れるようにしながら、巨大なエナガが飛翔し、背に乗るミレーの少女がそこから様子を伺っていた。

『まばらだけど、普通に警備してるよ』

鳥達と契約したもの、そしてその体に触れるものだけが会話ができる念話の中に、可愛らしい声で報告が響いた。
続く詳細な位置取りに耳を傾けながら、おおよその配置を地図に書き込んでいきながら本来のプランを修正していく。
彼がいる位置は、砦から少々離れたところにある林。
身を隠しながら作戦の現場指揮を、傍らの参謀と共に担う。

『配置は確認した、狙撃隊は指示していた丘から壁上の敵を順次狙撃してくれ。倒せればよし、降りれば十分だ』

砦の側面にある少し小高い丘は、遠く離れているが砦の壁と同じぐらいの高さがある。
そこの草むらに伏せたミレーの少女達は、一様に小銃のようなものを手にしている。
魔法を銃弾のように扱う、ティルヒアで手に入れた魔法銃という技。
魔力の高いミレー族との相性の良さは抜群というところで、単眼鏡を改造した照準器を覗き込みながら、伏せたまま狙いを合わせていく。
彼女達は鳥達と契約はないが、羽の一部を体に身につけることで会話に割り込んでいた。
奪われても大丈夫な様に、それぞれが自身の羽を持たねば意味をなさぬ細工付き。
狙いと次の目標を指示する観測手の少女と二人一組になって、静かに狙いを合わせていった。
自分達はアレを狙う、それなら私達はこっちと、素早く互いの獲物を割り振れば、いいよと愛らしい声が脳裏に響いた。

『タイミングはそちらに任せる、スノウフルーフ隊は次の準備に入ってくれ』

先程のエナガの傍、おなじ高高度には真っ白なエナガの群があり、雲に隠れて姿を消す。
いくよ! と少女の声が脳裏に響いた瞬間、一斉に魔法の弾丸は放たれた。
初弾は位置を悟られぬ為に、黒壇の螺旋根が放たれる。
元々は鎧を刳りぬく為に回転させた黒壇の弾だったが、術者もここに来るまでは遠くに飛ぶなど知らなかったもの。
今では夜闇に紛れて不意打ちを仕掛ける、暗殺の影となって魔族達に迫れば、頭部や胸元といった急所に当たるのもあれば、腕や足に当たるのもあるだろう。
音もなく、気配もなかった不意打ちは彼らに混乱を齎しながら、短期決戦の幕が開く。

アーヴァイン > 初弾で混乱が生まれ、何処だと敵を探そうとするものがいる中、次弾は扱いやすい魔法弾へと変更されていく。
青白い光が銃口から広がる魔法陣から一斉に吐き出されると、青の曳光と共に魔族達を襲う。
狙いが正確なのもさることながら、彼等に強く与えたい印象は射程。
相手の射程圏外から攻撃が飛んでくるとなれば、外に出て戦うのは無謀という思考。
蛮勇と外に出れば見せしめに撃ち殺すだけだが、懸命な判断へ追い込むのが、そもそもの狙撃の目的である。
壁の上から魔族達が降り、砦内に集結していくなら、今度はエナガ達の出番である。

『落とせ。狙撃隊の観測担当はリトルストームと合流、次の地点へ移動。長距離狙撃は待機、的が出たら報告だ』

短い命令と共に、エナガ達は巨大な氷を生成し、一気に砦へと投下する。
落ちていく氷はエナガ自身が持つ風の力によって操られていき、砦の開けた場所へと一斉に向かうのだ。
投石攻撃のような巨大な氷が地面に激突する衝撃、轟音。
岩と異なって砕けて飛び散る尖った氷は、肉を引き裂く散弾となって辺り一帯に飛び散っていく。
狙撃から隠れたと思いきや、今度は頭上から。
立て続けに攻撃を繰り返しつつ、傍らの参謀が一言二言、念話で呟いていった。
離れた上空で夜闇に紛れるように待機する隼の一羽が、地面を滑空するようにして、空爆の地点へと向かう。
建物内へ逃げるであろう彼等へ、さらなる追い打ちのためだ。
氷の空爆が止んだ瞬間、すり抜けるようにして砦の上を飛び去った隼が何かを落としていく。
数個の樽がばらまかれ、砕け散ったそこからは魔法薬に浸け込まれた石炭が散らばっていった。
炎や熱ではなく、煙だけを上げる燃焼を起こさせれば、喉や目を苦しめる有害な煙を撒き散らす。
空気より重たいそれはなかなか上空へは逃げず、建物の窓や隙間から侵入しては、彼等の目を痛めつけ、咳き込ませて苦しめる。
ここにいるだけで死ぬ、その段階まで思考を追いやりながら、別の林からは魔法銃を携えた少女達が馬を駆って一斉に飛び出す。
王都側へ抜け出さぬように魔法銃の射程まで近づいた瞬間、一斉に門に向かって魔法弾を撃ち込み続ける。
当たるか当たらないかなど関係ない、ここは通行止めだと言わんばかりに青の閃光を吹き荒ばせ、彼等の故郷への道へと撤退を誘導する。
その出口が見えるポイントには、狙撃隊にいた観測担当が隼達に運ばれ、言葉をかわしながら何かを図っていく。

アーヴァイン > もし、彼が吸血姫を倒していたとしたら。
そして、人間たちが魔族達を組み伏せる日が訪れたとしたら。
戦闘の意志のない魔族すらも踏みにじるなら、彼に楯突くつもりでいた。
だからこそ、集落を得て最初に欲したのは翼である。
船の上で竜騎兵の利便性をみてからは、上空を抑える必要があると理解したからだ。
これでもかと金稼ぎに走り、組合の装備拡充と多目的船を作ったのもそのためである。
集落に攻め込まれた時に、彼のペースに乗る前に一気に潰すための手札。
戦うではなく、殺すだけの戦にしなければ、こちらに勝ち目などないのだから。

『逃げるっぽいよ!』
『だいたいの距離感つかめた、地図でいうと――』

観測担当に持たせた地図と、こちらで広げている地図は同じものだ。
方眼紙のようにマス目を引いてあり、その交点で大凡の位置を把握できるようにするためのもの。
敵の位置は大切だが、地点を指定する必要など本来はそれほど必要でもないだろう。
けれど、この一撃はそう何度も放てぬ切り札だからこそ、なるべく広範囲を巻き込みたい。
交点からどれぐらい離れているか、船との距離はどれぐらいか、地図に定規を重ねながら彼と参謀は声を掛け合って距離を把握する。
そして、着弾までの時間。
ティルヒアで訓練し、割り出した方法でタイミングを確かめると、今度はラグを考えて落とす場所を決めていく。
暗算とマッピングの繰り返し、確実に細い線を引くためにあえて羽ペンを使いながら、羊皮紙には数字を掻き出す。
最適な位置、それを割り出すと今度は船にいる仲間に念話で方向を伝えていく。
準備は整い、魔族の国側の門から敵映画見えた瞬間、観測担当の少女が出てきたと念話に叫ぶ。

『……撃て! 三番艦は船渠へすぐに戻れ、あまり探られたくない』

小さな地響きが港町では聞こえたかも知れない。
散々な目に合わされながら追い出された魔族達だったが、途中で奇妙なことに気づく。
月夜ではあるが、妙に明るいこと、そして月がとても煌々と輝いているのと同時に悪寒が迫る現実。
それが気づいた時には走ってももう遅い。
月光に溶け込みながら、巨大なただの魔力の塊が落下していくと、強烈な爆音を響かせて周囲の草と岩を吹き飛ばしていく。
その破壊範囲から逃げ切れなかった魔族達は、一瞬にして肉片となって焼き焦がされ、消し炭にされていく。
隕石でも落ちたかのように地面は抉れ、全ての喧騒は消え去った。

『撤収、リトルストームは狙撃隊の回収に当たれ。銃士隊はそのまま集落まで頼む』

終わればすぐに撤退、砦にはと止まらず鳥達も少女達も踵を返してその場から消えていくのだ。
代わりに、彼が信号弾をそらへ打ち上げれば、集落にある傭兵達の集まりといった集団、混成隊を砦へと向かわせていく。
後にくるだろう他の王国軍へ、砦を引き渡すまでの殿を務める彼等には、あえてここで起きた戦いを教えない。
1時間もしない短期決戦で魔族を皆殺しにした手法、それは全て秘匿される。
彼等も知らないから、わからないとしか兵士たちには伝えようがない。
いつの日か打ち上げるはずだった花火を終えると、砲弾のエネルギー源にされた相棒の愚痴を聞きながら、久しく馬で住処へと戻るのだった。

ご案内:「タナール砦」からアーヴァインさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」に仮面の魔将さんが現れました。
仮面の魔将 > タナール砦。
一時的に王国軍が奪還したそこに――不気味な声が響き渡る。

それは、雄たけび。戦の喜びに震える、不死者達の声。

見張りの王国兵が見渡したそこには――1000を超えるアンデッドの軍団が勢ぞろいしていた。

そしてその中心には、大剣を構えた一人のナズグル――アンデッドの姿がひとつ。

『――戦争の時間だッ!!!』

仮面の魔将 > 砦を守るのは傭兵隊、そして、第七師団の生き残り。
彼らとて無能ではない。傭兵隊は命知らずの連中であるし、第七師団は魔族との戦いを専門とするベテランだ。

だが――――

『スケルトン右翼は砦西門へ回れ、グール隊は突撃だ、城門まで何も考えずに進め!』

まるで、人族の将軍の如く。
倒しても倒しても尽きない不死者を操る魔族の将。
短時間で彼らはタナールの城壁に取り付く。

『――城門を破り突撃、全て喰らい尽くせ!』

魔将の指揮のもと、ただの下級アンデッドの群れとは思えない手腕で――魔軍は砦の中へと突入した。

仮面の魔将 > そこから始まるのは一方的な虐殺。
人族であろうと、捕虜の魔族であろうと関係ない。
『命』というものを持つ全てを憎むが如きの殺戮。
ただ蹂躙し、奪い、犯し、そして殺す。
不死者たちの行軍――――

『――制圧完了後、王国内へ進軍を開始する。隊列を整えろ!』

魔将の号令一下、アンデッド達は一糸乱れず王国内へ足を踏み出し――

そして、神の加護により全て崩れ去った。

仮面の魔将 > 『――忌々しいアイオーンめ』

己を護りなどしなかったくせに
自分達を見捨てたくせに
なお眼前へと立ちはだかるのか。

『いずれお前の加護も尽きる――その時が、王国の最後だ』

魔将はくるりと踵を返し――そして気付いた。
城壁のそばに、一人の兵士が居る事を。

「――ちくしょうがッ!!!」

第七師団の生き残りであり、キルフリートから命からがら帰ってきた兵士は、仮面の魔将と相対し、そして――

『――よぉデヴィッド、元気そうじゃねぇか』

仮面の魔将 > 兵士は呆然とする。
この魔将は、何故自分の名前を知っているのか。

何故この声は、こんなにも懐かしいのか

何故この姿は、こんなにも心を惹くのか

何故あなたは――ここに居るのか

「あ、あ、あ……」

自分を無視し、魔族の国へと去り行く魔将を見て


第七師団所属兵デヴィット・ホークは狂乱しながら王国へと逃げ帰り告げた。

「か、帰ってきた、あの方が、オ――――」


後日、彼は王国軍第九師団により拘束された

ご案内:「タナール砦」から仮面の魔将さんが去りました。