2018/07/01 のログ
ご案内:「タナール砦」にサロメさんが現れました。
■サロメ >
その報告を、サロメは魔族の国側の防衛ライン、その最前線で受けることとなる
「───……」
王国軍第七師団将軍、オーギュスト・ゴダン戦死
その胸に去来した想いはいくつも連なれど、
副将軍としての自分の為すべきことでそれを上書きし、押し潰す
「──全軍後退!
タナールで砲戦の準備を整えろ!
…帰還する侵攻軍の撤退を支援する!!」
■サロメ >
生き残りは必ずいる
タナールの戦線維持はあと数日も保たないだろう
そのギリギリまで粘り、放棄──若しくは後続の別師団に預けることになるか
「………」
険しい表情を殺すことができない
外套を翻し、馬に向かおうとした矢先、部下の一人がその前へと立ち塞がった
『将軍の無念を──仇を討たれないのですか!?』
■サロメ >
「──あの男が私に託した最後の命令は、この砦を侵攻軍の帰還まで守ること。
撤退戦になった以上……為すべきことを為すのみだ」
明らかに周囲はざわめき、どよどよとそれが広がってゆく
ならず者や傭兵崩れ、荒らくれ者……
第七師団の大部分はあの男、オーギュスト将軍に引っ張られてこの師団へと身を窶した
その天辺が殺された
仇を討たないなどという選択肢を受け入れるには──急すぎる
しかしそれをわかった上でも……
「──今一度問いただせ。己の胸に。
必殺の機会を手に、それでも失敗した遠征部隊の仇を取るのが必定か。
それとも僅かな生き残りとはいえ共に剣を磨いた者を生かすために尽力するのか」
■サロメ >
「…それでも仇討ちに征くというのなら、止めはしない。
一人抜けるというなら一人、十人抜けるというなら十人分、私が働こう」
抗議した部下の横を擦り抜けるようにして、馬のところへと歩みを進める
──直接反論を唱える者はもういなかった
■サロメ >
砦に展開されていた第七師団ほぼ全軍はその日、僅かに生き残り帰還した侵攻軍を迎え、撤退
後の砦の保全を他の師団に概ね任せ、王都へと帰還する
遠征失敗による師団全体の被害
作戦に湯水のように使われた師団の軍資金や他からの援助も泥と化すなど、
副将軍であるサロメは王国から責任を追求され、しばし軟禁状態を余儀なくされる
第七師団そのものも、一時編成の見直し、
作戦行動の凍結など厳しい処罰に晒されることとなった───
ご案内:「タナール砦」からサロメさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にバルベリトさんが現れました。
■バルベリト > 「―――非戦闘員から後退。防衛部隊だけ砦に残すが、基本休息と飯は砦から後方で行なうぞ。もしかしたら、いや、ねぇとは思うが侵攻組の逃げ送れ組が戻るかもしれねぇし。」
戦死する意味が重い。少なくとも死ぬのが美徳となってはならない存在が戦死した。砦の内部のざわめきや動揺は、錬度が高いとはいえない8師団では相当な物だった。
戦意の喪失もさることながら、魔族への恐怖心は嫌でも高まるというもの。恐慌状態に陥る兵も出る可能性はある。
間違ってもそんな兵士を砦の城壁に弓を持たせて立たせる訳にも行かない。
7師団の帰還組の護衛という名目でそういった兵士と、非戦闘員を優先で後方に下げた。
砦内の補給物資についても一旦後方の陣地に下げ、防衛兵のローテーションの際に同時に運搬する形式を取る。
砦の保全を任されつつも、8師団単独ではどうしても防衛しきれるとも思えない。基本撤退に重点を置いた編成、防衛体制となるのは止むを得なかった。
■バルベリト > 「寝る為の陣地設営は医療班のスペースも確保しとけよ。後は補給本数を減らし、その分余った兵士は……防衛よりは後方陣地の設営を最優先。後は他師団に防衛兵の協力要請だしてぇけど…」
受けれる状況でもないだろうとは思う。
数が揃ってもどこまで防衛できるかの見通しが立たない以上、自分が師団長ならば要請は蹴るだろうなぁ、と。
それでも出す事と出さない事の差は大きい。たとえポーズでもだ。
実際8師団で今まともに戦闘をしろと言われて、その場で踏みとどまれるのが何割いるか。3割居れば良い方だろう。
「医療班にゃ怪我の治療より精神安定的なカウンセリングでもお願いしとくべきかねぇ。」
喪われている戦意を取り戻させ、けれど暴走をさせず粛々とこの土地、砦を守る任務をこなせるようになるにはどれほどの時間が必要になる事か。
見通し等と言うものはなく、他人任せとも取れる状況しか選び取れない。
自分には飛びぬけた戦闘力があるわけでもない。出来れば、正直。
尻尾を巻いて逃げ帰りたい。
死よりも生を優先する本来の性格が頭を擡げそうになる。
■バルベリト > 救いは7師団が報復に動かなかった事。
もう1つの救いは、魔族の地での戦況、戦果を報告できる兵士が生還出来た事。
報復行動に出るのを諌めたのがサロメだった点と、王都に戻され詰め腹を切らされているような軟禁状態と聞けば心穏やかではないが。
手詰まり感が酷い。打てる手が少なく、鼓舞する為の言葉すら探すのは難しい。城壁の上に立ってぼんやりと見ているのは魔族側の土地だ。
それも、7師団が攻め込んだとされる城の方角を自然と見てしまう。
その後、現実に引き戻されたかのように展開されている魔族軍へと。
何時もは香草詰めの葉巻だが、今日は煙草の気分だ。
口の中を苦味の強い煙で満たし、吐き出す息と煙に全ての負の要素を詰め込んでしまおう。
「……茶の誘いは難しくなっちまったなぁ。」
■バルベリト > 例えばカードを使ったゲームにも色々ある。
カードの強弱だけで決まるわけではない、ポーカーの様に組み合わせやブラフを働かせて危地を抜ける手があるゲーム。
或いは単純にカードの強弱だけで勝負を決するゲーム、と。
ゲームの種類ならどれを選ぶか。今まではゲームの種類はある程度、自分達の側にも決定権があった。
だが、これからは違う。7師団と言う要を喪った以上、こちらがゲームの種類を指定する事が出来なくなった。
魔族の側で決めたゲームに此方が乗らざるを得ない。
手札は少なく、強弱の度合いでいえば圧倒的に弱い手札で強い手札を何枚も保有している相手にどう向えば良いのか。
■バルベリト > 「……死んだ人間の責任を背負うってーのは。辛いもんだぞ、生きてる側からすりゃ。」
気がつけば煙草も随分短くなっていた。灰が足元に落ちるまで気がつかなかった位には思索に耽っていた様だ。
案山子や旗を大量に並べるような、大軍がいる様に見せる手は逆効果だろう。
素直に城壁に登る兵の数を減らし、魔族が意気揚々と砦に攻め込んできたら撤退の号令を即座に出す。
それが今自分の出来る最善の手か。
その結論を出した後、足元に煙草の吸殻を落とし、グリープに覆われた踵で念入りに踏み潰す。
同日、タナール砦の防衛兵数は7割程減少していた――。
ご案内:「タナール砦」からバルベリトさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にブレイドさんが現れました。
■ブレイド > カラカラと幌馬車が街道を通って砦へと向かっていた。あわせて五両。
その周辺には黒い鎧の随伴の護衛の姿。馬車の幌には王国軍のエンブレム。
随伴歩兵の装備から、王国軍に所属のものやそれらに詳しいものならば第五師団のものだと言うことがわかるだろう。
荒くれ者で構成されている突撃部隊…という立ち位置で有名な師団であるが
後方支援の小隊もいる。それが今砦に向かっている補給部隊だ。
先日の大規模戦闘で失われた装備品、兵糧、医療器具、魔導具やらポーションの類、そのついでの日用品。
早馬の要請を受けてそれらを運んできたというわけだ。無論、長居をするきはない。
少なくとも、今護衛についている一人の少年は。
「戦争、ねぇ…」
まったく、殺し殺され、よくやるもんだ。
自国内すらまともに動いてないっていうのに。
呆れて笑えてくる。
戦争などに興味はないのでちゃっちゃと補給品を収めたら、馬車と一緒にとんぼ返りの予定だ。
フォーコに対しての義理ならばそれで十分果たしているだろう。
■ブレイド > 大きな戦闘があった直後ということもあってか、周辺が静かなもの。
小隊長の読みは概ね当たっていたということか。
『大規模戦闘の報があって、なお、砦が健在であればつく頃には砦周辺は静かである』と。
ずっと包囲され戦闘が続いているようであれば早馬を出すこともできない。
早馬を出す程度の余裕があるなら、まだ砦周辺には攻め込まれていない。
あとは砦の無事の確認を満にするだけ。
無事でなければ周り右だったし、安全であればこの通りというわけだ。
個人的には中途半端な状態が一番イヤなのだが。
戦場に駆り出されないようにさっさと帰りたい。不穏な空気があったらできるだけ無能を演じるとしよう。
程なく幌馬車は砦に到着する。
■ブレイド > 「は、あ…」
素人目から見ても、こりゃひどい有様だ。と思える状況だった。
戦線自体は思ったよりも近い。想像以上に押されていたか。
何でもどっかの師団長が死んだとかなんとか。
砦後方に野戦用の仮設テントやらがやたら多いような。
いつでも後退できるようにという配慮かなんかか。
状況は、とても悪いらしい。
まぁ、これだけ一気に…しかも早急にと補給を頼んでくるくらいだ。
状況はなんとか踏みとどまった…というところか。
馬車が砦にたどり着いてしまえば暫くは暇だ。
槍を肩にかけて少しばかり休憩することにしよう。
できるだけ目立たないところで。こんな負け戦の臭いが漂うところに残されるのはゴメンだ。
■ブレイド > 負傷者も多いが精神的に参ってる人間も多いらしく
多くの兵士の目に希望や戦意といったものは見えない。
そりゃやる気のある者たちもいるだろうが…
少なくとも師団長が死ぬという大事があったあとなのだ。
無理からぬ事だろう。
「(この国も終いかな?)」
まぁ、国民全員殺戮なんて非効率な真似はしないだろう。
かつてこの地を侵略した人間ですらミレー族も被差別種族として生かしているくらいだし
異国異種族だからといって鏖など非効率極まりない。それくらいの頭は向こうにもあるだろう。
どうせミレーは被差別種族。この国が負けたところで大きな変化はないだろう。
あるとしても、少なくとも今よりは待遇が良くなる可能性くらいだ。
負けたほうがまだ生きやすそうな国になりそうだとは、皮肉なものだ。
■ブレイド > そういう意味では
なにか守りたいといった、希望ある人の中に混じったミレーとかでなければ
自分のようなミレー族の兵士のモチベーションも低いんじゃなかろうか。
個人的なものはいいとして、すでに壊れかけてる国の何を守るというのやら。
お国のために命を投げ出すというものなどは、それこそ人間の中でもごく少数だろう。
そういう意味でも、士気は高くはない。少なくとも自分にはそう見える。
魔族は種族柄、個々が強い。
その分まとまりが悪いのか、現状のようになんとか王国軍でも食い下がれている…。
もし向こうのまとまりが良ければ勝ち目はそれこそゼロに近い。
そうであってこの砦を死守できているのなら、軍師や指揮を行う人間の有能さが伺える。
「そういう才能でなんとかできないもんかね…誰もこんな無駄なことで死にたかねーだろーによ…」
負傷兵のテントに視線を送ってから、ちっと舌打ち。
そもそも、何のための戦争なのやら。互いに話せるだけの脳みそがあるのに…
これじゃ、チンピラと同じくらいの知能の人間でも外交官になれる。
■ブレイド > そんなことを思ってる間に、荷降ろしは終わったようだ。
補給線が途切ればここも長くは持たないこの状況。
王都に帰ることはできそうだ、状況が状況なので、今後こういう仕事も増えていくあろう。
命を張らなくてもいいと、フォーコはいっていた。
だが、戦場というものでそんな話を聞いてくれるものなんて誰がいるというのか。
最前線に残らない。それが生きるために重要なこと
「(気の毒だとは思うけどな…)」
正規の兵士の辛いところだろう。
ためいきひとつと共に槍を抱え直す。
そろそろ出発だ。できれば二度目はないとありがたい。
その時は残れと言われそうだから。
ご案内:「タナール砦」からブレイドさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にゲイゼリクさんが現れました。
■ゲイゼリク > 第七師団の師団長の討ち死に…そして師団の撤退を見届け、生き残りをタナール砦に送り届けて一夜が明けた。
周囲の士気は当然ガタガタ。砦を守れるかどうかも怪しい。葉巻を咥えつつ、遠く魔族の国の方を眺め紫煙を蒸かして。
(…第七は旦那が死んでサロメちゃんが責を問われてほぼ軟禁状態。師団も再編成に追われて暫くはまともに機能しない…と。
…そうなると、他の師団に皺寄せが来るのは確実だねぇ。…まー議会の連中は責任の擦り合いとか飽きずにしてんだろーけどさ)
よくやるもんだよなぁ、と煙と共に溜息を一つ。まぁこの結果は想定の一つだったから特に動揺はしない。
男としては、取りあえず魔族の国への不必要な略奪行為を防げただけで御の字だ。
「……で、折角バルベリトの旦那が出してくれた嘆願書もなぁ。第七がこれじゃ、そっちに補充人員回されそうだし…何時になったら人員増えるやら」
第八の師団長代理が出してくれた第六の人員増員の嘆願書。自身の要望と合わせて師団長級二人分の要請。
本来なら、流石に上も多少は重い腰を上げて融通を利かせてくれる筈だったが…。
(時期とタイミングが最悪だった…ってトコか。ままならないもんだねぇホントに)
ご案内:「タナール砦」にゲイゼリクさんが現れました。
■ゲイゼリク > (取り敢えず…まー、クラリッサちゃんの伝言というか警告というか、頼みは果たしたからそっちはいいとして…)
問題は幾つもあるが、一つ気になるのが回収し損ねた彼の師団長の遺体だ。
死後も辱めるつもりなのか、それとも……。
「…仮に、旦那の死体を傀儡にして攻めてきたら、それこそ余計に士気は落ちるよなぁ。旦那を慕ってた連中は多いし…。」
とはいえ、決着は既に着いている。こちらは建て直しに時間を要するだろうから、問題はあちらの動きか。
紫煙を燻らせながらジーーッと、魔族の国…と、遠くに見えるあちらの前線部隊を眺め。
(…ま、こういう時に下手に動いてあちらさんを無駄に刺激する事もねぇ、と。
こっちもこっちで第七の再編成の煽りを受けてるしなぁ…ハァ)
人員補充どころか、第七の再編成に伴って、貴重な部下を何人かそちらに回されそうだ。
本格的に人材難になりそうだな、ウチの師団…と、遠い目になる。
もう、自分が別の師団に所属して第六は解体した方が幾らかマシになるような気がしてきた。
ご案内:「タナール砦」にゲイゼリクさんが現れました。
■ゲイゼリク > 「…補給も最低限…これが切れたらいっそあちらさんに砦を明け渡すのも止む無し、かねぇ。
動ける負傷者は速やかにあっちに戻すのも検討して……んー、さてさて?」
自身のツテで追加の補給物資や医療物資を持ってきた。勿論医療物資に関しては重傷の者から速やかに手当てへと回している。
後は、あっちに戻るついでに動ける負傷者は王国に戻しておいたほうがいいだろう。ここで”無駄死に”する事も無い。
(―――茶番、だねぇ)
人と魔のどちらでもありどっちつかずの視点から見た呟きを心の中で漏らし。
短くなってきた葉巻を腰に下げた袋へとねじ込んだ。ポイ捨て駄目絶対。
■ゲイゼリク > 「…ま、たかだがいち師団長があれこれ考えてもしゃーないって話さね…取り敢えず。」
第六の部下はこちらに数人残して置こう。ここを士気ガタ落ちで守る羽目になっている兵士達のフォローをして貰う。
…もっとも、それがどれだけのものか。無意味とさほど変わらないかもしれないが。
「――とはいえ、刺激するつもりはねーけどあっちの状況も気にはなるしなぁ。
…魔王化って便利な能力も得たし検証も兼ねて行ってみるのもありかねぇ」
勿論、人間の姿で行けば昨夜のように30回以上殺されかける羽目になるが。
魔王化すればそこらの問題はクリアー出来る…と、思いたい。正直未知数だが。
■ゲイゼリク > 『ゲイゼリク師団長。…師団長?……そこのサボリ魔!!』
と、部下の一人からの容赦の無い呼び掛けに我に返り、苦笑いで振り向いて。
「ハイハイ、聞こえてるよ。で、今後の方針だけどこっちに数人腕利き残して残りは撤退。またそれぞれのお仕事に従事って事で。
あと、怪我人病人は出来る限り王国に輸送してウチの何時ものルートで治療。ここで死なせる事はないでしょ。
…あーそうそう、補給物資と医療物資はあと2,3回程度になるけど追加で輸送手配を。第八に伝えておけば何とかなるでしょ。」
『了解、手配しておきます。…それで、議会の方はどうなされますか?』
「あーー、そっちは適当にやっとくさ。議事録だけこっちに回しといて。
あと、他の師団の動きも一応探りを入れておくよーに頼むよ。第七の抜けた穴はデカいからねぇ」
他の師団がどう動くかは興味がある、というより他の師団の動き次第で第六の動きも決まるというのが正しい。
何せ主任務が他師団の援護…バックアップなのだ。人員を回すにしても動きを読めないとどうしようもない。
(…ちゃっかり人材だけ引き抜かれるのも御免だしなぁ。ただでさえ人材難なんだし)
『…じゃあ、そのように他の者にも伝えておきます。師団長はこの後は?』
「んーーー、もうちょいしたら一度王国に戻るよ。溜まってる書類があるでしょ?」
『…副官も忙しいみたいですからね…師団長しか適任が居ませんし』
「……うん、俺らの団って何でこんな切羽詰ってるんだろうねぇ…。」
部下と共に乾いた笑顔を浮かべつつ、一礼して去っていく部下を見送り一息。
■ゲイゼリク > 「…書類仕事かぁ…結構溜まってるんだろうなぁ…気が重いなぁ…。」
露骨に嫌そうにうへぇ、という感じの顔立ちで。だが、何だかんだきっちりこなすのがこの男で。
結局、師団長としての仕事はきっちり果たしているからサボリ魔、というのも少し違うのだ。
…まぁ、王城などではよく仕事を放り出している姿ばかりが目立つのだが。
「……ま、議会の方はどうせ”何時もの結論”だろうさ…つまらんねぇ」
正直、議事録を見るまでもないが一応は目を通しておかなければならないのが師団長の辛い所。
「…クラリッサちゃんに貰った魔族の国のお茶はまだ残ってたっけか…アレで一服しようかな」
呟いてゆっくりと踵を返す。一度だけ、足を止めて改めて魔族の前線や魔族の国の方を眺めて。
「…歯車が動くかどうか…ねぇ?」
呟いてから視線を前へと戻して。そのまま砦の中へと姿を消すのであった。
ご案内:「タナール砦」からゲイゼリクさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にカレンさんが現れました。
■カレン > (現状、砦は人間の占領下にある。
魔族の国を眺めながら、カレンは大きくため息をつく)
オーギュスト閣下が、なあ…
(直接会ったのは一度きり。
ティルヒア動乱の前に、戦場に出るなと忠告されたときだ)
■カレン > (思慮深く、自分のような脳味噌まで筋肉になっている騎士とは違う。
奥の手をいくつも用意している気配があった。
それで負けたというのなら、
王国で彼の後を継ぐ者はいるだろうか)
…私もすべての上官を知るわけではないが…
(ティルヒア動乱のことを思い出すと、
気分も暗くなってくる。
彼にできぬことがこの国の誰にできるのか)
■カレン > (騎士としてこの場にいるのは、
貴族たちの責任のなすりつけ合いから逃れるためであった。
いずれそういったことにも巻き込まれるだろうが)
私はいち兵士でいい。
せめて、国に恥じない死に方をできればいいのだが。
(魔物の手に掛かるとしても、
背中ではなく腹に傷を負って死にたいものだ。
騎士としてはそう願う)
■カレン > 「魔物の群れを発見!コボルド型、その数およそ1000!」
(見張りの声が響く。
その相手戦力は、直接ぶつかりあえば負けるが、
カレンの魔法を使えば勝てるほどのものだった)
私が前線に出る!
馬を用意しろ!
(階段を降り砦の外に出ると、
白馬が準備されており、中心となる配下も10名ほど準備していた)
■カレン > (カレンの部隊は、直接上からの命令がない限り、
遊撃部隊として自由を与えられている。
カレンは白馬に跨がり、
意識を集中させる。
魔物の群れへと馬を進ませながら、
大規模破壊呪文を唱えているのだ)
…我が剣に雷の神の加護を…
(魔力を捧げながら、狙いを定める)
■カレン > ――――雷よ!我が剣の前に姿を現せ!
(呪文を唱え終わると、
コボルドの軍勢に雷の雨が降り注ぐ。
およそ200は即死だろう。
残りは、追い立ててやれば逃げ帰る。
2割の損耗の大きさは、
それも一撃となれば、
魔物も本能的に危機を感じるのだ)
■カレン > …
(カレンも無事とは言えない。
大規模破壊呪文はそれだけ魔力を大きく削る。
それは命を削ることに似ている。
魔物が敗走し始めれば、こちらも追撃をやめる。
一刻も早く休まなければ、
部下の100人は頭を失うことになる)
…閣下なら、このような無様な戦いはしなかったでしょうね…
(オーギュストを思いながら、苦笑し、
休むために砦に戻っていくのであった)
ご案内:「タナール砦」からカレンさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にアルテリエさんが現れました。
■アルテリエ > (砦、正門近く。橋の袂より見上げていた。)
――義理は果たしたよ…?
其処から先は。どうするんだろうな――?
(今日も、戦闘その物は有った。
だが、第七師団長征が始まった際と比べれば、ややましな物ではあった、筈だ――
師団追撃を具申し、優先させた。
砦を攻撃し続けるより、その後の為に兵力を温存もさせた。
お陰で、今回の為だけに前線へと詰めてきていた、特別の戦力は。大きな損耗を受ける事なく。
今後魔族の国側の復興作業に、迅速に移行する事が出来るだろう。
己が率いていた部隊も、同じく、自領への帰路についた。
非難から戻る領民達との合流も、遠い事ではないだろう。
――そう、これで。人の将であった彼の者との密約は終了だ。
この後再び、前線を占めるのだろう、魔族側の攻撃軍に対し、己は命令権など無いのだから。
同時に、あの砦も駐留する勢力は大きく再編されて…密約の相手も、何時迄留まるかも判らないのだから。
これにて、と思えば。不本意だが少しばかり、感傷が有ったのかもしれない。
…だから、こうして一人立っていた。)
ご案内:「タナール砦」にバルベリトさんが現れました。
■バルベリト > 「よ、アルテリエ。―――元気そうで良かった。」
気軽に城壁に出て煙草を含もうとしていた所だ。既に砦の兵力は殆ど存在していないに等しい。
一つの決断を決めた直後でもあったからだ。砦の中はいやにざわざわと。そして物を運び出すような音や、それを指示する声も聞こえているかも知れない。
何時ぞやの夜とは異なる。城壁から気楽に、修復の8割を終えた城壁に踵を押し当てながら、垂直よりは若干スロープ気味になっている城壁から滑り降りるようにして魔族ながら。義理を最後まで果たし。
人間以上に、自分が信用した少女の目の前まで降りてこようとしている。
「こっちも、挨拶にいくべきだったんだがな。――礼の一つも言えないままで、お別れなんて寂しいし。」
へらり、と。笑みこそうかべたが何時ぞやに比べれば随分と憔悴し、消耗が激しい事を伝えるように目の下にはクマが。
頬は幾分細く、そして無精髭も伸び放題の熊の様になっている己は、彼女の前に降りるなり頭を下げた。
――礼と、詫びと。少女への最大の敬意が含まれる物を。
■アルテリエ > ………?
(その声が届く迄、相手の事に気付けなかった辺り。
どうやら己の感傷は本物だったようだ。
声に、音に、見上げれば。あの時と似たように――だが、随分と穏やかになった、という大きな差異を伴って。
城壁を下りてくる男の姿。)
貴君か。…何、無理をする事は無いさ。
終わった後の方が忙しい物だろう?何に於いても。
(程無く地に迄辿り着けば。彼は何とも…草臥れ果てた、というに相応しい姿だった。
人外の見地からしても、今どれだけの苦役の最中に有るのかが、ありありと見て取れる…という物だ。
小さく肩を竦めてみせ――瞬いた。
人が。王国の民が。軍の将たる者が。
敵対してきた魔族の側に、頭を下げてみせたのだから。)
……それに。礼、なんてする事はない。
我々は、約束を交わした。…だから立場は同じ……何というか、そうだな……
共犯、だろう?
(唇を綻ばせ。下げられた男の視界に入るよう。片方の手を差し出そう。
同じ手で、同じ握手を、同じ立場で交わせば良い。)
■バルベリト > 「終わった―――って言いたいんだがねぇ。生憎、こっちはこれからが本番。負け戦でも負け方ってのもあるしな。……無理なんてしてねーよ。俺より無理してる奴らも多い。」
頭を下げたのは理由もある。此処まで義理を果たした相手だ。
そこに人間と魔族の違いも垣根も無い。相手は当然と思うかもしれないが、此方からすれば。
この約束を守り続けてくれた相手にどれだけ心が救われていた事か。
がばっと頭を上げるまでは数秒。共犯と言う言葉に――疲れた顔でこそあったが、自然な笑顔が浮かんでしまう。
全く――人間よりも好ましい魔族という出会いは。財宝を見つけ出すよりも貴重な経験だろう。
差し出された手を、そっと握り締める。
「できりゃぁ、平和的にな。どっちの領地のメシが美味いか、だとか。紅茶の飲み比べとかも楽しみたかった。……そっちも陣地の移動から察するに撤退、なんだろ?」
自分は人の身。相手にどれほど行為を持とうが魔族の土地に踏みいる事は不可能だろう。隠密の技術が有るわけでもなく。
空間を飛べるような能力があるわけでもなく。
力任せにやりたい事を貫けるだけの強さもない。――だから感傷的になるのは相手だけではなかった。
■アルテリエ > そうか。……そうだな。
何というべきか。いや、言うべき言葉は、無い、けれど。
(此方が勝った、彼方が負けた、と。結論を一言で纏めるのは簡単だ。
だが、言葉の上に乗らない物事は、山程有る。
それに関して、己から彼へ。言える事は無い…否、互い、そんな立場ではない。
果たせる義理は果たした、が。
全ての溝を埋めきるなぞという事は。残念ながら、今直ぐには不可能なのだから。
取り敢えず。今は、この二人の間で、だけ。
手を重ね、握り。……後少しだけこの侭で。離す事、離れる事を少々惜しむ。
それは、何故なら――)
っふふ。そういうのも、良いな。…何れ叶うなら。お忍びで、挑戦してみようか、な。
(勿論それは。あまりに危険だ。
王都への侵入は、魔族にとって、大きな制約と犠牲を強いられる。
人の側も、直ぐ隣に魔の者が入り込んでいる、等となれば、どんな恐慌に陥るか。
出来れば良い、とは思うものの…果たして、叶う物なのか。)
――此度の戦に徴用された、多方面からの援軍は。皆、退く。
また元通りになってしまうな――それでも。
貴君等の方も。第七師団だったか。彼の者達は、其方迄退ききったそうだし。それに他の団も――――
(目を上げた。見上げる砦は騒がしい。傷病兵の搬送、物資の移動、それ等にしては大仰な程。
何が行われつつあるか、察せてしまう。
触れた手の感触を惜しむのは、きっとそのせいも有るのだろう。)
■バルベリト > 「言葉よりは、アルテリエは行動で示してくれた。言葉よりも、アルテリエは雄弁に示してくれたさ。」
とん、と。重ねている掌の上にもう片方の己の掌も重ねた。
――溝が埋まるには時間も、積み重ねも必要だろう。
立場も、そして今回痛感した力もまた、必要不可欠な要素のひとつである事を。
今、重ねた掌の上にあるのは自分の領地までの小さな地図。
そして、今回の遠征に併せて自分の領地で作成していた飴玉――麦から精糖した物を使い、果実を中に落とし込んだちょっとしたビー玉サイズの飴玉が複数入る小瓶も押し付ける。
「遊びに来るなら歓迎するぜ?飯と風呂と風景の良さは保証できる。っつーかそれしかねぇけどな!ウチんとこ!」
それがどれほど難しいのか。自分は魔族ではないが、騎士団にいる関係で判る範囲の情報からでも割り出せる。
寂寥の念もある。だが――湿っぽくさせるよりも。笑顔での別れを選んだ。
まだ、未来は確定していないから。――神なんて信用すらしていないが、小さな一つの奇跡くらい起こしてくれるのかもしれない。そんな期待くらいは、してもいいではないか。
「――撤退してきた7師団に、追撃や攻撃してくるの止めてくれたろ、そっちからも。――だから今回の顛末は。正確に王都まで伝わったさ。
――今の状況で砦を保持し続けるのはまぁ、困難窮まるって事でな。
こっちは――当分兵士や将校のメンタルケア。後は再編も含めるなら、暫く――こっちから攻め込むなんてこともねぇだろうさ。だからその間に――」
溝が埋まらないだろうか。その言葉は飲み込んだ。
言葉に出してしまえば溝があると自分で認めてしまうようなものだから。だから押し付けた瓶と地図。握り締める手に少しだけ力を加えるだけにとどめていた。
■アルテリエ > ……応えた、だけだ。
貴君が信じてくれた。ならば、その信には応えなければと思った。
全ては其処からなんだ。…――――バルベリト。
(手に手を重ねられた、其処を見下ろして。
初めて、彼の名を呼ぼう。魔と人として、ではない。敵味方としてでもない。
シンプルに、個人と個人。対等だと称したその通りに。
手の中に残された瓶と、地図。
己の知らないその地形は。きっと、彼からの誘いなのだろう。
そっと零した吐息は、困ったような、呆れたような――それでいて、笑ったような。)
良いんじゃないか? …前に言った通り。私が居たのも、似た様な所だから。
料理の味は、残念ながら保証出来ないけれど。
(農地云々、作物云々、等と。魔血と聖銀がぶつかり合う最中に語った物だ。
つい数日前の事なのだが、何処か懐かしくも思う。
そんな所にも、共通項は見出せるのだ。だから、せめてもう少しだけ、でも。
埋められる部分が有ればと、願わない訳ではないのだが。)
勿論、砦と第七師団の挟撃…などされていたら、その限りではなかったさ。
あくまで退く事を優先した貴君等と……
どうやら、我々以外にも、手を貸した誰かが居るらしいから。
その者達にも、感謝だな。きっと。
(大きな魔力のうねりが有った。宙を舞い兵を運ぶ不可思議な物体も目撃された。
それ等の力の持ち主も、束の間の安息を求めた…とは限らないが。
少なくとも、泥沼の戦闘継続を望まなかった事は間違い無い。
だから。)
…その間に。少しでも、何かが変われば。良いだろうな…?
(残念ながら。その溝がいつか必ず埋められる、と。己には言い切る事が出来なかった。
いや、寧ろ此処迄繰り返されてきた歴史を全て塗り潰し、禍根を忘れ、怨恨や義憤を忘れ…
新たな道の為に、過去を無かった事に出来る程。この世界は甘くない。
それでも、少しでもマシな方にと、動く者は皆無ではなく、そして無駄だった訳でもない。
だから、少しでもと。せめてその程度の奇跡くらいは。想像してみても良いだろう。
やがて。己とは違う、生有る者の温もりから手を離せば。)
■バルベリト > 信用とは、0から生み出すよりも。信用したいという土台が有ればこそ、積み上げてもいける要素だった。
たまたま。天の采配か偶然かは知らないが同じ戦場に、似た者同士が集い。会話をする機会と、約束という一つの盟約を契り。
それを最期までお互いが意識して守り続けることの出来た一つの幸運。
「信が一方通行にならなかったのは。相互の理解を得られたのは、相手がアルテリエだったからだけどな。
ふふん、料理ならこっちが一歩リードだな。……もしも、だがな。国の垣根がなくなって、交易が自由になったら。こっちのレシピとか諸々、そっちに送り付けるからなー?」
代われば良い。代わり、変わり。ただそれを待つだけでは、きっと何も変わらないだろうけれど。
禍根も歴史も全てを受け入れ、飲み込み。
負の感情の上にお互いの新たな歴史を積み上げていく。――これが出来る下地は――残念ながら遠ざかった。だが、きっと出来ない話ではない。
「おっ、そうだ。悪いおじさんが一つ悪さし忘れてたな。」
悪戯中年は離れていく掌を逃さないように。片方の掌で少女のほっそりとした手首を掴み取る。
その手の甲へ、相手が逃げないならば。
己の唇を一つ、落そうとするだろう。
「ちょっと慌しい別れになっちまうのは残念だが。なあに、その内ひょっこり顔を合わせたり――おじさんが夜這いにでも行くだろうさ。だから、その時まで。俺も、アルテリエも。」
息災で。その言葉は表に出さなかった。ただ――手が離れてしまえば。
何かを惜しむように、小さく掌を振る。今生の別れではない。何れまた遭える。それを自分が信じなければ誰が信じるのか。
■アルテリエ > (寧ろ、今回起きたこの偶然が。充分、奇跡と呼ぶべき代物だ。
個々人の間で終わるならまだしも。戦場という場所で、それなりの数の生命に、影響を与えられたなら。
今後同じ幸運が、同じ奇跡が起き得るか。寧ろそれをこそ、魔ですら神に祈りたくなる程に。)
っは。良かったな?私のような…変わり者が、此処に居て。
……何、血肉ばかりを、客に出す訳にもいかないだろう?…だが、まぁ、それ以外の料理か――期待だけはしておく、か。
(差し出された品物を持つ側の手。それを一振り。
何処に仕舞い込まれたのやら…掻き消えた。
だが、後生大事に、収めた事は間違いない。
今回の、奇跡の証。幸運の欠片。持って帰るに決まっている。
そしてもう一方の手は――)
―――― ………、 っ。
(咄嗟に、返事が出て来なかった。うっかり唇を開けば、形にならない侭の声音が、零れ落ちてしまいそうで。
流石に、そんな無様は誰にも見せたくなかった。同胞にも、彼にも。
唇の感触と、それを施された位置と…宿る意味合いと。
らしからぬ、まるで生者のそれじみた、仄かな温度を宿す頬。
思わず口元を押さえるようにして。)
っ、っ。……貸しだ。貸しだぞ?これは。……利子が怖いなら…
精々、早めに返しに来る事だ。
(唇を尖らせて。此方から先に背を向けた。
惜しい、とは思う。だが惜しみ続けているだけでは、その先には進めないのだから…
歴史と同じ。未来と同じ。
二つの国、二つの種族、それ等の間では途方もなく難しいのだろうけど。
約束と同じ。己と、彼との間くらいなら。出来ない事ではない筈だ。)
――――精々。楽しみにしている…よ。
■バルベリト > 「利子なんつーもんは踏み倒す為にあるんだろ?」
予想外の反応のよさに表情は緩んだ。
――最初の邂逅の時にはこちらが泡を喰った返答の分の返礼は出来た――が、まぁ、しかし。
仄かに冷える肌は生きた証を感じさせない肌ではある。
種族は違えど。この意味を実現できれば、それはそれで一つの奇跡にも為り得るだろう。
「こっちも楽しみにしているさ。――おじさんは、期待は裏切らないクチなんでね。……直ぐに、は無理でも。必ずな。」
背を向ける相手。その姿も又目を惹く。声を掛けて無理矢理にでも引き込むべきかもしれない。
――が、それは無粋にも程がある。先ずはお互いに懸念を解消させた上で、未来に向けて歩みを。歩調を合わせながら続けるべきだろう。
城壁の僅かな凹凸に手足を引っ掛けながらよじ登り――そして判れの刻が訪れた。
余談では有るが。翌朝第八師団長代理の名前において『一時的な戦力温存と再編の時間を稼ぐ』名目で。さらに『第7師団不在による防衛維持は困難窮まる』と言う事で。
タナール砦から。一時の防衛軍全軍撤退の号令が出されることになる――。
■アルテリエ > …取り立てられる為にも有るんじゃないか?
(舌でも出してやりたかったが、流石にそれも。
仮初めとはいえ将の一人を負かされた者にも…貴族たる者にも、相応しい挙動とはいえないだろう。
取り敢えず。唇の件含め、しっかりと記憶しておいてやろう。
人間種の短い生で、掻き捨てなどさせてやるものか。
…有る意味。逆に此方からの遭遇に、口実が生まれたのかもしれない。
良し悪しはともあれ、奇跡も偶然も、行動してこそ得られる者なのだ、という証左。
どうにもこの戦場は、偶発的な自称に満ちているのか…この男が、それを引き寄せる存在なのか。)
だから、何れ。
…何、きっと…そう遠い事には、させないさ。
(歩みは、どう考えても。長く遠く先など見えず。本当に叶うかも判らない。
だが、長い旅路の途上、顔を付き合わす存在が有っても良いだろう。
寧ろその方が退屈しないというものだ。
背を向けてしまえば歩みは止めず。彼は彼の、己は己の。やるべき事の為に歩み去る。
――――人の側が全て退けば。必然、砦は一旦魔族の物となる。
だが、此処から一気呵成に王国側へ侵攻しよう、今回の意趣返しをしよう、という動きは無い筈だ。
それが、己が一旦魔族の国へと戻る前の。
最後の、応えという物だった筈。)
ご案内:「タナール砦」からバルベリトさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」からアルテリエさんが去りました。