2018/06/29 のログ
■アルテリエ > ――そう言わないでくれ、ロートルに取っておきを止められた、だなんて。
此方の立つ瀬が無い。
(僅かに口元を緩ませた。実際、単純な質量打撃と言えばそれ迄だが、その質量だけで、相当だった筈。
少なくとも、手加減したつもりは毛頭なかった。
当然、この将と同じ程の力を持つ兵士というのは、居ないのだろうが。
同格かそれ以上の者達が、更にあの砦に詰めているかもしれない、等と考えるとぞっとしない。
他の魔族はどうあれ、少なくとも己にとっては。睨み合いを長く続けるというのも、出来れば遠慮したかった。
唯睨み合うだけで済めば良いが。互い、手を出さずに済む保証はない。
――それに、目的を果たすにせよ失敗するにせよ。
第七師団がこの砦に戻って来る事となれば、今度は此方が挟撃される立場に回るのだ。
後背を即かれるであろう後詰めにとっても、此処暫くで損耗している前線側にも。
正直宜しくない事実。)
其処も、同じじゃぁないか?
貴君等の国は…何も、我々の側に限った話じゃない。
東の外つ国にも、そも、彼の地に元居た民達にも。幾度侵攻を繰り返した。どれだけ、血の異なる物を虐げた。
…隣合ってしまっただけで、こんなにも、ぶつかる。
互いの領分という奴は。誰にも守る事が出来ないらしい。
(それが生きているという事であり、国を育てるという事なのだ、と言われれば。
残念ながら否定は出来ない。それこそ農業ですら、森の木々という異種族を駆逐し、農地という占領地を使役する。
狩猟も、経済活動ですらも、見方を変えれば侵略だ。
それでも、一定の線引きが出来るなら。分水量を見極められるなら。
少なくとも被害は減らせるかもしれないのに。
現に、今。将二人が向き合うこの隙に。双方の軍勢が退いている、立て直している。
この瞬間この戦場でだけは、無駄な血が流れずに済んでいる……筈、だ。希望的に見るのなら。)
――――共に生きる者を。想わぬ生物など、居やしないさ。
(低く、細く。それでも、確固たる確信を持って、答えた。
お前達はどうなのだと、問いを返す事もすまい。
少なくともこの男に対しては無意味な質問なのだから。)
だから。今、この場を退けるなら。
我々は直ちに、王国軍第七師団を追撃する。
――――彼等から、魔族の同胞を護る、その為に。
(これも。言う迄も無い、当然の帰結でしかない。
それでも確認めいて。宣誓めいて。口にしてしまった。
相手がこれだけ語ったのだ、己だけが腹芸に徹するのは――きっと、フェアではない、から。)
■バルベリト > 「老い先短い蝋燭の最期の燃焼かもしれねぇぞ?…………。」
さてどうしたものか。此方側と相手側の利害は一致している様で相反している面もある。
砦の防衛力と近場からの援軍を持ってしても、これ以上相手の戦力が増えてしまうと押さえ込めるかどうか。
切り札はあるが一度切ってしまえば暫く使えず、挙句長時間は持たない。
相手側の思考と此方側の思考を入れ替え、取替え。
数の優劣においての差と先ほど彼女が口に出していた数も吟味しよう。
――平たく言ってしまえば、だ。彼女に関しては非がない。
だがここで相手が全軍動くとなれば戦線崩壊まで行かずとも7師団の動きにも支障が出るだろう。
「―――出来る事ならアンタとは戦場じゃない場所で話をしたいもんだよ。侵攻もした。陵辱も略奪もした。魔族だけが犯して人間が犯していない罪なんてないってくらい、人間だってあくどい事はする。」
――なんとか両者の面子を保たせる。こちらの面子を保たせる理由は、然程他師団の長を信頼していないのがある。
…いや、一人の少女は信用出来るし信頼が出来る。だが少女が此処に来る事は自発的には考えにくく、そして頼み込むのも筋が違う。
「……ちょいとばかし、術を使う。アルテリエ。アンタは俺を信用して今から使う術を受け入れる覚悟はあるか?もしかしたら罠かもしれねぇぞ。」
■アルテリエ > 若輩の自棄っぱちと相殺するんだ、良い釣り合いじゃぁないか。
(今度こそ。苦笑を浮かべてみせた。
…もう少し、話を長引かせたいという所はある。
前線へと伝わった、第七師団に関する一方。
流石にそろそろ、本陣にも伝わっている事だろう。
其方の動きは、己よりも上の者達に任せれば、きっと悪いようにはしない…筈。
そして、今宵傷付いた兵達は。最低限、下がる事が出来た…だろうか。
既に己の思考は、完全に、この場から下がる事に向いている。
前線から後陣までか。本国までか。そんな違いだけであって。)
勿論、此方も。人の事は言えないけれど。
奪い、喰らい、をしなければ。生きられないのが……生物だから。
そう、かな。……いや。そうだな。
貴君となら、話は出来ると思うから。
(裏を返せばこの同意は。他の将、他の師団長、其方までは信用出来ない…
そも、信を置けるか否か、判断の基準すら無いという事だ。
唯恐れ、唯憎み、無知な侭。
故に戦は始まった。そして、終わらせ方も落とし処も見出せない。
――――少し、押し黙った。
戦場故のざわめきは、随分と小さくなっている……人と魔と。
互いが、直ぐには干渉出来ない程度、充分に距離を取る事の出来た証。
最低限、今宵再び戦端の開かれる事はないだろう。
その事だけは確信出来たなら。伏した目を上げ、男を見遣り。)
――――罠なら、罠とは言わないだろう?
…それに。…っは、もし罠ならば。貴君に覚悟して貰うだけだ。
(人から唯一、魔から唯一。
今戦場に残り、向き合っている立場として。
男に――彼に、右手を差し出した。
勿論、嵌った罠を内側から食い破る、そんな心積もりはしているし…
最悪。何があろうと、今の状況なら、被害は己一人で済む筈だから。)
■バルベリト > 双方息のある兵士達は無時下がったようだ。
流石に翼竜の強烈な一撃で死者は出たが―――後で華の一輪でも植えるとしよう。それしか、既に手を血で染めてしまった己に出来る事は無いのだから。
「今は――暫くは人も魔族もピリピリしてるだろうけどな。アルテリエ、あんたとなら茶を飲みながら飯や茶菓子を食えそうだ。
ははっ、それにアルテリエは美人だ。年寄りの目の保養には最適さ。」
相手の判断を尊重した。
今から行なうのは――自分以外だと知る人間は少数。いや、人間としては1人。魔族に知れるリスクはあるが、そこは話をしたうえでの信用もある。
少女の意識に、直接的に自分の意思を触れさせる。
口に出さず、言葉として残さない以上他者には感知の出来ない――ほぼ確実な会話の出来る、数少ない自分の魔法の一つ。
相手の右手が差し出される。こちらも右手を差し出し、より強固に意識を繋げに掛かる。相手の意識は読めないし見えない。あくまで――こちらの心理。思考。それらを相手に伝えるだけの、魔術の行使が始まる。
「…ありがとな。まだ人間を見限らないでくれて。」
■アルテリエ > (火術に撃ち落とされた人、飛竜に潰された魔。…今宵は、その程度だろう。
侵攻の件が始まってから、砦で幾度と無く繰り返されてきた激突の中では、随分マシな結果の筈だ…双方にとって。
少なくとも、これ以上、避けられる被害を増やすつもりはない。
これは兵の命を預かるのなら、当然の。責務という物だ。)
出来るだけ、早く退いて貰いたいものだよ。
彼等が、私の民に手を出す前に。
…どうかな。二人きりだと、噛み付くかもしれないぞ?
…その責に従って、男の提案を受け容れた。
手と、手とが触れ合う。差し出せば手を繋ぐ事が出来るのだ、等という陳腐な理想を語る気はないが。
口元の小さな牙を覗かす洒落っ気とは裏腹。
僅かに眉が吊り上がるのは。…男から伝わってくる物。
それが確かに、意識野へと届いた証だった。
何を言うでもない。不注意な言葉にする事はしなかった。
唯、もう少しばかりしっかりと。唯触れさせるのではない、確かに、手に手を重ね、握り合わせれば。)
■バルベリト > 「アルテリエがんなーことしねぇさ。そもそも噛み付く前におじさん、吹飛ばされちまう。」
それは冗談でもないだろう。目の前の相手は少なくとも――理由もなしにその様な事を吹っかける相手ではない。
それはこの短い時間のやり取りと。右手に伝わる、相手の手のぬくもりと力強さで十分に説明が出来る。
よっ、と立ち上がると、大地に刺しっ放しの巨大剣を銀の霧にもどす。これを所持しているだけで己は自己強化が必須になってしまうからだ。
「……ありがとな。」
相手に、もう一度だけ謝意は述べた。
そして己が居る間。城壁には1本しかない銀の大剣と、第八師団の旗が掲げられる事になる。
何かしらを相手と、己に伝える為に。
今宵得たものは――自分にとっては小さくない。寧ろ大きな物だ。自分にとっての小さな小さな足がかりでもかまわない。
魔族だからといって。全てを壊滅させるというのは間違えていると、正面切って反論出来るだけの――可能性を。未来を相手はこちらに感じさせてくれた。
「んじゃおじさんは――砦に引篭もりますかねぇ。アルテリエもまたな。…変な言い方になるが、お互い無事に。その内茶でも呑もうぜ。」
■アルテリエ > 貴君でなければ、その保証はしないさ。
私とて、食べていかねば生きられないし……
(そして、捕食対象の中に人間が存在する事も、否定出来無い事実だから。
とはいえ、約束を違える事はしない。
男が聖銀を引くのに合わせ。己も、密かに仕込んでいた――地中に染み込んだ血液への制御を解こう。
攻撃の必要は無い。間違いない確信と共に。)
…無駄な血は流したくない。それだけだよ。…本当に。
(だが、それこそが肝心なのだ。
そしてきっと、誰もが望む事なのだろう。
人も魔もそれ以外も関係無く。
その思いを、人の軍の中に見出せた、というのは。此方にとっても、決して悪い事ではない。
そして、魔の軍勢は退く。
内なる危険を優先したとも取れるし、睨み合いを選んだ、とも取れるだろう。
…今宵から暫く。魔族側からの攻撃は散発的な物となる。
聡い者が見れば、とある将の登城と、攻撃の鎮静化が、同じタイミングで起きているのだと。気付く事もあるかもしれないが…
それは恐らく、今回の戦が終わり、ある程度猶予が出来てからの事だろう。
伝えるべきを伝え、身を退けば。
とぷり――足元の血溜まりが沸き上がる。
下から上へと逆巻く渦に飲まれる、間際。
「――――そうそう。…残念だけど、無い物は、見せられないな?」
(きっと男にしか伝わらない、そして本気か否かもしれない、戯れ事のような一言を残し、片目を瞑ってみせれば。
沸き返った血が、再び、重力に従い地に落ちた後。
其処に、彼女の姿は存在しなかった。)
■バルベリト > 「――控えてくれってーのもこっちの勝手なお願いって奴だもんな。せめて捕食した後で治癒するとか、後なんだっけ。吸血?するようなタイプなら、手厚く領地でかくまってくれりゃありがたいね?」
さて見送り間際。気になる事を彼女は言っていた。
ぶっ、と噴出したのは誰にも気付かれなかったと信じたい。見られていたら恥ずかしいどころではないからだ。
ともあれ砦の軍勢もまた、積極的に打って出ることはしない。
徹底的に守りを固める。かけられている発破も「7師団の帰陣の為にも!ここでは1人の命が重みを増すかんな!」という掛け声。
兎も角、タナール砦近辺では戦線のこう着状態が生み出された。
人も。魔も。お互いが傷を造らず、そして作ろうとしない。
ある意味平和な――一時の時間を。
ご案内:「タナール砦」からバルベリトさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」からアルテリエさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」に紅月さんが現れました。
■紅月 > ーーーがやがや、ざわざわ…
ぶっ倒れて『1日安静に休め』と救護部隊長に仰せつかった私ですが…んな事言ってる場合じゃありません、今度のお客さんは吸血鬼らしい。
折角なので魔力回復のポーションこさえながら戦場を盗み見てみます…ちゃんとそこら辺の残り火に隠れるんだぞ、鬼火ちゃん達。
万が一の為に部屋内部に強固に強固を重ねた防護結界を張り、暫し黙して戦況を眺めていれば…吸血鬼というよりは吸血姫といった様子の魔族と、砦を任されてる騎士隊長の、握手をする姿。
…どうやらあの縦にも横にもゴツいオジサマは、あんまし魔族云々がどーたらこーたら、とか言わなそうだ。
「ん、それなら…8の人が居る時優先で仕事受けようかな」
己が歪な混ぜ物であっても、やはり血の一部である魔の者が無闇に狩られ虐げられるこの国の現状には…少々、かなり、疑問があった訳で。
そんな中にもそういう下らないモノに囚われていない人間がいるとすれば、やはり贔屓したくなるというもの。
鬼火たちを彼岸に還し、伸びをひとつ。
かきり、こきり…肩やら首やら鳴らしまして。
「…さて、胃の穴は塞いだし睡眠もとった。
血が足んないのはそこらの死にたてからわけて貰うとして…ドーピング用のポーションも大量生産完了!
…今日こそ、救護室閑古鳥にしたらぁ」
表の戦が終われば、裏の戦が始まります。
さ、お仕事お仕事。
■紅月 > 救護室にヒョッコリ顔を出せば、無理矢理メディカルチェック受けさせられた後…部隊長に『お前この一山終わったら説教な』なんて言われつつ、怪我竜の皆さんの治療に取り掛かる。
…え?人?
違う違う、怪我『竜』の方。
人間なら治せる人いっぱいいるからね、竜の方です。
竜舎に入る前に召喚魔術を用い、クローロ…家族の一員である、まだ赤子の飛龍を呼び出す。
ただの人間(に化けた魔と精霊の合の子)が手ぶらで顔を出すよりは、やはり多少反応も変わってくるのだ。
成猫サイズの子龍は不思議そうに、けれど嬉しげに着物の胸元に貼り付いてキューキュー鳴いている…はー可愛い。
…意識が逸れた、先を急ごう。
「失礼しまーす、治癒術師ですー」
■紅月 > 中にいた人を『治療に集中したいから』と説得して、外に出ていてもらう。
誰もいない事を確認してから口を開く。
【貴方達の勇敢な姿、見ていたよ。
痛かったね、頑張ったね…今、治すから】
紡がれるのは、古代の言葉。
竜に言葉を伝えるなら、古代語から変換した方が早いのだ。
一匹一匹話しかけながら、そこここにある火球による火傷を癒していく。
己の婆様は火精霊…故、火による傷の治療ならお手の物。
■紅月 > そうして、じっくり仕事を終えたらゆっくり帰ろうか。
ご案内:「タナール砦」から紅月さんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にゲイゼリクさんが現れました。
■ゲイゼリク > タナール砦…その城壁の一角にて。細葉巻を口の端に咥えながら、ぼけーっと案山子の様に突っ立ってあらぬ遠くを眺めている銀髪片眼鏡の男。
腰や背中に帯びた七本の刀剣が目立つが、軍服を着崩していたり鎧の類を一切纏っていないなど、ある意味で目立つ。
「…んーー…膠着状態、っつぅ所かねぇ。まぁ悪くないっちゃ悪くないんかなぁ」
ボソリ、と独り言を呟きながら左手を手持ち無沙汰に腰に提げた剣の柄の一つに添える。
この調子だと自分が出張る場面はまぁまず無いとは思うのだが…。
「…さーてさて、あちらさんが、こっちをどれだけ舐めてどれだけ警戒してるか…後は…んー…。」
視線だけをあちこちに走らせる。ここではない何処か遠方を見ているかのように。
しばし沈黙を挟んでから、一度盛大に葉巻から煙を吐き出して。
「…あちらさんも統制が取れてる、とは言い難いみてーだしなぁ。好き勝手それぞれが動いて混戦模様、も有り得るわなぁ」
面倒臭い事にならんといーけどねぇ、とボヤくように口にして苦笑を浮かべ。
■ゲイゼリク > 「…と、ゆーか…殺し合いする前に会話する余裕が大事だと俺は思うんだけどなぁ。
ほら、魔族さんにも過激派とか穏健派とか色々多分居るかもだし…。
それに、美人さん相手とかだったら殺し合いしたくねーもんなぁ」
仮にも師団長の一人が口にして良い言葉でもないが、どうせ誰も聞いてないだろうしお構いなし。
まぁ、例え聞かれていても『第六師団の師団長はアレだから』で多分済まされる。
「まぁ、変わり者扱いされた方がこっちもこっちで肩肘張らずやり易いもんさ…ってな」
時々、通りかかる兵士達に気さくに緩い笑顔で手をヒラヒラと振って労いつつ。
今は…第八師団だったか。ちなみに我ら第六は…まぁ、方々にそれぞれ散っている。勿論任務だ。
「も少し増員してくれてもいいよなぁ、ウチの師団…便利屋にも慣れたけどねぇ」
少数精鋭、と言えば聞こえはいいかもしれないが実際は個人の負担がデカいだけである。
第五や第七、そして第八に比べても第六の知名度は低い、あと師団長がコレだから酷評も多い。
とはいえ、評価してくれる者もそれなりに居るからこそまだこの師団が機能しているとも言えるのだが。
(…と、ゆーか師団長が部下も連れずに前線に単独で来るってのも、本来あっちゃいけないんだろーけどなぁ)
ご案内:「タナール砦」にクラリッサさんが現れました。
■クラリッサ > タナール砦をまるで自分お庭のようにてくてくと歩いてやってくる。
周辺の魔族はざわつくがニコニコと笑顔を振りまいて手を振って答えるのみ。
「さてと…」
流石に戦闘中なだけあって周辺の空気もピリピリとしているがいつもと変わらぬ様子で。
「すみませーん!話ができる方はいらっしゃいますかー!私、通りすがりの魔王なんですけどー!」
ご案内:「タナール砦」にゲイゼリクさんが現れました。
■ゲイゼリク > 「……およ?これまた…。…あ、あーー…これ、俺が出た方がいいかなぁ…。」
周囲の喧騒、慌しさが増す中でも一人暢気に葉巻を燻らせていた男であったが…。
何か一人の修道女さんがいらっしゃった。…まぁ見かけだけなのかもしれないが。
「はいはーーい、しがない騎士のオジさんでよければ話し相手くらいにはなりますよーっと」
暢気に笑みを浮かべてそちらに軽く右手を振って存在を示しておこうか。
どのみち、こちらの容姿は意外と目立つのであちらも直ぐに分かるだろうか。
…と、いうより周囲の人間と比べて一人だけ鎧とか防具を纏ってないので逆に分かり易いかもしれないが。
(…しかし、魔王さんねぇ。降伏勧告とかだと、俺の判断じゃどうしよーもねぇんだけども)
■クラリッサ > 「…騎士?文官かと思いました」
最前線で鎧も来ていない姿を見て勘違いしそうになるが騎士を名乗る以上は騎士なのだろう。
「ええっと、今回は話をしに来ただけです、そちらの目的は伺っております、ロザリアさんと喧嘩したいのでしょう?なんか偉そうな女騎士の人をボコったらゲロったので」
遠い、ちょっと話辛い。
そう思ってもう一人クラリッサが現れてテーブル、椅子、お茶の用意をしてすぐに地中へと戻っていった。
「遠いですね、そこの騎士さんお茶でも飲んでお話しません?」
■ゲイゼリク > 「あっはっはー…うん、文官ねぇ。むしろそれはマシな勘違いかもねぇ」
もっと酷い例えをされた事など幾らでもある。文官なんてむしろ良心的な勘違いだ。
周囲の兵士たちが警戒などで殺気立つが、まぁまぁと両手を挙げて彼らを落ち着かせる。
「君ら第八でしょ?そっちの師団長…えーと、今は代理さんだっけ?ここは第六のアレな師団長が何とかしますって感じでさ?そんな感じで伝言頼むよ」
と、笑って兵士達に言伝を頼みつつ視線を修道女の姿をした女性へと戻し。
「あーー俺はそのロザリアちゃん?とは面識多分無いけど…まぁ、そうなんじゃない?」
凄い他人事のように口にするが、侵攻作戦の会議も第六の師団長たる男は”諸事情”で欠席していた。
そもそも、第七の因縁であって第六の自分などさして繋がりも確執も無いといえる。
と、そんな受け答えをしていたら何かもう一人現れた。そしてお茶会のセッティングをしてから地中に戻っていく修道女さんその2。
「んーー構わないけども。あ、そっちの魔族さん達もノータッチでよろしく頼むよ?」
と、周囲の人間や魔族を差し置いてそれぞれマイペースな男女二人の図。
そのまま、城壁からヒョイッと無造作に飛び降りて…音も無く着地する。
怪我した様子も無く、暢気な歩調でテーブルの方へと歩を進めていく姿は兎に角緩い。
■クラリッサ > 昼行燈気取っているけど、ただ者ではないな。
城壁から飛び降りて着地しただけでも身体能力は大したものだ。
そう思いながらも来客用のお茶を入れる。
「少々、聞きたいことがあって来ました…補給、ちゃんとできているのでしょうね?侵攻したなんたら師団?まさか侵攻中に魔族の国のど真ん中で略奪とかやらかすアホじゃないですよね?」
正直、それだけが気がかりだった。
紅茶を一口飲んで。
「…毒とか入れてないのでご安心を、魔族の国の茶葉ですが味は保障しますよ」
ご案内:「タナール砦」にゲイゼリクさんが現れました。
■ゲイゼリク > 実際の所…昼行灯を気取っているどころか、むしろ昼行灯が通常スタイルだ。
ともあれ、暢気にテーブルの前までやってくれば、流石に座るのに邪魔なので指をパチンと鳴らす。
と、腰や背中に帯びていた7本の刀剣が忽然と消えた。そうして椅子に腰を下ろしまして。
「んーー、補給ねぇ?俺の師団のトコで補給物資の調達を一部担当はしたけど…そうだなぁ。
正直、今回の作戦が完遂…するかはさて置き、現状の補給物資の量だと可能性はゼロではないかもねぇ」
と、少し考える素振りは見せたが、ヘラリと笑ってあっけらかんと述べる。
ここで相手を安心させる言葉を選んでも上っ面で保証も無い。ならいっそ素直な意見を述べるまでだ。
そもそも腹の探り合いとか、王城という魔窟だけでご勘弁願いたい青年だ。
なので、相手が魔王さんであっても、割とぶっちゃけて口にする。
「ん?ああ、魔族の国のお茶かぁ。”懐かしい”ねぇ。」
呟いて笑いつつ、普通にカップを手に取り一口、うん、美味しい。
■クラリッサ > 「…ぶっちゃけますね」
まあ正直助かる、腹の探り合いしに来たわけでもないし。
「聞けばその師団?ロザリアさん…あ、吸血鬼でおっぱいの大きいお嬢さんなんですけど、その方と相当因縁があるようで、だからその方と決着を付けるだけなら別にいいんです、ただ問題はその後、ロザリアさんが勝ったらそれでよし、ただ負けた後…イキって村焼いたりしたら、静観している魔王も動きだしますので」
一息ついて。
「よーするに、喧嘩は黙って見ておいてやる、余計なことしたら殺す、って伝えておいてください、関わらないと言った手前あまり直接は言いにくいですし」
ご案内:「タナール砦」にゲイゼリクさんが現れました。
■ゲイゼリク > 「腹の探りあいは王国内だけでじゅーぶんだよ俺はさ。こういうのはストレートに言った方が話が早いでしょ?」
下手に誤魔化しをして通じる相手…でもないだろうし。
こういう時、円滑に進めるコツの一つは敢えて隠さずにぶっちゃける事だ。
「…ふむふむ、その巨乳吸血鬼さんと因縁がある、と。あー、確か前にオーギュストの旦那が行方不明になってた時期があったし、そういうのかなぁ。
…あ、オーギュストの旦那ってのは、今回の侵攻作戦のメインの第七師団のトップね。
その、ロザリアちゃんと因縁あるのは、第七師団…もといオーギュストの旦那なんだろーさ」
と、そこまで答えてから少し目を細めて修道女さんを見遣る。とはいえ何かを企んでる視線ではない。
「…成る程ねぇ。その場合…他の魔王さん方――君も含めてウチらを潰す、と。うへぇおっかない…ま、でも当然か」
苦笑いでそう口にしつつカップに口を付ける。お茶を味わいつつ、さてさて。
「伝言はいーけど、俺の意見なんて通るかねぇ。警告程度にはなるかもだけど。
…ま、りょーかい。承りましたよ。あ、一応名乗っておいた方がいい?
俺は第六師団の師団長のゲイゼリク・アルカンシエル。修道女な魔王さんのお名前は?」
ご案内:「タナール砦」にゲイゼリクさんが現れました。
■クラリッサ > 助かる、超助かる。
話が通じる上に物分かりもいい。
「いやー話が早くて助かります、この前の女騎士さんとか明らかに私たち魔族を下に見てましたし、ちょっとイラッとしたんで3万人ほどでボコボコにしました、ついでに砦にも穴開けました」
どうやら話を聞く限りそこまで権限は無さそうだ。
あまり権力に興味の無いタイプなのだろう。
「私、クラリッサと申します、お会いできたのがあなたの様な人格者で良かった」
人間にも色々いる。
最も先ほどの言動から見て本当に人間かどうかは分から無いが。
「では、伝えたいことは伝えましたので失礼させていただきますね、後方の魔族の方たちには死なない程度に戦っている振りぐらいで結構ですと伝えておきます」
もうこの段階になると補給が途絶えてとち狂って略奪される方がめんどくさい。
決着がどうあれさっさと帰ってほしいのが本音だった。
「では、ごきげんよう」
そう言って地中へと潜って去っていく。
テーブルの上には袋に入った紅茶の葉が一袋おかれていた。
ご案内:「タナール砦」からクラリッサさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にゲイゼリクさんが現れました。
■ゲイゼリク > そもそも、師団長の中でもどちらかといえば穏健…もとい日和見?なスタンスがこの男だ。
だが、そういうスタンスだからこそこういう場でも平然と何時もの態度で落ち着いた会話を楽しめる。
…まぁ、内容は魔王さんからのご警告な訳だが…もっと和やかな話がしたい所である。
「……あーー砦のあの大穴って君がやったのね…そりゃまた」
苦笑いを浮かべつつそれを咎めるつもりは別に無い。と、いうより物量で押し通したのか。
ちなみに、権力には実際さして興味は無い。今の地位に居るのもそういう”契約”の一環で居るだけだからだ。
「はいさ、クラリッサちゃんね。俺は別に人格者でもねーんだけど…うん、まぁありがと」
ガワは紛れも無い人間だが中身は別人だ。それを指して”人”格者というのも変な話だが。
「あいよ、助かる。どうもこの膠着状態は続きそうだし…それが良さそうだしねぇ」
こちらも、第八という別の師団の兵士達ではあるが、それとなく膠着状態の維持を頼んでおくとしよう。
さて、地中に潜って去っていく修道女な魔王さんを見送れば、残された茶葉の袋をありがたく手に取りつつ。
「…とはいえ、第七の連中が俺の警告、もといクラリッサちゃんの伝言を聞いてくれるとは思えねーんだけどなぁ」
一考はするが敢えて無視する、もしくは論外と切り捨てる。その辺りが妥当な気もする。
■ゲイゼリク > 「……うーん、契約で人間になってみたけど、結構忙しないモンなんだなぁ」
ガワではなく”中身”の本音がつい漏れてしまった。だが幸い、人間にも魔族にも聞かれていない。
まぁ、流石に聞かれるようなヘマはしないが。取りあえず片手に魔族の国産の茶葉の袋を手に砦へと戻る。
「はーーい、兵士の皆さんごちゅーもく。俺は第六師団の…え?知ってる?そりゃ失礼。
まーー、今しがた魔族さんとちょーーっと”交渉”してしばらく戦線は膠着状態の睨み合いが続くと思うけど頑張ってなーー。
あ、それと多少俺の師団のツテで食料と医療物資は回しておくんで」
と、彼らに語り掛けつつ第八の師団長代理…は、いないか。まぁ仕方ない。
さてさて、伝言を頼まれはしたが通るモンかなぁ、と溜息を内心で零しつつ――。
■ゲイゼリク > そして、また適当に葉巻を蒸かしながら魔族の国の方を眺めていたが…その姿は何時の間にか消えていたとか。
後で兵士達から『あの第六の…ゲイゼリク師団長は?…サボりか!!』と、言われたのは言うまでも無い。
ご案内:「タナール砦」からゲイゼリクさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にバルベリトさんが現れました。
■バルベリト > あさおきたら ほうこくしょが やまづみだ!
「なんて冗談言ってる場合じゃねぇなこれ……。」
肩をぐるりと回す。僅かに軋む異音が聞こえるが大事無いだろう。
それよりも報告書に目を通すほうが先決であり、自分が意識を失っている間の戦況…と言うより昨夜の約束を違えていないかが気にもなる。
ざっと目を通すとそれだけで文字が脳味噌を苛めてくるが、我慢するように眉間に皺を寄せながら最新の物から頭に叩き込んでいく。
「そっか、6師団長きてくれてたのか。後で感謝しとかねぇとな。」
魔王出現の報告は有った物の穏便に済ませてくれたようだ。
話の内容までは報告に上がってこないが、大まかに言えば小競り合い程度で此方は見逃してくれること。
補給について一部を請け負ってくれるという有り難い申し出があった事。
急ぎ6師団長への感謝状と、大至急で6師団の人員増加要請書を王都に出していく。
補給網については砦から三路使って補給網を飛ばしている。
略奪をしないとは信じたいが――そもそも1個師団単独で敵地の魔王討伐に向う事が既に理外の世界。無理にこちらからそれをやるな、と言えば逆に神経の逆撫でを招く恐れもある。
タナール砦への補給路は事前に万端に整えてはある。元々兵站を担う事も多い師団なのだ。目に付きにくい路と、付き易い路。短距離のピストン輸送こそ難しいが、蛮族程度なら軽くあしらえる護衛はつけている。
「んで、医療班すげぇな…龍の手当てまでしてくれたのか。」
どうやら腕利きが協力してくれていたようだ。
既に傷を負った翼竜や巨大翼竜などはほぼ快方に向い、元気に大空を飛べるまでに回復しているとの事。
名前こそ知らないが、それでも感謝の念しかない。こっそりと次の補給品に医療班への補給剤として甘味や酒を回すとしよう。喜ぶかは判らないが。
戦時中?だからどうした。貴重な人員の命を繋ぎとめてくれた恩人に恩を返さずして何が騎士かと鼻で笑ってやろう。
■バルベリト > 地図に駒を。護衛部隊と定点護衛の任につけた師団の兵に出す指示を済ませ、後は地図に大まかだがラインを引いていく。
赤いラインが砦前の魔族の前線ライン。蒼いラインが7師団が帰陣してくる際の予想路だ。もっとも、予想は予想でしかない上に下手をすれば7師団が其の侭敵陣に切り込まないか不安はある。
……そうなった場合どうすべきか。砦から打って出る?冗談ではない。
魔族にだって無駄な戦を嫌う魔族もいるではないか。
嫌々ながら参戦せざるを得ない魔族を蹂躙する等――最早それは人間として――
「っといかんいかん、あんま難しい事考えると頭がボケるな。あー、召集令状きてんのかよ面倒くせー!」
見なかった事にしてビリビリに破き、ゴミ箱へポイ。
どうせ報告してもなんら変わらないのだ、そんな物の為に砦を空けて――代理の代理についた指揮官が変な蛮勇を揮われても困る。
給料や評価は下がるだろうが知るかそんなこと。
■バルベリト > 「取り敢えず防戦だけで良い。ただ、今回の動きでまーだ動きを見せてない厄介な奴もいるからなぁ。場合によっては速やかに砦を一旦放棄。手順は指示通りだ。……一応、サロメから話は聞いているが――ちょいと透明になる連中の対策は間に合わねぇ。記録のための魔水晶の配備だけ怠るなよ。」
そう、魔王級とも言える戦闘力と、妙に統制の取れた軍団を使う魔族の目撃報告、出現報告を受けていないのだ。
現時点で判るのは透明化された場合為す術がない事。
鉄の扉程度で防げるような相手では無い事。
単独の戦闘力も問題だが、それ以上に軍としても驚異的な点が目に付く。
紛れも無く今のタナールに出てこられても、7師団の方に出張られても困る面子だろう。
無理に応戦するよりは犠牲を出さず、寧ろ透明化されようと逆に砦の中に陣取らせてしまえばやり易い。
色々な意味で、だ。
「後はまぁ……約束だけは守らねぇとな。こっちからの手出しは引き続き厳禁。本体が動けば流石に見逃しはできねぇけど――小規模な軍の移動程度に引っ張られるなよ。基本戦力は、あっちの方が上なんだからな。」
副官連中に声を掛けておく。念入りにだ。城壁に登る弓兵が軽い気持ちで打った一本の矢が膠着を崩すことだってありえる。
■バルベリト > その後、この師団長代理は物陰で寝ている姿が見つかったのだが、それは又別のお話。
まだもう少し人と魔が歩み寄れる、未来を。希望を夢に見て――
ご案内:「タナール砦」からバルベリトさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にカインさんが現れました。
■カイン > 数刻前まで激しい戦闘の起きていた砦。
今は王国側の旗の翻る門の前で、億劫そうな表情を隠しもせず番をしている男の姿があった。
幸い死傷者はそう多くはない物の、先ほどの戦闘で被った被害はそれなりのようで、
結果として外様の傭兵までもが門の前に駆り出される始末である。
「……しかしこいつは、まずいんじゃないかね?」
そう独り言を漏らす物の、それを聞く者は誰もいない。
騒々しい声の聞こえる砦の内側に視線を向けると、
多くの人影が右往左往している所が見て取れる。
「砦をとったはいいにしろ、維持できないんじゃお話にならんなあ」
そう、ぼやいた言葉は風に消えていく。
ただっぴろい砦の前の殺風景な景色を詰まらなさそうに眺めて肩を竦めた。
もう一戦、などとなったらそれこそ尻尾をまいて逃げるか籠城でもするかだろう。
■カイン > 「ま、そうなったら殿でも買って出るか。
他にできそうなのも数がおらんだろうし、
今の国軍に手練れが居るならそれでいいんだが」
雇い主が消えてしまっては報酬がおじゃんだし、
何よりも肩を並べた相手がくたばるのは目覚めが悪い。
仕方がないと流す程度の感傷とはいえ、酒が不味くなるのは宜しくない。
顎に手を当てながら剣を軽く叩くと、息を吐いて少し気合を入れる。
何せ相手は魔族である。何を仕掛けてくるのか分かったものではない。
■カイン > 「…お、交代要員か。遅かったな?
全く、このまま一日中立たされるものかと思ったぞ」
漸く現れた二人組の見張りにそう声をかければ手を挙げて、
そのまま横に振りながら入れ替わりに砦の中に去っていく。
持ってきた酒でもとりあえず飲んでしまおうと頭の中で算段立てながら。
ご案内:「タナール砦」からカインさんが去りました。