2018/06/23 のログ
ご案内:「タナール砦」に騎士アルダーさんが現れました。
■騎士アルダー > 「私とエリンだけでいい、他の皆は戻っていてくれ」
其れは狙ったかの様な動きだった。
タナール砦を前に六人の男女が集っていた。
其の内の騎士の騎士を纏う青年が、肩に一人の少女を担ぎ残りの面子へと言葉を向ける。
『ま、ほら、コリン?団長様が一緒なんだから心配しないの!』
青年の肩に乗った少女が、同じ見た目をした少女へと言葉を掛ける。
其の少女は黒のカチューシャ、声を掛けられた少女は白のカチューシャを付けていた。
まだ少し不安そうにはしているも、白の少女は残りの三人と共に姿を消す。
「私が攻撃を往なす、コリンは敵を転送で王都に。
此の砦を無人にするのが今回の狙いだ、いいね?」
『はーい!』
青年の言葉に、黒の少女は元気に応えた。
■騎士アルダー > 「早く終わらせて、戻ってティータイムだ。
きっとコリンが美味しいお菓子を用意している」
青年の言葉に、黒の少女はぱっと輝くような笑顔を浮かべる。
『わーいっ!それじゃ、ちゃちゃっとやっちゃうよ!』
明るい少女の声に、青年は柔らかな笑顔を返す。
そして、其の表情を引き締めて。
「では行こう」
少女が落ちない様に手を添えて、青年は地を蹴る。
其の動きは。重い鎧を身に付け少女を方に乗せているとは思えない素早さだった。
一気にタナール砦の扉の前に詰め寄る二人。
たった二人、然も疾風の様な動きに見張りの者達は反応も出来なかった。
■騎士アルダー > 扉は目の前、だが青年は其の足を止めない。
そこで動きを見せたのは、肩に乗った少女。
手にした杖を振り翳し、其れを扉へと向ける。
『爆ぜちゃえ!』
其の言葉と同時に、ボンッ!と大きくも無く小さくも無い破裂音。
煙の立ち上がる扉、其の侭青年は一気にすり抜けて行った。
其の煙が引いた後には、ほぼピッタリ二人が通れる穴が開けられていた。
音に反応し、何事かと集まってくる王国の兵士達。
だが、其れに反応する前に少女が又動く。
姿を見せた兵士達へと人差し指を差して。
『転送!』
途端に兵士達の足元に一瞬で魔法陣が浮かび上がり、其れが消えてしまうのに合わせ兵士達の姿が消えた。
「其の調子で残りもいこう、頼むぞ?」
『おっまかせー!』
そんな調子で、二人は兵士達が姿を現わせば転送を繰り返してゆく。
■騎士アルダー > 破裂音と共に、静かになってゆく砦の内部。
異常を察知した兵士の数人が、狼煙を上げようと屋上へ移動し準備を始める。
然し…
「予想通りか、魔族の国に向かった連中への連絡…そうだな?
残念だが一歩遅い」
既に砦内の兵士達は転送を終えたか、二人の姿が屋上に現れる。
仲間の一人からの情報で人数や砦内部の構造は把握済みだ。
其れが此の迅速な行動を可能にしていた。
『それじゃ、ばいばーい♪』
少女がニッコリと笑顔を浮かべて手を振る。
ピッと次いで指差し…
『転送!』
こうして、タナール砦は二人を残して無人と為った。
ご案内:「タナール砦」にクラリッサさんが現れました。
■クラリッサ > 最近人間の進行やらでピリピリしているので偶には魔王っぽいことも使用とタナール砦へと向かって歩いている。
「いつもの散歩コースですけど…さてさて、どうなっていることやら」
タナール砦の近くまでやってきた…が。
どうも静かだ。
「無人?そんな訳ないんですが…」
大体人間か魔族かどっちかが占拠していることが多い。
逆に言えば無人の状態と言うのは稀なケースだ。
砦の前までくると大きく息を吸って。
「すみませーん!どなたかいらっしゃいませんかー!」
■騎士アルダー > 無人と為った、然し…砦の外から新たな存在を知らせる声が響いた。
其の声に反応した青年は其方へと顔を向ける。
だが少女の方は表情を一変、不安気なものと為った。
『出て、団長。此の魔力…間違いなく魔王様の誰かだよ』
「……仕方ないか」
少女の言葉に、深い溜息を吐いて青年は屋上の床を蹴る。
其の侭、軽い身のこなしで声の主が居るだろう付近へと着地した。
一度相手の姿を見、頭を下げる。
少女も其れに釣られた様に頭を下げて。
「失礼…私はアルダー、彼女はエリン、今は私達二人のみしか居りません。
何用か在ったのならば申し訳ない」
■クラリッサ > 意外と礼儀正しい。
前線に出てくる人間にしてはかなりの好印象だ。
こちらもぺこりと頭を下げて。
「丁寧な挨拶痛み入ります、私はクラリッサと申します、通りすがりの魔王なんですけど、あなたたちこちらでは見ない顔ですね、人間でしたら申し訳ありませんが帰っていただけないでしょうか?」
いつもの退去勧告。
そしてそれに続いて。
「最近人間の魔族の国への侵攻の噂はこちらでも持ち切りです、こちらとしてもあまり事を荒立てたくないのです、どうか穏便に済むようにお願いいたします」
ここに関しては個人的には嘘ではない。
他の魔王はどうかは知らないが、個人としてはここは緩衝地帯であってほしい。
そう思っての発言だった。
■騎士アルダー > クラリッサ、確か情報の一つに其の名前が在った。
流石に詳しい事までは解らないが、分身を放ち触手を使う魔王だった筈だ。
魔王にも種類は色々と居るのだが、如何やら穏健派らしい。
「私達は魔王メフィストフェレス様に従いしファウスト騎士団、人間で在り、魔族でも在る存在です。
現在は人間とは敵対する立場ですので御安心を」
名が知られているかは分からない処だが、もう少し詳しく名乗る。
序でに彼女が思っている様な存在では無い事も伝えて。
「其の意見には賛同致します。
故に今回は人間の者達には強制的に御帰り願いました。
此れで少しの間は静かな時間も戻る事でしょう」
主、メフィストフェレスと同意見の内容。
其れが解れば、今の砦の現状も彼女へと伝えておいた。
因みに少女はと云えば、肩の上は変わらないが大人しく事の成り行きを見詰めている様だ。
■クラリッサ > 「メフィストフェレス…え?ちょ」
かなり前にいなくなったはずの魔王だ。
まさかこんな場所で名前を聞くことになるとは思わなかった。
「生きてたんですか…まあそう簡単に死ぬような方ではないですが、とにかく、今のあなた方は我々の味方、ということでよろしいですね?」
味方かどうかの再確認だけはしておく。
分身を1体増やして大聖堂からワインを1本持ってきてもらい。
「それでしたらお酒でも一杯いかがですか?お疲れでしょう?」
■騎士アルダー > 「はい、現在は人間の地にて趣味を交えて静観中との事です。
最近までは私達は魔族の国で静かに暮らしていたのですが…色々と在りまして。
そうですね、其の見解で宜しいかと思います」
確かに数百年と魔族の国を離れている筈、そう思われても仕方ないだろう。
主に変わって此方の現状も、彼女為らば伝えても大丈夫であろうとの判断だ。
「私で宜しければ…エリンは如何する?」
増える分身に情報が確実であると改めて思わせられ乍も、勧められるワインに肩の少女に聞いてみる。
『あた…わ、私はその、苦いのはちょっと苦手なん…なので、はい』
明らかに不慣れな様子での受け答え、其の様子に青年は苦笑を浮かべ…
改めて彼女へと向き直り、失礼、と少女に代わり伝える。
「との事ですので、私が一杯頂きましょう」
■クラリッサ > 「…人間も一枚岩ではないのですね、私が人間だったころから何も成長していない」
ある意味最初からバラバラの魔族の方がまだ連携取れるんじゃないかと思いため息を吐く。
「あら、そちらの子はお酒は苦手?」
肩に抱えられている少女を見る。
可愛い、事情を知ら無ければ苗床になってほしい所だがさすがに今回は我慢して。
更にもう1本、ブドウのジュースの瓶も持ってきて。
「ではこっちのジュースをどうぞ」
ワインとジュースと別のグラスに注いて2人に渡し。
自分の分のワインもグラスに注ぐ。
「ではどうぞ…メフィストフェレスさんにはよろしくとお伝えください」
■騎士アルダー > 「そうですね、特に地位や権力を持つ者は自らの欲望や保身の為に平然と律を破るでしょう。
昔も今も何ら変わりは在りません」
内に何か在るのだろう、無表情で彼女に同意の言葉を添える。
『あ、あの…ごめんなさい…』
そうして勧められる事も無かったので、青年も知らなかった事。
彼女の言葉に申し訳なさ気に答えるも…ワインとは別にジュースが出てこれば、ぱっと表情を輝かせた。
『ありがとう、クラリッサ!…あ、クラリッサ様…』
如何やら青年と違いこうした場は苦手らしい。
苦笑いを浮かべ乍も、ジュースの注がれたグラスを嬉しそうに両手で受け取った。
青年も、ワインの入ったグラスを手にして。
「分かりました、そう伝えておきます」
グラスを傾け乍彼女へと答える。
■クラリッサ > 「クラリッサ、でいいですよ…可愛いお嬢様」
やはり可愛い女の子は好きなのか優しい笑顔を見せて少女の頭を撫でる。
そしてグラスの中のワインを飲んで。
「では私の役目は終わりですね…あ、できればタナール砦に下手に居座ったら魔王が飛んでくるって噂でも流していただければありがたいですわ」
こっちは情報戦はできない。
それができる味方がいるというのは心強い、そう思ってお願いして。
「それでは失礼いたします、もう夜が明けてしまいそうなお時間ですしね」
そのまま体の形が崩れて触手の塊になって地中へと消えていった。
ご案内:「タナール砦」からクラリッサさんが去りました。
■騎士アルダー > 『あ、うん、えっと…』
彼女からはそう伝えられるも、青年の方を一度見る。
本人からそう言われているのだから構わないだろう、との判断だ。
『うん、ありがとう、クラリッサ』
改めて言い直した。
「噂ですか……分かりました、仲間の一人に得手としている者が居るので任せてみましょう」
魔王自ら噂を流そうとは確かに難しいだろう。
その頼みは受ける事にしておいた、主にも報告しておこう。
数日としない内に、王都には砦の滞在は魔王を呼び込むものなのだと噂が広がり始めるが…
其れを真に受けるか如何かは聞き手次第となるか。
ワインと、少女はジュースを空けながら、消える彼女を見送る。
「改めて…ではあるが、私達も戻るとしよう。
転送を頼む、エリン」
『ごちそーさまでした!…あ、うん、それじゃー…転送!』
青年の言葉に、大きく少女は頷き応える。
言葉と共にピッと指を足元へと差せば、魔法陣が二人の足元に…其の侭、二人の姿も消えていった。
ご案内:「タナール砦」から騎士アルダーさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にサロメさんが現れました。
■サロメ >
「…どういう、ことだ…?」
──魔族の国への調査は数人で行った
結果、『翼在る獣』と呼ばれる軍勢の軍団長と遭遇、一人が負傷
自身もまた負傷し、この砦まで後退を余儀なくされた
その道中で見たものは砦からあげられた狼煙
既に先に帰した数人の騎士が到着している、筈だった──
「おい、誰かいないのか!?」
砦からは誰の気配すらもしない……
馬から負傷兵を担ぎ降ろし、門番すらいない砦へと足を踏み入れる
■サロメ >
魔族に奪還されたならば魔族がいる筈だ
しかし砦の中には魔族の姿すらも見当たらない
一先ず負傷した騎士を治療術士が常駐している小部屋へと運ぶが、やはりそこにも誰もいない
「……理解が追いつかん、何があった…?」
とりあえず簡素なベッドへと寝かせ、自身も負傷した肩の治療を始める
幸い、治療に使う道具はそのまま残っていた
ご案内:「タナール砦」にバルベリトさんが現れました。
■サロメ >
肩口が貫かれ満足に腕が上がらないと、防具を外すことすら苦労する
此処までの道のりですっかりあがってしまった息を整え、汗ばんだ肌をタオルケットで拭ってゆけば少しずつ、頭も冷えてくる
「…ラボラスの仕業か…いや、私達のほうが早かった筈だ…。
翼在る獣とは、別の勢力か……くそ、情報が少なすぎる」
赤黒い血の滲む右肩を包帯で締め付けてゆく
しばらく剣を両手で握ることは出来なさそうだ
…元々左利き故、他のことをする分には支障はないが
「大きな戦闘の痕跡もない。皆して神隠しにでもあったというのか…?」
防具はつけず、マントを羽織り一旦部屋を出てゆく
…誰か一人くらいは砦に残っているかもしれない…
■バルベリト > 丁度その頃、砦の上空から翼竜が1匹――いや随分騒ぎ立てる龍をなだめすかしながらこの砦に落ちてきた人間がいた。
自身の重量も含めて、砦全体をかすかに揺らす程度には振動が走り抜けるだろう。
丁度彼女が、部屋を出た時くらいか。
ぱらぱらとした細かな砂粒が落ちてくる。
「いやー、こりゃまた見事に。神隠し第何弾だよこれ。」
偵察としては下策も下策。情報がないので最大戦力を取り敢えず目立つ形で落とし、状況を動かそうとする強引な方法。
屋上からわざと足音を大きく、強く踏み鳴らしながら降りて砦内の探索を始める。
――通路のような見通しのいい場所で、別段体を隠さない。
事象が事象であり、身を隠しても無駄だろうという割り切り方。
相手が注意深く動くにしても、此方の位置の特定は容易いだろうか?
「だーれもいねーなマジで。」
■サロメ >
「!」
大きな音
と、僅かな震動───地震、というわけではなさそうなそれに足を止める
「…何だ?」
とりあえず誰か残っていないかと歩き回るつもりだったが、踵を返し音のあった方角へと歩みを進める
無論、不意打ちを警戒しつつ、今の状態では満足に戦えるかは怪しいが……
■バルベリト > 「んー、こりゃ敵意とは違うか。」
自分の手には今はグレートソードのような大剣はなく、霧状にさせて自身の周囲に漂わせている。一種のレーダーだが、敵意には強く反応するが他の感情には一纏めの鈍い反応しか示さないのが難点といえば難点。
階段を降りて、丁度視界の開けた通路――お偉いさんや指揮官が詰めるような部屋が並ぶ区画に足を踏み入れた時に。
僅かだが鈍く銀閃が瞬く。――誰かは、こちらに意識を向けているようだ。敵意以外の何かの感情を検知したらしい。
「ん、生存者いるのか?――こちら第八師団長代理のバルベリト。こちら第八師団長代理のバルベリト。人間でも魔族でも良いんで、顔は見せてほしいもんだね。」
剣が霧になっているため、傍目には鎧程度しか防具をつけてないように見えるだろうか。
太股の辺りにぐるりとホルスターが巻かれ、投げる為の短剣がいくつか見えるだろうが手には持たない。
両手を上げる、いわばハンズアップの様な格好で彼女の方角へと向っていく。
「こっちに敵意は無いみたいだし、よけりゃ顔だけでも見せてくれると助かるね。動けないなら声だけ出してくれれば良い」
■サロメ >
「(……第八師団だと?)」
第八師団といえば防衛戦に特化した経戦能力の高さで知られる王国軍の一つ
タナール砦には多くの王国軍が入れ替わり立ち代わりで配属されるため、全ての把握こそ困難だが…
生き残りがいたのならそれは重畳だ
この異常事態の何かを知っているかもしれない
その気持がはやり、ついつい若干警戒を解いてしまう
相手が相手だけに、問題はなかったのかもしれないが
「…第七師団のサロメ=D=アクアリアだ。
卿と顔を合わせるのは初めてだな。バルベリト殿」
回廊の影からすっとその姿を現し、巨躯の男と相対する
■バルベリト > 第7師団の噂は耳にする。元々偵察部隊でもあるので戦果や個人戦力、ある程度以上の有名どころなら個人情報も僅かにだが把握出来る程度には。
状況と、伝聞での彼女の性格からこの異常事態に最初から最期まで立会い、1人生存したというのは考え難い。
「あー、卿とかは省こう。こちらとしてもちょい、ワケありで本来俺はただの騎士みたいなものだし。こちらも、殿、や様といった敬称省くけどな。――怪我か、悪いな。俺の治療系の術は自分しか回復出来ない。
おじさん疲れたから、椅子のある部屋で話をするか。」
儀礼的な物や形式的な物を全て省略する実利を得ようとする言動。
それでも相手の負傷具合は軽くないだろう。
砦の内部構造は把握している。楽に座れる椅子がある部屋――まぁ、指揮官室に案内をして――無理矢理にでも相手を座らせる。
「取り敢えず確認しとくか。――砦には逃げ込んできたってより撤退してきた感じ、で、その時点でサロメは1人だけしかいなかった。…くらいの認識でいいんだよな?今回何が起きたかとかは、あんまし把握してない位で。」
■サロメ >
バルベリトという男の物腰とそのペースにあれよあれよという間に指揮官室へ
とりあえず座って話をする形は、負傷している此方としても有り難いことだが
「では、バルベリト。貴殿もこの事態を把握しているわけではないのだな…。
私の方に関しては、その認識で大凡正確だ。近くの駐屯地から派兵は適うだろうが。異常な事態だよ」
小さく嘆息し、肩を落とす
右肩の傷は背中側まで貫かれているようで、じわりじわりと包帯の赤黒い染みは広がっている
「…傷のことは気にしないでくれて良い。もう少し魔力が回復すれば治癒魔法の心得はある」
■バルベリト > 「いや、全くない、てわけじゃねーんだ。少しだけなら状況から拾えるモンはあるから。」
最初屋上に落とされたのは狼煙台の状況を見たかったから、だ。
魔族の国への侵攻作戦ではなく――通常の救援の為の狼煙台から階段を降りてきた事からの推論はある。
「少なくとも、なんだっけ?ラ…ラボラス?とかいう連中の手ではない。魔族による殺戮を楽しむ為の殺戮でもない。じゃぁ、残った論は?」
椅子に座る相手には失礼がないように。どっかりと胡坐を掻く様にして床に腰を下ろした。
それはそれで非礼かもしれないが、相手を見下ろすことの方を嫌った為かもしれない。
そして胡坐を掻いたままで、砦の向こうに広がる魔族の国を親指で指し示す。
「あちらさんからの警告、かね。血の臭いが殆どしねぇ。いつぞやの十三師団の奪還とは又違う。異質ではあるが、血の臭いをさせる前に殺害するほどの力量者が、こっちの牽制――っつーか、抑止か。こいつをこれみよがしにしてるって考え。」
殺戮して明白な敵意を見せるなら他のやり口があるだろう。
無惨な死体の一つでも残せば良い。だがそれをしないのは、不気味さと。
自分の理解が及ばない事柄に抱く恐怖心を最大限抱かせようとする動きの其れにも近い。
実際には王都に転送されているのだが、そこまでの伝達は着ていない為の殺害という言い回しになった。
そして血の臭いは目の前の相手から漂う怪我による出血の臭い程度。この砦に争いの痕跡が欠如しすぎている事――
ただ、何が引き金になったかの可能性は敢えて言わない。それを口にするのは相手を責める事になる上に、自分の趣味でも役割でもない。
■サロメ >
「警告、牽制、抑止、か……」
机上の空論ではある
しかし圧倒的なある種の力を持った者のやったこと、という部分は疑いようがない
例え王国から一斉に退去命令があったとしても何かしら移動の痕跡は残るものだ
「…拱いていても仕方がないな。
狼煙で既に王国側の近い駐屯地では出兵の準備をしている筈だ。
行方不明者の確認と捜索は、後に回す。生きているのか死んでいるのかもわからない者に割ける手はない…」
冷たさすら感じる言葉を口にしながら、金色の双眼をバルベリトへと向ける
「…して、貴殿はなぜタナールへ?
第八師団の招集、というならば単独で訪れはしないだろう」
■バルベリト > 「俺がもし魔族で、人間とは面倒だから事を構えたくない。でもこれ以上面倒をこっちの領地で引き起こすならの前提論だけどな。」
何かを持ち出そうとする痕跡や、狼煙を上げたような痕跡。
誰かを無理矢理引きずり出したような乱雑な痕跡が見当たらない。
整然と――いや、少しは乱れこそあるが規律の範囲での移動の痕跡しか見えないのも一因だった。
「ま、そーゆー仕事はこっちで引き受けるさ。捜索も偵察任務の一種だしな。」
向けられたのは金色の目。嘘は通用しないだろう。
……まぁ、嘘を吐く程の理由もない。1つ、ため息と共に魔族の国に向けていた親指を、自分の胸に指差す。
そしてブレストプレートの内側から1枚の紙を取り出し、相手に見せた。
そこに書かれているのは乱雑な文字ではあるが、第八師団の正式な団長名と家紋。
書かれているのは――きわめて短い。
『タナールに来い』その一文だけだった。
「こんなもんが送り付けられてきたんでね。本物かは筆跡じゃわからん。ただ、家紋の押印は本物。罠なら第八師団全体を動かす訳にもいかねーし、個人的な休暇を取って最近この辺で活動してる。」
■サロメ >
「助かる。
件のラボラス…翼在る獣と一時剣を交えたが、一筋縄でゆく相手ではなさそうだ」
あれの撃滅には第七師団の中核部隊を投入…
最低でも魔王クラスを滅ぼす入念な下準備が必要になる
砦の防衛に人を割かれる現状では他に回す手が足りていない
「…? いや、成程。第八師団の将軍は確か……」
第七師団はその性質上、余り他の師団のことに首を突っ込むことはしない
副将という立場から将軍同士の会議などにも積極的な参加はないが、それでもその噂は聞き及んでいる
■バルベリト > 「いや、まぁそれはいいんだが――名がある騎士、上に立つ者ってのは下で動く騎士達の拠り所みてーなもんだ。その怪我も決して軽くねーだろ。拠り所のサロメにしろ、ネームバリューのある存在が万が一死んだら人間側が崩れるのは早くなるぜ。
…何が言いたいか伝わりにくいかもしんねーけど。アンタの命は、アンタが考えてるよりも重くなってる。軽々しく扱えるようなもんじゃないって思ってくれりゃ嬉しいね。」
激戦を経験している相手に対して、失礼なのかもしれない。
それでもこんな異常事態が起こっている以上、精神的な動揺は必ず人間側に出る。それを纏め、鎮めるべき存在が死んでしまっては――まぁ、遠からず。
人間は現状の状況より悪い状況に追い込まれる事になる。それを警告しつつ――
「まー魔族の国の偵察から1年。生きてるなら奇跡的、多分死んでるか捕縛された。それでも生きてる可能性があるなら、って話。まぁ第7師団は一旦再編成と補充兵の訓練任務もあるだろ。早めに王都に戻るべきじゃねーかな。……2,3日程度ならこっちで防衛部隊を纏めるくれーはできるから。」
■サロメ >
「生憎、性分じゃない」
そう言って苦笑する
無論バルベリトの言い分は理に適う、的確な言葉だ
「第七師団の将は先陣を切り軍を引っ張るものなんだ。…ああ、無論命を捨てることと同義ではないが」
勇敢と無謀を履き違えはしない、と付け加える
師団の将はいわば御旗、折れることは許されない
それこそ彼の言葉通り、状況の悪化に他ならないのだから
「2、3日などと悠長なことは言えないな…。が、再編成をオーギュストに任せるのも不安が募る。
…そうだな、一旦王都には戻ることとしよう。が、1日で十分だ」
椅子から立ち上がろうとし、僅かに顔を顰める
血はようやく止まりかけているが、傷はやはり深い
「…情報の共有をしておこう。
砦を攻める魔族の軍の拠点の位置は、恐らく不定だ。
なにせ軍団長ラボラスと名乗る者と斬り結んだ時に、突然その場へと出現したのだからな。
防衛するにも、気をつけろというのは難題かも知れないが、宜しく頼む」
椅子の背を支えに立ち上がり、その頭を下げた
■バルベリト > 「だろうな!考え方は人それぞれだけどな!――王都に最速で戻るなら今屋上にワイバーンがいる、それに乗っていくと良い。」
1日で全快するような傷でもないだろう。
願わくば王都の誰かしらが気を利かせて完治まで眠る魔法なり薬を飲ませる事を祈るしかない。
…オーギュストという名前も聞き覚えはあるが、そちらに期待するとしよう。
「あー、ちょいまった。1日で戻るつもりなんだろ?じゃぁ、腕の良い魔法医師を知ってるぜ。アイツならアンタを1日で治せる。第2師団のミリーディアってのに頼れば良いさ。」
そういえば居たではないか。相談出来そうで機転が利き。何よりも説得力のある言葉の持ち主が。
「透明になるタイプと。後力押しだけでこねータイプは厄介だな。
情報サンキュ。ただ――「透明になるだけで実体はそこにあった」様に見えたか?それで大分防衛難易度が変わるけどな。
頭下げることねーよ。今お互いがやるべきことやるってだけだろ。傷が癒えたらまたな。」
傷は深い。別にエスコートする趣味もないが屋上のワイバーンがいるところまでは着いて行く。彼女の後ろ側をついていく形になるが、だ。
■サロメ >
「ミリーディア、か…色々と助かる」
屋上までの回廊を、可能な限り情報を交換しながら歩く
軍団長ラボラスの力は恐らく魔王と比べても遜色がないということ
その要塞は巨大であったこと、突然その場に現れたこと
目撃したのは既に逃げをうった後だったため、詳しいことはわからなかったこと──
途中、砦まで運んだ負傷兵を連れて、屋上へと向かう
「…では、すまないが借りていこう…十分に気をつけてくれ。
危険を感じたら、すぐに後方の駐屯地へと移動するんだ。馬は私が乗っていたものが下にある」
飛竜へと負傷兵を乗せ、自分もまた跨る
「色々と借りが出来たな」
■バルベリト > もしもだが。相手、と言うか紹介した相手がこっちの意図を正確に酌んでくれたなら。
面倒な事にはなるだろうが悪いおじさんなのでそこは気にしない事にした。
単体戦力で突出し、さらに巨大要塞という情報はありがたい。
騎士や兵士に打って出る事を抑制出来る。
ワイバーンは元々巨大だが、巨躯の自分がグレートソードを持っていても飛行能力は衰えない。
…彼女をはじめ、負傷兵をまとめて乗せても輸送能力は維持出来るだろう。
「ははは、おじさんも死ぬつもりないんでね。ただまぁ―――ちょいとばかしアテは出来たかな。良い情報をくれてサンキュ。
貸し借りなんていらねーよ。アンタがまーた元気になって動けるようになれば、そいつが一番のお返しみてーなもんだ。」
ワイバーンに何事かを告げると――ぐぃっと首を擡げる。何時もよりもやや丁寧に羽ばたき――負傷者への刺激、衝撃が少なくなるように振動を控えめにした浮上が始まるだろう。
「ま、直接戦闘はおじさん得意じゃないから。危なくなったら戦力の温存を第一にするさ。――そんじゃ。またな、サロメ。」
ご案内:「タナール砦」に紅月さんが現れました。
ご案内:「タナール砦」から紅月さんが去りました。
■サロメ >
「ああ、また…バルベリト」
生きて会おう、という言葉は慎んだ
死ぬ気が感じられない相手にはむしろ失礼というものだろう
羽撃き、飛竜が舞い上がってゆく
見下ろす砦、その向こうに広がる魔族の国には暗雲が立ち込める
不穏な雰囲気を一瞥し、王都へと向かい飛竜は飛び去っていった──
ご案内:「タナール砦」からサロメさんが去りました。
■バルベリト > 「じゃ、対策に取り掛かりますかね。――つっても、援軍到着まで時間もあるし――警告を受けてる以上は、防衛主体の仕掛けしかできねーけど」
見送った。その後で魔族側の領土を見ている。
――八師団長が生存しているかどうか以上に、まぁ――防衛任務の方を優先させるべきか、と。
砦の図面を引きに執務室へ向う途中。
――見回ったのは城内の備蓄。特に食料や水といったもの、だ。
今は意味することは語られないが、この後どうなるかは――神のみぞ、知る。
ご案内:「タナール砦」からバルベリトさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にクラリッサさんが現れました。
■クラリッサ > 無人のタナール砦。
と言ってもクラリッサが1人いるだけだが。
「さて、どうなるかな~って感じですわね」
いつものように人間の軍でも来るのか。
そうではないのか、まあどちらにしても。
「大人しく帰っていただくのは変わりないのですが」
■クラリッサ > 「お茶に出もしますか」
砦の見張り台の上にテーブルを置いて紅茶をカップに入れる。
それをゆっくりと口に含んで。
「…水出し紅茶の方が良かったですわね」
夏も近づき夜でも暑く感じられる。
熱い紅茶にはそろそろきつい季節になったようだ。
■クラリッサ > どうやら今日は人間の進軍はない様だ。
「まあ…準備やらなんやら有りますからねえ」
テーブルも紅茶も片付けて立ちあがって。
「今日の所は帰りますか」
そのまま徒歩で帰っていった。
ご案内:「タナール砦」からクラリッサさんが去りました。