2018/05/16 のログ
■マティアス > 「あとは……向こうの頑張り次第、か。嗚呼、その前にこっちも念のため仕込まないと」
再び、遠く砦の正門で繰り広げられる戦闘を見遣り、ローブの裾を揺らして身を翻す。
最低限の仕事といえることはやった。この機が活かされるかどうかは、戦場の趨勢次第であろう。
後、やるべきはこの陣に魔族の兵力が投じられ、差し向けられた場合の備えだろう。
この場の統率者に既に話は通しているとはいえ、念には念を入れた仕掛けは凝らすべきであろう。
故に陣に戻る前に、前に進む。術的な仕掛け、あるいは前に知り合った野伏から学んだ仕掛けを凝らしておこう。
皆で気楽に住処に戻るために――労力は惜しまない。
ご案内:「タナール砦」からマティアスさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にサロメさんが現れました。
■サロメ >
「将軍が?」
伝令を受けたのは砦へと遠征した次の日
ワイバーンの騎練も含めての今回の遠征はさしたる魔族側の抵抗もなく終わり、第七師団には珍しい、平和な時間が流れていたのだが
──第七師団と、他の王国軍兵士や傭兵が入り乱れる砦内
暫定的な指揮所として使われる大部屋でその伝令報告を受けることになったのだった
「…相変わらず断りもなく……」
やれやれと机に頬杖をついて嘆息する
よもや隣国への一人旅とは、自分の立場がわかっているのかと不安だ
いや、わかっている上でやっているのだろうが…
■サロメ >
団は一時副将へ、つまり自分に預けるというだけの簡単な言伝
──これは、あれだろう
自分が不在だった間、臨時的にとはいえやっていたのだから、一度も二度も同じだろうという、アレだ
「一言相談しろ、一言……」
苛立たしげに机を指で叩くも、彼のことだ。時既に遅し、だろう
「(──だが…)」
急な話だ
いくらアレでも何かに巻き込まれない限りここまで突発的な行動は…いや、あるかもしれないが、
せっかく復帰した師団をすぐに副将に丸投げして動くというのは違和感がある
「(何か、手掛かりを掴んだか)」
思い当たることといえば、それくらいである
■サロメ >
「となれば…私もやるべきことはあるか…」
立ち上がり、椅子にかけられていた外套を羽織る
「(恐らくマグメールの今の歴史において最大のタブーだ。
それに触れようというならば、敵は内外…それだけでは済まない可能性もある)」
剣の鞘をベルトに据え付け、脚甲、手甲と慣れた手付きでそれらを装備してゆく
「──…ひとまずは、ヤツの留守の理由を適当に考えるところからはじめるか…」
王国貴族に怪しまれず、付け入られない
丁度よい理由を探さねばならない
───部屋を出ようとする矢先、第七師団の兵士と八合わせるようにして扉が開く
敵影……魔族の国側に数十
忙しいことだ
内心そう思いつつも支持伝令を飛ばし、自らも出兵する
■サロメ >
大した数ではない
砦とその近くに駐屯した王国軍の数で圧倒できる
統率されているわけではない、魔物の群れが現れたといったところか
既に砦の入り口では交戦の火花が見える
「──私も出る。後詰めは任せるぞ」
門から一歩踏み出し、剣を抜き放つ
薄く白い光を帯びるような蒼刃から漂う冷気に周囲の魔物は警戒し、此方へと注意を向ける
「書類仕事ばかりでは腕も鈍るというもの。
…先陣を切るのは久しぶりだ───征くぞ」
無口なインテリジェンス・ソード、自身の手に持つゼルキエスに言葉をかけるようにして、駆け出す
返答はないが、いつもの通りだ
■サロメ >
氷の華が咲き、閉じ込められた魔物と共に散り砕ける
薄氷の刃が煌めき、無数の魔物を斬り裂いてその動きを拘束する
その中心で被弾の一つ、外套の汚れ一つなく立ち回る灰髪の騎士
こうしていると思い出す
この第七師団に入団し、女だてら負けられぬと必死に前に出て切り結んでいた日々があった
新米騎士の行動としては大胆かつ無謀、無論怪我もする
普通の騎士団に在していたならば、処分すら下っていたかもしれない
しかしこの第七師団ではそれが求められた。結果がすべてだった
そんなことを繰り返しているうちに、気づけばオーギュスト将軍から直々に副将に就けと言われ、
気づけば自分を慕う魔法騎士が集まり独自の部隊となり、
気づけば、薄氷の騎士などと言われ将軍とは別の方向での信頼を得ることが出来ていた──
■サロメ >
「──馬に乗っている者、ワイバーンに乗れる者で周囲の哨戒に当たれ。
あまり遠くまでは行かなくていい。砦の周囲だけで構わない、悪戯に刺激はするな」
氷の刃を振り下ろし、凍り付いた血糊を剥がして鞘へと収める
──ものの数分、有象無象の魔物の群れは一匹残らず、文字通り壊滅していた
副将軍自らの出陣により砦の兵達の士気も上がる
馬が賭け、騎龍が羽撃く
「(…頭のまわる魔族…魔王クラスが現れればこうもいかないだろうが)」
ひとまず、魔物の襲来程度ならば今在る兵力で問題はないだろう
■サロメ >
装いを翻し、砦へと引き上げる
息一つ切らせぬその立振舞を見て、感嘆、畏敬、あらゆる感情が周囲から発せられる
──これなら問題ない
あの男が留守の間も、この師団を預かることが出来る
以前同じ状況に立たされた時は随分と慌てふためき、浮足立ったものだったが
こうやって先陣を切ることで、覚悟は決まった
この背中に、師団をついてこさせる
それくらいは今の自分ならば出来るのだと
タナール砦。そのマグメール王国側の門にて
部下が先立って準備しておいた自らのワイバーンが退屈そうに待っていた
「──待たせたなヴィリバルト。王都までもう一飛びだ。頼むぞ」
大きな角の反りでた頭を一撫でし、鞍の装備されたその背へと跨る
「(さて…私ももう一仕事、か)」
部下を一瞥し、大空へと羽撃いていった
ご案内:「タナール砦」にネーヴェさんが現れました。
■ネーヴェ > (その日は激しい攻防が繰り広げられた。
砦内まで後一歩、という所に迫った魔性の者達の意気故か。
此度こそ奪われてなるものかという、人間達の奮起故か。
何れにせよ昼夜に及んだ激しいぶつかり合いが、互いの撤退によって小康状態を迎え――
内へと引いた、人々の中。)
ふ――は…ふ…
(帰参した兵達の中。ようやく、息が落ち着きつつあった。
飼い主達の中、特に武闘派として知られる候の一人が――
援軍を送った。
此処を護る師団にか、其処に命を下す中枢にか、口を挟む契機を作りたかったのだろう。
そんな援軍の一員として、戦場に立ち、太刀を振るい、当たるを幸い斬って、潰して――
生きて戻って来る事が出来た。
もっとも、その幸運を喜ぶには、まだ。
返り血と、自身の血と。双方に濡れた躰をどうにかし、何でも良いから腹に入れて、
人心地くらいは着く必要が有りそうだ。)
ご案内:「タナール砦」にフォーコさんが現れました。
■フォーコ > 私が指揮する部隊も援軍として急遽送り込まれた。
突然のことであったので私の所も含めて各方面から寄せ集め状態の中での激戦であった。
途中、ミレー族の少女が一際大きな武器を使い人一倍働いていたことが印象に残った。
皆それぞれが血まみれになる程に戦っていたのであったが、彼女の鬼気迫る強さが特に目立っていた。
私は此度の英雄とじっくり話がしたいと思い、勝利で湧く味方の兵を掻き分け、探し回っていた。
「ここか。」
まさか砦内に居ないのかと思いかけた頃に、巨大な刀を手に荒い息を吐いている少女を見つける。
私は来る途中に受け取った水の入った杯を手に近づき、声をかけた。
「今日は凄まじい働きであったな。
まずは水を飲んでやすんでくれ。
その間に私は英雄殿に着いた血を拭き取るとしよう。」
半ば押し付ける恰好で杯を渡すと、服の中より布を取り出す。
あまり綺麗な布でもないのだが、無いよりはましだろうと彼女に付着した真っ赤な血を拭き取ろうとする。
彼女が屈むならば、私も同じ高さになるよう膝を着けるだろう。
■ネーヴェ > ――師団長。
(此方へと向けられた声。差し出された手。
下も下の奴隷であれど、その人物の姿位は知っていた。
同じ援軍、と呼ぶには少々…否、とんでもなく恐れ多い、一師団を率いる女傑。
流石に疲弊が有れど、へたり込んでいる訳にはいかなかった――従者の恥は主君への侮蔑に他ならない。
一度立ち上がり市井を正し。次いで、彼の者の前に膝を着く。)
どう、も。…いぃえ。私以上なんて、幾らでも。
前に出るだけが脳――能、なので。上手く、使っていただきました。
(暫し逡巡。だが、断るのも如何な物か。
結局は杯を受け取り…正直、有難い。随分外へと流れ出てしまった、生命の源。水。
少しだけでも、それを補填させて貰おう。 が。)
っ、て。 何し―― なさって… っ…?
(形を変え外へと失せた、血。それを拭う将の手付き。
驚くな、畏れるな、という方が無理だろう。
早々に干した杯を掌で抱え…どうした、ものか。
身を退く事も出来そうになく。申し訳なさに耳を折りつつ、じ、と。
)
■フォーコ > 「フォーコでいいぞ。
師団長は城に帰ればたくさんいることだからな。」
どうやら私のことを知っているようだ。
よくよく教え込まれているのだろう。
ただ腕っぷしが強いだけで送り込まれたわけではないようだ。
これほどの者が何故奴隷なのかと私は不思議に思った。
膝を着く彼女の前で私も同じ高さになっていた。
「少なくとも今日の一番手柄は君だ。
本当は私がもっと活躍せねばいかんのだが、君には負けてしまったよ。」
私は自嘲気味に笑っていた。
やはり喉も渇いていたのだろう、あっと言う間に杯は空になってしまう。
「誰も君についた血を拭いてやってないようだから私がやらせてもらっているのだが。
君の主には後日に私からも礼をするが、今は君を称える番だ。
何かして欲しいことはあるか?
私で出来ることならなんでも言ってくれ。」
折りたたんだ耳はフサフサなだけあって汚れが目立ってしまう。
私は布で少ししつこい位に擦っていた。
「それとも、こういう所が見られると不味いのか?」
彼女の耳元で彼女だけに届く声量で尋ねる。
初対面とはいえ、彼女は主が居る立場が居ることは知っていた。
■ネーヴェ > ――そういう訳には。…フォーコ、様、では。
(随分と難題を言ってくれる。…と、そんな言い方が出来る筈もない。
若干の思考と思慮を差し挟み。せめて、敬称略だけは譲歩して貰おうか、と。
そして、傅く頭と同じ高さに、見上げるべき貌が在る。
これも亦対処に困らざるを得ない。
ちらちらと、伏した耳の下、等しく赤に塗れた髪の下、から。
見上げては外す瞳。)
「頭が、手を使う、のは。自然かと…?
刃を、人が振るうのは――とか。犬を、飼い主が使うのは、とか。
言い方は色々、有ります…が。」
(彼女に落ち度など有る筈がない。
そも、急な増援を陣頭にて纏め上げたのは、間違いなく彼女であって。
第五師団は紛れもなく、今回の最大戦力だった。
負ければ終わりの戦争に、個人のMVPも何もあるものか。
…明確な首級でもあれば、ともあれ。
何れにせよ、直接の飼い主ではないとはいえ。同じ程かそれ以上かに身分の高い相手が。
同じ所に居る。それだけで、身が引き締まるという奴だった。
未だに餓える躰が、それ以上の水を求めたがらないのも、この緊張事態故。)
「…その。勿体ない、事。……こんな風に。していただけるだけでも、
…有り得ないのに。
――――何か。何か、って。」
(髪が。耳が。膚が。心地良い。
乾いて貼り付く、人と魔とその他の血を、拭い清められるから――というだけではない。
これだけの人の。恐らく身分とは関係の無い、率直な善意という奴だからこそ。
くすぐったく、有難く――快いのだろう。
…少しだけ、首を振って。)
「――いいえ。大丈夫…かと。
これが、死を退けて、血を浴びて、生に餓えて――何をしてくるか。
なんていう、男達でもあるまいし。」
(僅かに口元を緩ませたのは。自然と躰に染みる安堵故だったのだろう。
…だからこその、どうにも品のない言い草だった、という事は。
残念ながら自覚出来ていそうにない。
■フォーコ > 「フォーコ様か。
君がそれで落ち着くのならそう呼んでくれ。」
私としては呼び方はあまり拘りはないのだが、向こうはそうもいかないようで。
赤い瞳が瞬き、ふんわりと笑みを浮かべただろう。
ああ、彼女は髪も真っ赤に染まっている。
よく働いてくれた証拠だ。
ここも拭き取っておこう。
「その言い方で言うのなら、良い道具はしっかり手入れをしておくのが
主の役割ではないか?
実際の所君の働きは役に立ったし、今後もよく働いて欲しいと言う欲もあるのだぞ。」
私としては彼女を労いにきたつもりなのだが、どうにも彼女にとって窮屈な思いをさせているような
気がする。 食事も一声かければ持ってこれる程度の準備はしているのだが欲しがる様子も見せない。
「まだ足りないのではないのか?
水も飲み足りないだろうし、腹も減っているだろう。
部下に今食事の用意もさせてある。
肉でも魚でも存分に食べていいぞ。」
どうにも遠慮させてしまうようだ。
私のアプローチが不味いのだろうか。
それとも彼女がこういうことをされたことがないのだろうか。
私は僅かに首をひねった。
「…私のお仲間が日頃迷惑をかけているようだな。
私も普段は似たようなことをしている方だから何も言えんな。
実の所、君の事が酷く気に入ったのでな。
君の主に礼を言うと同時に時々は貸してもらえないかと声をかけるつもりだ。
とにかく、今日は君は私の責任で収まる範囲で好き放題してくれ。
人目が気になるようなら別室で水や食事を振る舞わせてもらうが。」
今の話しぶりが彼女の素のようだ。
私は本当の彼女に会うことができたことで喜んでいた。
故に心の中で考えていることもついつい口に出てしまう。
■ネーヴェ > (頷いた。…決して、言葉を失って、黙って、という訳ではない。
ますます反応に、対応に迷わされ。とうとう、狭い語彙が底を露呈し始めただけの事。
その証拠に、髪を拭い梳き、元の色を取り戻してくれる彼女の指先に。
あぁ、だの。ぅぅ、だの。羞恥と困惑の二つを入り交じらせた声が、喉の奥から漏れるから。)
――そういう、事、でしたら。
…あぁ、そうだ。何というか――せめて、これだけでも。何とか。
(己自身の言葉で思い出したのだ、と。そう言わんばかりだった。
直ぐ脇に携えた侭だった、身の丈に程近い太刀を。引き続き帰城してくる兵達の中、同じ麾下の仲間に預けた。
…流石に。浴びたなどという物ではない、血を吸い濡れた、肉脂にまみれた、魔の残滓を浸ませた危険物。
それまで、貴人に処理させる訳にはいかなかったから。
戦の証明。剣呑な証。それを預けてようやく、力を抜いて息を吐き―
それもきっと。失言を誘発した一因だった。
己の言葉の何処が、彼女に笑みを浮かばせたのか。
首を傾げるようにして暫し。…それから。ぁぁ、と小さな声になる。)
いぃ、え。その。…戦場では。いや――人の生きている場所では、良く有る事。
多少の選り好みくらいは、有りますけれど、別に――まるっきり、否定する気は。
…だってそれも。生きていればこそ、で。
ぁー……あぁ、えぇ…えぇと…?
(似た様な。何を以てどのように。…些か判断しかねたが。
此処は、首を突っ込むべきではないのかもしれない。今の所はそう思っておこう。
一度口元を押さえ、落ち着き始めた吐息と共に、余計な戯れ言が出てこないよう。
その侭、僅かに考えたなら。)
――一席。いただけるのでしたら。是非。
でも確かに…場所は、此処じゃぁない方が。
だって――――
(痛み入る、申し訳ない、と言って良いのかもしれないが。
その思考は必ずしも、将たる彼女にだけ向けられた物ではない。
先程得物を預けた仲間と同じく。
未だ兵達は続々と。
傷付いた者、死にかけた者、飢えた者……
彼等の中で一人だけ、こうしている、という状況自体に。
少々、図太く慣れる事は出来なかった。)
お話も何も。多分、此処からは場を変えた方が。
やりやすい、気もします――、し。
■フォーコ > 彼女の口から出る言葉は酷く断片的になっていた。
こういった時にどう受け答えをすればいいか。
そこまでは教えられていなかったようだ。
つまり、ここから先は彼女自身の生の言葉と言えるだろう。
私は長い耳で一言一句聞き逃さないように集中する。
「君の武器は後で手入れさせてから返すことにしよう。
とはいえ、奴らがいつ来ても良いように応急処置的な物に限られるが。」
これだけ痛めつければすぐに戻ってくることもないと思うが、我々がそうであったように
協力な援軍を引き連れてやってくる可能性もある。
その為にも彼女の武器は直ぐに使える状態にする必要があった。
武器を離した彼女はさきほどまでの鬼神のごとき姿には程遠い印象を受ける。
「そうか。 君が寛容的な相手で助かったよ。」
私が彼女の主と似た嗜好をしていると伝えたつもりなのだが、彼女に私の拙い説明で
どこまで伝わったことだろうか。
先程よりも言葉を選んでいる様子。 ひょっとしたら伝わったうえで濁してくれているのかもしれない。
私は赤い瞳を細め、見つめていた。
「そうだな、では私についてきてくれるかな。」
彼女の指摘通り、他の者も見ている場で特定の者だけを可愛がるわけにもいかないだろう。
他の者にも水や食事をふんだんに配るとはいえ、私の身は一つなのだ。
私は彼女に手を差し出すと、砦内の一室へと連れて行く。
そこは指揮官以上が使う私室。
石造りで小さな窓が一つあるだけの殺風景。
しかし、部屋の真ん中にある机には二人分の水と酒、肉や魚が並べられていた。
部屋の用意をした使用人たちは既に下がっており、今は二人だけの空間である。
「さ、まずは座って食べてくれ。」
机の後ろには一人で寝るには広いベット。
何故か枕が二つ並んでいる。