2017/09/06 のログ
ケラノス > (…うっわ、面倒な小娘に目を付けられた気がすんぞ、これ)

内心でそうボヤきながら、長刀を肩に担いだまま、フードを被った顔をそちらに向ける。
ボサボサのくすんだ金髪…前髪で目元は向こうからは分かり難いかもしれない。

「…あー…気のせいじゃねーか?それよりホラ、魔物共はまだゴロゴロ居るんだぜ?
たかがいち傭兵の俺に構ってる暇はねーんじゃねーかお嬢さんよ」

言いつつ、一度周囲を見渡す。どうやら徐々にこちらに優勢に傾きつつあるようだ。
正直、もうやっぱり自分が出張らなくてもいいような気はしてきたが…さて。

(…ま、問題はこの小娘か。どうにもここらの連中の指揮を担当してるみてーだが…)

こういうタイプはまぁ苦手だ。見た目は中々であるが。しかもこれで引き下がる様には見えない。

エルフリーデ > 顔を隠すように感じさせるフード、隠れた目元と、風貌から少々妖しさを感じさせられる。
まるで槍のように長い剣からは、ひしひしと魔力の気配を感じた。
ちらりと剣を見上げて思うのは、これだけ力のある刃を持つものが、ろくに確かめず刃を振るうはずがないということ。
狙ったか、敵味方問わずか。
どちらにしろ危険だと思いながら視線を戻すも、険しい表情は消えない。

「気の所為で味方を殺されては堪りませんわ。心配無用よ、私が育てた魔法銃使いですもの。そう安々と倒れはしませんの」

連携しながら数名毎に別れて魔法弾を撃ち込みつつ、防御魔法で反撃を防ぎつつ、相手の攻撃のスキを付いてカウンターを撃ち込む。
そのうえで適正な距離を保ちながら動き回る少女達は、大半がミレー族だ。
魔法と俊敏性、両方に長けた少女達が操る魔法銃の戦いはまさしく、適材適所といったところ。
前を担う他の戦士達が、勢いを取り戻し、声を張り上げながら魔物に立ち向かうほどに、流れを変えていく。
そんな中、不意に胸元から青白い光が溢れ始めた。
旧神のちからを宿した紋は、目の前の彼にある魔に反応したのだ。
光ると同時に、ハッとしたように胸元を一瞥し、脳裏に蘇るのは、その光の意味。
すぐに彼を見やると同時に、勢い良く地面を蹴って距離を話そうとしながら、収めていたもう一丁の拳銃を引き抜き、銃口二つに魔法陣を広げる。

「貴方、魔族ね。これで言い逃れ出来なくてよ? 力を持ちながらコソコソと背後を狙うなどと……恥知らずも甚だしいですの!」

初めて対峙する魔族、その力は人を有に上回るという。
だが、自分も人以外の力を宿しているのだから、やれないことはないはず。
先程までの睨みつける視線から、臨戦態勢と異様に程よい緊張に引き締まった顔で彼を見据えながら、出方を伺う。

ご案内:「タナール砦」にケラノスさんが現れました。
ご案内:「タナール砦」にケラノスさんが現れました。
ケラノス > 「…あー…悪い、生憎と銃の類は疎くてなぁ。…そう、易々と倒れない…か。だが戦場では何が起こるか分からんぜ?」

少女の方を自然体のまま眺めつつ、肩に担いでいた長刀を不意に真横へと振り抜く。
瞬間、男の背後から飛んできていた魔力の矢を数本纏めて叩き切った。
振り返るまでも無い…会話のついで、とばかりに自身を狙った魔物の攻撃を迎撃しつつ改めて周囲を一瞥する。

(…魔法弾ってヤツか…見た感じミレー族が殆どだな。…練度はまぁ悪くねぇ。
…当然、それに後押しされた前線の野郎共の士気も上がる、と。やっぱ俺の出番は無さそうだな)

ザッと簡潔に分析してから改めてそちらに視線を戻した。と、彼女の胸元の青白い光に目を細める。
一応は純血の高位魔族だ。その光の質がどういうものかはなんとなく分かる。
分かるからこそ苦手だ。むしろ、この少女に感じた苦手意識はソレのせいかもしれない。

当然、向こうもこちらの正体に気付いたのかすぐさま距離を取る。身のこなしは素早い。
もう一丁の拳銃を引き抜いた二丁拳銃の銃口が真っ直ぐにこちらを捉えるが…男は動じない。

「……あーやっぱり面倒な事になりやがったなぁ…ったく」

魔方陣が浮かび上がる銃口を、次いで臨戦態勢の少女を交互に眺めて溜息。
ダランと右手に下げた長刀が真っ白な光を帯び始める。それは神聖な光…ではない。
むしろそれは滅びの光に等しい。触れるものを焼き尽くす破壊の光に他ならない。

「――悪いが、俺はただ金目的でこっち側に参加してるだけで特に他意はねーんだわ。
…で、それでもやるのか?…お前ら全員纏めて消し飛ばす事になるが?」

それをハッタリや冗談と受け取るかは彼女次第だ。だがその長刀に宿る光は明らかに魔術などとは違うもの。

エルフリーデ > 「っ……!」

背後を狙った矢衾が一瞬にして叩き伏せられていく。
見ることもなく、音や気配で察したのだろうか?
しかし、尋常ではないと思っていたものが一層強まったことで、彼への警戒が引き上げられていく。
間合いさえ取れれば、此方が有利のはず。
倒せるなら倒す、無理なら時間だけでも稼いで逃げるとプランを考える中、彼が握る長刀の光に、ざぁっと血の気が引いていき、僅かに肩が震えた。

(なん、ですの……っ、あれは、光のようで…ひかりではありませんわ…。眩いのに、眩いほどに…暗い)

光に感じる恐ろしさを闇と捕らえたのだろうか、そんな言葉が脳裏に浮かぶ中、呼吸が乱れた。
表情は引きつりながらも凛々しさを保ち、照準が僅かに踊ってしまう。
片足を臀部の方へ畳むように膝を曲げ、スカートを小突くと、小さな花火玉のようなものが転げ落ちる。
それを掬い上げるように蹴り上げれが、空で破裂し、赤色の閃光を放ちながら落ちていく。
光を見た少女達は次々に声を上げる、撤退、少女達を引き上げさせるほどその光を恐れた結果だった。

「……それでも、少しの間そこから動かないでいただきますわ。貴方が他意がないという事を、鵜呑みには出来ませんの」

嘘だったら背を向けた瞬間、全員殺されかねない。
馬に飛び乗り、逃げるまで少しの時間がかかる。
それだけでもと、ぎゅっと銃のグリップを握り込みながら、彼をにらみ続けた。

ご案内:「タナール砦」にケラノスさんが現れました。
ケラノス > 男の持つ光は滅びの光…無慈悲な死を齎すもの。安らぎや慈悲など一切与えない。
ただ疾く死ね。それだけをシンプルに体現する灼光。彼女が感じた闇はその滅びの側面を感じた故か。

(……まぁ、実際にここでぶっ放す気はねーんだけどな。
それこそ変に目立って面倒臭せぇ事になる訳で――…)

長刀に纏わりつく光は本物だが、実際にそれを振り抜く気は無い。
無論、先の言葉は冗談ではなく――ただの事実だ。この光刃は集団や軍団を纏めて消し飛ばす事に真価を発揮する。

少女の一連の動きを止める事も牽制する事も無く眺めてつつ、他の銃士隊の少女達が合図を見て撤退して行く。
それを一瞥しながらも、当然目の前の少女の動きはずっと探っており。

――と、鋭い魔族の感覚がソレを捉えた。まだ彼女は気付いていないらしい。
無論、呼び掛けてもハッタリか何かと疑って聞きやしないだろう…ああ、全く面倒だ。

「――ったく、我ながら気紛れなのもどうかと思うね」

次の瞬間、長刀からまず光が消えた。そして男の姿がブレたかと思えば彼女の眼前に姿を現そう。

そして、右手に持った長刀を真上に掲げつつ、左手で彼女を庇うように広げ。

――ズドンッ!!!

凄まじい轟音と共に、真上から急襲してきた巨大な一つ目の巨躯の魔物の槌の一撃を受け止める。
男の両足が僅かに地面に減り込むがそれだけだ。右腕一本と刀でその超重量の一撃を受けきっており。

「――だから俺に感けてる暇はねぇって忠告したろうが…オイ小娘。手を貸してやるからお前がこのデカブツを殺れ。
コイツが今、この砦を牛耳ってる親玉だ」

エルフリーデ > このまま睨み合いが続けばそれでいい、今は一片たりとも意識を彼から反らしてはならないと構えたまま。
こちらの撤退合図に動く様子がなかったのは幸いと安堵するものの、彼の気が変われば誰かに被害が出る率は高い。
それだけ気を張り詰めてしまったせいか、普段なら気づくようなことも気付けずにいた。

「何を――っ!?」

光が消えた一瞬、気が緩む。
それを狙ったかのような移動と振りかぶりに、身体が硬直する。
命がけの戦いはここに来てから、数は少ないが経験済み。
そのうえで感じる背筋が一瞬だけ寒さで覆われ、その後胸の奥から来る畏怖が広がり、表情が凍りついてしまう。
死が目の前にあると思えば、思考が真っ白に染まっていき、重たい音に意識を取り戻す。

「っ……? ぇ、なん…ですの? どうなって…」

何が起きた変わらなず、呆然とした様子で彼を見上げたが、声と視野の上にある大きな槌に目を見開く。
巨大な身体が振り下ろす鈍器の一撃を彼がかばったのだ。
何故と思うと同時に、敵に庇われたという事実にギリっと奥歯を噛みしめるほどに己の未熟さに苛立ちを覚え、銃を握る手が、先程と違い不規則に震えた。

「助けていただいたことはお礼を申し上げますわ…助かりましたの。私はエルフリーデ・ミュンヒハウゼン、小娘ではなくてよ!」

巨人に振り返りながらサイドステップをすると銃口で横薙ぎにしながらトリガーを幾度と絞る。
すると魔法を強化する増幅弾に魔力が巡り、魔石が砕けて力を発揮する。

「ピエレット、遠くで見てないで準備なさいっ!!」

誰かに指示を送るように叫び、魔法が放たれる。
薬莢と共に撒き散らされる細氷は、彼女の周囲に漂い、そこに浮かび上がる残像が動きを追従するように動く。
そのまま背後へ回り込むように動きつつ、左右交互に引き金を引けば、圧縮された水の弾丸が放たれ、巨人の両足へと迫る。
連続して当たれば、冷却しながらあっという間に凍りついて氷の枷となって動きを封じるもの。
しかしそれだけでは倒せない、しかし動きが一瞬でも封じれればそれでよかった。
巨人へ掛かる影、まるで隕石のように大きな氷柱が無数に巨人目掛けて降り注ぐ。
よく目を凝らせば見えるかもしれないが、かなりの上空に人一人簡単に乗せられそうな大きさをした、真っ白なエナガが羽ばたいている。
周囲に浮かべた魔力の固まりから氷柱を生成し、さながら空爆のごとく振らせていた。
彼に当たらないようにコントロールも十分に、狙いは鋭い。

ご案内:「タナール砦」にケラノスさんが現れました。
ご案内:「タナール砦」にケラノスさんが現れました。
ケラノス > 「…だったらちゃんと味方連中や俺だけでなく敵の動きも常に注意してろ。お前は一応あの小娘共の指揮官だろーが。
…エルフリーデ…長ったらしい、エルでいいな。とにかく、ヤツの攻撃は防いでやるから後はお前がやれ」

撤退をさせたのは別に良い。だが、そのスキをついて親玉が不意打ちを仕掛けてくるのは予想外だったのだろう。
もし、こちらにばかり注視していなければ気付いていたかもしれないが、それは今更だ。
ギリギリと、頭上に水平に構えた赤黒い長刀は真上からの超重量の一撃に刃毀れ一つしていない。

(…ま、手柄はこの小娘に与えてやっても問題ねーしな…)

自分はただ傭兵として働いた分の報酬が貰えればそれでいい。後はおまけだ。

さて、彼女の反撃にこちらも槌を受け止めたまま体を捻り、刀を傾けて槌を地面へと滑らせる。
同時にその巨人の両腕を一瞬で伐り飛ばす。両腕と武器は殺した。お膳立てはこのくらいか。

チラリ、と見れば彼女の銃の腕前に内心でへぇ、と頷く。男が素人なのもあるが見事なものだ。
刀剣なら負けはしないが、対極に近い銃となると流石に彼女には負けるだろう。
しかも、大技なのか彼女が呼び掛ける何者かにフと疑問を覚えつつも直ぐに気付く。

「両足を封じて、今度は氷柱の雨あられってか…派手なもんだなオイ」

男が見ていたのは巨人の有様、ではなく上空。魔族の視力がエナガをしっかりと捉えている。
アレが真上から氷柱の弾雨を降らせたのだろう。中々に悪くない連携だ。
ついでに、こちらにも当たらないように配慮している。纏めて串刺しにしないのは助けられた借りもあるからか。

甘い、と思うが馬鹿にはしない。こちらも気紛れとはいえ手を貸した身だ。
両腕は斬り飛ばされ、両足は凍らされ、そして全身を氷柱で串刺しにされた一つ目の巨人。

最後の抵抗、とばかりに少女へと倒れながら迫ろうとする――が。

「――さっさと死んどけ」

その首を無造作に長刀を一閃して斬り飛ばす。だがこれで終わりではない。最後の最後。

ちらり、とエルを一瞥してから巨人の胸元。心臓部にある塊のようなものを示す。
これがこの魔物の「核」だ。これを撃ち抜けば完全に消滅する。
無論、殺れと発破をかけたのはこちらだ。トドメはあくまで少女にさせるつもりで。

エルフリーデ > 「――っ!」

指摘の言葉に淡い苛立ちを覚えたものの、事実だから仕方ないと収めようと思ったところで、名前が長ったらしいとまで言われれば、ピキッと怒りが溢れ出しそうになるのをどうにか押し込めて抑える。
わなわなと身体が震えた後に動き、足止めからの氷柱と連携攻撃を仕掛けるも、滞空するエナガはぴぃぴぃと、苦しげな鳴き声を上げた。

「これぐらいで疲れ切るはずがないわ、もう少し確りなさいっ」

普段なら思念だけで会話できるが、戦っている合間はそこまでの余裕がない。
その中でも彼を巻き込まないように気遣ったのは、助けられた恩には報いる、清廉潔白な思想に基づくもの。
氷柱の直撃で片付いたかと思ったものの、まだ動く様子にバックステップで飛び退きながら、腰の両サイドを弾くようにしてスカートの裾を躍らせると、その下に隠れた予備弾をポートからクリップごと押し込み、着地しながら地面を滑る。

「そこを撃てばいいですのねっ」

二丁の魔力と魔術のコントロールを完全に同調させると、それぞれに分かれていた魔法陣が合わさり、一つの大きな陣に変わる。
力を収束させ、更に力を倍加させてトリガーを引き絞ると、先程の氷柱に勝るとも劣らぬ、巨大な氷の槍を発生させて放った。
冷気を撒き散らしながら飛翔する柱は各を撃ち抜き、そのまま胸元に大きな風穴を開けるだろう。
氷の槍は貫通後に細氷のごとく消えていき、構えたまま巨人の様子を確かめる。

ご案内:「タナール砦」にケラノスさんが現れました。
ケラノス > 勿論、少女がえらくご立腹なのも男は把握しているが、当然前言撤回も謝罪もしない。
無論、この戦闘の片が付けばあれこれ言い寄られるだろうがそれはそれだ。

(しかし、アイツは結構こき使われるタイプだな…)

と、上空のエナガの様子をちゃっかりと観察しながら心の中で肩をすくめてみせる。
ともあれ、ここまでお膳立てすれば十分。武器と腕、ついでに首を飛ばしたのだから。
こちらは、悠々と長刀を既に鞘へと納めて肩に担ぎながら彼女のトドメを見守る。

(…二丁拳銃の魔力を束ねて倍加…属性は基本氷が主体…なのは早計か。
どっちにしろ拳銃使いとはあんまやりあった事がねーから見ておいて損はねーわな…)

そして、巨大な氷槍の一撃が巨人の胸元に風穴を開ければ、そこを基点に巨人が崩れるように完全に沈黙した。

「……お見事。…さーて、そろそろ潮時だな。おいエル。お前討ち取ったんだから事後処理とか適当にやっとけよ」

そして、不遜にもちゃっかり押し付けようとする男。ただのいち傭兵として参加しているからしょうがない。
それに、彼女が討ち取った方が周りも納得するしいい落とし所だ。親玉を討ち取ったとなれば後は魔物連中も瓦解するだろう。

とはいえ、この砦が人間の手で長く持つとは思えないがそれは口には出さない。

(…さて、後はとっとと帰って報酬だな)

そもそも、あくまで目的はそれで魔族だどうだといっても他意は無い。

エルフリーデ > 実際、足にされたり、戦力にされたりと彼の予測は当たっている。
そんなことを考えられているとは知る由もなく、巨人を撃沈させれば、相手の気配が消えるのを確かめてから、くるりと魔法銃をガンスピンさせてから臀部の辺りに交差するようにぶら下がるホルスターへ銃を収めた。
こちらの仲間は撤退したものの、親玉を倒したことでその分の勢いは付いたはず。
奪還の支援は成功といったところかと思いながら、安堵の吐息を零す。

「お粗末さまですわ。……どちらにしろ私達が請け負うところではありますわ、ですが、貴方はもう少し言葉遣いに気をつけたほうがよろしくてよ?」

自分も言えた義理ではないがと、少しだけ思いつつ、勝手に押し付けてくる彼を見やり、眉をひそめつつ小さく溜息を零すが。

「……とはいえ、助かりましたわ。ご助力感謝しますの」

改めてお礼を告げると柔らかに微笑む。
彼が何故仲間を斬ったのかはわからないままだが、現状は敵ではないことは確か。
パタパタと翼を忙しなく動かしながら大きなエナガが傍らに降り立つと、彼をじっと見つめた後、ぷいっとそっぽを向いた。

「……ごめんなさい、種族柄魔族に対してこうですの。後で確り言い聞かせておきますわ」

苦笑いを浮かべつつ頭を下げた後、少しは礼節を尽くしなさいと呟きながらぺちっとエナガの頭を叩く。
そして、その背に乗ると、再び翼を広げてエナガが舞い上がる。

「私は上空から様子を見つつ、後続に引き継ぎますわ。御機嫌よう、気まぐれな魔族様」

ホバリングするように舞い上がるエナガと彼女の姿は、空へと消えるように小さくなっていく。
砦の攻防戦の事後処理に奔走し、彼の働きも確りと評価された額が渡されるだろう。
少し色がついていたとしたなら、彼女から上へ口添えがあったのかもしれない。

ご案内:「タナール砦」にケラノスさんが現れました。
ケラノス > 既に今回の情勢の流れは決したと言っても良い。後は他の連中やこの娘に任せて男はさっさと帰って報酬を貰うのみ。
そして、彼女の一連の銃の取り回しを観察していたが矢張り面倒な武器だな、と思う。
刀剣使いにとってある意味で魔術よりも相性が悪い。まぁ、それはどうとでもなる。

「…生憎と、これが常でね。口が悪いのは生まれつきだから直しようもねーな?」

無論嘘だ。敬語や畏まった態度も出来る…ただしないだけだ。
彼女からの礼に「あいよ」と、ぶっきらぼうに答えて手をヒラリと振ってみせる。
あくまで気紛れである。味方を斬ったのと彼女を助けたのと男の中では悪いが大差は無い。

そして、先程の苦労人(?)のエナガが降り立つ。こちらをジッと見ていたかと思えばそっぽを向いた。
その様子に肩を軽くすくめる。まぁ別に嫌われるのは慣れているしどうという事は無い。

「あーソイツの態度が普通だろうから別に構わねーよ、慣れてるし魔族であるのは別に事実だからな」

もっとも既に治めるべき領地も一族も失った没落者だが。
何処か皮肉げに笑みをこぼしつつ、エナガに乗って飛び立つ少女を見上げ。


「…おぅ、あばよ銃士サマ。次もまた銃口を向けるのは勘弁してくれよな」

そう返しつつ、その姿がやがて空の上へと消えて行くのを見届けて一息。

「…ったく、やっぱり気紛れというか俺もどうにも甘い」

呟いて、さっさと戻ろうとこの戦場を後にしようか。後日、報酬が思ったより多い事に少しだけ不思議そうだったとか。

ご案内:「タナール砦」からエルフリーデさんが去りました。