2016/11/06 のログ
ご案内:「タナール砦」にアマンダさんが現れました。
テイア > 人の気配がしたような気もしたが、特に何事もなく奥へと進み、ある程度で切り上げると縄を登って地上へと戻っていき。
ご案内:「タナール砦」からテイアさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にクラーラさんが現れました。
クラーラ > 嫌な一日を過ごし、暫くしての今。
ずっと部屋の中に閉じこもりっぱなしだったが、手元に戻ってきた魔剣に触れたのが昨日の夜だ。
畏怖と傲りのないものだけが抜ける剣を、穢され、どうあれ甘い声を上げた自分が握る資格なんてないと思っていた。
雷に打たれて死ぬ覚悟で触れたものの、剣は何故か自分を受け入れてしまう。
男の振るった性の暴力に恐怖も覚え、侮ったからこそ捕らえられたはずなのにと自問自答を繰り返す。

(「それなら……もういいよ」)

そうして今、砦の新兵訓練という名目で砦を訪れ、夕暮れから夜にかけての訓練を終えたところだった。
そして、望むのはそれではなく、ここでは当たり前になった襲撃。
夜襲の警報を示す鐘が鳴り響くと、勢い良く外へと飛び出していった。
魔物の群れでもいい、屈強な魔族でもいい。
一人でも多く地獄へ送って、自分が壊れるまで戦ってやると自分の満足のために刃を抜く。
魔法を唱えると、雷鳴のように駆け抜ける身体はあっという間に敵勢へと近づいていく。

クラーラ > 魔物の群れへと吶喊すると、更に加速しつつ刃に電流を溜め込んでいく。
それが刀身となって紫電を発しながら伸びていくと、速度を乗せた横薙ぎが、魔物たちの前衛を焼き切っていった。
すぐさまステップを踏んで回避行動に移ると、電流の短矢を放ち、こちらに反応した魔物の胴体を撃ち抜いていく。

「まだ…っ!」

彼等の合間をすり抜けるように駆け抜け、切裂き、貫き、掻っ切る。
速度と技、火力を魔法で補った複合技術。
纏った騎士服の様それも、多少の防御力しか持たず、重たい一撃を喰らえば一溜まりもない。
次々と魔物を屠っていく中、遠くから飛んできた鋭い魔法が脇腹を叩きつける。

「っは……!?」

群衆に紛れて放たれた魔力の矢が持つ破壊力はかなりのもので、直撃した部分が焼け焦げて白い肌にうっすらと火傷の痕を残す。
声にならない悲鳴を上げると、直撃の勢いに流され、地面を飛び石のように転がって崩れた見張り台の壁に背中が衝突する。
激痛が背中と脇腹から上がっていき、意識をふらつかせていく。

「……まだ…」

電気を身体に流し、痛みを遮る。
強引に体の限界を突破させ、立ち上がると剣を構えて魔物たちを睨む。
今が好機と突っ込んだ一体が爪を振り下ろすも、受け流すように剣を振るい、胴体を切りつけ、蹌踉めいたところで喉を突き、絶命させていく。

ご案内:「タナール砦」にソル・グラディウスさんが現れました。
ソル・グラディウス > タナール砦の攻防戦。
千にも及ぶ魔族の軍勢の中にその男性はいた。
深々と帽子を被り、背中に剣を背負った黒づくめの『人間』。
その人間は周囲の魔族に攻撃される事なく、自然とその軍勢に紛れて砦へと進行していた。

「はっ……こいつぁ…」

先頭付近で繰り広げられる攻防。
そこで感じる一段と大きく強い魔力。その魔力がある場所に生じる雷電。
その少ないヒントでそれを発生させている人物が誰かはっきりとわかった。

前にいる魔族を手で強引に押しのけながら剣を抜いてその場所へと向かう。
帽子の下にはニヤリと楽しそうな笑みを浮かべた男性の顔があった。

クラーラ > 流石に一人の女にこれだけの手勢が死んでいくとなれば、仮に倒せたとしても被害は甚大となる。
突っ込んできた一体を切り捨てたところで、魔物達がじりじりと下がり始める。
逃がすかと追いかけようとするも、行く手を阻む魔法が雨霰と降り注ぎ、地面を吹き飛ばす。
目を守るように腕を翳すと、魔物達の姿が少し遠くまで逃げてしまったのが見える。

「……逃げられた」

ぼそりと呟くと、剣を収めようとするも、こちらへと近づいてくる気配に気づいた。
振り向いた先には、魔族やらを押しのけてこちらへと向かってくる男。
それも、この間自分と刃を交えた魔剣を持つ男だった。
彼の笑みにこちらも薄っすらと微笑むと、ベルトに吊るされたポーチから魔法薬を取り出す。
それは命を抉ってでも傷を治す、後先を考えない危険な治癒薬。
青色のそれをためらうことなく一気に飲み干すと、空になった瓶を放り捨てる。

「……こんばんわ。前言ったよね? ……魔剣で戦いたいって」

問いかけながら腹部の火傷が消えていき、体の痛みが消えていく。
抜き身の刀身にはバチバチと電気が爆ぜる音を響かせ、光となって駆け巡る。
すっとそれを構えれば、更に言葉を続けた。

「いいよ……してあげる、いま、そうしたい気分…」

それが冗談ではないと言うように、体中を魔力で満たしていく。
変わらぬ澄まし顔ながら、じっと見つめる視線は以前手合わせしたときよりも真剣で、彼から視線を離す様子はない。

ソル・グラディウス > ジリジリと下がる魔族の群れを押しのけて、軍勢から一歩前に出て彼女の前までやってくる。
剣をくるくると回して、それと同時に肩を回して柔らかくしつつ、彼女の周辺に広がる魔族の無残な死体を見据える。
やはりこの女性は想像した通りの人物だ。

「おうよ……あぁ、言ったな」

感じる強大な魔力。
初めて彼女と邂逅した日に約束した戦闘。結局は普通の剣でした模擬戦であったが今やっと魔剣での本気の殺し合いをできると僅かにウズウズする。
しかし、彼女が飲んだ青色の治療薬を見てその表情と感情は一転する。

「………お前に何があったんだ」

目を細めて彼女を見据えてそう問いかける。
バチバチと電気の爆発音を響かせる彼女の剣に臆した訳でも、魔剣での戦いを容認したのに意外に思った訳でもない。
ただ、彼女が前と『違う』。彼女の魔力を僅かに感じ取って気付いたそれに眉間のシワを深める。

「言葉より剣で語った方が早いか…来いよ。言っとくが俺は強いぞ」

前回の模擬戦のような笑顔や狂気はなく、真剣な眼差しで彼女へ言う。
剣は構えず、手に持ったままの仁王立ち。
卓越した剣技を身に付けている彼女ならばいくつもの隙を見つけられるだろう。

クラーラ > 「……何も?」

あまり表情が変わらない事が、嘘をつく時にも役に立った。
脳裏によぎったのは、心身を踏みにじられ、汚され、屈服させられた恥辱の夜。
そして、そんな自分が魔剣を握る自己嫌悪。
気持ちを押し殺して、顔に出さないようにしても、何時もより荒っぽくなった魔力の波は気づかれてしまったのかもしれないと、彼の言葉から思う。

「知ってる……とっても」

彼も仁王立ちのまま受け立つなら、地面を蹴って加速する。
魔剣の力で速度を早め、魔法で反射速度を強化した動きは、空から落ちる雷の様にジグザグに彼へと迫っていく。
正面から自分の右手側へと急激な変化をすると、斬りつけるように刃を少し振りかぶったところで、片手から貯めた魔力を電気にして爆ぜさせる。
目潰しの電光を撒き散らすと、ぐっと膝のクッションで力をためつつワンテンポずらしてからの横薙ぎを放つ。

(「……さぁ、弾いて?」)

前に戦った彼の力すれば、二度三度のフェイントやタイミングをずらす動きでも、ギリギリ対応できるはずと思い、当たるか当たるまいかの瀬戸際で攻撃を狙う。
自分が彼にできることを、魔剣に出来ることをするための戦い。

ソル・グラディウス > 「……そうかよ」

表情を変えず、短くそう返すだけの彼女。
顔には出ないがその実、何か重大な事があったのだろうと魔力の流れから察する。
相手がしらを切るのならもはや言葉は不要。手に持ってる雷の剣から聞けば良い。

「なら、安心だ。来いよ『雷鳴』。おとぎ話の力とやらを見せてくれ。」

手招きしてそう発言した矢先、雷の閃光の如く軌道を描いてやってくる彼女。
光速にも思えるその動きを目で追い目の前で立ち止まった。
右から来る刃。それが直撃するかと思ったとき、彼女の片手から発せられる電光。それを直で受けて、一呼吸置いて横薙ぎの刃がやってきた。

「………くあっ…!いってえぇぇ……」

二、三度のフェイントは全て見切った。剣での迎撃も可能だった。
しかし彼が選んだ防御方法は…彼女の魔剣を片手で掴むことであった。
魔剣の刃が掌の肉に食い込み、雷が皮膚を焦がしていく。