2016/04/08 のログ
■ヘンリエッタ > 連れてこられた捕虜は女ばかり、もっと男のほうが多くいたはずなのだが…連れて来られないということは、あまり考えたくない結末を迎えたと見るべきか。
数人ほどを牢へと放り込むと、魔族達はこれぐらいで壊れやがってだのと悪態をつきながら上がっていくようだ。
「……」
無言のまま静かにベッドの下から這い出ると、扉を抜けて廊下へと戻る。
自分の牢に誰かを放り込まれなかったのは、運が良かったかもしれない。
鍵の掛かった牢を見ると、乱暴の限りを尽くされた少女が転がされていた。
ケープの下に忍ばせた薬瓶に手を伸ばすと、鍵穴から注ぎ込んでいく。
強酸が鉄を溶かし、鍵を破壊すれば、ぎぃっと金属の悲鳴を静かに響かせながら中へ入る。
「…逃げます、よ」
弱った体を強制的に回復させる強力な薬を取り出すと、注射器で少量血中へと注いでいく。
効き始めるのに少し時間がかかる、他の牢の人達も助けないと…と、思いながら廊下へ出ては鍵を壊し、薬を繰り返そうとするが、狐耳の少女には気づいていなかった。
■タマモ > どうやら、自分よりも前にここに来ていた者達だろう。
通り抜け際に、ひらりと挨拶代わりに手を振って奥へと進む。
堂々とこんな場所にやってきた上、軽く挨拶もする少女に、その者達もそう疑う事もなく上へと消えていく。
ぴくん、その耳が不意に揺らぐ。
さっきの者達の会話から、この奥に居るのは人間側の女性達だろう。
しかも、色々と楽しんだ後の様子、動く事さえも出来ないはずだ。
なのに…動きがある、しかも、忍ぶような静かな動き。
魔族側の者ならば、そんな風にする必要はない。
そうなると…人間側の何者かが忍び込んでいる?
軽く考え込めば、そこからは足音を忍ばせて近付いていく。
近付けば近付く程に、音ははっきりとしたものとなる。
鍵を壊す音、間違いなく侵入者だと確信を持つ。
まぁ、入れて貰っている恩義を少しは返すか、そう思えば音を立てぬまま、その鍵の壊れた牢が覗けるところまで来るだろう。
前に集中しているならば、その少女にはこちらは見えない。
だが、ここに閉じ込められていた者ならばこちらが見える感じか?
■ヘンリエッタ > 一つ目の牢を開放し、二つ目の牢へととりかかる。
鍵穴から注がれた酸が鍵を溶かし落とし、再び扉が開いていく。
この娘も外傷はそれほどないが、度重なる陵辱の果てに心身が衰弱しきっていた。
生きていることだけはしっかりと確かめてから薬を注ぎ、意識を取り戻させ、体に活力を与えていく。
ふらりと起き上がった捕虜の少女へ、安心させようと笑みを浮かべていく。
「大丈夫、ですよ…あと、隣の人も、起こしてきます、から」
しかし、目の前の彼女は何故かこっちを見ている様子がない。
後ろの人も仲間なの?とつぶやかれた言葉に振り返れば、狐耳の少女が目に飛び込み、思わず銃口を向ける。
「……ミレーの、人?」
魔族というよりはミレー族の娘に見た感じの外見、尻尾が多いのは奇妙と思うものの、ゆっくりと銃口を逸らしながらそちらの様子を見やっていた。
■タマモ > 「やれやれ…人間側の侵入者、どんな者かと思うてみれば、じゃな。
…その武器、ティルヒアの物か?
何はともあれ、お主等、今は捕虜の身じゃろうに、そんな事をしておってはいかんじゃろう?」
念の為にといつものように、その瞳が鈍く輝きだす。
そのまま中を見れば、捕虜らしき者達…に紛れて、一人違う雰囲気の少女、この少女が侵入者か?
捕虜の仲間か?の言葉に少女が振り向けば、銃口が向けられた。
だが、向けるだけで撃つ事はまだない、それは少女の意識から見る事が出来ている。
いつものミレー族との間違い、その訂正はとりあえず今はしない。
向ける言葉は明らかに味方であるそれとは違うもの。
呆れたようにかける言葉と共に、無遠慮に少女へと近付く。
■ヘンリエッタ > ミレーの人なら恐らく味方か、最悪でも中立の存在だろう。
そう思っていた矢先、掛けられた言葉はそれよりももっと良くない感触を覚える言葉に、表情が険しくなっていく。
「…来ないでくだ、さい」
銃口に青色の魔法陣が浮かんでいく。
一度逸らした銃口を改めて向け直したのは、彼女がどちらかといえば敵と思える言葉を口走ったからだ。
無遠慮に近づこうと踏み出せば、牢の入り口の地面に向けて青い魔法弾を一発放つ。
地面に着弾すれば魔法陣が広がり、踏めば冷気が足を氷で包む枷となる罠状の魔法を発動させるだろう。
■タマモ > 今の言葉で敵味方の判別は出来ただろう、少女の表情が変わる。
更に近付こうとした矢先、地面になにやら魔力を放つ。
瞳はまだ少女に向けられたままだ。
「それはならん、人間が支配すれば人間が好き勝手やっておったじゃろう?
魔族だけはやらせぬと、そう都合の良い事はさせれんのじゃ」
歩みは止める、が、とんとんとその罠が発動するぎりぎり手前を足で叩く。
つまり、この魔法の効果範囲を認識しているという意思表示だ。
「ふむ…お主の武器は水や氷を使うものか、人それぞれでそういうものがあるものなんじゃのぅ?
じゃが、止めておけ、大人しく投降すると良い。
お主と妾では相性が悪い、痛い思いをするだけじゃぞ?」
続く言葉は、ついでにその属性も分かっている事を伝えるもの。
少女がどんな魔力をどうやって、どう発動させようとしているのか、全て見えている。
その上で、まだこちらからは手出しをせず、大人しく従うように言ってみる。
まぁ、うん…こういうタイプは多分聞いてくれないだろうな、とは思っているのだが。
■ヘンリエッタ > 「……少なく、ても…私は好き勝手してないです」
寧ろ、捕虜になった魔族の怪我の手当をして酷い目に合わされたぐらいだと、ここでの思い出が脳裏を過る。
魔法弾を地面に撃ちこむも、奥せず突っ込むといった様子はなく、見抜く言葉に少しだけ表情に曇りが掛かる。
「…まるで誰かの魔法銃でもみたことがある、みたいなこと…いうんですね。 嫌、です」
投降を促されるも、今度こそ捕まったら壊されると思うばかり。
魔法陣を更に銃口に広げ、高圧縮された水の弾丸を連射していく。
当たれば大人が転げるほどの衝撃を持った水の塊だが、強い冷気も帯びており、連続して当たれば、当たったところから忽ち凍り始める水と冷気の魔法。
相性が悪いと言われても、確かめないかぎりにはハッタリかもしれないと思いながら、先制を仕掛ける。
■タマモ > 「………?…ほほぅ…お主、そのタイプの人間か…なるほどのぅ?」
僅かの間、少女の先の言葉の直後にかくん、と首を傾げた。
少女の脳裏を過ぎる思い出が、そのまま見えたからだ。
表情を曇らせる少女と対照に、ふむふむと頷き、くすりと笑う。
「みたいな事、ではなくて、一度見たからのぅ?
確か、あちらは風だったじゃろうか?
ふふ…嫌がれても、知っているものは知っている、仕方あるまい?」
後の言葉を続けて返しながら、次にくる攻撃に備えるように、ぽんっとその手に唐傘を出した。
…ちょっと狭くて使い難いが、なんとかいけるか。
唐傘を広げて前に突き出すと、くるりくるりと回転させる。
そこに何発もの水の弾丸が当たり、弾け、当たったその場所を覆うはずの冷気が牢の中へと霜となって舞い散った。
…あまり連発をし過ぎると、この牢の中を凍えるくらいに冷やしてしまうだろうか?
止めるか続けるかは、少女次第である。
■ヘンリエッタ > 「何を言ってるんです、か…?」
意味深な言葉と共に首を傾げられると、その意味を問い返す。
まさか記憶を覗かれたとは思いもせずに銃口を向けていた。
「風…?」
風の魔法弾といわれれば、浮かぶ姿はなく…ティルヒアの戦争の頃にでも見たのだろうかと思いつつ、水の魔法弾を放った。
番傘の回転で水が弾かれ、冷気が散ってしまう。
これでは動きを止めるのが特徴たる水の弾の意味が無い。
魔力の塊を放つ魔法弾へと切り替えると、近づかせまいと更に連射を繰り返しつつ、傍にいた少女へケープの中の薬便を落とすようにして渡した。
「それと、それを…一つにまとめて、ください」
刺激臭がする二つの薬瓶、それを開ければ驚きながらも捕虜の娘が一つにまとめていく。
魔法が効かぬなら別手段と、前の敗北から考えた手段を講じる準備をすすめる。
■タマモ > 「おっと、気にするものではない。
時に、お主、自業自得という言葉を知っておるか?」
まぁ、心を読まれているという想像はまだついてないようか。
空いている手をひらひら振って誤魔化し、ひとつの問いをかけてみる。
「ふふ…先に言うておくが、お主が水を撒き散らしてくれているお陰で少しやり易くなったのじゃ。
少々汚いやり方じゃが…動くでない、お主でなく後ろの捕虜がどうなるか分からんぞ?」
振っていた手をすっと少女の視線から隠すように唐傘の内に、印を組む。
周りの霜はすぐに温度で溶け、同じく撒き散る水弾の水と共にゆっくりと捕虜の少女達へと集まっていく。
それは集まっていき、一つの水の塊となって魔法弾を打ち続ける以外の少女達を飲み込んだ。
■ヘンリエッタ > 「…何がいいたいんです、か」
不意に妙な言葉を問いかける彼女に、訝しげな表情を浮かべながらも魔法の弾丸を放ち続ける。
続く言葉に何か仕掛けてくるかと思い、ちらりと薬の調合を任せた少女の方へと視線を向けていく。
「…っ」
水の塊となって捕虜を飲み込もうとするのが見えると、薬をまとめ終えた娘は急いでそれをヘンリエッタに放った。
仮に…投降しても、助かる保証はないし、また玩具にされる可能性が高い。
そう思えば惨めに生きるより、足掻こうと託された瓶からそう意志を感じていた。
「…嫌です」
まだ、大丈夫。
この魔法を解除させればどうにかなるはずと、薬を受け取ると、氷で栓をした瓶をタマモの方へと放り投げる。
そして、魔法弾で番傘の前で撃ち抜こうとするだろう。
撃ちぬかれれば、魔法のエネルギーで内部の薬物が急激な化学変化を起こし、さながら手榴弾の様に炸裂するはず。
それも廊下側、タマモの方向へエネルギーを指向化され、爆発力を圧縮した破壊力で反撃を狙う。
■タマモ > 「おや、分からぬか?この言葉の意味は、己の行為が己へと返って来るという意味じゃ。
それが悪い行いならば悪い事が、良い行いならば良い事が、のぅ?」
まぁ、まだ今こういった事を言ったところで理解はしてくれないだろう。
もう少し、遊ばせて貰うとしようか。
「そうか、それは残念じゃ…この手を軽く捻れば、その中の者達は簡単に殺せるじゃろう。
それが、お主達が選んだ結末じゃな?」
視線は少女から相変わらず離れる事はない。
放り投げられた瓶が、どこで、どうなるか、もう見えているからだ。
魔法弾で瓶を打ち抜くその瞬間を狙い、唐傘をするりと肩へとかける。
その姿はすぅっと霞がかった様に消えていき…少女達が飲み込まれている、水の塊の傍に現れる。
その手は、何かを掴むような形に握られていた。
それに連動するように、体を大きな手で掴まれているかのような感触を受ける少女達だが、驚きの表情を浮かべるだろうか?
ちなみに、爆発は入り口で起こっている。
そのままにしたならば、大きな爆発音が起こり、上に居る者達を呼んでしまうだろう。
だが、それは何か見えない壁に包まれているかのように、音を漏らす事も周りに被害を与える事もなく爆発していた。
■ヘンリエッタ > 「…この人達、が…壊されるだけに、生きるのを…望むとでも?」
逃げれるなら良かったものだが、どうにもそうは出来そうにない。
慰み者にされる生などと言いながらも爆発で攻撃を仕掛けるが外れ、更に防御されたとなれば驚きが重なる。
気配が入り口から近くへと移動したのに気付けば、そちらへと振り返り、何かに掴まれた感触に身じろぎする捕虜の姿も目に映る。
(「……何だか、妙です」)
魔法弾の相性が悪いといったのも、爆発を避けたのも見越したかのような言様と動き。
まさか動きを読まれてる? と思いつつも、それは確かめねばと銃口に魔法陣を二連で浮かべると、タマモの足元目掛けて二発連続で撃ち放った。
一つは着弾点を魔法に対する鏡面として力を弾かせる魔法、もう一つは強めの魔法弾。
足元で跳弾させての不意打ちを狙うが、先程の氷の罠と思うなら下がるだけだろう。
違うなら違う動きをするはずと考えながら、命の時間が危うい中で探りを入れる。
■タマモ > 「ふふ…お主、よく頭が硬いと言われておらぬか?」
どうにも、この少女は捕虜達が壊されるのを前提にしか物事を考えてない様子だ。
相手の為にと必死なのだろう、そう思えば、掴んでいた手をぱっと開く。
ばしゃっ、と音を立て水の塊だったものが、ただの水となって床に広がっていった。
少女達はといえば、不思議と叩き付けられた様子もなく、床に静かに降ろされていた。
「………ご明察、と言うべきじゃろうな」
その答えを教えるかのように、肩にかけていた唐傘が動く。
しかも、少女が攻撃を行う僅か先に。
足元から襲ってくるだろう魔法弾を、開いたままの唐傘で受け止めてみせる。
■ヘンリエッタ > 「…どう、でしょうかね」
硬いと言われた記憶はあまりないものの、柔軟性に富むかといえば学者肌のせいか、柔らかい方ではないはず。
握りつぶされると思っていた捕虜の少女達が開放されるのを見るや、タマモの考えが一層わからなくなる。
ミレーなのに敵対する言葉をかけるし、今は殺そうとした相手を手放したりと、戸惑いが心を包む。
「……やっぱり、私の…動きを呼んでます、ね」
反射攻撃の魔法弾が簡単に防がれると、確信を得ていく。
しかし、向こうが捕虜を解放したことでそれ以上の攻撃は仕掛けなかった。
何を考えているのやら、そう思いながら、銃口を少し逸らしつつ、じっと様子を見ていた。
■タマモ > 「妾がお主に何をしているのか、妾がお主にかけた言葉の意味、少し考えれば分かる事じゃろうがのぅ?
…お主、人間が占領していた時に、魔族の者を助けたな?」
少女に浮かぶ戸惑いの色、そして、攻撃の手が一旦止まれば、唐傘を再び肩へと戻す。
くるりくるりとまだ回しているのは、唐傘を濡らす水滴を散らしているのだろう。
そうしながら、先程見せて貰った思考の一つを聞かせてみる。
そろそろ、答えを探り当ててくれても良いのではないか?みたいな表情を浮かべて。
「いいや?お主の思考を見させて貰っておるだけじゃ。
動きをいちいち読むなんぞ、面倒な真似はする気もないしのぅ」
力を使っていた手は、もうそんな力を使う気も無いといわんばかりに、裾から扇子を取り出した。
口元に広げながら扇子を揺らがせるその仕草は、戦う気がないと見えるか、相手にもならぬという余裕と見えるか、どちらだろう?
■ヘンリエッタ > 「……捕虜、ですから」
捕まえたのならそれなりの待遇をし、捕虜の交換なり、身の保証の代わりに情報を求めたりと、利害関係こそがあるが、健全なやり取りは必要だと思えばこそ。
傘を納めれば、予想よりも遥かに強力な手段を使われていたと明かされ、呆気に取られた顔でその様子を見ている。
「……どおりで妙、だと…思いました」
それでは攻撃は当たらない。
あとは読みが必要ない攻撃ぐらいしか手段はないが、相手は武器を収めている。
こちらも取り敢えずはと銃をホルスターへ収めていく。
「…それで、どうする…つもり、ですか?」
どちらにしろ、ここから抜け出さないと危ういことは変わりなく。
じっと焦げ茶の前髪の下から碧眼が彼女を見つめている。
■タマモ > 「人間と魔族、上の考えはそう綺麗なものではないぞ?
もっとも…少なくとも、お主の行いは偶然とはいえこうした形に現れる、というものか」
そろそろ良いか、そう思えば、鈍い輝きを放っていた瞳が元へと戻っていく。
ちらりと少女達へと向ける視線、次いで他の牢へと向けられる。
「して、残りの捕虜は何人程じゃろうか?
今回だけは、妾がどうにかしてやろう」
くるりと踵を返し、今居た牢から通路へと身を乗り出す。
右を左を見て、誰も来ていないのと、爆発の影響が本当に無いかを確認しながら。
確認を終え、再び少女へと向き直れば、視線を合わせ言葉を返した。
はっきりと言ってしまえば、ただの気紛れだが。
■ヘンリエッタ > 「だからといって、私まで、そうなる必要…は、ないですから」
瞳の色合いが変わっていく、どうやら瞳に何か特殊な力を纏って思考を読んでいたのだろうと察すると、続く言葉に驚き、揺れた前髪の隙間から碧眼が丸く大きく見開かれたのが見えるはず。
「…あと3人、ですね。ここにいるのを含めると…5人ですけど」
先程の声と音からおおよその人数で答えると、助けてくれるとの言葉に安堵の笑みを浮かべてから、ゆっくりと頭を下げた。
「ありがとう、ございます…」
■タマモ > 「そう…だから、こうして善行が果報となって迎え入れられた訳じゃ。
良い行いというのは、しておくに限るのぅ?」
なるほど、こうして見てみると、この少女も結構可愛らしいと思った。
まぁ、だけど今日はいい、先ずはやる事があるのだから、と。
「大人数ではどうしようもないが、その程度の人数なら大丈夫じゃろう。
…礼は要らぬぞ?
今回はたまたまこうしてやるが、次に会う時も同じとは限らぬからな?
もしかしたら、ここでされるはずだった以上の事を妾にされるやもしれん。
それを考えれば、のぅ?」
頭を下げる姿に、それはよい、と手を振った。
まだ居るならば、その者達も動けるようにと、その残った者達が居そうな方向へとちょいちょい指を向ける。
そして、最後の言葉は少し悪戯の意を込めて伝えた。
…いや、まぁ、本当にそうなるかもしれないし、と思うから。
■ヘンリエッタ > 「…あぁ、だから」
だから妙な言葉をいったのかと、その言葉の続きで理解を示す。
5人ぐらいならと、希望が見えてきた言葉に少しだが気が休まる。
そして続く言葉に困り顔で苦笑いを浮かべていた。
「ありがとう、ございます。えっと、出来れば…それは避けたい、なと」
如何わしい事を想像させられるような言葉に、やんわりと断りの言葉で答えつつも、指差す方向へと向かい、鍵を静かに壊して中へ。
再び捕虜の少女達に薬を打っていけば、弱々しく息をする程度だったのが、どうにか歩けるようになる。
無理をすれば走れなくもないが、これはあくまでその場繋ぎの薬だ。
準備ができましたと、彼女へ振り返り、後は任せるだけである。
■タマモ > 「うむ、まぁ、はっきりと言ってしまっては面白味に欠ける、というのもあったしのぅ?
ふふ…さてはて、それが避けられるかどうかは、その時によりけりじゃろうな」
安心したような表情から、困っているかのような、その後は他の捕虜達を助ける為にと真面目そうな表情。
ころころと変わる表情を楽しむかのように、その動きを眺めている。
それが終わり戻ってこれば、さて、どこに向かおうかと思案を巡らせる。
「………ふむ、では向かおうかのぅ」
とりあえず、王都なら安全だろうと思い、まだとっているままの温泉宿の自分の部屋に向け光景を頭に描く。
少し狭いが、下手に公衆の面前に現れたり、王都の外とかよりはマシだろう、と。
少女達の集う牢の中、ぐらりと辺りの光景が揺らげば…次の瞬間、その場は誰も居ない牢となる。
その後の事は、まぁ、この少女に任せよう、そう思い。
ご案内:「タナール砦」からタマモさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」からヘンリエッタさんが去りました。
ご案内:「タナール砦」にアイリスさんが現れました。
■アイリス > (――夜。人々が、街が寝静まる頃、此処タナール砦では人間と魔族の絶叫と歓声が響き渡っていた。――夜戦・夜襲、である。今現在、魔族に占領されている砦を奪還するべく、王国側が夜戦をしかけた形だ。ひとまず、私達傭兵・冒険者を基本にした先発部隊・・・それが潜入し、騒ぎを起こす。その後に、後発部隊が裏口から侵入し、一気に攻め落とす・・・。そういう作戦になっている。傭兵として、雇われ先発部隊に籍を置いた私は先行で砦に侵入している訳であるのだが・・・)
・・・まぁ、囮部隊よね。
(先発、と言えば聞こえは良いが要するに後発のメイン部隊が投入されるまで囮になって時間を稼げ、という訳だ。無論、後発と比べれば数も質もこちらの方が劣る。どちらがより危険か、といえばこちらであるのだが・・・まぁ、とりあえず騒ぎを起こしさえすれば自由にしていい、というのは気が楽で良い。)
まぁ・・・せいぜい後発の騎士サマの栄光の為に働きましょうか、ね。
(まぁ・・・充分なお金はもらってるのだから、それ相応の働きくらいは見せてやろう。奇襲により、充分な準備のできていない魔族を相手に先発の部隊である傭兵部隊は蹂躙を続ける。白猫としても、ダガーを片手に現れた魔族を切り裂き、その血を浴びながらも更に奥へ制圧を続ける。――ここまでは順調。されど、そろそろ魔族の方も上位の魔族や準備を整えた魔族が出てきてもおかしくはない。血に、戦いに酔った血の気の多い者達はどんどんと先に向かっている様子であるが・・・さて、ここからどうなるか・・・。)
ご案内:「タナール砦」にドルクスさんが現れました。
■ドルクス > 「夜遅くにホント迷惑な話だよね…どうせ来るなら昼間に来ればいいのに」
くぁ…と欠伸を漏らしながら腕を振るう
魔力で手の先に刃を形作り後は首を薙ぐだけ、それだけで物言わぬ肉塊が数体出来上がり
「折角気持ちよく寝てた所を邪魔してくれたんだから、覚悟はできてるよね?」
この砦での戦闘は金銭目的
人間相手に適当に暴れればいいはずだったのに今はこうして奇襲部隊に攻め込まれている…
見張りの無能さに頭を抱えながら目につく人間を狩っていく
今ここを落とされては報酬も出ない…それは困るのだから
■アイリス > (彼ら が制圧するべく走り去っていった先から絶叫とヒトの血の匂いが香る。以前も、何人か負傷した者の悲鳴は聞こえていたが・・・それにしてもその頻度が多く、数が多い。――強力な魔族でも現れたか。もし、後発部隊が既に潜入し、制圧を開始しているのならば自分はとっとと撤退するのも手であるのだが・・・まだ、合図はない。なれば、もう少しここでこらえなければならない。・・・数が減らされればそれだけ自分のリスクも増える。背を向け、後ろから撃たれるのも御免だ。)
・・・思ったより早かったわね。
(もう少し蹂躙できると思っていたのだけれど・・・想定より大分早い反抗が始まった。 警戒しつつ、様子を見に行こう。いつでも刃を抜けるように、柄に手をかけながらその悲鳴の音源に向かい・・・壁を背に、気配を殺し曲がり角の先に首切り人形を創りだした魔族・・・そちらの様子を覗き見て。)
■ドルクス > 「これで20、と」
また新たに人が転がる、結構な数をこなしてきたものの未だにそこかしこで戦闘の気配
しかし…先ほどから気になるのは兵の練度
弱くはないが訓練された兵士の動きでもない…特攻まがいの奇襲なんて趣味の悪い事を考えてしまう
「いっそ降伏すればいいのにね。それで…君も俺に向かってくるかい?」
曲がり角の奥、こちらを伺う者に声をかける
平時なら気付かないが今は戦闘中、自身の周囲葉空間魔術のおかげでネズミの動きも察知できる
正面から向かってこないので一応声をかけるが…向かって来ればそれその時