2022/05/17 のログ
ご案内:「無名遺跡」にユージンさんが現れました。
■ユージン > 「さて、たまにはちゃんと稼いでおかねえとなァ」
遺跡中層。安物の中古装備で身を固めたみすぼらしい男がひとり、石造りの通路を往く。
特に照明らしき設備も見当たらないのに、松明もランプも必要ない不思議な通路。これも古代の技術によるものだろうか。
たった一人で探索に挑むのは、単純に自分の取り分が減るのがイヤだからだ。
普段の彼の行いを知る同業者の中に進んでその探索に付き合うような物好きがあまり居ないという事もあるのだが。
「おっと」
長く伸びた路を進めば、その果てに待っているのは直角の曲がり角。
だが、その先に迂闊に踏み込むのは早計というもの。何が待っているか分かったものではない。
用心深く壁際に身体を張り付けて、慎重に角の向こう側を覗き込む。
(……案の定、だな。 見張りって訳でもないだろうが……)
男が微かに覗き込んだ視線の先には、自分と大差ないような粗末な装備に身を包んだゴブリンが一匹。
通常の冒険者ならば、取るに足らない雑魚と言って差し支えない相手だが、この男の場合は話が別だ。
(二匹居なくてよかったァ……!!)
数の暴力。それは突出した武を持たぬ者には尚更に露骨で深刻な問題である。
一匹の相手に手間取っている内にもう一匹から殴られる。そのまま死んで骨になる→いくえ不明
しかし、ただの一匹ならば決して勝てない相手ではない。そしてこの日、男は更なる備えを用意していた。
■ユージン > 「…………これでも喰らいやがれッ!」
聞こえない程度に抑えた掛け声とともに、懐から取り出した何かを通路の先に軽く放り込む。
ぱさり、と決して重たくはないそれが床に落ちるときに立てた小さな物音。
通路の先のゴブリンの耳がひくりと微かに震える。彼が巡らせた視線の先に転がっていたもの。
それは、一冊の薄い冊子。
見慣れぬそれに関心を抱いた緑色の怪物が、おそるおそる慎重に近づき、それを拾い上げる。
『!?』
ゴブリンはさぞや面食らったことであろう。
上等の艶やかな紙質の表紙。
鮮やかな色彩で、煽情的に半壊した鎧を纏った女戦士のあられもない姿を大きく描いている。
ゴブリンは思わずページを捲る。
鼻息が荒くなる。震える指が、内容に焦らされてたまらんと言った調子で次々に新たなページを捲る。
食い入るように本の中身を一心不乱に見詰め続けるゴブリンのすぐ背後。
気配と足音を巧妙に殺して近づいた男が鞘入りのままの剣を大きく振りかぶった。
どさり。倒れ込んだゴブリン。頭には大きなタンコブを生やしている。
その傍らに転がっている冊子の開かれたページでは、半裸の女戦士が『たとえ身体を好きに弄んでも、あたしの心まで自由にできるとは思わないことね!』とかなんとか凛々しく言っている。たぶん次のページでぶざまにアヘ顔を晒すやつに違いない。男は冊子を拾い上げるとページを畳んで丁寧に懐にしまい込んだ。
「……よし、効果はテキメンだな……。この調子で上手くやればオークくらいまではギリいけるか……?」
■ユージン > 昏倒しているゴブリンは身ぐるみを剥がされた上にロープでぐるぐる巻きにされて無造作に転がされている。
粗末な装備品だろうと、売れば二束三文の価値は出るだろう。
この先の探索でもっと金目のものを見つけたら捨ててしまっても構わない。
最低限、今夜の飲み代程度にはなりそうだなと思いながら男は略奪品を袋に詰め込んだ。
「……せっかくだしもうちょい奥まで攻めてみるか」
魔物が相手ならば、人間相手よりは気楽でいい。
昔飼っていた犬を思い出して剣の柄を握る手が躊躇で震えることもない。
岩壁に片手を添えて、その際に寄り添うようにして慎重に進む。
なぜこう動くかと言えば、いきなり出会った相手が斬りつけてきても最小の動きで躱し壁に武器を衝突させて隙を作るためだ。
足音を殺しながら、慎重にゆっくり一歩一歩進む。
頬をあてた岩壁の冷たさがひんやり心地よい。だが少しゴツゴツしている。やや痛い。
ご案内:「無名遺跡」にクラスソニアさんが現れました。
■クラスソニア > 「…………………………」
鮮やかにゴブリンを倒してのけたやり口に、聖騎士は凛々しく整った美貌の翠目を実に見事なジト目で歪ませていた。
それはまさに偶然の邂逅であった。
貴族からの依頼を受け、無名遺跡での素材採取を終えての帰り道、点在するダンジョンの入り口に一人で入り込もうとする無謀な痩躯を目にしたのだ。
最初は思わず二度見した。
前回の出会い以降、事あるごとに脳裏に浮く風采の上がらぬ彼の姿がついには幻となって目に映り始めたのかとすら思った物だ。
しかし、遠目に見えた後姿を追ってダンジョン入り口にたどり着けば、そこには微かに残る彼の匂い。間違いない、ユージンだ。
あの男の実力はよくわかっている。
ソリチュードたるクラウソニアの様にソロでダンジョンに潜れる様な実力者ではない。
彼とて馬鹿というわけではないのだ。
おそらくは何かしら勝算があってのことなのだろう。
それでもそのまま捨て置く事も出来ず、気付けば慣れぬ斥候の様な真似をしてこそこそと青年の後をつける聖騎士ストーカーとなっていた。
そうして最初に見た戦闘が先程のアレである。
聖力によって強化された視力はかなりの距離を隔てていてさえゴブリンを釣りだした書籍の内容を視認せしめた。
「――――本当に、何をしているのだあのモヤシは……」
ゴシュ!
青年がどういうつもりでゴブリンなぞを殺さず生かしておいたのかは分からぬ物の、縛られ身動きも取れず意識すら回復していない妖魔の命を聖女は眉一つ動かすこと無くグリーヴで踏み砕いた。
心底呆れ返った声音を漏らしつつ、しかし、彼が歩き出せば聖女もまた慌てて後を追う。なんとも奇妙なツーマンセル。
ご案内:「無名遺跡」からクラスソニアさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にクラウソニアさんが現れました。
■ユージン > はじめてのお使いin無名遺跡。
……という訳でもなかろうが、己の持ち得る才気をフルに活かして遺跡に挑むひとりのモヤシ男。
そしてそれを物陰から親御さんよろしく不安げに見守る女騎士……そういう奇妙な構図が出来上がってしまった。
はらはらしながらモヤシの後を追う女騎士の心労など知る由もなく、男は壁際をこそこそと進む。
「今日はなんだか調子が良いな。ははは、こりゃひょっとしたら最下層まで行けちまうかもなァー?」
軽口交じりながらも、ゴブリンから巻き上げた粗末な槍の穂先で足元を叩いて罠を探りつつ進む手管は成る程、確かに手慣れたものだ。
今のところ罠らしきものが発動する素振りはなかったが、罠の有無を予め探りながら進むことそのものに意義はある。
やがて突き当たるT字路。左右どちらに行けばいいものか、壁際で立ち止まって考えるのは一瞬。
すぐ手近な壁に身を寄せて、角の先を覗き込む。
「おおっと。今日は牝じゃなくて雄のほう、しかもガチのオークだぞ」
出くわしたのは緑の巨漢。先のゴブリンを更にいかつい筋肉と脂肪で縦にも横にも膨らませたような怪物である。
見た目が大きくなった分、馬鹿力や生命力は凄まじく、ゴブリンとは比較にならないほど厄介な相手だ。
それも彼の後ろをこっそり付いて回る女騎士ならば欠伸混じりで一蹴できる程度の強さであっただろうが。
「…………よし、それじゃ今度はこうだ」
足元の小石を拾うと、オークが居るのとは反対側の通路目掛けて思い切り投げつける。
なかなか鋭い風切り音を響かせて飛んでいった小石は、岩の壁にぶつかると、そのまま跳ね返って床や天井にぶつかりながら失速し、やがては床上に転がり落ちてそれきり動きを止める。その際に立てた物音は、彼の気を引くには十分だっただろう。慌ただしく駆けてくるオークの動きを先んじるように、男は床上を蹴って勢いよく跳ぶと、天井に四肢を伸ばしてしがみつく。まるで壁天井を這う昆虫が如くしっかりと己の自重を支えながら、オークが横切っていくのをやり過ごし。やがて通路の向こう、小石が落ちた辺りをうろうろしている様子を確かめれば、音もなく再び床上へと降り立ってから、それまでオークが居た方向の通路へと進む。
当然、途中で振り返ったオークがヒヨワな人間の姿を認識し、追いかけてくる事は男も理解していた。
……しかし、彼は自分の後ろをつけている誰かがいる事まで織り込んでいた。
雄叫びを上げながらUターンしたオークが通路を疾走すれば、T字路から顔を出した『彼女』と鉢合わせする事になる。
「やったぜ、オークVSオークだ!」
■クラウソニア > 遠間に聞こえる独り言。それ自体はまるで何も考えていないお調子者の馬鹿といった風情なれど、ああ見えて意外にやることはやっている。
罠など引っかかる端から踏み砕けばいいなんて考えている牝オーガよりは余程に冒険者らしい動きに見えた。
未だにうだつの上がらぬ男ではあっても、やはり、あの年まで大過なく生き残り冒険者という苛烈な仕事を続けて来たのだ。
彼の意外な一面を見て、少しだけ内面の評価を上方修正する聖騎士。
「―――ふむ、また何かに出会ったな。まぁ、あの場所なれば不意打ちも仕掛けやすかろうし………おぉっ? ―――おぉおっ!?」
T字路の角に身を潜めていた男が床から小石を拾い上げ、見ていた方とは反対側にぶん投げた。
それに引かれて重い足音を響かせ駆けるのは、おそらくはオーク。
一匹の様だ。
すれ違いざまに飛び出して刺突の一発でもかますのだろうと思って見ていれば、彼は見事な跳躍を見せて天井に張り付いた。
噂に聞きし"忍者"めいたその動きには、流石のクラウソニアも瞠目する。
しかし、上方からの奇襲で仕留めるでもなくオークが行き過ぎた所で地面に降り立ち、そそくさと無人となった通路の先に向かう様子に
「はぁぁぁぁぁぁ……。ほ、本当に何なのだ、あの男は。全く持って仕方のない……………やかましい散れ」
どぱぁんっ!
小首をかしげて元の通路―――ユージンが向かった先へと戻ろうとするオークは、T字路に到達した女騎士に肉欲の雄叫びを上げて駆け寄って、次の瞬間上半身をペンキめいて壁にぶち撒け命を散らした。
聖剣の煌めき一閃。
瞬く間の出来事である。
よもやこの訳の分からぬ動きが、女騎士の拙い尾行に気付いての物だとはまでは考えていないクラウソニアは、鞘音も勇ましく聖剣を背に戻して先に向かった痩躯に目を向ける。
■ユージン > 振り返った先ではじまる、本日のメインイベント。
オークVSオーク。試合開始から2秒と経たずして決着。
本物オークはご覧の通り無惨に弾け飛び、哀れ壁のシミと相成りました。
「本物をあっさりミンチにするとは、やっぱりやべーなこっちのオークは」
振り返った先、オーク目掛けて鮮やかに閃く流麗な剣技が生み出したものは獰猛にして凄惨な破壊。
自身が死んだ事すら認識できぬままトマトピューレが如くに飛び散ったオークの残骸がべったり張り付く壁面をしげしげと観察。
一拍遅れて、オークの下半身がようやく自分が死んだ事を理解し、重たい音を立てて石床の上へと倒れ込む。
そして元来た道を戻るようにゆっくりと歩み。己を追って通路を進もうとする女騎士と鉢合わせになる格好。
「なるほど。こうしてじっくり見る限り。技、力、武器……全部が全部、おれと比べるのも失礼ってもんだ。
でも一番はきっと、躊躇しないってところ……なんだろうな。おれには手に入らない強さだ」
ぱち、ぱち、ぱち。軽く掌を打ち合わせる拍手の音がまばらに響く通路。
相手を素直に称えるような言葉を紬ぎながら、改めて男は女騎士へと視線を向けた。
彼とて、腐ってもスカウトやシーフの風上の端っこのほうに居座る程度の技量は一応備えているのだ。
戦力の面において如何に遥か格上であろうとも、身を隠す専門の技を知らぬ戦士の隠形を見破れぬほどではない。
「……敵意は感じなかったから、たぶんあんたかなっては思ってたんだ。
いじめっ子以外でおれをわざわざ付け回すような、ヒマな物好きはそのくらいしか思いつかん」
■クラウソニア > 邪魔者を蹴散らして、さっさとのあの粗忽者を追いかけて守ってやらねば。
そんな心持ちの小走りは数歩も行かぬ所で
「――――にゃあっ!?」
素っ頓狂な声音と共に止まることとなった。
とっくに先に行ったと思っていた痩躯が、拍手の音も軽薄にこちらに向かって来ていたからだ。
「な、な、な、な、な、ぁ……」
あわあわおろおろ。
そんな擬音のぴったりと来る聖騎士様の狼狽ぶり。
完全に下に見ていた青年に、おそらくは尾行け始めてすぐに気付かれていたのだろう。
別に悪意が在ってのことではないのだし、むしろここまで彼が被る事になっただろう危難を払って来たのだから、恩着せがましくするほどではないにせよ、堂々と対応してもいいはずだ。
にも関わらず、凛然たる聖騎士が斯様な無様を見せているのは偏に
『気になる男子の跡をつけ、ついには彼の家まで追いかけてしまった思春期娘』
と同様の精神状態にあったからだろう。
近付く痩躯にあわわわわわと周囲を見回し後ずさる背が、背負った聖剣をガツンと壁にぶつけて退路を塞がれる。
「ち、違うのだ! そういう訳ではないのだ! こ、これはだな、その……き、貴様がこの様な場所に一人で入っていくのが見えたから……そ、そう、心配になったのだ!」
訳も分からず熱帯びる美貌が、とにかく悪気があっての事では無いのだと理解してもらうべく、回らぬ頭で必死になって言葉を連ねる。
その結果、ぽんと飛び出したのは彼の事が心配になってわざわざダンジョンの内部までついてきたのだという赤裸々な告白である。
■ユージン > 「……」
うわッ、超おもしれーなコイツ!
まず真っ先に浮かんだのはそんな感想だ。
その気にさえなれば、一瞬でこちらを殺害できるであろう圧倒的な戦闘力を誇るであろう彼女。
そんな相手が今、こうして自分に見られて狼狽しているというこのシチュエーションがまず面白い。
うろたえながら相手が一歩下がればこちらが追いかけ一歩進む。その繰り返し。
一向に狭まることのない距離は、しかし彼女が下がれるだけ後退りし行き止まりに辿り着いた事で一気に動き出す。
どこに逃げようか、そう悩む内に行き場をすっかり見失ったその姿はまるで童女のようですらある。
「……マジで心配しておれの後をわざわざついてきたんか、あんた。
おれの母親か何かか。いや、ははう……ゴホン。ウチのかーちゃんよりよっぽど面倒見いいじゃねーかよ」
気付けばそれ以上後ろに下がれない女を壁際に追い詰めてしまう格好になるくらい、彼我の距離は縮まっている。
それだけ近付けば、普段怜悧そうな雰囲気を纏い凛と研ぎ澄まされている美貌。
そんな彼女の面立ちが、止め処無く溢れ出す羞恥と混乱によって紅潮する様もじっくりと観察できる。
(……クソッ、女オークのくせに可愛いじゃねーかコイツ……)
いや待て騙されるんじゃない。本能の一部分が冷静になれと歯止めをかけようとする……も。
浮ついて緩んだ好色な本能を完全に食い止め切ることは叶わない。
それでも無意識にその肩へと伸ばしかけていた手は上方へと逸れて、彼女の肩上を抜け。
そのまま背後の岩壁に勢いよくドン、と掌を衝く事になる。
「……そういえば、こないだは…… いきなり、キスして悪かった、な……?」
■クラウソニア > 「だっ、誰がお前の母親か! 私はまだそこまでの年ではないわぁッ!」
噛みつく場所からして間違っているが、行き遅れの26歳にとってデリケートな部分が刺激されたのだから仕方がない。
しかし、ムッとして足を出しかけた前のめりも、無造作に伸ばされた細腕の壁ドンにいともたやすく撃ち落とされた。
そう、壁ドンである。
女としては長駆の部類に入るだろう背丈も迫る細身に引けた腰にて頭半分程低くなり、元より在った身長差も合わさって今や完全に見下される形となっていた。
そんな状態で背にした壁についた腕が、サンドイッチの具の様に無骨な鎧の聖女様を挟み込んでいるのだ。
自然、鼻先は触れ合わん程に距離を狭め、規格外のボリュームを持って前面に突き出すKカップは革鎧に触れて拉げてしまっている。
鼻腔を擽る彼の匂い。
無精髭のだらしない、けれどもよくよく見れば精悍に整った顔立ち。
先日クラウソニアのはじめてを奪った唇が薄く開かれ
「―――――ぴっ!?」
ばうんっと魔乳が揺れたかと思うほどに鼓動が跳ねた。
オーガもかくやという膂力を誇る双腕は男を突き飛ばすでもなく身に寄せられて小さく震え、困った様に細眉を下げた美貌はかぁぁ…っと白磁の頬を赤く染め上げていく。
ふわ…と香るのは初邂逅の痴態を思い起こさせるだろう着たきり雀の濃厚な牝フェロモン。
水浴びも出来ず、ムダ毛の処理も行えず、せいぜいが寝る前に濡れタオルで身体を拭う程度にしか清潔を保てなかった女騎士の蒸れに蒸れた淫猥な匂い。
そんな生々しい匂いを立ち上らせているのが、王都では聖女と名高い、そしてその名に負けぬ清楚な整いを見せる美貌の乙女という背徳。
■ユージン > 「い、いやまあ……ウチのかーちゃんより気が利いて面倒見良いって、一応これ褒めてんだからね?」
期せずして繰り出した壁ドンのお陰で、優位に立つことが出来た男。
そうと知っている訳でもなかろうが、これ幸いとばかりに特等席めいた位置より女の顔から爪先まで観察する格好に。
伸ばした指先が、女の顔に掛かる前髪を軽く摘んでずらすように除ける。
緑の瞳を間近からじっくりと覗き込み、観察する。上擦った声、不自然に荒い息遣い。おそらく鼓動は早鐘のよう。
(……あれ。これ、ひょっとしたら……ヤレるんじゃね?)
疑念。明確に抱いてしまえば、それは一気に確信へと近付く。
独り占めするように、今現在視界に収めるこの女体は間違いなく極上。
そして、甘い…… そう表現するのは生易しい、いっそキツさギリギリなくらいに濃厚な、牝の体臭。
それは自然と密着するくらいに触れ合い重なる互いの身体の一部分を、分かりやすいほどに反応させた。
「……ん、ぐゥっ……!!」
下半身の、雄そのものを司るその部位が、女の色気に浅ましくも中てられて。
ほぼ無意識のうちに、怒張したそれは娘の太股あたりに熱く硬いみっしりとした質感を伝える事になる。
否が応でも、目の前の女体に対し、“おまえの肉体に欲情している”そう、男の肉体の主張を明確に伝えてしまう。
思えば、ここまで努めて敵の生命を奪わずに来た。後始末は全て、結果的に女騎士が引き受けてくれていた。
しかし、それでも男にとっては死線を潜ってきた事実に違いはない。
それゆえに、生命の危機を乗り越えた安堵に生存本能は生殖を求めていた。
そこに吊るされた極上の女体は、男の肉棒に一気に興奮を募らせている。
「……ほんと、こうやってじっくり見るとズルいくらい可愛いよな、あんた。
牝オークのくせにカラダはやたらスケベだし…… またキスしたくなってくる、ぜ」
いきなりキスをしてごめん。ついさっきそう告げたのも忘れるくらい。
伸ばした指先が彼女の顎先に充てがわれ、そっと上向かせる。
見下ろすような格好だったから、そのまま覆いかぶさるように互いの唇を重ねる格好。
一度触れあえば、吸い付いて、溶け合うように。
重なる唇の内側では粘着質に絡み合う舌が卑猥にくぐもった水音を響かせる。
より一層に身を寄せれば、革鎧越しの胸板が尚更に娘の乳房を柔く押し潰していく。
■クラウソニア > 「――――あ…っ♡」
ダンジョンの薄暗がりの中にあって自ら光を発しているかに輝く黄金の髪。
熱帯びた額を擽るその前髪に触れられて、身を竦めると共に漏らした単音は事実、男が思わず抱いた不埒な考えを肯定するかの甘さを含んだ物だった。
不意に呻きを漏らした男の生理に、壁ドンシチュに夢中になっている行き遅れは気付け無い。
目尻に朱を滲ませた翠瞳は至近からこちらを見下ろす男の顔貌ばかりに向けられているのだから。
「――――なっ、そ、その様な世辞を言ったとて、何も………だ、誰がオークだ! 大体貴様はいつだって………ひぅっ♡」
男達の視線を誘引して止まぬ胸やら尻やらの肉付きの良さについてはある程度の自信もあるが、26年もの間誰からの手付きにもされなかった顔立ちについてはあまり自信を持てぬ女騎士。
雌ゴリラだの女オークだのと揶揄される事も多く、鏡を見るたび「それほど厳つい顔立ちではないと思うのだが…」と落ち込んできたのだ。
それ故にいきなり"可愛い"だのと言われて他愛もなく頬の赤みを広げ、牝オーク呼ばわりに対する文句も『またキスしたくなる』なんて言葉で一瞬にして掻き消される。
男の指先に顎先が持ち上げられた。
意外に整った男の細面が近付いてくる。
ぎぅ…っと総身が強張る中、若干の迷いを覗かせつつも
「―――――……ん♡」
長い睫毛に彩られた乙女の目蓋は自ら閉ざされ、青年からの口付けを受け入れた。
一層近付く体躯が革の胸当てで聖騎士の魔乳をふにぅんっとどこまでも柔らかく拉げさせる。
送られてきた舌先に唇を舐め擽られ、一瞬びくりと双肩を跳ねさせる女騎士も、そ…っと唇間を自ら広げ、流し込まれる唾液と共に男の舌を受け入れた。
こうなることを予測していた訳では無いものの、それでも万が一の可能性を考慮してミントの葉を噛んでいた己の慧眼に拍手を送りたいと思う。
はじめてを彩った吐瀉物の酸味が、今はミントの清涼感を含むサラリとした唾液の味わいによって上書きされていく。
「ん、ふ…っ♡ ぁ、むぅ……ちゅ♡ ちぅぅ……ちゅ、ちゅぅう…っ♡」
やり方など分かるはずもないけれど、こすりつけられる彼の舌にこちらからもおずおずと舌腹を擦り付ける。
注がれる唾液を健気に嚥下する。
じゅわり…。貞操帯にて強固に守られた乙女の聖域が淫猥なぬめりで下着を生暖かく湿らせていた。
■ユージン > 「……」
本当に良いと思ったものに出くわした時、人は語彙力というものを失う事もある。
日頃浮ついたことばかりをぺらぺら喋る男の眼の前の女に対しての評価が「可愛い」と。
ただそう繰り返すばかりになってしまったのもひとえにその所為である。
「…………んっ、む……」
互いに身を寄せ合うよう密着しながら、壁を背にして重なる唇。
緊張しながらも、おずおずと唇を開いて舌を受け入れる初々しい女の動きがいじらしい。
ミントの清涼感が混じり合う唾液に滲み、口中へと広がっていく。
前回の口付けは、吐瀉物とアルコールの匂いと味がするものだった。
男自身は、それでも十二分に楽しめた。女自身はどうであったか知らぬけれども。
そして今一度の口付けは、記憶を更に上向きに上書きするようなモノであろうに違いない。
「れる…… ん、くふっ……ん……っ……」
遠慮しがちの舌の動きは、それでも男のリードになんとかついてくる。
恐る恐る絡め返してくる舌に、男はそれで構わないとでも言うように互いの舌のざらつく箇所を擦り合わせ――
ミントの風味滲む唾液を泡立たせ、より濃く粘着かせるかのように撹拌していく。
時折思い出したかの如く息継ぎに荒々しく喘ぎつつも、男自身この行為に魅せられてしまったように唇を完全には離せない。
合間、伸ばした指先は女の背を掻くようになぞる。
無意識に、ブラジャーのホックを外すときのような仕草をもどかしげに繰り返す。
男は明確に発情していた。口付けに興奮していたが、口付けだけでは到底収まらない。
生殖の欲求はまるでマグマのように、男の中でぐつぐつと灼熱に煮え滾っていたのだ。
この女の乳を見たい。揉みたい。しゃぶりつきたい。甘噛みしたい。
そんな男の欲望を載せた指が、鎧の留具を探すべく女の身体の彼方此方を這い進む。
■クラウソニア > それは無意識の行動だった。
斯様に男に求められた事のなかった生娘の、それでも牝として持ち合わせていた生殖本能とでも言う物が、強張って肉付きのよい肢体にぴたりと張り付いていた両腕を動かして控えめな物ではあっても男の痩躯を抱きしめる様に腕を回していたのだ。
壁につけていた背筋もまた自ら男に身を寄せ、興奮の凝りを陥没乳首に隠した魔乳がぎゅうっと彼の胸板に押し付けられて、とくんとくんと高鳴る鼓動をダイレクトに伝えている。
生娘は切れ長の双眸を閉ざしたまま、めくるめく口付けの悦びに身体を震わせるばかりなれど、もしも彼が薄目を開いたのならば、首鎧のうなじにホルターネックの結びを確認することが出来るだろう。
蝶結びも弱々しいそれこそが、無骨な鎧からまろび出るブラさえつけていない魔乳を唯一覆う聖衣の前掛けを保持しているのだ。
それを解いてしまえば、前掛けに押しつぶされる魔乳の反発力が後は勝手にはらりと聖布を落として純白の肉果実を晒す事だろう。
「はぁ…っ♡ はぁ…っ♡ あぅ、ンッ♡ んっ♡ ちゅる…っ♡ ふ…っ、んんぅ…♡ んっ、ちゅ、んんぅ…っ♡」
奪われた唇は酸欠に喘ぐものの、ミントの清涼を互いの唾液に溶かし合う異性とのディープキスを止める事の出来ない聖女様。
桜色の唇端から伝う唾液が形良い顎先から純白の首筋を伝い落ちていく。
■ユージン > 「……んっ…… クラ、… はぷっ…… クラウッ……!」
文字通り、男は女との口付けに耽溺していた。この行為そのものは決して初めてでもない。
だというのに、まるで想い人との本番を目前にした童貞の少年が如く、ただの口付けに興奮している。
互いを抱くべく廻し合う腕の中で、一層に寄せ合う互いの身体。
押し付けられた身体から一層ダイレクトに伝わる息遣いと、鼓動。
それが伝わってくると言うことは、こちらもまた同様に興奮している事を相手に伝え返して居るということであり。
興奮に強張る手が、なんとももどかしい。
それでも口付けの息継ぎの合間に開いた眼が捉えるのは、うなじに括られた小さな蝶結び。
既にいくらか緩んでいるのかもしれない。伸ばす指が触れた結び目は予想以上に容易く解け―― そこから舞い落ちる前掛け。
聖別された加護を備えし布が解けて落ちると、入れ替わりに溢れ出すのは恥ずかしがりの乳首を押し込めた、豊満な純白果実。
むわぁ、と漂う熱く湿った濃い牝の体臭を至近距離でダイレクトに浴びれば、酩酊するような気分にもなるというもの。
「……こっ、これは……! この、乳首……♥
初めて見るぜ、陥没乳首ってやつか……! まさか実在していたとはな……!」
唾液の糸をねっとりと引きながら、離れた唇があけすけに言葉を紡ぐ。
おまえという牝が欲しいと訴えかける。
「……っ、思った通り…… いや、それ以上のドスケベな乳してやがるッ……♥
最高だぜ、クラウ……! この乳も、おまえも……とにかく、ぜんぶおれ好みだッ!」
そして、男の視線はもはや何も隠すものなく曝け出された女の乳果実へと食い入るように向けられる。
もう一度、乱暴に唇を貪るように舐り吸い――
其処から伸ばした舌先がつつ、と顎先から喉、喉から鎖骨、乳房の谷間へと滑り落ちては蛞蝓めいた唾液の後を一筋刻む。
やがて辿り着いた乳房の膨らみ、その先端。
乳首を隠した乳暈の割れ目をまずは探るように舌先がくすぐり――
そのままがっぷりと頬張り、ぢるぢると音を立てて下品に吸い付く。
同時、伸ばす指先がもう片割れの乳房をぐにゅぐにゅと無遠慮に揉みしだく。
指の形に歪んで卑猥に変形する豊乳の質量、重さを楽しみ、独占する。
そして、不埒な指先は舌同様に陥没する乳暈の中心部を探るように、焦らすように捏ね回すのだ。