2021/09/18 のログ
ご案内:「無名遺跡」にタマモさんが現れました。
■タマモ > 九頭龍山脈、その中に存在する、無名遺跡の一つ。
そう深く困難なものでなく、かと言って浅く容易なものでもない。
そんな遺跡の最深部、ある部屋の中に、不意に闇の空間が現れた。
そして、その次の瞬間。
ぺいっ、と放られるのは、一つの人影。
しゅたん、と着地は華麗に出来たようだ。
「む…ここは、どこぞの遺跡か…?
あの口振りから、妾に何かしておるじゃろうなぁ…」
その人影、一人の少女は、ぐるりと周囲を見渡しながら、そんな呟きを漏らし。
はふん、と溜息を吐いた。
少し前までは、どこぞの戦場に居た訳だが。
まぁ、諸々な事情があり、この場所に送られたのだ。
それが、ただ送られただけであれば、何ら問題もないのだろうが…
■タマモ > とりあえず、色々と確認だ。
軽く手を前に差し伸べ、意識を集中。
集中…しているのだが、何も起こらない。
「………おのれ、こちらは封じられておるのぅ」
一見すれば、何を確かめたのかは分からない。
だが、それで本人は気付いたらしく、手を戻す。
そして、視線を己の身に向けて、何かを確認すれば。
「うぐぐ…こちらも、力自体は、か…」
再びそう呟き、ぎりり、歯軋り。
しかし、今はまだ、そこで留めるには早い。
次は軽く手を振ってみると、ぽんっ、その手元に唐傘が現れる。
それを軽く一度二度と振り、肩に掛け。
「あー…なるほどなるほど、これは使える訳じゃな?
大きな力は使えん、ほぼ己の腕でどうにかせよ、と言う事か」
腕を組み、うむうむ、と頷けば。
ふぅ…と深く吐息を吐き。
だむだむっ!と、いきなり地団太を踏み出した。
それはもう、込み上げる怒りを地面にぶつけるかのように。
が、それも、そう長くはしなかった。
理由は簡単だ、無駄に疲れる事は止めておこう、そう思ったからである。
ご案内:「無名遺跡」にトーラスさんが現れました。
■タマモ > 「まぁ、大きな力が使えんだけじゃ。
小手先の術程度まで、使えんようになっておる訳でなし。
下手な事さえなければ、何とかなるじゃろう。
………面倒じゃがな」
現状把握は完了、それを終えれば。
後は、ここを出て、王都に戻るだけだ。
その呟きの通り、面倒なだけで、無理ではない。
さっそくと、これからの行動を、と思考を巡らせ始めるのだ。
■トーラス > 冒険者ギルドで受けた依頼は九頭龍山脈の名もなき遺跡の調査。
古代文明の遺跡である、その場所は複雑に路が入り組み、罠も張り巡らされて、
さながら、神話に語られる迷宮の如しの有り様である。
無論、侵入者を妨害すると云う事は、暴かれたくない中身がある事に等しく。
古代の財宝や時には値が付けられない貴重な魔導機が発掘される事も少なくなく、
冒険者を始めとして多くの人間が遺跡に潜ろうと試みる。
そんな場所をギルドが調査するのは、活用するのが人間だけに限らず、
人類に害なす魔族や魔物が棲み付いている事が多々あるからで。
「……さてさて、空振り、かと思っていたが、ビンゴだったみたいだな?」
遺跡の最深部の部屋に足を踏み入れれば、その場で何やら不可思議に地団駄を踏む存在に気付き、口端を歪める。
左手に盾を、右手に長剣を構えながら、狐の尻尾を揺らす人外の存在をねめつけ。
■タマモ > ぴくん、少女の耳が揺れた。
大きな力が使えないだけで、それ以外は変わらない。
当然、その聴覚も人並み外れたもののままだ。
「ふむ…」
地団太の足を止め、思考に入るも、それはすぐに止め。
手にした唐傘で、とんとん、と肩を叩きながら、そちらへと視線を向けた。
その先に居るのは、明らかに、戦う気満々の人間の姿。
「あー…何が、びんご、なのかは知らんが。
とりあえず、降り掛かる火の粉は、払うべきか?」
はぁ…もう一度、あからさまに面倒そうな溜息を吐くも。
今だ、こちらは構え一つ取らない状態だ。
揺れていた尻尾さえ、だらんと垂れて、その面倒さを示す。
■トーラス > 狐耳に、狐の尻尾、一見すれば、ミレー族のような容貌で、
シェンヤン風とも思える異国情緒溢れる衣服に身を包んだ少女。
尤も、ただのミレー族が、そもそも、ただの少女が、相手のような軽装で、
魔物や罠の蔓延る無名遺跡の最深部に無事でいる筈がない。
更には、冒険者の傍ら、傭兵紛いの事もしていれば、
兵士や傭兵の噂にあがるような魔族の情報は小耳に挟む機会も多くなり。
「アンタの恰好、噂で聞き覚えがあるぜ。
何でも、タナール砦を単独で陥落させた一騎当千の魔族とか……、
まぁ、俺の勘違いでただのミレー族の冒険者だったら、後で謝るとするさッ!」
敵意を見せる相手に構えもせずに余裕綽々と面倒臭そうな彼女の態度に、
寧ろ、油断している状況こそが絶好の機会、と地面を蹴れば距離を詰めて、
右手を振るえば、握り締めた長剣を薙ぎ、銀閃を奔らせる。
■タマモ > 実際、普段の九本から、今の一本の尻尾となった己は、ミレー族と同様の見た目だ。
その服装も合わせ見れば、確かに、この場に居るのに多くの疑問を抱くだろう。
うん、怪しさ大爆発であると、我ながら思う。
ただ、あれだ…男の言葉には、軽く視線を逸らす。
魔族ではないが、確かに以前、タナール砦を単身制圧をした事はある。
しかも、その時占領していた相手を、ただ一人として、その命を殺めずに。
うん、そこも、間違ってないと思う。
「いやいや、そんな噂は妾は知らんぞ?
そもそも、その相手はあれじゃろう?尻尾が、妾みたいに一本では無かったじゃろう?
…と言う訳で、お主の勘違いじゃ。
謝るのは、今すぐで良いぞ?」
が、面倒事はなるべく避けたい。
そんな男の言葉に、とりあえず、そう返す訳だが。
今度は、これはこれで、疑問の浮かぶ部分があったりする。
しかし、これは少女の性格上のもの。
あえて、そうしているのだ。
そんな言葉を返している間にも、いきなり距離を詰め、その手にした獲物を薙ぐ男。
その突進の速度と、剣筋で、ある程度の予測を立て。
それに合わせ、身を僅かに引きつつも。
手にした唐傘、その表面で刃を滑らせるようにして、流れるように受け流した。
■トーラス > 少女の言葉の通り、風の噂で耳にしたタナール砦の襲撃者は、
複数本の尻尾を生やした見るからにミレー族と異なる風貌であったという。
確かに彼女の背後にやる気なさげに垂れる尻尾の数は一本であり、
その言葉が示すように、別人であるのかも知れない。だが、――――。
「あぁ、お前さんの言う通り。
だが、噂を知らない筈なのに何で尻尾の数を知っているんだ?」
彼女の語る矛盾に律義にツッコミを入れながらも剣を振るえば、
唐傘に流されるようにして剣先が逸らされて、地面を削り、火花が飛び散る。
端から、噂で耳にしている魔族をただの一撃で仕留められるとは考えもせず、
長年の経験で培われた反射的な動作にて左手の盾を前に構えると、
己の体重を載せて、見た目は少女である相手に対して突進を喰らわせようと地面を踏ん張り。
「――――ハッ!」
裂帛の気合と共に真の実力が損なわれている相手が体勢を崩すならば、
すかさず、右手の長剣の切っ先を咽喉元へと突き付けようとする。
■タマモ > 「………あー…さてなぁ?
何でじゃろう、不思議じゃのぅ?」
うん、見事なツッコミだ。
言葉にはせず、そう心の中で呟く。
考えなしでなければ、分かる程度の言葉遊び。
それもまた、楽しんでいるのか…そう思わせるような、そんな雰囲気を感じ取れるか。
その言葉と態度は、変わらず面倒そうな、いい加減なやりとりだ。
しかし、少女の瞳は、男の動きを的確に捉えている。
剣を避ければ、次は盾を前に突進が来る。
まぁ、受ければ体勢が崩せるかもしれない。
避けるにしても、右か左かを、普通は考えるだろう。
だが、少女は普通の対応は取りはしない。
空いた左手を、突進に合わせ、盾の上側面へと添えさせるように。
とん、と地を蹴り、男の上空を舞う。
その体重を感じさせない程に、手を添えた盾に重みは感じない。
そのまま、男の上を飛び越えながら、右手の唐傘を翻して頭部を軽く打とうとし。
当たろうと、当たるまいと、背後に着地するのだ。
「うむ、せおりーに則った、見事な攻め、と言うべきか。
型に嵌まり過ぎて、意外性に対応し切れぬ攻め、と言うべきか。
お主は、どちらが好みじゃ?」
ちなみに、頭部への打撃は、軽く叩いた程度。
ダメージにもなりはしない、そんな攻撃だ。
ただ、戦うのは好まん、語り合わんか?
と言わんばかりに、少女は相も変わらず、構えを取らず男と対峙し続けるのだった。
普段の少女であれば、力を使い、弄ぼうとも考えるのだが…
今はそれが出来ない、と言うのもあるが。
■トーラス > 「本当に、この世は不思議な事ばかりだなっ!」
言葉遊びで誑かされているような、正に狐に化かされる如き感覚。
彼女の方に真実を隠そうという意図は微塵にも感じられず、
寧ろ、此方の反応を眺めて揶揄っている雰囲気すら覚えて眉根が詰め寄る。
剣戟からの突進に相手が左右の何れかに回避したならば、
右手の剣か、或いは、左手の盾にて、薙ぎ払うという追撃が行なわれていた事だろう。
だが、彼女の選択した方法は、その何れでもない、己の頭上を飛び越えるという予想外の反応。
後頭部に軽い衝撃を感じ、目の前から消失した少女が、背後で着地する音を耳にすれば、
咄嗟に身を反転させて、女の方へと振り返り。
「成る程。こりゃ、参ったな。力もあり、智慧もある。一筋縄じゃ敵わぬ相手か。
だが、……アンタの方も、力が出せない事情があると見るが、どうだ?」
後頭部への一撃は、その気であれば首を落とす事も意識を刈る事も叶ったかも知れぬ不意打ち。
その何れの結果も訪れていない事から、噂で耳にした化け物じみた力との齟齬を感じて、口端を歪める。
とは言うものの、正攻法で勝つのは困難極まる相手。
万策練るにも時間が足りぬとあれば、警戒を解かぬ侭、剣先を降ろして見せる。
■タマモ > 元の狐の性質か、そもそもの性格か。
少女は基本的に、どんな時でも行うのが、この言葉遊び。
もっとも、それが相手の性格を少しでも垣間見る為のもの、ともある訳だが。
律儀に付き合いつつも、その手も止めはしない。
そこで、ある程度の見切りは付けていた。
「その不思議な事も、また楽しんでこそ。
ふふ…変に生真面目であらず、しかし、やる事はやる、か。
人としては、なかなかのもの、なんじゃろうなぁ?」
構えは取らない、しかし、その向ける視線には、どことなく油断は感じられない。
そんな中、一息入ったところで、男はその剣先を下げる。
己の力量を肌で感じ、何か考えているのだろうか。
それとも、純粋に、己の意図を汲み戦いを収めるつもりなのか。
「ふむ…それが分かったならば、どうする?
その考えが的中であれば、続けるか?
そうでなければ、降参でもするか?
妾としては、さっさとここを出たいだけ、なんじゃがのぅ」
同じく、手にした唐傘の先を下げ、こつこつと、地面を小突きながら。
男の考えはともかくとして、そう言葉を返す。
変わらぬ、ぼかすような言葉を紡ぎ。
男の様子を確かめつつも、軽く身を屈め、少し上目使いに男を見上げる。
■トーラス > 相手が言葉遊びに興じる真意にまでは至らぬが、
それに応じる事で油断や隙が生じるならば、それに越した事はない。
舐められようが、軽んじられようが、結果こそが全てである事を、
自身よりも格上の相手と対峙した経験もある中年冒険者は経験から学んでいる。
「確かに、アンタの言っている事はその通りだが、俺への評価は過大と言わざるを得ないな。
ヤる事はヤる、が、見た目通りのただのしがない中年なんでな」
構えも取らない少女の身体を改めて、眺めながら下ネタを交えて苦笑する。
その言葉に激昂でもしてくれれば、付け入る隙を狙えるのだが、過度の期待も抱けない。
余裕があれども、驕りがない。そんな厄介な相手に肩を揺らすと嘆息を漏らす。
「さて、なぁ……。
今が千載一遇の絶好の機会だが、チャンスを掴むのは骨が折れそうだ。
此処で敵を見逃す事に、俺の命以外に、どんなメリットがあると思う?」
上目使いに此方を仰ぎ見る少女を見下ろしながら、口端を緩めて問い掛ける。
砦を単騎で陥落させた相手を仕留める大金星。だが、それを為すためには命懸けとなるだろう。
冒険者である以上、自身の命は端から賭け金ではあるのだが、無駄に捨てる気は勿論なく。
メリット、デメリットを天秤に掛けつつ、双眸を細め。
■タマモ > 永く生きているのだ、この手のタイプも、何度も出会った事のあるもの。
だからこそ、遊びつつも、一切の油断も抱けない。
楽しめはするも、ある意味、疲れる相手とも言えようか。
まぁ…だから、さっさと決着なり、何なり付けたい訳だが。
「あー…その辺りも、こう、似ておる訳じゃな。
お主、もしかしなくても、冒険者、と言うものじゃろう?
ならば、話し合いも通じるもの、と思う訳じゃ」
その言葉に、あぁ、やっぱり、みたいな反応を示す。
それなりに年を経て、初見ではなかなか油断も見せず、そして…下ネタ。
実のところ、その覚えがある相手、その初見も似たようなものだったのだ。
だからこそ、だろう、そんな考えに到る事も、一応は伝えてみた。
「………ちなみに、さっきから気になっておったが…
妾の事を、敵だの何だの、その判断理由じゃな。
妾は、人間の敵位置ばかりになんぞ、立った事はないぞ?
人間であれ、魔族であれ、魔王であれ。
仲良くするならばするし、敵対するならば、遠慮せず相手もする。
…まぁ、妾の気紛れで、遊んで貰う事もあるがのぅ」
男の言葉に、困った、みたいな感じに肩を竦める。
メリット、デメリットを問われる訳だが。
そもそも、何を見て判断しているのかが分からない。
己はただ、ここに送られて、戻れと言われているだけなのだ。
まぁ、何かあるとしたら、以前己に遊ばれて怒ってる連中くらいだろう。
こちらとしては、命を取らなかったのだから、それで済ませろと思うのだが…
その辺り、考え方の違いか。
■トーラス > 「あぁ、俺は冒険者だ。
確かに騎士や兵士と違って柵もなく、損得勘定で動くから、話し合いの余地はあるかもな」
腐敗していると言われる騎士や兵士が国に忠誠心を抱いているかは不明だが、
それでも、面子や体面を気にする彼らに人外の存在との和解は難しい事だろう。
対して、彼らのような冒険者であれば、金銭への執着はあっても、他の拘りは少ない。
人間であれ、魔族であれ、時と場合によっては共闘すら選択肢に含むのも吝かではない。
「はっ、何を可笑しな事を言ってるんだ。
タナール砦を陥落させて、大勢の兵士が犠牲に……、ん?」
人類側が支配していた砦は彼女一人の手で陥落させられて、現在は魔族が占拠している。
その状況を作り出した彼女が人類の敵ではなく中立を謳う事に片腹痛いと笑い飛ばす。
現に砦を陥落させた際の被害はどうなのだ、とよくよく噂を思い返してみれば、
確かに砦は制圧されたが、怪我を負った者は居ても死者は奇跡的に居なかった事を思い出し。
「成る程、気紛れ、遊び、か……、災害相手に腹を立てるのも馬鹿馬鹿しいって事か」
件の砦は目の前の相手の気紛れで弄ばれたのだ、と知れば、眉尻を下げて。
それ以上、何かを追及する事もなく、右手に握り締めた剣を、腰に佩いた鞘に収めて見せる。
■タマモ > 「うむうむ、そうじゃろう?
まぁ、騎士とやらも、兵士とやらも、話が通じないなりに、遊び甲斐もあるものじゃが」
どうやら、まず、その意見に否定はないらしい。
腕を組み、うんうんと頷いてみせる。
融通が利くのが冒険者、その判断は、やはり間違ってないようだ。
まぁ、最後に余分な一言はあったが、そこは気にしないで貰いたい。
と、その後の言葉に対し、鼻で笑う男なのだが。
返す言葉の途中、何か思い出したように、その勢いが引っ込められてゆく。
どうやら、何か納得したらしい、握られていた剣が、鞘に収められれば、ふぅ、と疲れたように吐息を吐いて。
「お、どうやら分かってくれたようじゃのぅ。
妾としては、本当に命なんぞ賭けられたら、どうしようかと思ってしまったぞ?
そんなもの、望んでおる訳でないしな」
ひらひらと手を振りながら、こちらも、ぽんっ、と手元から唐傘を消し。
満足気に頷いてみせれば、なぜか無駄に、自慢気に胸を張るのだった。
■トーラス > 人間も、魔族も、魔王すらも関係なく。
協力もすれば、敵対もするし、気紛れに弄ぶ。
翻弄される方は堪ったものではないが、その性は正に自然災害のようなもの。
日照りや大雨や暴風に憤ったところで意味はなく、ただ過ぎ去るのを祈るのみ。
眼前の少女の形をした相手は、そういうものなのだ、と理解すれば肩が落ちる。
「勘違いするなよ。アンタに遊ばれた砦の兵士やお国のお偉いさんはカンカンだ。
その首に懸けられた懸賞金に命を賭ける冒険者はごまんといるだろうさ」
剣を鞘に収めれば、其の侭、腰に提げた革袋を手に取り、口を付ける。
底知れぬ強敵相手に気を張っており、緊張もしていたのか、乾いた唇を湿らせ、
咽喉へと流し込みながら、何故か胸を張る女を横目で見ながら忠告を告げて。
「ま、アンタの遊び相手にされるのが、関の山だろうけどな」
尤も、算盤も弾けずに、はした金に釣られる輩に彼女が如何こうできるとは思えず。
肩を竦めながら、呑むか、と気付け薬代わりの薬草を漬け込んだ蒸留酒を差し出して。
■タマモ > 「己の不利益になれば、文句を垂れて。
己の利益となれば、何事も無かったように得る。
お互いさま、じゃろう?ん?
まぁ、妾としては、来たところで愉しむだけじゃ、無問題じゃのぅ」
それが、一方的な不利益ばかりならば、それは仕方無い。
しかし、その逆も然り、である。
まぁ、そうして賞金を掛けられるのも、少女からすれば、愉しむ為の要因の一つでしかない。
そう気にした風もなく、来るなら来い、みたいな感じに答えるのだった。
「ふふ…遊ぶのか、遊ばれるのか。
結局のところ、命を賭けたところで、何事もなく戻る事となるんじゃ。
そう考えて動いておったなら、悪い結果でもなかろう?」
命を失えば、その先はなく、すべて終わる。
己とすれば、愉しむならば、愉しめるだけ愉しみたい。
その為には、殺める事はむしろ無駄にしかならないのだ。
と、何やら飲んでいたものを、こちらへと差し出されれば。
遠慮なしに、それを受け取るものの。
「…して、これは美味いものか?
もしや、苦くはないじゃろうなぁ?」
受け取りながら、顔を向け、そう問うのだ。
良薬口に苦しとか、そんなものは、さらさらごめんである。
■トーラス > 「へぇ、そう言うからには、アンタはお愉しみの分だけ、利益も還元してるんだろうな?」
日照にせよ、風雨にせよ、災害を乗り越えた後には豊穣の実りが人々には齎される。
自然災害ですら、その後の恩恵を与えると云うのに、人語を解する理性のある相手は如何なのか、と
揶揄するように口端を緩めながら、問い掛けて見せて。
「俺だったら、遊ばれるよりも遊びたいねぇ。
ま、良し悪しを決めるのは俺でも、アンタでも、……、あぁ、トーラスだ」
革袋を手渡しながら、会話を中断すれば、徐ろに名乗りを上げる。
この状況下で互いの名前を交換するのが吉であるのかは分からないが、
少なくとも、名前も知らずに、アンタと呼び続けるのも落ち着かず。
「さぁな。呑んでみれば分かるんじゃないか? まぁ、苦くはないが、甘くはないぞ。
要らないならば返せ。この遺跡に湧き水なんぞはなかったから貴重品だ」
遺跡や迷宮探索の冒険に於いて、水分の確保は重大な問題だ。
当たり前の話ではあるが、食料と同様に不純物が混ざっている水も腐敗する。
その為、腐敗しない酒は冒険での必需品となる。勿論、腐敗させない為には度数を高める必要があり、
渡した革袋の中身も苦味こそ少ないが、呑み慣れなければ咽喉を焼く刺激はある代物で。
■タマモ > 「…うん?
己等が砦を制圧され、不利益となるならば。
相手がそうなれば、逆に己等の利益じゃろう?
まぁ、その際、愉しむ者達も居るんじゃ、悪い事ばかりでもない。
………あー…相手によるが、な」
タナール砦は、取って取り返してを繰り返す場所。
取られる事を不利益とするなら、楽に取れる状況を作るのは、利益となる。
少女の言う、お互いさま、と言うものだ。
ただ、その後の言葉に関しては…それを知れば、賛否両論あるだろうが。
「ふむ…まぁ、普通に考えれば、そうじゃろうなぁ。
とは言え、遊びを愉しむ為には、遊ばれる楽しみも覚える事こそが、遊びを極めると言う事となる訳じゃが…
そこまで、考え到る者こそ、少ないじゃろう。
…おっと、妾の名はタマモ、覚えるも忘れるも、お主次第じゃ」
受け取る革袋の口に鼻を寄せ、すんすん、と匂いを嗅ぎながら、言葉を続け。
そこからの匂いに、その中身をすぐに理解する。
薬草の匂いもするのはちょっとあれだが蒸留酒だ、男の言う通り、多分…そう苦くは無い、はず。
「いやいや、頂こう。
蒸留酒か、果たして、混ざりものがどう味に出るか…」
匂いで大雑把な分別は出来る、だが、さすがに味まで細かく知る事とはならない。
ここからは、度胸。
と言う訳で、ぐいっ、と一口いっておく。
………あ、うん、大丈夫だった。
「………うむ、悪くはなかったぞ?」
そう伝えながら、その革袋を男へと返す。
■トーラス > 「ほぉ、だったら、次からは人間に味方をした時は……、いいや、違うな。
魔族を相手に遊んでやった時は、喧伝すれば感謝されるかもな」
そもそも、人間からの感謝を期待している事など微塵にもあるまい。
彼女の性質を理解すれば、懸賞金も取り払われるかも知れないが、
相手が向かってきても愉しむと豪語する彼女であれば要らぬお世話であろう。
「生憎と人間の一生は短いんでねぇ。俺は遊びを極めるだけで精一杯だろうさ。
タマモ、タマモ、……聞き慣れない変わった名前だな。北方由来なのか?」
彼女の名前を舌の上で幾度か転がしてみるも、馴染みの薄い響き。
その衣服から北方の帝国シェンヤンの雰囲気を見て取れば、名前も同様かと首を傾げつつ問う。
手渡した革袋の匂いを嗅ぐなどしていたものの、特に警戒もなく口が付けられ、
その中身を嚥下する様子に、双眸を細めると頬肉を緩ませながら頷き。
「苦いのが嫌だ、などと可愛らしい事を言う割りには、酒はイケる口みたいだな。
腐らせないために、そこそこに強い酒だったんだが……」
返された革袋を腰帯に括り付けながら、味を気に掛けていた際とのギャップを揶揄い。
■タマモ > 「感謝なんぞ、されてもなぁ…
むしろ、そんなもの、無い方が遠慮無しに遊べる、と言うものじゃろう?
そう考えれば、今のままが一番じゃ」
ふっ、と遠くを見るようにして、答える。
男が考えていたのも、一応は理由の一つだ。
が、それとは別に、もう一つ理由があるのだが…それは、今は秘密としておこう。
とりあえず、男へと答えるのは、現状維持であった。
その理由も、聞けば、らしいものだと思う事だろう。
「まぁ、お主はお主なりに、愉しめておれば良い。
知らぬ愉しみがあろうと、知らねば、それだけのものじゃからのぅ。
………あー…遥か東方の、どこかじゃ。
行く事もなかろう場所、気にせんで良い」
どこかしら、世界を巡れば、それらしい場所もあるだろう。
が、正しくそこを伝えるのは、面倒だし、伝える事を良しともしない。
なので、適当に誤魔化しておいた、いつもの事だ。
と、蒸留酒を飲んだ男の反応に、かくん?と首を傾げる。
確かに苦味は苦手だが、酒とは違うものなのだ。
己の感覚的なものだ、説明は正直難しい。
「まぁ、酒は色々と飲んでおるからな。
そのせいか、気が付けば…との感じじゃ。
慣れと言うのも、あれじゃのぅ?」
ちなみに、幼少時代は弱かった。
今となっては、遠い思い出だ…と言える程に、今は酒に強い。
それを考えれば、それ以外、言いようもないだろう。
■トーラス > 少女の口から発せられる言葉に肩を竦めて嘆息する。
人外の存在を人間の規格に合わせる方が寧ろ、烏滸がましいというもの。
今後も、遠慮なく遊ばれ続ける者達には同情するが、自分の身に降り掛からなければ、
我関せずと決め込んでしまえるのが、正義の徒でも、英雄でもない、冒険者の所以たるところ。
「過ぎたるを求めるのも、我が身を滅ぼす事になるからな。
精々、身の程を弁えて、及ばざるを堪能し尽くすとするさ。
東方? 成る程な」
九頭龍山脈を越えて、更に東方へと地図を辿れば、魔族の領域に行き当たる事だろう。
人間同様、魔族には魔族なりに、独自の装束もあるのだろう、と得心すれば、
曖昧な誤魔化しめいた言葉に、特に不審にも感じずに呑み込んでしまう。
知った所で、その場所に辿り着くような事は決してないだろう故に。
「全く慣れとは厄介なものだな。酔わせ甲斐がない奴め。
さて、……さっさと出たいと言っていたし、タマモは此処に棲んでる訳ではないようだな?
入り組んだ遺跡だが、迷っても3日もあれば外に出られるだろう」
或いは、歩く災害である彼女ならば遺跡の壁や天井をぶち破り、人間には思い付かぬショートカットをするのだろうか。
飽く迄も、正攻法で脱出経路を探すならば、と注釈を付けて、触れ合う袖の縁分だけ情報を開示する。
「それとも、最深部まで降りてきた冒険者を道案内に雇ってみるか?
お代は前払いで、……俺の遊びにちょいと付き合ってくれりゃ構わない」
半ば揶揄にて半ば下心。そんな心地で女を誘い、無理強いをする気もなく相手の反応を眺め。
■タマモ > そこで反論も無く、事無きを得られるのが冒険者の良いところ。
そして、適当に東方との説明に、納得をしてくれるところもだ。
その言葉に、満足そうにまた頷けば。
「ふふ…まぁ、酔わせたいならば、大量に…と言いたいが、妾は小食ゆえな。
それこそ、鬼も酔わせる程の酒でなければ、難しいやもしれんのぅ。
………多分?
あぁ、一応は王都とか、後は適当に、気が向いた場所で寝泊りしておる。
だから、とりあえず、向かうならば王都かのぅ?
三日………おのれ、ナズナめ…」
くすくすと笑いながら、分かり易い狙いの男にそう返せば。
言葉の流れから、とりあえずの向かい先を教えるも。
三日も掛かる、その言葉に、呟きと共にぎりり、と歯軋りを立てた。
「ほほぅ…?
少しは理解したじゃろう、妾に、そう持ち掛けるか?
しかし…ふむ、戻るのは容易いが…」
やろうと思えば、ショートカットは難しくない。
実のところ、男の匂いを辿れば、丸三日分とは言わずとも、それなりに進めるはずだ。
が、そこは、この少女だ。
男の下心も当然理解している上で、その条件に考え込む仕草。
教えた通り、遊ぶのも、遊ばれるのも好む少女。
「………良し、決めた。
せっかくじゃ、付き合おうではないか」
ぽむ、手を打てば、そんな答えを男に返すのだった。
ご案内:「無名遺跡」からトーラスさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からタマモさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にビザールキャリアーさんが現れました。
■ビザールキャリアー > 長い長い回廊。その先にあるただ一つの小部屋。宝もない袋小路。
そこにそれはいた。
つるつるとした体表の卵型をした肉の塊。
その前面に走る亀裂が時折収縮しており、中から触手が顔を覗かせる。
異形のその亀裂からは無味無臭の淫気が吐き出され、それは時間をかけて徐々に部屋中に充満し、回廊にまで流れ込んでいく。
そこへ訪れる犠牲者、獲物を待ち受けて
ご案内:「無名遺跡」にヘルティナさんが現れました。
■ヘルティナ > カツ、コツ――と、地面を叩く靴の音色を細く長い回廊に反響させながら。
ランタンの明かりを手に携えて進むのは、真紅のドレスに身を包んだ一人の女。
まるで夜会にでも赴くかのような足取りで、迷宮の如く入り組んだ回廊を奥へ奥へと進んでいって。
「――あら……此処で行き止まりかしら……?」
やがて辿り着いた小部屋の入口。袋小路となったその場所にぽつりと率直な感想を口にしながら。
小部屋の内部の様子を伺うべく、手にしたランタンの明かりを翳し照らし出そうと試みる。
■ビザールキャリアー > ランタンの灯りで照らし出されるのは、時折体表が脈打ち蠢く、
魔族の国には存在しない異形。
ごぷりと、亀裂の中から泡立つ催淫粘液が溢れながら数本の触手が顔を覗かせる。
……貴女を獲物として見定めたように、亀裂が大きく縮小すると、
貴女めがけて粘液の塊を打ち放つ。
直撃したとしても痛みはないがドレスに粘り気のある液体が染み込み、
肌に触れればじわりと熱が広がっていく。
……淫気を帯びた呼気も、気づくことなく吸い続ければ影響が出てくるだろうか。
そして、貴女を捕えようと、粘液まみれの触手が蛇蝎の如くとびかかる。
狙うは手、足、首、腰。
■ヘルティナ > そうして、翳したランタンの明かりに照らし出される小部屋のその奥。
脈動しながら蠢くぶよぶよとした異形の姿を視界に捉えると、その姿形に女は眉を顰め。
「ッ……何ですの、此れ……きゃっ……!?」
刹那、その体表に入った亀裂から吐き出された粘液の塊。
咄嗟に腕で顔を庇うのが精一杯で、べちゃり、と粘着いた水音を響かせながら女の纏う真紅のドレスを濡らしてゆき。
「――ちょっと……如何して、くれるつもり……?」
咄嗟に漏れ出たか細い悲鳴を恥じながら、穢されたドレスに眼前の異形を睨み付け。
それまで何も手にしていなかった筈の片手に取り出した宝剣を握り、粘液を浴びせ掛けてきた其れを斬り伏せてしまおうとしたのだけれども。
「――んんっ……ふ……っぁ……放し、なさい……!」
不意に、全身を駆け巡った感覚に、自身でも信じられない程に甘く上擦った声を漏らしてしまい。
態勢を立て直そうと試みた時にはすでに遅く、襲い掛かる触手の群れにより見る見る内に手首を、腰を絡め取られていって――
■ビザールキャリアー > 貴女を絡めとれば、別の触手が貴女の背中に回り込み、背筋を這い降りていく。
それと共にイブニングドレスの肩口に別の触手が絡みついて引き下ろす。
腕を捕えたまま、ドレスを引き下ろし、腕を通す際には
別の触手が二の腕にまとわりついて動きを封じ、器用に脱がせていく。
尻を通過してドレスを引き落とせば、腰から足に向けて触手が這い降り、
レースのショーツの側面に入り込むと器用に脱がせていく。
……知性があるように思えず、嘲笑うには黙々と貴女を粘液で塗り込め、穢し、
引き裂くことなく丁寧に辱める。
やがて、粘り気の強い粘液を帯びた触手が喘ぐ貴女の唇に先端を押し付け、無理やりねじ込んでいく。
咥内の粘膜に粘液を塗り込みながら喉奥を犯し、ゆっくりと奥へと進んでいく。
……不思議と喉を塞がれても窒息することはない。粘液が急速に蒸発し、淫気が溢れて呼吸を補う。
つまりそれは、肺全てを満たすことでもあり。
それと同時に、ゆっくりと食道に粘液を塗り込みながら胃の近くにまで至り、
ごぷり、と一際濃い粘液を注ぎ込む。
注ぎ込む度に触手が脈打ち、粘膜を擦り、貴女の喉を性感帯に堕としていくだろう。
それに並行して、貴女の乳房にも触手が群がり、乳首を押しつぶすように先端を押し付ける。
……ショーツを剝ぎ取られた披裂へ、触手が先端を押し当ててなぞるようにして陰唇に粘液を塗りこめていく
■ヘルティナ > 絡み付いた触手を振り解こうと足掻くものの、
気付かぬ内に呼気や粘液から浸透した淫気は着実に女を侵し、抵抗の力を奪っていって。
「――ッ……この……いい加減、に……ひぁ、ん……!」
其処へ追い討ちを掛けるかの如く、露になった白い背筋を這い降りる触手に上擦った声を木霊させ、
終にはカラン――と金属音を立てて手にしていた武器を取り落としてしまう。
「ちょっ、と……厭……脱がさないで、ちょうだ……んぐっ、ぅ……!?」
スルスルと器用な動きで肩紐を外し、剥ぎ取られてゆく真紅のドレスの下からは、
粘液に塗れた色白の肌がランタンの明かりを受けては淫靡な光沢を放っていて。
羞恥に頬を染めながら、通じるかも分からない抗議の言葉を口にしかけた瞬間、
新たに伸びた触手が女の唇を押し割り捻じ込まれると、それはくぐもった悲鳴にしかならず――
「んんッ……ふ、ぅ……むぐ……んぅッ……!」
喉奥を犯し、ドロリと流し込まれてゆく粘液を成す術も無く飲み込んでゆきながら。
一方で、露になった乳房へと群がった触手が蠢く度に柔らかな膨らみは卑猥にその形を歪め。
終にはショーツさえも剥ぎ取られ、露になった秘処へと粘液を擦り込んでゆこうとする触手から逃れようと、
腰を揺らし、絡め取られた手足を動かして脱出を試みるものの。
その動きは抵抗の意志とは裏腹に、徐々に艶めかしく蠱惑的なものへと変わり始めていた。
■ビザールキャリアー > 抵抗の素振りが艶を帯びてくる、貴女の反応に変化が生じてくると、
食道を犯していく触手が、性感帯と化した粘膜を強く擦り上げなら無造作に引き抜かれて唇を開放する。
引き抜かれながら貴女の顔にも粘液を浴びせかける一方で、
乳房に根元から絡みつく触手がゆるやかに揉み転がす。
背筋をなぞる触手はそのまま尻たぶへと至り、尻肉を揺さぶるように水音が響く程度に、先端で柔らかく打ち据える。
それだけでなく、淫靡に光沢を帯びた肌へとさらに粘液を浴びせかけて
穢していき、冷たさよりも熱を感じさせようとするだろう。
やがて、披裂にも先端だけが潜り込む。そして食道にもそうしたように、
無慈悲に、半ば固形化した粘液を注ぎ込み、膣内を淫液で満たしていく。
その一方で異形が別の触手で脱がせたイブニングドレス、ショーツを綺麗に折り畳み、
あまつさえ自らに向けられようとしていた剣を絡めとり、
衣類の傍へと安置する。
明らかに卑猥な悪意と知性さえ感じてしまうような行為の中、
異形は亀裂を大きく広げて、中から生ぬるい風を吐き出しながら
内部に無数の触手が蠢き、粘液が大量に滴るさまを見せつけながら、
徐々に貴女をそちらへと引き寄せ始める。
……その中で貴女を快楽漬けにすると、思い知らせるように。