2018/10/27 のログ
コスモ > 「そう。やっぱりあの国が栄えてるせいかしら。熟れた果実には誰しも引き寄せられるもの」

同時に、熟れすぎた果実の末路を思わせる噂も多く聞くが、今言うべきことでもないだろう。遺跡の奥底で国の情勢について論議を交わすなどシュールも良い所。
それに今は、そんな事より興味を引かれるものが目の前に現れたのだ。すぐに意識をそちらに向ける。

「あれが槍…来る前に聞いた通りね」

曰く、召喚した槍を武器に戦う。曰く、光を放ち攻撃してくる。曰く、強力な防御魔術のようなものを使う、等々…冒険者ギルドのほうにも討伐依頼が出ているらしく、情報料さえ出せば色々事前に聞けることが多い。

「それは、心強いわ、ねっと」

光の刃がその場を薙ぎ払う。大きく後ろへと跳んでそれを回避する動きは、それなりに体術も心得ていると知れるだろうか。着地したと同時に大きく息を吸い込んで

「ふぅ――――…っ!」

息を吐き出しせば、周囲の空気が重くなる。比喩的な表現ではなく大気中の水分が増えたが故…壁に水滴が浮き始め、見る間に周囲に霧が立ち込め始める。

「見ての通り私ってか弱いし、援護に回るわ。
敵が見えなきゃ斬れないなんて、情けない事は言わないわよね?」

霧を生み出したのは、一つは実験。機兵が『何を以て周囲を感知しているのか』という疑問。少なくとも、視覚情報を頼りにしているなら、なんらかのリアクションがあるだろう。
そしてもう一つ、こちらが本命だが…事前に聞いていた、光による攻撃を緩和させる防御技としての一手。魔法であれ、他の技術であれ『光』であるなら、持つ性質も同じ…光の散乱性を利用して、攻撃力を削ぎにかかろうと

影時 > 「偶々行き着いただけのコトよ。熟れ過ぎて、ぽとんと落ちて爆ぜるか否かは――此れは此れで見物だが、と」

元々は旅空の人間だ。飽きれば、また何処にでも渡る定住しないもの。無頼の徒である。
しかし、少しばかりこの地に拘泥する由縁はある。
それを初対面の相手に告げる由縁はない。何より、今はそれどころではない。

――敵が来る。

獲物が来る。容易く片付けられるものではない。立ち回りの術は心得ていても、一瞬の油断が命取りだ。
間合いを測り、適切に躱し、防ぐのであれば手傷の類は理屈の上ではそうは負うまい。
憂うべきは逆に適切ではないタイミングで被る一撃の重みだ。巨大であるということは、それだけで脅威なのだから。

「――……水氣の類か。嗚呼、そっちまで一々気ィ回す余裕は無ぇぞ。自分の身は精々自分で守れ」

強かに足元を裂かれた巨人が足を止め、頭部の発光部を明滅させる。
槍を引き戻し、後方へと走り抜けた己を捉える。右手一本で太刀を提げる己を見る、と。不意に感じるものがある。
顔などの露出した肌に触れる湿気の気配だ。この辺りに水脈が漏れ出ている様子が無かった点を思うに、魔法の類であろうか。
よくもまあ、こんな所でと思いながら、差し障りなしと答えた上で見遣る覇立ち込める霧に標的を見失った様子の巨人が光背や光輪から、光の線をいくつも放つ動きだ。

周囲の索敵のためだろうか?
しかし、光は立ち込める霧に減衰し、散乱してはその働きを著しく減じさせる。
そんな中で、軋む音が幾つも連続する。槍を思いっきり振りかぶって霧を吹き飛ばそうとする肚か。

「この水氣なら、こうしてみるのも悪く無ェなあ。凍れ――這い上がれ」

しゅらん、と。逆手に持った太刀を背後に遣り、空いた左手で幾つもの図形を描き、手印を切る。
練り上げた氣を放ち、特定の意を以て周囲に生じた霧に意思を遣れば、足元を中心に放射状に冷気が奔る。
蛇の如くのたくるそれは、標的である巨人を捉えれば周囲の水気を寄せ集めつつ這い上がって四肢の関節を凍てつかせ、固める。
其処に向かって走り寄ろう。気配なく、斬意をも晒さぬ静謐の刃が再び、今度は巨躯の腿の裏を切り裂いてその動きを減じさせる。

コスモ > 「見世物としては派手でしょうね。少し、悪趣味かもしれないけれど」

自分はこの国に拘る理由は特にない。話に聞く図書館や、魔術を教えるという学園には興味はあるが、比重としては遺跡や先住民であったというミレー族に伝わる伝承の方に重きが置かれているせいだろう。街でなにかしらの出会いがあれば、また違ってくるのだろうけれど。

「これでもフィールドワークは得意なのよ?
それにしても…ああ、やっぱり視認してたのね。音で探知してたなら厄介だったけれど」

霧を生み出す以前と比べ、明らかに動きを鈍らせる機兵。打った手が無駄にならずに済んだ事には一安心と言ったところだが、連続する鉄の軋む音になにやら仕掛けてくる事を察して

「あら、冷気…氷魔法?結構器用なのね、貴方」

霧を生み出したのは己の技だが、一気に冷え込む冷気は別の力が干渉したもの。暗視の魔法をかけていても詳細を見るに至らなかったそれは後で聞こうと思いながらも、続く高い音に攻撃を仕掛けた事を察する。さて、自分も何かするべきか…事前情報では、魔女たる自分には色々と不利な情報もあったけれど…

「ま、試してみますか」

告げて思い切り地を蹴った。先ほど自分で開いた間合いを駆け抜け、膝裏を切り裂かれ姿勢を崩す巨体へと向かう。
大げさなくらいに引き絞るのは、握りしめた 左 の 拳

「――――砕けろぉぉおおおお!!!」

握る拳には、己が魔力(ちから)を。引き絞り狙いを定める動きで、その魔力(ちから)へとベクトル(指向先)を定め、叫び(言霊)の力で、己が何を成すのかを宣言する。

魔術的な視点で見れば、ちゃんと理にかなった行動。
しかし、ぱっと見…いや、どう見てもその姿は『敵に拳で殴りかかる』ようにしか見えないだろう。
そもそも魔術が通じにくいとの事前情報も併せた上で、先ほどの行動を鑑み一番機構が複雑そうで、だからこそ衝撃に脆そうな頭部を狙ってのそれは、頑強だろう機兵の頭部を凹ませる程度には効果を見せ
ランダム指名 > コスモ
影時 > 「どうせ見るなら、スカっとするような奴の方がいいなァ」

例えば、驕りたかぶった豚がみっともなく屠殺される場面は何度も見ると飽きるが、溜飲が下がることだろう。
金払いが良い客は上客だが、ただ贅肉を揺らす豚は少しばかり削りたくなる衝動にもかられてしまう。
つくづく、困ったものだ。

「なら、あんまり気ィかけずに済むな。
 個体にもよるんだろうがな。魔法、魔力か? その気配を辿る奴も居るそうだが、――ちょっとた手妻よ。大したモンじゃぁない」

索敵能力に長ける個体ではないが、その代わりに膂力や耐久性に優れる個体であるらしい。
繰り出した表面凍結による行動阻害も、然程長時間及ぶものではないようだ。
だが、それでも氣を載せた刃が通るのであれば、殺せる。破壊することは叶う。
そのためのこの太刀だ。龍を屠るための刃であるが、然るべき使い手が使うのであれば竜より柔らかく、弱いものを刻めぬ道理はあるまい。
繰り出した術に対する答えにはぐらかしつつ、斬られてその身を揺らし、姿勢を崩す姿を蹴って飛び退く。
より深く、強く穿てる場所は他にあるか。如何に装甲を引き剥がし、急所を速やかに破壊するか。探っているところに、見てしまう。

「――は。ッ、ははは!! こいつァ、面白い。驚いた!!! このデカブツをぶん殴る奴ァ初めて見たぞ!!!!」

拳で 顔面を ぶち破る。構造上、弱くなりかねない顔面の造りを叫んだとおりに「打ち砕く」。
さながら、宣言を体現する行為に伴奏する破砕音を聞き、一瞬驚愕を表情に浮かべては、腹の底から呵々大笑する。
此れは驚いた。面白い。ともすれば腹を抱えて笑いたいところを堪えつつ、背後から仰向けに倒れてしまう巨人の上に跳び上がる。
くるりと逆手に持ち替える鋼刃の切先がひた、と指すのは胸部に埋め込まれた魔導鉱石状の部位である。

「……――眠れ」

ぽつ、と。その言葉を零して氣を集中させた刃をくん、と押し込もう。
切先が埋まればそこから先に練り上げた莫大な氣が雪崩込み、奔流が押し流すように内部構造を瓦解させる。
そうすれば、巨人の身に宿る光やら得物に宿る力等の悉くが失せて、その機能を失う。

コスモ > 「そうね。私もそういう方が好み」

虐げられた国民が反旗を翻す。そんな展開なら爽快感もあるだろうか。しかし今それを望むのは時期尚早だろう。

「魔力探知は余計に厄介ねえ…あら、その言葉魔女としては凄く興味が惹かれるんだけど?」

己とは違い系統の術。全てを開示して欲しいとは言わないが、概要くらいは知りたいと思う程度には研究熱心だった。斬鉄をも容易く行う武器はやはり特別性なのか、使い手の技量が良いのか…両方だろうと思案しながらも間を詰める。今度はこちらが見せる番とばかりに拳を振るい、巨兵の頭を打ち抜いた。

「そんなにおかしい?だって、力を入れるには拳を握って叫ぶのが一番でしょ?」

言いながらも、思い切り機兵の胴体部分を蹴りつけて間合いを開いた。一人で倒すのならばこのまま追撃となるのだが、今夜は同行者がいる。胸の石を砕くなら、機兵は即座に活動を停止して

「――――ひとまずはお疲れ様ね?貴方がいて助かったわ」

労いの言葉とともに笑顔を向けようか。霧も晴れ、戦闘の名残は倒れた巨兵の残骸のみとなるだろう。自分としては、先ほど見た古代文字らしきものを調査したいし、そもそもこの機兵そのものに興味津々なわけだけれど、彼だってこの機兵には用があるはず。周囲に警戒しながらも、その辺の事をやってしまおう。
その後は…まあ、出来れば街に帰るまでは一緒にとお願いすることに。
一人よりも二人のほうが安全なのは、言うまでもない事なのである

影時 > まぁなぁ、と肩をそびやかそう。
雇われる方にも感情がある。都合は兎も角、雇い主が凡庸だと雇われる方としても見限りもする。

「氣を――、ニンゲンの生命を嗅ぎ取る仕掛けを持ってる奴の方が一番厄介ではあるなァ。
 俺にとっちゃあ大したモンじゃない。事を為すなら、手や剣を出す方がずっと手っ取り早い」

ひとえに忍術、と呼んでいるものだ。特定の術系統に偏らず、簡単なものから大技も含めて体得はしている。
しかし、速効性を考えると下手に手妻に凝らずに直接手を出した方がシンプルに済むことも多い。
故にこそ、真っ先に頼るのは武技となる。
忍術は少なからず代償とするものを考えれば、手管を隠すことも考えれば極力秘す方が好ましい。

「おう、お疲れさん。
 言っているコトの道理は分かるんだがなぁ。……俺が云うのもなんだが、普通はやらんぞ」

しかし、先ほど見せつけられたことを思えば、大笑いもしてしまう。
如何なる破壊の術理か。魔法の類であろうか? 破砕された顔面部をしげしげと見回しながら、思考を巡らす。
砕けよ、と言われたから砕けた、と言わんばかりの有様だ。
刀を引き戻し、刃の状態を検分したうえで腰の鞘に納めつつ、息を整える。
何か、破壊したことの証明となるものを持ち帰ることができれば、報酬も出る。

そうして、互いに事が済めば地上に戻ったことだろう――。

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