2018/07/28 のログ
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ギィギ > 柔らかさと弾力の両立、天然石の壁の僅かな凹凸すらも舐めるように通路一杯に広がった透明なスライムの身体が擦り続け、亀裂さえも舐めなぞると僅かに滲む水分やその苔すらも綺麗に喰らい、侵入者が進む通路は職人が磨き上げたかの疑うほどに艶やかに輝き、滑らかなる触感を感じさせるだろう、ただ時折その表面にはネバっとした粘液状の何かが残り、触れた者の指先に掌にねっとりと絡みつく、無味無臭、されどその粘り気は滲み出した主の貪欲さを垣間見せる様にどろりと執拗にまとわりつくだろう。

ずり……ずり……ずり…………ずり………ずり……。

這いずる音は天然石で出来た通路に静かに木霊する。
だがそれは引き摺る音ではなく、壁や天井を床を舐めて苔や微生物を喰らっている貪欲なスライムの咀嚼音である。

そして喰らいに喰らい尽くされた通路は壁と同じように艶やかに侵入者を迎え入れるだろう、但しそれは通路一杯に広がったスライムの背を追う事になる。

気紛れにギィギが進む方向を変えれば結果は誰でも容易く想像つくだろう、ましてや照らす灯りの一切存在しない空間である、ただ奥を見れば壁に掛かった松明等でそれでもそれなりに光源はあるのだが、それもまた次第にスライムに取り込まれ、喰われて、闇へと堕ちていく事になる。

金属や宝石が浮き、それを内包しているのがギィギの特賞なのだが今宵の肥大化した亜種はそれもない、ただ良く眼を凝らせば内包している細かな気泡くらいは見て取れるか。

貪欲なるギィギと呼称されるスライムの亜種は這い進む、獲物をエサを求めて奥へ奥へ、体内に十分な栄養を蓄える為に奥へ奥へ、だが無論それだけがギィギの目的ではない。

身体に蓄えた栄養はある種吐き出すためにある。
生物として魔物では有るが生き物として同族を増やすため、己が分身を増やすため苗床を探す為に決して下層に下りるような真似はしない。

ご案内:「無名遺跡」にガヤネイさんが現れました。
ご案内:「無名遺跡」からギィギさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からガヤネイさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にギィギさんが現れました。
ギィギ > 無名遺跡は迷宮化しており様々な罠やモンスターが巣食っていると言う、その中でも比較的浅い階層ではあるが今まで誰にも発見されていない、若しくは手の入っていない場所も数多存在すると言われている。

今宵の舞台はそんな誰の手にも触れられていない通路、その向こう側に何があるか誰も知らない特別な場所が未来が見える道の通路が舞台である。

何故誰の手も入っていないのか、その理由は極々シンプルで単純な理由――通路がとても狭いのだ。

妖精用、小人用、と言えば酷く大げさであるが大柄な人間であれば膝をついて四つん這いで這い進むしかないくらいの狭い通路で、成人の女性であれば四つん這いかまだ膝立ちになって膝を擦りながら歩き進む事が出来る程度の高さでしかなく、冒険をするには非常に危険な場所であった。

それも妙にその通路はヌラヌラと艶やかで滑らに磨かれた様子があり、ランタンでも差し込めばほんのりと湿った様子も見られる、でもその奥からは金銀財宝、なのかは進んでみないとわからないが、何か光が漏れていて部屋に為っているのは間違いないだろう。

さて、冒険者か若しくは調査に来たフィールドワークが下手な魔術師か、奥に見える未知を前に通路に入らず引き返すか、それとも多少の危険と汚れる覚悟を持って狭い通路を膝立ちなり四つん這いで這い進むか、それを決めるのはその侵入者達次第である。