2015/11/18 のログ
ご案内:「無名遺跡」にエレミヤさんが現れました。
■エレミヤ > 冒険者仲間に誘われてやって来たのは山脈の麓に座する遺跡と言う名の迷宮。
如何やらレアなアイテムを持った魔物が住み着き始めたらしい、とは誰の言葉だっただろうか。兎角、そんなこんなでやって来た訳だが―――
「……その魔物ってどこにいるんですかぁ…。」
行けども行けども道。
青年は豪快に笑いながら少女の背を叩き、「まあ、その内辿り着くって!」だなんて根拠皆無な台詞を告げてくる。他に仲間もこれには苦笑いを浮かべるしかないようで、己より幾らか身長の高い女剣士が「諦めましょう。」と、慰めにならぬ慰めをくれた。
がくり、肩を落としながら時折現れる然して力のない魔物達を倒しては進み、倒しては進みを繰り返し。
ご案内:「無名遺跡」にケイシーさんが現れました。
■ケイシー > 進むうち、だんだんと魔物の出現数は減っていく。
代わって、何やら引きちぎられたり焼け焦げたりしたぬいぐるみの残骸がそこここに散らばっているのが目だち始める。
そして明らかに何かを引きずって行ったらしい跡が奥へ奥へと続く迷宮の道に遺されており、ぬいぐるみたちはその周囲に散らかっている。どちらも、まだ比較的真新しい。
引き裂かれているぬいぐるみというのも無残な印象を与えるが、それらはどうにも今までエレミヤ達に襲いかかってきた魔物たちを模しているようなデザインにも見える。
曲がり角。
何かがよろりと現れ、力なく数歩を歩いた後に倒れた。
ぬいぐるみだ。背中が大きく裂け、詰められた綿が盛大にはみ出している。
曲がった先、通路はまだ続いている。
■エレミヤ > そもそも、風の噂程度の話でしかない魔物の存在。
確かな情報もない儘、取りあえず行こうぜみたいな軽いノリで引きずられる儘来てしまったが、本当にいるのだろうか。気が重い。
然し、進まなければなるまい。取りあえず青年が満足するまでは。
魔物達を倒しながら進む内に感じ取る変化。鈍臭い己でも分かる、あからさまな変化。
「何でしょう、これ…。」
これ、と言いながら魔法で浮かせて中空へと留め置くのは残骸となったぬいぐるみ。あんまり可愛くはない。
何処となく、見覚えのある形状で―――どさり。冒険者達が一斉に音の方へと構えながら顔を向けた。
曲がり角から飛び出すように倒れたそれに、先まで軽い雰囲気だったのが引き締まって行く。
青年の「行くぞ」との声に頷き、いつでも魔法を発動させられるように構えながら曲がり角を折れ、先に続く道を進み。
■ケイシー > 恐らくは誰にでも感じ取れるであろう、且つある種薄気味の悪い変化に、一行それぞれが気持ちを引き締めて通路を進む。何をどう警戒するべきなのか、あからさまに命の危険を感じる罠などより厄介かもしれない。
通路の先が明るい。床にはブリキ細工のネズミが一体、背中のネジ巻きを回転させながら自身もクルクルと同じ場所を走り回っている。
アーチ状のくぐり戸を抜けた先は、おびただしい数の何かの部品が病的なまでに整列していた。
その中央には黒と白の毛並みの獣人のような物が陣取り、荒い呼吸をしながら人間の下半身のようにも見える魔導機械を一心不乱に解体している。
壁も床もここだけ妙だ。光が届いている範囲だけ、なにやらパステル調で、メルヘンチックな模様のある空間になっている。
獣人はエレミヤ達に注意を向けているようには見えない。ただひたすら魔導機械から部品を取り外しては、それを一つ一つ床へと並べていく作業を続けている。
■エレミヤ > 奥に何かがいる。それが何かは分からないが――否、分からないからこそ、油断などできない。
戦闘を剣士の青年が、続いて少女と弓矢を携えた青年、そして後方を剣士の女性が。慣れた隊列を組んで進む。
軈て、薄暗かった通路が明度を持ち始めるのを見留めて杖を握る少女の手に力が籠った。心臓が酷く煩い。一定の間隔で微かな軋み音を発ててくるくると走り回るブリキに小さく息を詰め――
「―――…、…?」
明るさに確りと周囲を認識できる空間を認めた瞬間、一行の足が距離を削り切るよりも先に止まる。
ずらり、と並べられた何かの部品と――ひとの姿。
如何やら魔導機械を解体しているらしい、とは直ぐにも理解出来たが、空間が異様だ。
(な、なんだろう……すごく可愛い…そこだけ可愛い…!!?)
光の掛からない範囲は相変わらず遺跡迷宮然としているのに、そこだけメルヘン。
一行は顔を見合わせ、言葉も無く「お前が話しかけろよ」と譲り合いだ。
■ケイシー > 「んフー…ッ んフー…ッ」
メルヘンな空間の中、獣人の口からはうわずった吐息。
胡座をかいた股ぐらには、人とは違う動物らしい形状をした一物が鎌首をもたげているのが見えるかもしれない。
見てくれの世界観とは裏腹に、わりと面倒なシーンに遭遇しているのかもしれない。
はたしてこの獣人が、青年の云う『レアな宝物を持った魔物』なのだろうか。
広場、いや大広間とでもいうべきなのか。天井の辺りに何か正六面体の物体ががクルクルと浮かび、室内を照らしている。
その光が届いている範囲だけ、明らかにメルヘンチックというか、ポップなデザインというか、
表現に困る何かに変質している。あるいは、ただの見せかけだけなのかもしれないが。
部屋の反対側の通路から、人型の魔物がのそりと室内に侵入して来るのが見えた。
魔物は室内の奇妙な状態に暫く首を捻っていたが、床に置かれた部品の一つに何気なく触れた。
ボワン。
気の抜けた、コミカルな音とともに魔物の姿がぬいぐるみのそれへと変わる。
それに気づいた獣人はぬいぐるみの元へと跳躍し、鋭い爪でぬいぐるみの腕を切り落としてしまった。
白黒の獣人は動かされた部品を元へ並べなおす。その際、エレミヤ達の姿に気がついたようだ。
獣人は様子を伺っているが、その目はとてもお話をして仲良くなりましょうという物には見えない。
■エレミヤ > 大分興奮していらっしゃるようだった。
それに気付いた少女が悲鳴を上げなかったのは何も少女自身の我慢強さでは無く、いち早く察知した女剣士が口を押えてくれたからだけれど。
「―――!―――!!」
どうする、お前いけよと無言のやり取りを繰り返す仲間へと羞恥と混乱に音のない悲鳴と文句を訴えていたのも束の間、相手を挟んで向う側からの侵入者に気付き、再び緊張した面持ちを取り戻す面々。
仲間だろうか、と警戒を強めながら挙動をつぶさに観察し――奇妙な音と共に姿の変わった魔物がいた。
正しくは、魔物だったもの、だろうか。刹那、獣人の跳躍と振り下ろされる爪。瞬く間に肩から離れて行ったぬいぐるみの腕に、先程の残骸達の正体とそれを為した者が誰だか理解した。
此方を見てくる相手へと、剣士の青年が抜いた剣を突きつけ、「一応聞くが、人語は分かるか?」と問うた。
他の面々も各々の武器を確りと握っている。
■ケイシー > 荒い呼吸。
『人語は判るか』の問いかけにも、獣人はしばしの間答えを返さなかったが、いきり立っていたモノが徐々に萎えて行くのが見て取れた。
「ああ」
身体がさほど大きくないせいか、やや子供じみた声。
猫のような顔つきではあるものの、可愛らしいというよりはふてぶてしい野良猫が機嫌をそこねたような表情。
「何か探し物なら」
少しずつ落ち着きつつはあるものの、呼吸は荒い。
「もっと深層に行かねぇと旨みのあるモンは無ぇぞ」
途切れ途切れにそう云うと、獣人はまた魔導機械のそばに座り込み、解体の為の道具をその下腹部へとふるい始める。
一応、言葉による意志の疎通は可能なようではあるが…
■エレミヤ > 続く無言の間に各々の武器を握る手に力が入り、すわ抜かん、とばかりぬ雰囲気が漂い始める。
が、そんな静寂に響いた声。
短い返答の後、続けられる言葉に獣人の理性と知性を確認して強張りがほんの少しだけ弛んだ。
再び魔導機械の解体へと戻ってしまった相手に、少女の仲間達が会議を始める。それもその筈、今の少女には迷宮の深くまで潜るだけの技能は無い。お宝は気になるが、進むべきか。
暫しの間、おりなされていた会議は青年の「よし行こう。」と言う言葉で締めくくられた。如何やら時には少々危険な経験も必要、との事らしかった。
「ええっと…ご助言ありがとうございます…?」
とは言え、目に分かる不確定要素にまで仲間たちは突っ込もうとする程無謀ではない。
道を戻って迂回しよう、と決まったなら相手の背へと小さく頭を下げ、仲間たちと一緒になって去っていく。
深く潜る先で何が待っているのか、今の冒険者達にはまだ知る由もない――。
ご案内:「無名遺跡」からエレミヤさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」からケイシーさんが去りました。
ご案内:「無名遺跡」にレナ=ミリイさんが現れました。
■レナ=ミリイ > 遺跡の壁に背中をつけて、罠を警戒しながら曲がり角より顔をそっと出して遺跡の先を警戒する少女の姿。
腕の中にクロスボウを抱え、いつでも撃てるように引き金に指を添えていて。
「………大丈夫」
自分に言い聞かせるようにつぶやくとそっと角から身体を滑らせるように出して。
クロスボウをせわしなく動かし不意打ちと罠に警戒しながらゆっくりと先に進んでいく。
■レナ=ミリイ > いくつかの罠を突破し、数体のゾンビ型の魔物を矢で壁に打ち付けた後に少し大きめの部屋に出れば暗闇に目を凝らして敵がいないことを確認し。
「ふぅ……いったん、休憩、かな」
小さく息を漏らすと慣れない探索で疲れた体を休めようと部屋の隅に移動し、クロスボウをいつでも撃てるように膝に乗せて構えながら座り込む。
そもそも、探索の依頼などギルドから受けることはめったにないのだが、どうも戦争でやや人手不足とのことで自分にも依頼が回ってきたのだ。