2015/10/13 のログ
ご案内:「無名遺跡」にケイシー(猫妖精)さんが現れました。
ケイシー(猫妖精) > 「ド〜は奴隷のド〜♪ミ〜はミレーのミ〜♪ッとくらぁ。レ〜ならどっちにも…
 おっ魔導機械の外装発見!って、ガワだけあってもな〜コンチクショウ。
 あ〜〜〜ぁ、都合良くばば〜んと面白い機械が落ちてませんかね〜。ませんね。」

 毒づきながら、長靴をはいた猫妖精は魔導機械のカケラを蹴り飛ばそうとし、思いとどまる。

「ふっふ〜ん、このケイシー様がそんな見え透いたトラップに引っかかるとでもお思いかい?
 あからさまに落ちてるだなんて怪しいことこの上な…あ〜でもそれだったら
 もうチョイ見栄えのする部分置いとくか〜?」

ケイシー(猫妖精) > 「…ん、ん〜…糸とかそういうのは付いてなさげだし…
 クン、クン。妙な匂いはこの遺跡自体に染み付いてるし…
 罠検知なんか使ったらそれこそアッチコッチで反応出まくるだろうし……」

 恨めしそうに機械のカケラをジロ見する。

「大した値打ちが有る訳でもないんだけど、時々物好きが居るからなぁ…
 んョシ、ちょいとつっつくだけでもつっついて見るか…」

ケイシー(猫妖精) > 指先からニュっと爪を伸ばし、恐る恐るカケラを突つく。

「………
 ……
 …はッ!!なんともねーでやんの。全く紛らわしいったらありゃしねえな!」

 憎まれ口を叩き、明らかに逃げ腰だった姿勢を正してカケラをつまみ上げる。

「…ん、この形だったら恐らくあの手の…いやいやいや、アッチのアレ、か?
 んだよ、益々使い道無えでやんの。」

 帽子を脱ぎ、拾った魔導機械のカケラを放り込んで被りなおす。

ケイシー(猫妖精) >  ハァ〜と大きくため息。
大物を狙うには明らかに浅すぎる階層である。当然、深く潜るほど危険は増す。
無理をして進んだからと言って、必ずしも旨みの有る品に巡り会えるとは限らない。

「深さ的には、この辺がギリギリのラインなんだけどなぁ…
 大人しく引き返すにしちゃ、ちょっと、なぁ〜……ん?」

 猫の耳がク、クッと動く。自分が発する以外の、…音?声?

ご案内:「無名遺跡」にテルヴェさんが現れました。
テルヴェ > 「…………ーーーッ!! …………ーーッ!!」

遺跡を、唸り声のような音が揺らしている。
猫妖精の行く先で、遺跡の壁から脚が生えていた。粗末な布のズボンと革製の前掛けに覆われた、人間の下半身のようだ。
ときおり脚をバタバタと暴れさせ、疲れたのかぐったりとしなだれ、また暴れる……を繰り返している。

どうやらどっかのアホが、壁の穴にハマりこんで抜けられなくなってしまったようである。
穴の近くには罠を解除し、穴を広げるボタンもあるかもしれない。

ケイシー(猫妖精) >  声にならぬ声。ジタバタともがく脚。壁から生える尻、もとい。人間の下半身。
猫妖精は、恐る恐るその近くへと近づき…しばし観察する。

 何かが、こういった姿に化けている可能性も無い訳でもない。
が、それにしては些か間の抜けた情景だ。

 辺りを見渡し、罠の解除装置らしき物に目星をつけつつも、直ぐにはそれに触れず。
すぐに飛びのける体制をとりつつ、ぐったりと動きを止めているスネのあたりを、
くすぐるように撫でてみる。

テルヴェ > 「ほひゃっ……!」

くすぐられれば、触られてない方の脚ごとぴくんと跳ね上がり、機敏な反応を見せる。
しばらく腹筋に力を込めて床から上げ続けようとするものの、またすぐにフラフラと床まで下がってくる。

「だ、だれかそこにいるんですか! に、人間なら助けてください! モンスターならあっち行って!」

石壁越しにくぐもった声が響いてくる。声のトーンは高く、女性か男性かは判然としないであろう。
なおも触れるなら、なおも暴れるであろう。それほど強い脚力でもないようであるが。

ケイシー(猫妖精) > 「ふむ、ふむ。
 オレっちが人間ならお前を助けて、モンスターだったら回れ右、ってか。
 そりゃ中々難しい謎かけだぞ……?」

 頬から伸びるヒゲを軽くしごきながら、どうしたものかと思案する。
見た感じ子供のようではある。子供一人で、こんな場所へ?

 だとすれば、普通の子供ではなさそうだ。
触れた際に試みたものの、「年齢」も吸い取れないようだ。
とはいえ、このまま見捨てていくというのも寝覚めが悪い。

「さて、さて。オレっちが人に見えるかモンスターに見えるか、
 ちょっと答えを聴いてみるのも悪かねぇか。」

 ガコン。恐る恐る仕掛けを弄ってみたが、どうやら解除の為の物で間違いは無いようだ。

テルヴェ > 「あっ、人間だ! 人間で悪い人じゃなかったら助けて……!」

人語で語りかけられるのを聞けば、つかの間安心したようで、緊張しきっていた両脚からふっと力が抜けたのが見える。
とはいえその声の内容は不可解。人語をしゃべるモンスターかもしれない。精一杯の集中力で、壁の向こうの存在に気を配る。

「………うわぁっ!」

猫妖精がカラクリを操作すると、テルヴェの腹部を押さえつけていた穴の下の壁がガコン!と音を立てて30cmほど下がり、自力で抜け出せるほどに広がった。
とっさにテルヴェは壁を蹴り、上半身を穴から抜き放つ。
おへそから上が灰色の埃でまんべんなく汚れ、革鎧の表面を数匹の小さな蜘蛛が這っているのも見える。

「……はふ、助かった……! あ、ありがとうございます、親切な……」

その汚れを拭うのも後回しで、テルヴェは命の恩人の方を向きお礼をしようとする……が。
そこにいたのは、二足歩行する……猫?

灰色に染まった頬の上で、赤い瞳を真ん丸に見開きながら、しばしその姿を眺め続ける少年。

「………………」

はじめは驚き、しばらくして困惑。テルヴェはこのような生物を見かけたことはなかった。
彼の常識で判断すれば、この生物は『モンスター』。少なくとも『人間』には見えない。
でも、人語を喋り、自分を助けてくれて、そして、かわいい。モンスター呼ばわりするのにも抵抗がある。

答えを口に出しあぐねているようで、しばし無言が続いた。

ケイシー(猫妖精) >  しばしの、無言の時間の後、声を発したのは猫であった。

「…ん。まあ、とりあえず、顔を拭いたらいいんじゃないかな。」

 襲いかかってくるのであれば直ぐにでも姿を眩ませるつもりではいたが、
壁から生えた尻の主は、口をあんぐりさせたまま何もしようとはしない。

 ケイシーは帽子の中から手ぬぐいを取りだし、自分と同じくらいこの場に
似つかわしくない少年に、それを差し出した。

「何が有ったかは知らないけど、例えば穴蔵の向こうに美味そうなケーキが見えたら
 ここじゃソレは罠の類だと思って間違いないぞ。
 よかったな、胴体と尻が泣き別れにならなくて。」

テルヴェ > 「え、あ、ハイ……」

謎生物に諭されるがままに、少年はベルトポーチから手ぬぐいを取り出し、水袋から少しだけ水を垂らして湿らせ、顔を拭いていく。
白い肌、金色の髪が徐々に埃のヴェールを脱ぎ去っていく。代わりに真っ黒に汚れた手ぬぐいを見て、露骨に嫌な表情を浮かべる少年。

「ホント、助かりました。ええと……ネコさん……?
 ケーキじゃないんだけど、穴の底のほうに光るモノが見えたから、つい、頭を突っ込んじゃって。
 罠がないかどうかは自分なりに確かめたんですけど、まさか嵌って抜けなくなるとは……アハハ……」

カラクリが作動したことで広がった穴。その向こうを覗けば、そこそこのサイズの未研磨ルビーが一粒転がっているのが見えるであろう。
低身長のテルヴェでは、穴にハマった上に手が届くこともなかったようだ。

「僕はテルヴェ。一応冒険者やってるけど……ダンジョンって、たまにしか来ないから、まだ不慣れで。
 みっともないところを見せちゃったね……」

地面にへたり込んだまま、苦々しい笑みを見せる。猫型の生物に対し、警戒心は見せていない。

ケイシー(猫妖精) > 「テルヴェ、か。オレっちはケイシーだ。
 ははぁ、光る物を見つけて潜り込んだ、か。
 気持ちは解る。解るぞ。でもな、テルヴェ。

 ここから見えるアレ…確かにルビーの原石に見えなくもないが、
 本物かどうかは分からん。見せかけだけかも知らん。
 一人で潜り込むのは、止めとけ。な?」

 気が引けたのか、それとも目に入らなかったのか。
テルヴェが自分のそれで顔を拭い出したので、猫は差し出した手ぬぐいを仕舞おうとしたが、
思いついたように、それをヒョイと穴へと投げ込む。

 穴に投げ込まれた手ぬぐいは、その模様と同じ柄のヘビに姿を変え、
ニョロニョロとルビーの原石へと向かって行った。

テルヴェ > 「ケイシー、かぁ。よろしくね」

名前はわかったが、正体は未だによく分からない。
とりあえず人語でコミュニケーションを取れて、今のところはフレンドリーなので、テルヴェも警戒心を解いてはいるが。
耳、お腹、手や足……あちこちに視線を移し、猫との違いを探ろうとしている。

「僕、まだ冒険者ギルドにも所属できてないから、ひとりで頑張るしかなくてさ。
 それに弱いしドン臭いしで、絶対足手まといになるから。所属試験を受けるにもどうしても踏ん切りがつかなくてね。
 ……あと、いまはお金が欲しいし、お宝は独り占めしたいじゃん? フフッ」

最初はやや俯きがちに内情を語るも、最後は冗談めかした口調で、歯を見せて笑う。
しかし、穴の中にあったルビーにはもはや興味はないようだ。
遠慮して受け取らなかった手ぬぐいが穴に投げられ、蛇に変化すると、おお、と感嘆の声を漏らす。

「へぇ、ケイシーくんは魔法が使えるんだね! すごい!
 ……ねぇ、キミって、猫……なの? それとも、猫に近い何か?」

蛇と猫を交互に見やりながら、漠然とした問いをかけるテルヴェ。

ケイシー(猫妖精) >  話を聞きふむふむと曖昧な相槌をうちつつ、
穴蔵に投げ込んだ手ぬぐい蛇の様子を伺っていた猫だったが。

「そうだなぁ、猫…みたいな何か。でもなあ、大概の猫もあれだ。
 猫かぶってやがるからな、猫だけに。
 おっ、よしよし、戻ってきた」

 蛇は咥えていた何やら光る物をコロリとケイシーの手の中に転がり落とすと、
自身も何の派手さも身せずヘロリと元の手ぬぐいに戻る。
ケイシーはその手ぬぐいでキュッ、キュと光る物をこすると、ションボリとヒゲを垂らした。

「…ハズレ……だな。ほらテルヴェ、記念に持って帰りな。
 オレっちはハズレだと思うが、もしかしたら金になるかも知れない。」

 ぽい、とルビーの原石を放って寄越すと、猫は急に地団太を踏み出した。

「ぬぁあああ〜もう!止め!止め!!今日はもう、オレっちは仕事仕舞いだわ。
 もう帰ってマタタビ酒呑んで、クソして寝る!

 おいテルヴェ、こっから先まだ進むってんなら、お前ホンっと気をつけろよ!
 厄介な罠やら、怪物やら、色々居たりするんだからな!」

テルヴェ > 「アハハ、ケイシー君ははぐらかすのが上手いなぁ。
 ……まぁ、壁にハマって最初に通りかかった人が優しい人だったから、きっとそれでよかったんだね、うん」

調子のいい猫の物言いに、ぽんぽんと手を叩いて笑うテルヴェ。
二足で立ち、喋り、奇術も使う可愛らしい猫。そんなものを見れただけでも儲け物といえよう。
しかし、蛇が拾ってきたルビーと思しき石を渡されると、慌ててそれをキャッチするも、

「い、いや、こんなの貰えないよ! 僕、罠に掛かっちゃって死にかけたんだから……。
 これは助けてくれたケイシー君が持って行ってよ!
 もし鑑定して価値のある石だったら、なんか、とっても済まない気持ちになっちゃうよ……」

自信なさげに赤い石と猫の姿へ視線を交互に移すテルヴェ。彼が立ち去ろうとすれば、テルヴェも荷物を抱えて立ち上がる。

「あ、あの、ケイシーさん、助けてくれて本当にありがとうございました!
 ……と言っておいて申し訳ないんですけど、その……出口の方向も、漠然としか分からなくなっちゃって……。
 すみません、出口まで連れてってもらえます? もうこれ以上の深入りはよした方がいい気は自分もしてたので。
 ……案内料がいるなら、払いますんで」

徐々に徐々に、尻すぼみの語調になっていくテルヴェ。つくづく、冒険慣れしていないようだ。

ケイシー(猫妖精) >  持っていってと突き返される原石と、テルヴェの顔をやはり交互に見て。

「いいのか?いらないんだったら、なんだ、その。あとでベソかいたって、
 返してやんねぇからな?!本当にいら…あぁ、うん…
 じゃ、じゃあ本当にオレっちがもらうかんな?!」

 帽子の中にルビーの原石を押し込む。少しばかりにやけた表情に見えるのは猫だからだろうか。
じゃあなと去ろうとする所を、出口まで連れて言ってくれと申し出られ。

「あーもう!解った解った、一緒に出口までついてこいよ。
 案内料?いいよいいよ、そんなの。」

 一歩踏み出し、クルリと振り返って。

「でもあれだぞテルヴェ、絶対罠のスイッチ踏んだり触ったりは勘弁してくれよ?!」

テルヴェ > 「うん、持って行って。それはケイシーくんが貰うべきモノだよ」

ルビーを手渡すと、再びにっこりと柔和な笑みを浮かべる。
訝しむ素振りを見せながらも帽子に仕舞いこむ仕草を見れば、思わずその頬を撫でようと手を伸ばしかける。
しかし相手は猫、どんな接触が不愉快に感じるか分かったものではない。ぐっと堪える。

「来た道にはこれ以外には罠はなかった……ハズ……だから。平気だよ。
 ちゃんとケイシーくんの後をついていくね。ありがとう、ほんとに。
 ……フフ、この前は迷子の猫を探して、今日は迷子になった僕が猫に案内されて。おかしいなぁ……」

最後の言葉はぼそっと呟くように。どこか、自嘲的な笑みを浮かべながら。
ダンジョンのこんな浅い階層でも、テルヴェにはひどく難儀な障害ばっかりで……そして、不思議な出会いもある。

言われたとおり、素直にケイシーさんの後をついていくテルヴェであった。

ご案内:「無名遺跡」からテルヴェさんが去りました。
ケイシー(猫妖精) > その後。
二人は(一人と一匹は?)無事に出口までたどり着いた。
…今日の所は。

ご案内:「無名遺跡」からケイシー(猫妖精)さんが去りました。