2019/11/04 のログ
ご案内:「ミレーの隠れ里」にアヴァールさんが現れました。
アヴァール > 「~~♪」

ミレー族の里が邪な欲望、身勝手な理由で襲撃されるという話は珍しくはない。

普段隠されているからはいえ絶対見つからないと保証されているわけでなく、奴隷として売り捌くも良し、愛玩動物に飼っても良しと人気の高いミレー族はいつだって狙われる対象だ。

それは奴隷商に限らず山賊とて同様。

里に立ち込める黒煙。
悲鳴、絶叫。
命だけは、妻だけは、妹だけは、娘だけは、突如としてやってきた簒奪者達により日常を奪われた者達は抵抗する力を持つ者が少なく頭を下げみっともなく懇願してでも最悪の結果を免れようとするので精一杯な者で溢れていた。

下衆、下郎に頭を下げるなどもっての外。
けれどもそうしなければ殺されかねない。

里には山賊にしては妙な程最新鋭の装備で固めて武装した一味と、山賊達が従えている魔物達によって今まさに襲撃に遭っている最中だ。
恐怖を植え付ける為に家屋を壊し、家畜や財を奪い、欲望の赴くまま殺すも犯すも自由だと無法の限りを尽くす。

雄の悲鳴があがり、雌の悲痛な嬌声があがる。
瓦礫と血糊と精臭と硝煙と、戦場にも似た混沌とした香りと光景が広がる変わり果てた里を上機嫌に口笛を吹いて歩くのは山賊を率いる長。
この状況を作り出した元凶。

まだ里を取り返す為潜んでいるかもしれない抵抗する者を炙り出す為、或いは力無いからこそ息を潜めやり過ごそうとする者がいるかもしれないからと担いでいた城塞に設置されているべき黒い銃身の重機関砲を気紛れに隠れられそうな瓦礫や家屋の壁や棚等目掛け殺傷してしまったらその時、運よく当たらなくとも声をあげたり殺していた息を漏らしてくれれば好都合と引き金を引いて残党狩りの感覚よりは部下達に簡単に捕まった雌より手ごわい雌か、もしくは隠された上玉の雌を宝探し感覚で探している気分。

もし男が潜んでいるなら、その時はそのままハズレとして吹き飛ばすだけだ。
ただの腰抜けならともかく、手練れだった場合は余計な行動をさせる前に潰すのが得策なのだから。

ご案内:「ミレーの隠れ里」にフィオーレさんが現れました。
フィオーレ > 主人に内緒で、街中で出会った奴隷仲間に出身のミレーの里に連れてきてもらったのが、切欠だったと思う。
豊かではない暮らしの同族たちに、少ない小遣いや癒しの術にて与えられる報酬から捻出しての、食料や生活用品を差し入れ。
そのたびに、喜んでくれる同族たちの表情が嬉しくて、時間が許す限り足しげく通うようになった。

ミレー族の里は決して安全な場所ではない。
不意に外から悲鳴と爆音、泣き叫ぶ声に怒声、そういったものが流れてきた時に、ようやく思い知った──

地下の食糧庫に、近所の子供たちと共に押し込められたのは、この里の仲間の一人として受け入れられたが故なのだろう。
それでも、外から聞こえる悲痛な音や声には胸が痛む。
けれど、自分には反抗するための力はない。

惨劇が通り過ぎるまで、大人しくここで息をひそめ、そして、負傷者が見つければ、癒すのが役目だ。
無力に歯噛みをしながらも、子供たちを抑え、しー、と指を唇に当てて宥めようとしていたのだが──

「────……ッ!!」

僅かに周囲が落ち着いたような気配がしたと思ったが、気のせいだったのか。
不意に間近で大きな破砕音が響き、びりびりと周囲の空気を震わせる。

思わず、息をつめてしまった。
声にならない悲鳴、けれどそれは細く、うまくいけば、見過ごされるのではないか、と期待する。

期待して、祈るしかない。

アヴァール > 「……あー?……くは。今、可愛い雑魚が必死に息を殺そうと必死な感じな声が聞こえた気がするけどなぁ、あー、いねえなぁ。こっちか?いいやこっちだったか?ひひ。気のせいだったかなー?おーい、でてこーい、今出てきたらてめえらのママとパパに会わせてやるぜぇ?……いないなら仕方ないよなぁ。じゃ、向こう行くか。」

人間ではあるが、魔族に利用され、成り上がりの気質から利用している魔族さえいつか下剋上し利用し尽くしてやると誓う山賊の長は腕力もさることながら聴覚など他五感も常人より強化されていた。

だからこそ、秒間100を超える弾丸を掃射する暴力的鋼の獣の咆哮とそれによる無慈悲な破砕音に紛れてほんの微かな、よっぽど遠くで魔物や山賊の配下達に輪姦されている雌の喘ぎのほうが五月蠅いぐらいだというのに聞き逃すことなく射撃を中断した。

本当に気のせいと言っても過言ではない小さな音だった。
けれど必死な相手は気づいただろうか。自分の声を殺すのが精一杯で気付けなかったか。
他の子ども達は、その身が竦みあがりそうな理不尽な暴力の音に今にも泣きそうになっていることに。
一つの音だけでなく複数の音を拾う。
恐怖の匂いを嗅ぎつける。
それはハイエナじみた、弱った得物、弱者を狙う事に長けた嗅覚だ。

そして大人達が子供や、同胞と呼んでもいい程この里に良くしてくれた外部のミレー族の娘を守る為「絶対此処から出るな、声をあげるな」と忠告したうえで押し込んだ地下の食糧庫のある家屋の先程の銃撃で蜂の巣となった扉を乱暴に蹴り破る。

扉を隠す為に籠等で隠されてはいるが、元々食糧庫だ。
隠す為に設置された設備ではない。

また、この手の略奪、襲撃に慣れた山賊の長にしてみれば隠し場所などおおよそ見当がつく。

なのにわざと気づいていない、疑っているが確信していない風を装ってそこらの家具や機材を大きな音を立てて脅かす為に蹴り飛ばし、銃身で殴り飛ばしと荒らしていきながら出てこいと声をかける。

もちろんそれで出てくるとは思っていない。

暫くしてから気付かなかったふりをし、どかどか足音を立てて扉から出ていくように遠ざけ。その後、足音を殺して食糧庫につながる扉へ。

「――みぃつけた。大人の言う事を聞かない悪い餓鬼共にお仕置きしにきたぜぇ?」

扉を開けた先にいるのは彼女や子供達が待っていた親や里の数少ない自警団などではない。

気味の悪い赤い瞳を爛々と加虐に輝かせ、舌をだらりと垂らし、銃身を肩にとんとんと担ぎながら震える子供達やみすぼらしい長衣を着ているこの中では一番年長者と思われる相手を愉快そうに見渡し。

フィオーレ >  ──……聞こえていた?

 まさか。本当に、小さな声、いや息の音だったというのに。
 まるで嘯くように、謡うように、論うように宣う声は、食糧庫で身を潜める子供たちと少女には悪魔の声にも似て、息を詰め、身を戦慄かせながら、その声と足音が遠ざかるのを待つしかなかった。
 
 だいじょうぶ、だいじょうぶ、だから。

 そう口唇の動きで子供たちをなだめる。
 何が大丈夫なのか、などそう口にする少女自身にもわかっていない。
 外に惨劇を巻き起こした存在が、どのようなものたちなのかも、外の状況も。

 ほんのすぐ頭の真上を荒らす暴虐の気配。
 置いてあった荷物が荒らされ、床を踏み抜かんとするような重い足音。
 必死で抱きしめて、泣かないように、声を出さないようにと慰めて、息をつめて、通り過ぎてほしいと願うばかり。
 それは自身の身の無事だけではなく、子供たちの無事も願ってのこと。
 
 暗闇で、埃と保存食の匂いに満ちた狭い地下にて、身を寄せ合う。
 すぐ頭上の足音が、消えていく、遠ざかっていく気配──

「──…………」

 唇が、ぱくぱくと動く。安堵の息が漏れそうになり、先ほど、襲撃者が僅かな声を聴き拾ったことを思い出し、懸命に抑えた。
 通り過ぎてくれた──

 躰から力が抜けそうな安堵は、しかし一瞬のこと──

「……………ぁ」

 頭上の押し上げ扉が不意に開かれた。
 慌てて振り返れば、そこには知らぬ男の姿。里の者ではない。それだけは確か。

 その眼を見て怯え、火が点いたように泣き出す子供たちを背に庇う。

「……お、御願い。です。 やめて……この子たちは、見逃してください…。乱暴なこと、しないで」

 掠れた細い声で、そう言い募る。
 お願い、とこの場を支配するのだろう襲撃者の頭目へと懇願の視線を向けた。
 

アヴァール > あひゃひゃひゃッ!あーあ、くッッッそ、五月蠅ェぞ餓鬼共!ぴぃぴぃ鳴きやがって、てめえらの親父みてえにケチャップにしてやろうか、あァ!?母ちゃんのほうは今頃見てくれが綺麗だったら今頃てめえらの新しい人間か魔物かわからねえが兄弟孕んでいる頃かもしんねえどなぁ?ひひひ。」

一瞬の期待、希望。
それが与えられた偽りであってもそれを知る由がない弱者達が己を見て、とうとう我慢ができなくなって堪えていた分火が点いたように泣き喚きだせば弱者を甚振る事に快感を得る、かつて自身が弱者の側で最底辺だったからこその反動たる悪癖から心底愉快だと下品に嘲笑い、子供達をより嚇すべく大声をあげて恫喝。

子供達にはいまいち理解ができないであろうが、この場において子供達を落ち着かせ宥める役割を担っていた相手ならば意味が分かるであろう。
扉を開けた事で埃と薄闇の地下に入り込んでくる硝煙、耳を塞ぎたくなる声。
それは朝、相手がほのぼのとした当たり前のように明日も来ると思った日常の風景が蹂躙された事、もう二度と訪れないのだという事実を否応なしに残酷に突き付けてくる。

げらげらと、何の罪も犯しておらず、ただ日々を平穏に過ごしていただけでそれ以上を望まず慎ましく暮らしていたミレー族の里を襲撃し、一方的都合で奪い去っておきながら全く悪びれる事なく腹を抱えて嗤う男に道徳など通用しない。

しかし、相手がもう聞き飽きた懇願の言葉を弱弱しくも、自分もおびえていながらも子供達を守る為に発したのを聞けばぎょろりと赤い瞳を向け値踏みするようにじっとりと、長衣の下にある雌の肢体や薄闇に隠れているが整った面貌を見ればにたぁと口を厭らしく笑みに歪め。

「そうかそうか。普通ならそんなの聞く理由がないんだけどなぁ、運がいいぜぇ嬢ちゃん?俺様はなぁ、この里を襲った山賊の頭領だ。このアヴァール様だ。俺が一番偉いんだ、一番強いんだ、何をするにも何を決めるにも俺様の気分が最優先だ。わかるか?馬鹿な家畜のミレーちゃんでもわかるよなぁ?俺様の機嫌一つでどうとでもできるってこった。餓鬼だけじゃねえ、もし俺様が気に入れば、なんならいますぐこの里から撤退してやってもいい。これ以上奪ったりもしねえ。……でもなぁ、そうするには、タダな訳がねえ。そんな甘い世の中じゃねえもんな?おい。おら、こっちに来な。答え合わせの時間だぜぇ?さあ、どうすりゃいいのか、体張って教えてくれよ。」

弱者側だったからこそ、成り上がり、権力や実力にこだわる。
自分の圧倒的優位性に酔う。
もし本当に強者なら、借り物ではなく自分の力で磨いたものなら自然と違ってくるのだが与えられた力に過ぎず、精神面の歪みは増す一方。

自分の力、地位を誇示するように親指で自分を指差してから、健気にも子供達を守るべく、耳にタコができる程聞いてきた命乞いを逆手に取り一目では分からなかったが相当な逸材とじっくり視姦した今なら分かる相手に自らの意思でこの下衆の雌奴隷となれと告げる。
具体的に言わずとも、外から聞こえる悲痛な嬌声や水音、凌辱の気配から意味を理解できるだろう。
もし断れば、子供達の命はない。
息を吸うように子供だからと容赦せず引き金を引くのも躊躇わない残虐性、狂気が此処にある。

相手がどうするか試すように厭らしい笑みをにたにた張り付けながら、子供達の前で子供達を守る為その身を売り渡す覚悟があるかを試して。

ご案内:「ミレーの隠れ里」からフィオーレさんが去りました。
ご案内:「ミレーの隠れ里」からアヴァールさんが去りました。