2019/01/23 のログ
■リクィス > 長生き、長生きを私はする。それで、何回曲がり角を曲がる?分かれ道を歩く?
考えると果てがなくって、正直めんどくさい!
だから、うん。そうそう。エルフの大人がいうんだから、ゆっくり考えよう。
私のオヤジは、日向と日陰に苦悩して生きてたって、独り言のようにいってた。
日陰に、影に、暗いところにいってしまいたいのに、けれどそれはいけないんだって、それは人間じゃないからって。
オフクロはそういうところに惚れたんだって。
『闇に浸りながら、太陽に手を伸ばす、善なる人間性がたまらなく愛おしい』
そういっていた、と。
まだ、正直わからねえ。あの腐れ王都にいて、あたしはそれができんのかねえ。
オヤジは殺されて、それを助けなかったオフクロが気に入らなくて会ってないから
親の言葉ってのが聞けないけど。
苦笑。自信がねーのか。
大丈夫だろって、無責任に思う。
確かに強いやつはいっぱいいるから不安にはなるだろうけど
里一つ潰すのに英雄を何人も動員……するまでの、普通の軍隊の派兵が何回いるか。
割に合わねーんじゃないかなあ……?のんきなのかな?
「中の人はみんなミレーの奴らなんだ?
……そりゃ、普通の給仕として暮らしてるやつもいっぱいいるけどな……
酷いことされてるやついっぱいいるじゃねえか!!
あたしゃそんなのの手助けなんか絶対にしねえ!!」
頭に浮かぶのは、あの日、生まれた村が潰された時。
女にのしかかる男と、悲鳴だ。
■レイカ > 「…………?…そうか、それなら安心だ…。」
随分と怒気が強い宣言だった。
何か、トラウマに触れることでもあったのか…それともそれを本気で嫌悪しているのか。
少なくとも、その宣言に嘘偽りなんて全く感じなかった。
私は、だからだろう……ふっと、笑みをこぼしてしまった。
闇の精霊の血を引いているのに、随分とまっすぐで、素直な子だ。
彼女の言う通り、割に合わないから見逃されているのかもしれない。
気を這って、ドリアードの要塞を作り上げたのは…きっと、無駄ではないのだろう。
いざとなれば、この首に巻いているドラゴンが、兵隊を燃やし尽くすことにもなる。
この里の守りは完璧…・・・なのだろうか。
どこか不安を覚えるものの、この里が平和なのは…いいことだ。
「…リクィス、何か食べるものはいるか?
もし何か必要なものがあるなら言ってくれ…私は奥の建物の中にいる。」
この子は、受け入れてもいい…そう思う。
何か必要なことがあったら、私を呼ぶといい。
そう言い残し、私は奥の…みんなで使って居る食堂へと、足を進めていった。
■リクィス > 「………………………」
自分の中から噴火した怒りを、自分でおさめるのに手間取る。
絶対にしねえ。絶対に、ただ暮らしてるだけのやつをひどい目にあわせるなんて。
あたしは絶対にしねえ。しねえ。しねえ……!!
だから、だからおちつけ。おちつけ……他の精霊が驚く。
あたしは怒りの精霊じゃねえんだ。おちつけ。
レイカの笑みがみえる。優しい笑みだ。
ああ。 うん。
ここは、優しい場所なのか。
そうか……。なら、いい。うん。落ち着いた。
「え。んん。パン1つと、水くれたら、それで。半分精霊だから、あんまり要らないんだ
……そっか、うん」
そうして歩いていくレイカへ、1つ我儘をいいたくなった。
「あー。えと。農耕用の牛馬とか、ペットの犬猫いない?
食べてる間一緒にいたいんだ。……好きなんだよ、動物」
まるで子供のように。いや、子供、なのだけれど。
最後に、1つだけ言った。
■レイカ > 怒りを抱いた彼女を、私は少し好意的にとらえていた。
確かに精霊たちの力は、私や人間たちが思っている以上に強い。
小さき神々、そんなふうに呼ばれている精霊たちも中に入る。
だから、その怒りは私は少しうれしく感じていた。
ミレー族のために怒ってくれる彼女が、そしてその精霊を連れてきてくれたことが。
私は…なんだか、この世界も捨てたものではないと、そう思う。
そして、彼女のわがままに、少しだけ笑いそうになってしまった。
ああ、なるほど…この子はやはり、子供なのだろう。
「……あそこ、酒蔵になっているんだけど、その裏でこの里の子供たちが傷ついた、森の小動物たちを私に黙って飼っているよ。
…私に教えてもらったことを黙っていてくれるなら、子供たちに一言言って…触らせてもらったどうかな?」
後で、パンと水を運んでくる。
私は笑みを浮かべながら…子供たちが黙って飼っている、小動物のことを教えた。
狩人のせいで傷つく動物は後を絶たない。
それ自身は別にいい、食べるためには仕方のないことだから。
だけど、そのとばっちりで傷つけられる動物もいる。
それを、子供たちが人って来るのだ、私に黙って…。
■リクィス > 怒りがおさまるのは、不思議と、自分ではなくレイカというエルフの無言の顔からだった。
あたしが未熟なのか、レイカがすごいのか。よく解らないけれど。
ミレー族を、ああさせまいとするレイカは、すごいと思った。
こんな砦みたいな、ただの砦なんか比較にならない場所を作ることが、どれだけ大変だったか。
いい大人って、案外といるものなんだなあ。
「そっか……人に慣れてる子なら、大好きだ」
これが聞き入れてもらえて本当によかった。最近、ぎゅってしてないから。
野生で、生きると死ぬが同じな動物たちは
縄張り争いや狩猟によって命を落とすことは仕方ないと、言い聞かせている。
それでも、その子達が人と共にあるようなら、別だ。
家族だ、それは。
「ん。だいじょーぶ。秘密にする。……よそもんに仲良くしてくれっかな……」
王都だって、いい人はいる。けど、いいところじゃない。
でも、ここは……。
禁猟区ってかんじだ。他所の国の言葉で、さんくちゅあり、だっけ――
■レイカ > 「大丈夫だよ、皆が手なずけたせいか…ずいぶんとなつっこくなっているんだ。」
傷に触らない程度にならば、触らせてくれるだろう。
よそ者かどうかは、においですぐにわかるだろうが…私と話をしたということを理解すれば、きっと大丈夫だ。
私は食堂へ向かいながら、後ろ向きに彼女を見ていた。
精霊と人間との間に生まれた子供、それが闇の精霊との…。
なぜだろう、無亜騒ぎがするような案件のはずなのに…どこか、心が落ち着く。
きっと、彼女のその素直な性格のせいだろうと…私は思う。
できるならば、その心が決しておれぬように育つことを…願うばかりだった。
食堂で、パンと水を用意しながら…。
ご案内:「ミレーの隠れ里」からレイカさんが去りました。
ご案内:「ミレーの隠れ里」からリクィスさんが去りました。