2017/07/16 のログ
火棘 > 「主、一人でか?」

自分の気配に気づき外にでてきたのは彼女一人のようで、
警戒してるような兵は見えていなかった
壁の上のほうを視線を向けても人影もないようで

「…主よ、
 今夜はここで寝てもいいか?…外でいい」

組んでいた腕を解いて首の後ろにかかる、結い上げてる髪を手で流し
手遊びのようにしながら
何度か指で梳いたあと、体を伸ばすような仕草のあと
土煙とともに姿をかえる

ヒトのサイズからしたら巨木のような長い胴体をうねらせ
紅色の鱗の竜の姿へと戻し
顔は口を開けばヒトなど一呑みにできるくらい

彼女の正面に首を持ち上げたまま、防壁の中も覗ける
小さな集落のようだった、これを守りたいのかと…彼女の言葉が真実であることもわかる

首を地面につかせるほど下げて、長い胴体が尻尾と共に壁の外を沿うように囲って
顔は入口のほうに、尻尾の先が反対側から少し覗く程度に
 

レイカ > 「え、いえ……今は一人ですけど…。」

この里を護ってくれている人は、ほかにもいる。
だが、その人たちは今は遠征に出ているので、結局はここを一人で護っていると言っても、過言じゃない。

ここで寝てもいいか、という問い。
もちろん別に、否はないけれども…何を言っているのだろうと、少しだけ考えてしまった。

「え、寝ても……って…。」

寝るための準備だろうか、髪を下ろし何度か梳いている仕草。
人間でも、私でもたまにするしぐさだし、別に違和感はなかった。
しかし、その違和感が突如として、また私に驚かせる。

見た目的には、ただの人間であった。
ドラゴン種と言っても、ヒト型である以上そこまで人間と大差ないのは間違いなかった。
だが、その人の姿が――変わった。

「あ………ああ……!」

ドラゴン―――その要旨は、まさにその一言だった。
しかし、私の知っているドラゴンとは少し違う。
二足歩行で、巨体を持ち翼が生えているドラゴンではなく、シェンヤンなどで神格化されている『龍』であった。

その龍が、里をぐるりと囲うようにして、体を横たえさせる。
何をしている野かと問う前に、その顔が再び入り口に。
まるで、里を囲うように―――?

「……あ、あの!な、何をしているんですか?」

この里の現状を見て…護ろうとしている?
まさか、そんなことはないはずだ…と、私は言い切れない。
何しろ、私には変わり者の友達がいるのだから。

火棘 > 「明日の朝にでも、果物を少しわけてくれまいか…」

ヒトの姿ならば、量も少なくて腹持ちができる
今は空腹でないけど

若い自分の体で囲えるほどだから、大きくもない集落というのはわかる
寝床探し、ヒトの足でまだ歩くのも疲れたし…
この集落に入り込むとなるとお互いに気を遣うだろう

「今夜の寝床として場所を借りる礼じゃ…
 防壁の代わりにくらいなってやれる」

ヒトの姿で歩くだけでも、森の獣はその気配に遠のいてしまうほどだから
赤紅茶色の鱗とたてがみのある体
普通にしていれば、その体に炎のような熱をもつこともない
調整できているし周囲の木々へも影響はないはずで

レイカ > 「く、果物………?」

わからない、私の頭はひどく混乱していた。
まさか、ドラゴンがこの里に来るなんて思ってもみなかったというのはある。
だが、そのドラゴンがまさか、防壁変わりだと言ってこの里を…。
まるで、護ってくれるように囲ってくれるとは、思わなかった。

もちろん、まだ防壁のできていない南側や東側。
そこからのぞく、この巨大な蛇のような体は、中にいるミレー族を驚かせる。
何事か、と入口から何人かのミレー族が飛び出してくるが、その巨体を見るや否や、驚きで目を見開き、その場に固まる。

「……………皆さん、中に戻っていてください。
大丈夫、このドラゴンは敵じゃありません…。」

いや、敵でないどころか……このドラゴンが。
もしも、このドラゴンがこの里に住み着き、里の防衛をしてくれるなら。
私の頭に、ふとそんな考えがよぎった。

防壁なんて目じゃない、結界なんかもかなわないような、最強の防壁で、警備。
もしも、もしもそれが……手に入るのだとしたら?
私は生唾を飲み込み…一歩前に出て、交渉することにした。

「あの…ドラゴンさん。…お名前を聞かせてもらっても?
あ、私はレイカ…今はそう名乗っています。」

火棘 > 「この姿で食べたら…量が大変であろう?
 ヒトの姿でなら少しで済む」

目の前の彼女と話をしていると、
中から今の姿に対して、小さいのが出てくる

驚かせてしまったか、と今更気づくけど
もう仕方ない、彼女が声をかけてくれるのをききながら

目だけを向けて言葉はかけない、見てるだけ
やがて落ち着いた様子に
彼女に視線を戻し

「私か、火棘という、ここより遥か東の国より、ヒトの世を知るために
 この地にきたとこだ」

レイカ > 「ま、まあ確かに……。」

この姿だと、いったいどのくらい食べるのだろうか…。
もしかしたら、この里にある食料すべてをつぎ込んでも足りないのではないだろうか・
いや、むしろこの姿でもちゃんと声が聞こえるのが少し不思議だった。

里から出てくる皆は、大丈夫だといえばすぐに里の中へと戻っていった。
どうも……この里だと私が神格化されているようで、少し恥ずかしかった。

「カキョウ……さんですか。
あの…寝床を探しているということは、もしかして…根無し草、なんですか?」

この里に住み着いてもらうためには、ここがいいところだと知ってもらう必要がある。
さて、どうしたものかと少し考える…。
どうやって、この里をアピールしようかと…。

火棘 > 「根無し草…どうだろう、いくつかの寝床は見つけているが
 ……同じとこは飽きるしな…街はウルサイし」

王都に部屋を借りる金銭に困ってるわけではないけど
ウルサイのは嫌いだとばかりに
王都へは好んで過ごしていない

自然と郊外で静かで森の中という風になっていたことと
もう1人の竜種との話に共感したから、いくつかの寝床をもつようになってて

「レイカは、この者たちの長なのか?」

言葉に従い、出てきたものは戻っていく様子に、そんな問いかけを
あと、思い出したように…

「そうだ、寝ている私を起こさぬように……」

寝ぼけて焦げても知らないぞと…無意識のことは事故だと
先に注意を促して

レイカ > 「そ、そうですか……。
でも、住めば都、という言葉がありますしもしかしたら、長居してみたら案外落ち着くかも、ですよ?」

いくつもの寝床を持っているのは、さすがというべきだろうか。
しかし、飽きっぽい性格というのはさすがに、この場所にとどめておくのは難しい、かもしれない。
しかし、ドラゴンと知り合いという、最高のコネを手に入れられるのはやはり大きいかもしれない。
このコネは…大事にしておかないと。

「長……というよりも、ここの人たちが私を慕ってくれている、といったほうがいいかもしれません。」

昔話を、私はカキョウに聞かせた。
昔、私が騎士であった時に、虐待されているミレー族を見て、何もできなかったこと。
それが悔しく、貴族のあの卑しい笑いを見続け、反抗すれば私はひどい拷問を受けた。
そのせいで、私は一度ノイローゼになり、騎士を逃げるようにやめた。

その後、王都の貧民地区のさらに奥…廃墟地区というところで、私はミレー族を匿っていた。
そして…そのミレー族たちを引き連れて、この場所にやってきたこと。

「え?……ああ、それはもちろんです。
ゆっくり眠ってください、明日の朝にでも、食べ物を届けます。」

果物でいいのだろうか、ドラゴンは肉食と聞くのだが。

火棘 > 「長居か…考えてみよう…だが私が居ると、獣も寄り付かなくなるぞ
 獲物を探しに遠くまでいかねばなるまい?」

ずっとはいないほうがいいのかもしれない
夜だけとか…なら?と考えながら

彼女の話を聞いている、目を細めながらその姿を見つめ

「苦労をしてきたのだな…
 レイカは、優しいことはわかった
 私ならば…貴族など焼き殺してたであろうな」

ヒトくらいだろう、不必要な殺しをするのは
どれだけか獣のほうが賢い…自分の食べる分しか命は奪わないのだから
話を聞いてて感心しながら…首をもちあげて前足のとこの鱗を1枚
噛み付いては引っこ抜く、けっこうかなり痛かった…けどすぐに治るだろうと

また首を地面におろし、両手で抱えるくらいの赤透明な鱗を彼女に差し出して
腕に抱えると、見た目よりも、かなり軽いもので

「それで笛でも作れ、必要なとき呼べばココに戻ってこよう」

目を閉じながら、わからないだとうけど楽しげに笑うように、
彼女の話を聞いて…力を貸すという証とするように

「もう眠る…レイカも戻り、休むといい…」

目を閉じたまま、竜は静かに眠りにはいってく

レイカ > 「大丈夫ですよ、昼間のうちに狩りに行っている人もいますし。
それに…里の中に畑もありますからね。」

自給自足で生活で生活できるように、皆で力を合わせて作ったものだ。
この里は小さい、だが団結力はおそらくどの里にも負けない自信がある。

苦労話を聞かせるのは、私はあまり好きじゃなかった。
だが、このドラドンに私の身の上話を利かせることで、何か感じられるものがあれば。
そんなことを想っていると、ふいに不穏な言葉が聞こえてくる。

昔の私なら、きっとあまり不穏なことは…と、言うところだろう。
だが、今の私ならば同じことを想う。
貴族など……殺してしまえばいい、と。

不意に、竜が前足の鱗を引きはがす。
逆鱗、ではなさそうだけれども、少し痛そうな音がする。
さすがに、竜を治せるような薬はないだろう…が、人間の時に何かしら傷があれば、薬くらいはある。

「笛を……ですか?
ありがとうございます、明日にでも作りますね!」

とてもきれいな鱗だった。
これで笛を作れば、おそらく龍の角笛によく似たことができるのだろう…。
眠るといい、目を閉じた竜に頭を下げ、私もまた里の中へ。

とても大きな戦力を得ることができた。
ドラゴン…それが後ろ盾にいるとわかれば、きっと人間たちも恐れて近寄らないことだろう。
もはや、この里に来る今日は一切ない……。

やっと、この場所が安全になったのだ。
それを想うと、今日はいい夢が見られる。
そんなことを想いながら、私は自宅でベッドの中に入った。

ご案内:「ミレーの隠れ里」から火棘さんが去りました。
ご案内:「ミレーの隠れ里」からレイカさんが去りました。