2020/06/06 のログ
■ホアジャオ > 縄が手ごたえなく空を切るのを感じれば、その身に引きずる重みを残すそれから手を放す。
放り出されたそれはばしん!と近くの樹の幹に当たって森にらしからぬ音が響く。
縄を掠めさせたのは腰よりも少し低い位置―――それと、相手が地面を踏み切った音。
上、と思うのと次の一歩で蹴って飛ぶのは同時。
煙を突き破って開けた視界に見た相手は、今にも踵を打ち下ろさん、とするところで――ー
「!!ッのォ!」
細い目を軽く見開きはしたが目を逸らしたりはしない。
空を切る男の脚の一撃は、すんでのところで首を逸らして――――女の肩に、重く。
みし、とまた軋む音が耳朶に響く。
紅い唇は一瞬への字に曲がって―――
次には、また三日月に戻って
「――――ッつ、かまえたァ!」
打ち下ろされた男の脚をがしと掴む。
そのまま地面に背中から落ちた、次の瞬間に
足を振り上げる勢いで以て脚を掴んだままの相手をひっくり返して、背面からのしかかって足を捻り上げてやろうと―――
勢い付けるとはいえ女の軽い体重だ。男が踏ん張れば、叶わないかもしれないが
果たして
■芒槌 > 捕らえたのは頭蓋ではなく、肩だった。
それでも振り下ろし、踵を落とし切って鎖骨を外し或いは脆いなら砕く事さえ目論む一撃。
それもまた、彼女の鍛錬の賜か、叶うことなく。意識を刈り取る事も、苦痛で戦闘不能に追い込むことも出来ず。
中途半端に打撃を与えた相手は――笑って、いる?
「この――剛女。」
諦めた様な、観念の溜息と笑み。だが、最後まで足掻いた。
脚を掴まれた時には必死に身を捩る。だが、もとより足を振り下ろす方に力を入れていたのだ。
単純な膂力では相手の方が上回っている。だから密着されない様に距離を保ち、近寄る際の交差する刹那に賭けたのだ。
地面にひっくり返され、背面から圧し掛かられる。流れるような動きで、其の儘足を捻られ、激痛が走れば魔法に必要な集中力も途切れてしまう。
「待て、待テ。参っタ。お前の、勝ちダ。」
タップする、という作法は知らない。言葉で告げるだけの敗北宣言。
もっとも、先程足を捕らえた時の最後の自分の抵抗に比較して随分おとなしくなった程度の抵抗しか無い。
痛みのために言葉の端々に途切れる、息を呑む音が混ざる。
純粋に相手の力と、場慣れしている分の有利。それと技巧の勝利だった。
「何なんダ、お前――。いきなり、飛び掛かってきやがっテ。」
■ホアジャオ > まんまと上手くひっくり返すと、ほくほく顔で男の脚を捻り上げる。
さっき踵が落ちた肩はずきずきするし、さっき縄を当てた腕もじんじんするけれどもお構いなしだ。
「太好了(やったね)!アタシの勝ちね。
―――ン?だってアンタ、砦から来たンでしょ?
アタシ向こうから来た奴は全員ぶちのめしていいって言われてンだ」
割合呑気に受け答えをしながら、女はどこに持っていたのか皮帯を取り出すと、男の両脚をふんじばりに掛かる。
「何かよく知んないケド、砦の奴らを減らしたいンだってサ――…
手、出して」
男の背中に乗ったまま、脚首をぐるぐるのぎゅっと縛り上げると
背中の方に腕を回せ、とばかりに男の腰の辺りを叩く。
――――にこにこと、それはそれは楽しそうに。
「ま、喧嘩楽しかったから引き渡すときにはよろしく言っとくよ!」
なんて、よろしく言った所で女に何の権限も無いのだが
とにかく無責任に請け負って―――男が素直に腕を後ろへまわすのなら、そのま両手両足縛られたまま
女に担ぎ上げられて、連行される羽目になるんだろう…
■芒槌 > 「一寸待テ。お前、王国側のイテテテ!」
相手の答えを聞いて、同じ陣営で何してるんだと毒づく。
捻りあげられた脚から、ぶち、という音が響かないが見事に関節と腱を決められている。
動けない上に激痛が言葉を阻害してくる。痛みが引いた、放してくれたのか、と思えば革帯でしっかりと縛られてしまう。
ただ、まぁ。殺される心配はなさそうだ。殺されそうなら話は別だが、引き渡すという言葉がある以上少なくとも命の危険はないと言える。
相手の機嫌を損ない、更に傷を負ったりするよりは遥かにマシだ。
……まぁそれに。少なくとも負けたのは事実だ。勝者に権利がある。
だから大人しく背中の方に手を回す。手首を縛り易い様に、腰の上で交錯をさせていた。
「哈――。満月の夜を覚えておけよ。
痛タタタ!お前!縛り方雑!」
自分も一応依頼主はいる。引き渡された後で自分の身は保証されるだけマシである。
首だけを捻って後ろを見ると、それはそれは楽しそうな笑み。
……溜息。そして女ハ、これだから。口の中でつぶやいた。
「……引き渡しても多分、金はくれねェけどナ。
お前、名前ハ?強かった。」
■ホアジャオ > 縛りやすいように腕を回す様子に満足げに頷くと、こちらもきっちりと―――ぎっちりと縛り上げる。
関節はちょっと変な方向を向いているかもしれないけど、血は止まらない様に考慮はしてある。奇跡的に。
「何アンタ、オオカミ男かなンか?
……見世物小屋に売ったほうがよかった?」
男の口答えに軽口を返しながらけらっと笑う。
この頃になると流石にすこし間違えた相手をふんじばった気もしているが、乗り掛かった舟というか毒を食らわば皿までというかな気分で、縛るのを止めたりするつもりもない。
「お金よりも、アタシは喧嘩出来たらそれで良いかンね。
…まあ貰えるものは貰うケド。
アタシ、は『ホアジャオ』てえの。アンタは?」
縛り上げるとぱんぱん、と両手を払って。
男の背中から立ち上がると
「………」
縛った男を転がして、よっこいしょと
なんとなく、お姫様抱っこにしてみたり。
■芒槌 > 「……お前、縛り方上手いのか下手なのか判断、悩ム。」
痛い。
ハッキリ言えば関節は変な方向を向いているし、長時間こんな状態で放置されたら解放されても暫く関節に痛みが残りそう。
しかし、決定的な損傷を生む訳ではない。縛られた方が言うのもなんだが、サドが人を縛って拷問するときには効果的な縛り方と思えた。
「ア――。男は皆、狼だゼって習わなかったカ。
ったく、ホアジャオ、か。『ススキヅチ』。って、オイ。」
御姫様抱っこにされた。男女逆だが、それ以上に自分の一撃を受けてこの体勢が取れる相手のタフネスと力強さは舌を巻く。
御姫様抱っこにされると胸が触れたりでやばそうなので、なるべく腰を落とし気味に。
顔が胸に触れたりすればよろしくない事態を招く。自分にとって。
「月の力が満ちればもうちょい、マシな喧嘩が出来るからナ。
もっともぉ?俺が勝っていたらホアジャオの身ぐるみを剥いでたけどナ。」
本当かは判らない。と言うか喧嘩は好きだが勝った後毎回何を奪うか悩む。
月が満ちれば魔力に富むが獣性も増す、そういう頃には余り顔を合わせたくはない相手の笑顔だった。
「そっとナ!そっと!逃げねぇかラ!」
上下に揺れると縛られた関節が悲鳴を上げるが、それ以上の危険は目の前にある。
柔らかく盛り上がっている程度でも、丘陵は丘陵だ。目を閉じて目に入らない様にして――。
引き渡されるまでの間は大人しく運ばれていくのだろう。
第1ラウンド。…三日月の下ではホアジャオの勝利で幕を落とした。
■ホアジャオ > 腕は痛むが、肩に担ぐよりはいざという時に(相手に向かって)放り出しやすい。
お姫様抱っこで慌てる相手が何を気にしているのか知らないが、兎に角その様子が可笑しくてまたけらっと笑う。
「ヘ―エ?じゃァ、今度は満月のときにでも喧嘩付き合ってよ!
エート、『ススキ』とかでもいい?
今度アタシが勝ったら…頭の毛は毟れないから……なンかどっか、毟ってあげるから」
ほくほく顔で男を抱っこして森の中を行く。
引き渡したところで相手にはあきれた顔をされるんだろうが―――
果たして、女が望むように第二ラウンドはあるのか
先の事はきっと、月だけが知る、のかもしれない。
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」からホアジャオさんが去りました。
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」から芒槌さんが去りました。
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」にゼロさんが現れました。
■ゼロ > アスピダの外周部、王国軍とアスピダの『騎士団』の戦場、今は血で血を洗う戦場となっていた。その衝突の元は何だったのか、それは今戦場で戦うものには判らぬ。
ただ、今この場は戦場であり、目の前にいる『騎士』は敵であり、敵であればそれを倒す―――そんな状況であった。
兵士であるゼロにも、当然のごとく出撃の命令が下り、鉄の槍を片手に兵士は参陣し、『騎士』と戦うのである。
薙ぎ払い、貫き、打ち払い、打倒し―――伽藍洞の鎧である――それは、魔族とも、アンデッドとも言える『騎士』対魔師団の面目躍如と言わんばかりに少年は暴れる。
高速で接近し、鎧の胎の部分を蹴り飛ばし、踏鞴を踏む『騎士』に槍の、短刀の一撃を繰り出して沈黙させる。
少年が撃破した鎧はどれも、割かれて鎧としての形を捨ててしまったような――無残な残骸となり果てる。
稀に『中身』がいるがそれを気にすることも無く、兵士は残骸へと、肉片へと変えていくのだ。
『敵』は『敵』でしかないのだから、容赦もする必要はあるまい、それを考えるのは、将軍や軍師、貴族などだ。
殺せと言われているから殺す、殺すなと言われたなら殺さない、シンプルな命令系統に従い、少年は、槍を、短刀を振り、蹂躙していく。
―――しばらくもすれば小競り合いも終わるだろう、その時までの間、少年は、ただただ、暴虐の嵐となるのだ。
■ゼロ > 小競り合いは唐突に始まり、唐突に終わるものである。
戦場となった其処は、今回は王国軍の勝利として終わるのだろう、しかし、相手が潰走した後にも、仕事自体は残る。
負傷者の救護、陣形の立て直し……陣地の再構築など、多岐にわたる雑務。
それらは、白魔導士隊が回復を陣地の立て直しは工作兵などが行う、少年としては、とりあえず傷ついた仲間を連れて陣地に戻ったり。
あとは、背後からの奇襲などがないだろうかという警戒のために、戦場に戻る。
「―――。」
白い仮面をかぶった少年は第七師団の腕章を嵌めて、王国の軍の仲間に仲間だと伝えながら、歩き回る。
警戒と、捜索などを行うため。
今は、軍だけではなく、冒険者などもここにきているのだ、だからこそ、王国の兵士は人よりも働かねばなるまい。
本来は守るべき民―――冒険者に手伝ってもらっているという状況なのだから。
だからこそ、夜の闇の中を、蒼い鎧の少年は、負傷者を不審者を求め、歩き回る。
■ゼロ > 一人、けが人を見つけては陣地に連れて帰り、一人、手遅れなものを見つければ介錯をし、一人、怪しいものを見つければ、叩きつぶす。
その姿はまるで、王国軍に所属する『騎士』のような存在にも見えるだろう、そのことに関して少年は特に感慨を持たず、ただ、ただ、ゴーレムの様に、人を助け、介錯し、叩きつぶすのだ。
人の目を気にしたことはなく、人の意見を気にしたことも無い、戦場では―――兵士は駒となり、動く存在なのだから。
しばらく進み、ある程度落ち着いてくる、陣地構築のめども立ち、白魔術師たちの回復作業も終わってくる。
後は、夜襲の警戒などが主な作業となってくるだろう。
だからこそ、少年は陣地のほうに戻り、夜番へと、立候補する。
夜は少年の時間である、その仮面の力が、鎧の色が一番効果的に使える時になる。
だから、少年は、アスピダをにらむ陣地の一番手前で、簡易的に作られた物見やぐらの上に立ち、アスピダの方を見据える。
何か動きがないのか、見落としがないのか、じっと静かに。