2020/06/07 のログ
ゼロ > その夜は、少年は一晩中夜番として、陣地の外で警戒を続けていた。
朝になり、交代が来たところで少年は、再度アスピダの方へとむけて進むことにする。
単独で内部の調査をするために、少しでも、有益な情報を得るために。

少年の姿は、また、アスピダの中へと消えていく。

ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」からゼロさんが去りました。
ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」にゼロさんが現れました。
ゼロ > 城塞都市アスピダ内部に、兵士の少年は潜んでいる、鎧を身に着け、白い仮面の存在は、溶け込んでいると言える、理由は『騎士』の存在と、血の旅団と、暁天騎士団存在の乖離ともいえる。
連絡が密に交わされて、兵士の存在を周知しているならば今頃はもっと派手な逃走劇となっていただろうが、まず『騎士』は物言わぬ。自分を倒した存在、脅威度の高い存在、それを噂とはしない。
次に血の旅団の下っ端―――様々いるだろうが、こういう所で女を捕まえて腰を振っていたりする方に熱を上げる男のほうが多い、情報収集などよりも、目先の享楽に耽る男女、そして、それに虐げられているミレー族。
彼らが前線に出ていれば、見ることもあるだろう、生き延びられていればの話、それに、『騎士』が最前線を張るのであれば、彼らはさぼり、楽をするのだろう、故に、彼らは少年の姿を見ることはあまりない。見れるほどに近寄った時には、少年に斃されているだろう。
だから、血の団員の下っ端に見つかったとしても、少年が潜り込んだとしても、動きさえ気を付ければ『騎士』と勘違いされるだけだろう。
それを利用し、『騎士』から身を隠しつつ、少年はアスピダの中を歩き回るのだ。
何度でも、何度でも入り込み、少しずつ、少しずつ、地図を作り、救助するべき存在を探し、見つけるのだ。

人質に取られぬよう、とられたとしても最大限助けられるように。
仮面をつけた少年は、今日も、アスピダの中を、比較的に警備の薄い場所を、歩き、探る。

ゼロ > 無言で歩く少年の動きは規則的であり、だからこそ、『騎士』に似通っているのかもしれない、感情の薄く淡々と敵を破壊する兵士。
『騎士』との差は正直に言えば―――王国側か暁天騎士団側かの違いのみなのかもしれぬ、だからどうしたと言われれば、返答する詞はないのだが。
規則的に石畳を踏みしめ、少年は進んでいく、表通りを、裏通りを、作り上げている地図を確認するように、同じ動きをして道を回るのは一つの狙いもある。
『騎士』と勘違いされるならば、それこそ同じ場所を同じように動くことにすれば、ここを巡回している『騎士』と誤解されるだろう、それは少年にとっては得である。
疑いの目からそれるのであれば、動きやすくもなるのだから、少年は、淡々とアスピダの中を歩き進む。
今めぐる道は何度か使っているからこそ、判ることも多くなっている、そのうち一つに、この辺は重要なものがないという事だ。
打ち捨てられている家は、恐らくアスピダから脱出した人のものなのだろう、場所も場所―――外周近く何かあった際の被害が大きい場所。
それ故に、下っ端たちは寄ろうとしない、旨味がないからである、だから隠れるには適している、隠すにも、又。
あまり人が来ないという事はそういう事なのだろう、少年は一つ二つ先の路地で行われている嬌声を聞きながら、先を進む。
其処を進むと、荒れ果てている場所―――おそらく市場だったのだろう、今は壊れた屋台などが転がっているだけである。
品物もなく、『徴収』されたものだと思うのだ。視線をすぐにそこから外し、さらに先を。

ゼロ > 視線をそらして少年は先を見やる、夜のアスピダの中、家の中に明かりがなればここは真の闇といって良いほどに暗くなる、が、少年の仮面にはその闇は意味を持たず、闇を見通す。
動くことに不都合はないので、澱みなく、停滞無く、裏路地の中を進む、倒れている扉、破壊された壁―――様々なものが転がっている。
その奥の、家の中に視線を向ければ不快なものが見える、幸せだったものの―――残骸。
此処が襲撃されていたという事を再度兵士に認識させる、しかし、少年には憐憫も、敵意も、怒りもなく。

「――――。」

只の物体として、死体という名のモノとしての認識しか非ず、其処に向ける情もなかった。
だから少年はそこから視線を外す、少年の中にあるのはそこに危険がないという事程度、アンデッドになっていないという認識のみだった。
かつ、コツ、かつ、コツ、と石畳を踏みしめて、奥へ、奥へ。
目的は、この町の一番大事な場所―――暁天騎士団の団長クシフォスや、血の旅団の幹部のいる――――。

「っ!」

息を吐き出し、少年は後ろに飛び、闇の中へと身を隠す。
『騎士』がいたのだ、もう少しでその『騎士』の索敵範囲に入ってしまう所だった、入ればどうなるか――。
騎士は情を持たぬ、疑念を持たぬ、故に、一直線に襲い掛かってくるだろう、倒すことは不可能ではない。
しかし、一人騎士が動けば周囲が動き、周囲が動けば―――。
その程度理解できぬ少年ではないから、身を引き、索敵範囲から脱出した。

やはり、厳重過ぎて、寄ることもできなかったかと、確認だけして、踵を返す

ゼロ > 踵を返し、しばらく進んだ所。兵士は急に足を止めて、周囲を確認する。追手の気配はなく、周囲に敵性の意志の認識はない。
恐らく、見つかることなく動くことができたのだろうと認識し息を吐き出す。
問題がなければそれに越したことはないのだから、少年は視線を周囲に再度向けて今いる場所を認識することにする。
地図を作るのも少年の目的故に、周囲の場所の情報を把握するのは必要なことだ。
仮面の力はこういうときにも便利だ、周囲の地形、壁などをすり抜けて認識することができるから。
詳細な情報を得るのが楽なのだ。

―――あそこの本拠地は、魔法の守りがあるのか、見透かすことはできなかったが、それは今するべきことではない。

気を取り直して少年は―――兵士は。
ゆるりと歩き始めて、そのまま闇の中に溶けて消えていくのだった―――

ご案内:「◆城塞都市「アスピダ」(イベント開催中)」からゼロさんが去りました。