2022/02/11 のログ
シクラ > 「……ありがト、ございます?」
黒い髪を揺らしながら大柄な獣が首をかしげる。更に頭を低くするとドスっと鈍い感触で
獣は彼女の首筋に頭をぶつけ、首筋の匂いを嗅いだ。するとしきりに首をかしげながら
何処か混乱しているようにも見える何度も首をかしげる。
しかし、彼女の腹の底で思う事を本能的にくみ取っているのか、殺意とはまた違った意味で
その瞳が針のように細まる。

「ねご…?」

言葉が獣にとってはあまりにも細かすぎた為か、良くは伝わらなかったが
【持って帰ってもいい】という意思を感じたのか、獣は彼女を抱えると
跳躍に近い歩幅で猛烈に走り出し、馬車の残骸を蹴ると凄い高さまで飛びあがった。
それは自分のねぐらである洞窟の方へを向かっていた。

レフェーリア > たどたどしい言葉でありながらも、人の言葉が完全に通じない訳ではない事に安堵を浮かべる。
首筋の匂いを嗅がれるくすぐったさに目を細める間に、いつの間にか異常に硬い腕が自分の身体に絡み付いていると。

「あっ……!」

気が付くと身体が揺さぶられて猛烈な勢いで走っており、残骸を蹴った高さまで急に身体が持っていかれる。
一瞬山脈に生い茂った森一面を見る事が出来る程の高度に、獣避けに篝火を焚いて進んでいる馬車さえも見下ろす事が出来る程の高さ。
着地をすると、長い黒髪に絡まれる様になりながら、せめて落ちない様にと身体をぐっと寄り添わせて。
やがて馬車よりも早い内に、洞窟の中へと人影は消えて行く。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/街道途中」からレフェーリアさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/街道途中」からシクラさんが去りました。