2019/03/19 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中 川辺」にヴィクトールさんが現れました。
ヴィクトール > 仕事を終え、一人帰り道を進む。
普段の格好の上に、ロングケープと言うにはずいぶんと粗雑に巻きつけられた外套を一つ羽織っていたが、降り注ぐ日差しに少し熱さを感じてくるようになった。
そろそろ春か…などと一人思いながら進むと、川辺に人影を見つける。
寒い季節なのに川遊びとは変わった娘だと、スカートを摘む後ろ姿を目を細めて凝視して、気づく。
自分の愛妾じゃないかと。

「風邪引くぞ? 水遊びにゃまだ早ぇよ」

クツクツと呆れた様に笑いながら河原の斜面をブーツで滑り、降りていくと、彼女のもとへと向かう。
水辺へと近づけば、しゃがみ込み、その水面へと掌を滑り込ませるが……やはり冷たい。
突き刺さるような冷気は無いが、水遊びには堪える冷たさがあり、冷たそうに息を吐き出しながら手を引っこ抜く。

マリナ > よく知った――というか、最も知っている人の声が聞こえて、火遊びでもしていた子供のようにビクッと肩を竦ませた。
恥ずかしい見られてしまった気がして、照れ隠しにはにかみながら川の水を確かめる彼を見る。
鍛えられた彼すら冷たく感じているのだから、足が痺れる冷たさを感じるのも当然か。
―――まぁ…自分のほうが脂肪はあると思うけれども…。

「ひなたぼっこには良い季節になってきたのに残念です。
 王都に行ったときにですね、水着を見かけたんです。
 水着は……肌の面積が大きいので恥ずかしいかなと思うんですけど、もうすぐ水遊びができる時期かと期待しましたのに。」

足元を見ながら、彼に近づこうとそろりそろり歩く。
苔の生えた石が折り重なるようにして足の裏を刺激し、油断すると転びそうな気配。
油断しなくたって運動神経ゼロの少女のこと、転ぶのは容易なのだけれど。
少しずつ近づきながら、思い出したように視線を上げた。

「言い忘れてました。おかえりなさい、ヴィクトール様。」

毎回、無事に帰ってきてくれることは嬉しい。安心する。
おかえりなさいと言える喜びを抱えながら、1歩1歩。やっぱり危なっかしい足取りで。

ヴィクトール > 悪戯中の子猫が飼い主に悟られたような、可愛らしい反応に悪人面を緩ませながら水気の付いた掌を払う。
体中が筋肉で出来ているような男なので、意外と寒さには弱く、動いていないと冷気が簡単に突き刺さるのだ。
その御蔭で動き回った時の熱を発散しやすい…というところだが、寒さに耐えるだけなら、柔らかい分に彼女のほうが上だろう。

「ひなたぼっこか……ほぉ、彼奴等気が早い……ってわけでもねぇか、水遊場もあるしな。マリナは体付きいいからな、エロいのもおとなしめのもイケるから絵になんな」

水着といわれれば、ニヤリと悪い笑顔を浮かべながら想像を働かす。
身体は小さいが、幼い割に女らしい発育はとても良いので、無難なビキニはもちろん、布地の張り具合で艶っぽさも出せるワンピースも、紐の浮き沈みの激しさで扇情的な厭らしいものも似合うだろう。
少しずつこちらへと歩んでくる様子に、大丈夫かなと思いながら様子をみていれば、視線が重なった瞬間にはてとよく分からなそうに小首をかしげた。

「――ははっ、そうだな。ただいまだ、マリナ。ちゃんと指もついてんぜ?」

約束の印を通す先も無事だと、クツクツとおかしそうに笑いながら両手を見せる。
無骨な節の大きな太い指は、宿のときと変わらず健在であり、それ以外のところにも怪我はない。
嬉しそうな様子にこちらも暖かな心地になるが、すっ転ばれたら大変だと今更に思い出す。
足元に注意な? と言うまでもないが促して、視線で水面を見るように促すと、幼子の帰還を待ちわびるように暖かに見守った。

マリナ > 「……ヴィクトール様、すごく悪い顔をなさっています。
 ヴィクトール様は水遊場に行ったことあるのですか?
 あそこは色んな人と一緒に泳ぐのでしょう?」

元々優男とは真逆にいる彼なので、面差しも自然とそんな印象があるけれど、
それにしたって悪いことを考えている表情は分かるようになった。
優しくも意地悪な彼は、たまに羞恥で死ぬのではないかと思うほど恥ずかしいことをしてくるので、指摘しておかねば。
もちろん、そんな彼が好きで本気で嫌がらない自分にも原因はあるのだけれど。

「他にお怪我も…してなさそうですね。良かった。
 ……ふふ~。では手を繋いで帰れますね」

とりあえず見えるところに傷は無く、それを確かめる間は少々真面目な顔もしてみたけれど、安堵すると途端に貌が綻んでくる。
指先絡めて、彼の温かさを感じながらの帰り道を思うと自然と。
それを楽しみに1歩ずつ進む少女の片手が、彼を求めるように伸ばされるけれど、その時点では全く届かない位置。
そうして甘えたからだろうか。彼のことばかり考えていたからだろうか。

「はぁ……い……――――っ???」

注意しろとの言葉に返事しながら――――足すべらせた。
すべる瞬間はともかく、少女のお尻を水面が受け止めたことで水飛沫が上がる。
それが水面に戻る頃、尻餅ついてびしょ濡れの少女が驚きに目をぱちくりさせている様子が現れるのだった。

ヴィクトール > 「そりゃあ、マリナのエロい姿やら、恥じらってる姿やらみれると思えばよぉ? あぁ、あるぜ。大体は集落の娘の付添だな、あいつらだけで行くと色々面倒だろ?」

ニマニマと分かりやすい企み笑みを見せながらも、指摘されても隠すこともない。
彼女が気づいている通り、普通の水着で遊ばせるのとは別にギリギリ隠すべきところを隠すマイクロビキニを着せて恥じらわせるのもよいし、幼いデザインのを着せて恥じらわせるのも一興かと厭らしい妄想の捗ること。
とはいえ、どちらをしたとしても、その愛らしさに年甲斐もなくがっついて、くたくたになるぐらい愛してしまうわけなのだが。

「そうそう俺に手傷負わせる奴ぁいねぇからなぁ。おぅ、なんなら抱っこして連れ帰ってもいいぜ?」

真面目な顔で手の様子を確かめていたが、それも子供っぽさを感じて笑みが溢れる。
城でのことが嘘のように、純粋で真っ白な気持ちでこちらに飛び込んでくる様子は、何時見ても可愛いもので表情が緩む。
とはいえ、そそっかしいところもあるので、足元注意させねばと思った矢先……派手な水しぶきが上がった。

「どわっ!? ――っはは、言われた矢先にコケるたぁな。まったく」

何が起きたか分からないというようすで、瞳を瞬かせる姿にクツクツとおかしそうに笑うと、コートを脱ぎ、ブーツと靴下を脱ぎ捨てる。
そのまま黒いズボンの裾をめくり上げ、畳むと膝下辺りまで太い素足を晒し、水の中へと踏み込んでいく。
冷てぇと低い悲鳴を上げつつ苦笑いを浮かべれば、ざぶざぶと水辺を突き進み、彼女のもとへ。
腰を落とし、両手を彼女の脇の下へと伸ばしていくと、届けばそのままひょいっと幼子を抱えあげるように持ち上げようとするだろう。
あとはそのまま、川辺へと急ぐのみだ。
日差しが暖かとは言え、素肌を濡らす水は冷たく外気もまだ肌寒い。
温室育ち姫君ならあっという間に風邪を引きそうだと、太い足は早く動きながらも、藻を削り落としながらガッチリと川底を踏みしめて歩いていった。

マリナ > 彼だけの前なら、たぶん、相当渋るだろうけれど何でも着るだろう。
けれども他の人の目がある場所となると、その渋る時間も着せる手間も何倍にもなるはずだ。
とはいえ彼だけでなく集落のみんなと遊べるのなら尚更行ってみたくなる。
それはもう少し暖かくなってから、おねだりすることになるのかもしれない。

そんな能天気で惚けたことを考えていたせいもあり、転んだ。
驚きすぎて、冷たさは遅れてやってくる。
けれどそれに震えるより早く抱え上げられた。
――その持ち上げられ方がなんというか、子供か猫かといった風なのが情けない。
濡れて重たくなったスカートの裾からはぽたぽたを通り越して、ぼたぼた水が滴り落ちた。

「石が、石が、ぬるぬるしてました……。つめたい……。」

下肢もしっかり鍛えられている彼の足取りは、自分と全然違った。
言い訳しては今頃感じる水の冷たさに体を緊張させるも、今日は良い天気。
川に入ったからいけないのであって、出れば冬服では熱ささえ感じる陽気なのが幸い。
着替えがあればもっと幸いだったのだけれど。

「ご…ごめんなさい、ヴィクトール様も濡れちゃう」

あわあわする一方で、自分の髪から滴る水が彼の頬を濡らしているのを見ると、きゅんともしてしまう乙女心。
これがずぶ濡れでなかったなら、ぎゅーっと抱きついていたに違いない。残念。

ヴィクトール > 発育のいい体付きの白肌の愛らしい少女が魅せる、艶姿。
それを一人で楽しむのは勿論だが、そんな可愛い娘を連れて水辺を歩くのも、周囲の視線にさらして恥らうのを楽しみたいのもある。
だが、男ならどうしても持ち合わせるであろう独占欲からくる自慢じみたもの。
大切なものを魅せつけたい、女性とは真逆に抱いてしまう欲望を満たすのは少々骨が折れそうだと、今は知る由もなく。

「うわっ、びっしょびしょだなこりゃ……」

ブラウスもスカートもたっぷりと水を吸ってしまい、上着はその下の肌を張り付いて晒してくれそうにすら見える。
これが風呂場での戯れなら魅入るところだが、今はそんな余裕が無いのが残念なこと。
困ったように眉をひそめて笑うと、子供っぽい言い訳と今更訪れた寒さに声が震えそうにすら聞こえる。
なだめるように額へ顔を寄せると、軽くキスをして少し我慢だと仕草で示しつつ陸地へと戻っていく。
時折、ガコンと岩が崩れる音がするも、上体はブレるだけで深く沈むことはない。
のしのしと一歩一歩踏みしめる度に、揺れる少女の金糸から垂れる水しぶきが頬を濡らす。

「大丈夫だ、こんぐらいどうってことねぇよ」

冬の雨ざらしでの戦に比べれば、可愛いもんだと思いつつ、陸地へ降り立つと、彼女を立たせるように降ろしていく。
そして……拭うのかと思いきや、何故か彼女の下腹部へ掌を這わせる。
以前、自分のモノだと印を入れた場所、子宮の真上へと掌を重ねていくと、じわりと悪寒の様に自身の魔力を注ぎ込んで術を展開していく。

「……乾け」

低く、静かに、そして魔力のこもった言葉は大人しいながら何かを従わせるような束縛めいた力を込めて吐き出され、金色がじっと碧眼を見つめる。
すると、言葉に従うように服に染み込んだ水気が夏日に翳された洗濯物が如く、見る見る間に水気を失っていく。
少女の指輪にも残滓として残された意志の魔法の力、それを行使していくと、数分もせずに尻もちを付く前の乾いた姿へ戻れるだろう。

マリナ > 「お世話かけます…」

なんて言いつつ、濡れた額に触れるくちびるの優しさに、申し訳無さより恋慕が勝ってくる悪い癖。
集落の誰よりも手がかかるだろう自分に愛想を尽かすことなく構ってくれる彼が、とても愛しい。
そのおかげでようやく降り立った地面は、少女の纏っていた水滴で濡れていった。
うっすらと透ける肌の色に、それより目立つピンクと思しき下着の色。
この状態で集落まで戻るのかと思うと途方に暮れてしまったけれど、下腹部に添えられた手に、不思議そうに彼を見た。
純粋に乾かそうとしてくれたのだけれど、それに気づかないうちは、少し恥ずかしそうにも。
その真意がようやく分かったのは、服が乾き始めたとき。
彼の魔力が注がれる感覚というのは独特で、温かく包み込まれるようなものとは逆。
まるで見たことのない戦場での彼を垣間見るかのように、背筋が寒くなる。

「…………あ……」

彼の瞳と重なり合っていた視線の先で、スカートの色が水を含む前に変わったのが分かる。
ブラウスも、髪も、肌も。何事も無かったかのように戻り、少女は感嘆の息を吐いた。
てっきり交わるときにしか意味を成さない紋だと思っていたので、彼の庇護には驚くばかり。

「ありがとうございます。 ……マリナのお腹から魔力が入ったのですか?」

ヴィクトール > 「気にすんなって、いつものこった」

温室育ち故に知らないことの多さやら、少々どんくさいところがあるところで手が掛かると、本人は思っているようだが、それでも興味や好奇心で動く幼さは可愛らしいという部分が勝る。
やるだろう、否、やるなと思っていたのもあったせいで、彼女が派手に水へダイブするのは想定内といったところか。
クツクツと笑いながら陸地に上がると、ブラウス越しに見えるピンクのブラのラインが、少々欲をそそるが今は我慢。
紋を通し、自身の術を通していけば、水気はあっという間に消えていく。

「大したこっちゃねぇって。そんなとこだな、その方がやりやしぃからよ。それと……」

紋には自身の支配という意味も含められている。
といっても自由を奪うというよりは、もっぱら少女に厭らしい悪戯や、今日のようなおドジを挽回するために使われるが。
言葉をつなげながら、白い左手の薬指、そこに嵌った約束の印へと手を伸ばす。
その表面をつぅっと撫でると、改めて碧眼を覗き込んでいった。

「コイツを使えば、少しぐらい同じ様な事もできるぜ? 例えば……」

どれぐらいならちょうどいいか、そう思いつつ自身の体を確かめる。
ちょうど袖がところどころ濡れているので、そこへ手が届くように膝立ちになって目線を合わせれば、ほれと両腕を差し出していく。

「濡れたところにふれて、乾けって想像しながら念じてみ? うまく行けば乾くぜ」

意志の魔法、それは相手の意志に作用する精神操作の力であったが、己が意志で対象を捻じ曲げるという力技へと発展させた。
水気が引いていき、乾いた布へなる想像、それを当たり前のことだと意志にして対象へ押し付ける、命じていく。
勿論、想像や意志に雑念が多ければ作用しづらいし、自己の意志が弱ければ、捻じ曲げるほどの力にならない。
いい子に見えて甘えん坊なわがままさんなところもあるので、意外と向いているかも知れないと思ったのは内緒だが、まずは様子見である。

マリナ > 触れられる指輪。
彼の魔力で造られたその効果は聞いたけれど、少女にとっては幸せの象徴の面が強い。
それを使って彼ではなく、自分が何か起こせるだなんて緊張してしまう。

「えぇっ……マリナがですか?できるかなぁ…。」

彼と集落のみんなのおかげで護身術であったり、魔法銃であったり、
戦闘能力ゼロからは抜け出した感があるけれど、せいぜい0.5くらいではなかろうか。
大人と子供のような身長差を気遣ってもらいながら、濡れている袖に両手で触れた。
自信は無いけれど、目を閉じ、言われた通りに念じていく。

「――――――…… かわいて、かわいて…」

普段、ぽや~んと気の抜けていることの多い眉が寄っていき、難しい顔になる。
表情は迫真ながら、雑念が邪魔をするのか、すんなりはいかない。
けれどせっかく彼がやってみろと言ってくれたのだし、そうできる指輪をプレゼントしてくれたのだから期待には応えたい。
しばらくの時間をかけて、かけて―――散漫になりがちな集中力が高まったとき、彼の袖が乾いていく。
自分とは違い、ずぶ濡れでないことも良かったのかもしれない。
完全に乾ききったかは分からないけれど、触れていた感触に変化を感じた少女は目を開けた。

「……あっ、かわ……いてます…?すごい、すごい!」

確認するように指先で袖を撫でながら、飛び跳ねんばかりに昂揚を見せた。

ヴィクトール > 「あぁ、こいつを通せばマリナだったできるぜ」

自分ほどの力を発揮するには難しいが、どれぐらい作用させられるかは彼女の意思次第。
秘書から時折聞いている護身術やトレーニングの進捗は、彼女の生い立ちを鑑みれば良い方なのかもしれない。
基礎体力作りに参加させるべきかどうか、その言葉を思い出しながら裾に振れられていく。
全身を動かす少々激しい体操、そこからランニング、短距離走、アスレチックでの全身運動等など。
目を閉ざして、必死に乾けと念じる少女がするには……まだ早いかもしれないなと思えば、苦笑いをこぼしつつ、撫でたくなるのをぐっと堪える。
今撫でたら自分の事ばかり浮かべて、力が発揮できなくなるだろうからと。

(「ぉ、いい感じだな…」)

天真爛漫な顔の眉間に、僅かにシワが寄って見える。
表情は気合十分だが、そうそう効果は出ない……ともいえなかった。
少しは時間が掛かるも、はっきりと濡れていた部分の水気が少女の意志に負けて追い出されていく。
裾についていた幾つもの冷たい染みが消えていくと、彼女の目が開いたときには、その殆どは乾き、残っていたとしての少々生乾き程度といったところか。

「あぁ、ちゃんと乾いたぜ? なかなか上手じゃねぇか、マリナ」

飛び跳ねそうなぐらいに声が弾むなら、悪人面も嬉しそうに表情を崩しながら、大きな手を彼女の頭の上へポスっと載せていく。
わしゃわしゃと柔らかな金糸を子供の様に撫でくりまわしながら、身体を寄せていくと、指を梳き通すように可愛がる。
触れる指先へこちらも手を重ねるように触れていく中、そうだったと言伝を思い出すのだった。

「ぁ、そうだった。マリナ、今度城でお招きされてっから、一緒に行くぞ? まぁ、俺はぁ、護衛のオマケみてぇなもんだけどよ」

教育係としてのお仕事、宴や催し物に参加し、王族や貴族の流行り廃りなどの情報を収集するというもの。
今、彼女に向けられている仕事もそういったものもあるだろうし、時折は集落内でまだ若い少女たちに簡単な礼儀作法のレクチャーをお願いされることもあるだろう。
こいつだとポケットから取り出した招待状は、上流階級の人間だけが集まる綺羅びやかなものであり、ぜひともと彼女を名指しで招待していた。

マリナ > 完璧とは言えないものの、触れた感触はさっきと違う。
護身術もトレーニングもいまいちコツが掴めず、上達が遅い少女にとってみれば、
目に見えて結果が出たことはよっぽど嬉しかったようで。
何度も何度も生乾きのそこを撫で、喜んでしまう。
加えて、とりあえず合格まで課題をクリアできたご褒美に撫でられるものだから、ご満悦。
できれば毎日寄り添って、抱き締めてもらいたいほど甘えんぼなので、触れ合いは燃料補給といったところ。

「これがもっと上手に使えるようになったら、マリナもヴィクトール様のお仕事についていけます?」

なんて調子にも乗る。
前線はどう頑張っても無理な運動神経なのは自覚しているので、
治癒なり何なりでもう少し彼と一緒にいる時間を長くしたいとの野望は忘れていない。
相変わらず少女の1日は彼のことばかり。仕事も一応しているのだけれど。

「……、……ヴィクトール様が一緒なら楽しみです。その日はずっとご一緒できるってことですよね。」

お呼ばれに少しだけ緊張を見せるも、彼が一緒だと知ると表情一転。
むしろゲンキンなまでににこにこして、より一層体を寄せる甘えっぷり。
王城で自分の部屋に招かれたことのある人と出会ったらどうしようだとか、
心配はあったけれど、彼が一緒なら何があっても大丈夫だと確信している。
何より仕事なのだから、1日傍にいても誰も怒らないし呆れない。

その日を楽しみにしながら、今日はとりあえず集落に戻ろうか。
きっと無事だった指を慈しむように手を繋ごうと試みて、甘えて、
何度もその名前を呼んで、我が家となるその場所へ、一緒に。

ヴィクトール > 肉体労働にはやはり向かぬ身体というところか、それとは異なる術の結果は小さいながらも手応えを感じたのだろう。
嬉しそうに何度も湿り気が淡く残るところを撫でる様子は、やはり子供っぽくて可愛らしい。
ある意味、庇護欲というのをはっきり植え付けてきたのはこの子が初めてだろうと思いながら、金糸を撫で続ける。

「そうだなぁ、そいつでちゃんと身を守れるぐらいになったらだな」

少しでも長く、少しでも多く一緒にいるためにと励もうとする気持ちを弱らせぬために、目標を添えながら受け止めていく。
どれだけ強い奴がよってこようと、遠ざけ、身を守り、逃げ切るぐらいでなければ彼女の安全が保証できない世界。
まだ血の香りの話を深々とするには早いかと思いながら、やんわりとした答えで留めていくと、手紙を差し出していく。

「あぁ、なんなら一緒にダンスでもすっか? 俺ぁ上手じゃねぇけどよ」

社交界のダンスは一応教えられたが、どうにもゆったりでむず痒くなる。
子供っぽい悪戯な笑みで、彼女の乙女な微笑みを受け止めていくも、彼女の考えなどすぐに分かる。
一緒にいたい、長くいたい、甘えたい。
術なんて通さずともわかる甘い感情に、こちらも癒やされながら今日は手をつないで帰路に着く。
指を確かめる手には、新しい傷跡の一つもなく、小さな指の合間が痛くならないように重ね合わすように優しく握っていった。
名前を呼ばれれば、なんだ?というようにうっすらとした笑みで幼子を見下ろして、他愛もない言葉の重なりあいの果、集落へと戻っていくのだろう。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中 川辺」からマリナさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中 川辺」からヴィクトールさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にカインさんが現れました。
カイン > 完全に人の気配が失せ、動物の物音だけが響き渡る山賊街道。
山道の中腹付近にあるぽっかりと明いた空地の一つで、
焚き木を起こして暖を取りながら野営をしている男の姿がある。

「えーと、依頼の品は魔獣のキモに肉、きのこに薬草…此処までは揃ってるな」

依頼されたの薬の材料として必要な素材の入手である。
この近辺で凡そ揃う物だけに、早朝から張り込んでの捜索の甲斐あって仕事は順調に進んでいた。
素材に必要なイノシシ型の魔獣の肉をかっさばいて調理し、昼食代わりの焼串として、
焚き木で炙りながら依頼書と荷物とを交互に眺め見る。
幸いなことによく晴れてくれたお陰で焚き木がなくとも日の当たる場所は温かい。

カイン > 「他は――人間の男の頭髪?
 他所で手に入れろこんなの」

他の依頼の品を確かめるうちに見えた単語に、
思わずげんなりとした表情が目に浮かぶ。
何の薬かは解らないが残念ながら人間ではない男では条件を満たせない。
最も、満たせたとしてもとても提供を願い出る気にはなれないが。
ちょうどいい匂いを漂わせ始めた串焼きを一本手に取って口に運び、
不用意に噛んだことで肉汁の暑さに目を白黒させる羽目になり。

「あ、つ…っ。あ゛ー、ついてないなっと」

自分の不注意さを棚に上げてぼやきながらふと空を見上げると、
まだ夕刻手前といった所。動き出すには少し時間があると食事を進め。

カイン > 「さて、日も傾いてきたしそろそろ残りを片づけるか。
 こんな時期に野宿なんて考えたくもない」

食事を終えて体に力が戻るのを感じながら、
野営の後片付けを済ませればそのまま森の中へと足を踏み入れていくのだった。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からカインさんが去りました。