2018/12/17 のログ
メリル > 「うーん、まぁね?そう言って貰えるのは嬉しいんだけど…」

家が家だけに仕方なかったって事は、否定出来ない。
その辺りは言い難くそうに、少し考え込んでしまう。

言葉を伝えてみれば、どうやら、ちゃんと分かってくれた。
…と、思っていたのだけど、女の言葉につい首を傾げてしまう。

「ちょっと待って、やっぱり待って。
君、もしかしてさ、他の人に天然とか言われてない?言われてるよね?
ボクはともかく、山賊は自業自得って思うんだけど?」

くいっ、と後ろに親指を立てて倒れている山賊達を示す。
どうせ後々また悪さをしでかすんだろうし、反省の意味で放置でも良い気がする。
目を覚ます頃には、殴ったところが痛む程度のはずだから。
もとい、この寒空の下、風邪もひくかもしれない。

「で、お詫び?
ボクとしては、どっか美味しい物が出て、寝泊り出来る場所とかあったら嬉しいかなって思うよ、うん」

そんな山賊達は放置の方向で、女の言葉に、どう?なんて、そんな意見を言ってみた。
要するに近くに村とか街とかあったら案内して欲しい、って事だ。

マヌエラ > 「?」

言いよどむ姿に不思議そうに目を瞬かせる。

「まあ、なんでしょう? 天然……どうだったでしょうか。
 言われたような……言われていないような。
 もちろん、私は被造物ではないので天然(ナチュラル)だとは思いますが……」

 そういう話ではないのだが。

「……! 分かりました、それならご用意できます!
 ご案内します!」

笑顔で応えると、手にした杖で、虚空に大きな円を描いた。
すると、杖の切っ先に沿って光る線が実際に描かれ、その中も光に塗りつぶされる。

「どうぞこちらへ!」

空間転移のようだ。急に現れたのもこの術を使ってのものだろう。
先にその光の円の中へ体を入れていくと、入った分だけ虚空に消えているように見えるのだった。

メリル > あ、もしかしなくても、これはダメなタイプだ。
少女の頭に浮かんだのは、失礼ながらこんな言葉だった。

「あ、うん、うん、ごめんごめん、無かった事にして。
君は間違いなく天然な人だよ、きっと、色んな意味で」

だけど、思った言葉を口にはしない。
単に、これ以上の頭痛の種を増やしたくないだけである。
そもそも、自分は深く考えるのは苦手なのだ。

「………言ってみるものだなぁ」

自分の要望に対する応えは、自分の思った以上のものだった。
しかし、そう呟くも少女は油断はしない。
ここまで色々とあったのだ、またこの話にもオチがあるかもしれないのだ。
そんな不安、それがどうしても拭い切れぬ少女であった。

「ま、行ってみれば分かるよね」

と、それが結局は少女の出した答えだった。
女の作り出した転移の空間、勇気を振り絞って少女は突っ込んだ。
こんな事に、別に勇気を振り絞る必要性は感じられないのだが。

マヌエラ > 輝く円形のゲート。入り込めば、すぐ目的地に到着する。
冷たい夜気が消え、屋内の暖かな空気がメリルを出迎えた。
そこは、寝室、のようだった。天蓋付のベッドにサイドテーブル。かなりいい屋敷といった風だ。

「ご飯は用意しますね! くつろいでくださいな!」

メリル > 周囲の木々と転がった山賊達、そんな光景から一転して、空間を抜けた先は屋敷の室内だった。
おぉ…と、つい感嘆の声が洩れる。
実家も負けず劣らずだろうが、その実家を出てもうそれなりに経っているのだ、久々な感覚だろう。

「っと、うん、それじゃ、のんびりさせて貰うね?」

さすがに、ここでは不要だろう。
女が夕食…夜食?の準備をしに行くのを見送ってから、身に付けた軽鎧に手を掛ける。
それを外せば傍らに、ベッドの柔らかさを確かめるように、ぽふっとダイブするのだった。
後はこのまま、食事を終え、寝て、明日はどうしようか?
そんな事を考えながら…その頃には、不安なんてどこかに吹き飛んでしまったのだろう。

しかし、この後に…となったのかどうかは、二人のみぞ知る、である。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道」からメリルさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道」からマヌエラさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にカインさんが現れました。
カイン > 完全に人の気配が失せ、動物の物音だけが響き渡る山賊街道。
山道の中腹付近にあるぽっかりと明いた空地の一つで、
焚き木を起こして暖を取りながら野営をしている男の姿がある。

「えーと、依頼の品は魔獣のキモに肉、きのこに薬草…此処までは揃ってるな」

依頼されたの薬の材料として必要な素材の入手である。
この近辺で凡そ揃う物だけに、早朝から張り込んでの捜索の甲斐あって仕事は順調に進んでいた。
素材に必要なイノシシ型の魔獣の肉をかっさばいて調理し、昼食代わりの焼串として、
焚き木で炙りながら依頼書と荷物とを交互に眺め見る。
幸いなことによく晴れてくれたお陰で焚き木がなくとも日の当たる場所は温かい。

カイン > 「他は――人間の男の頭髪?
 他所で手に入れろこんなの」

他の依頼の品を確かめるうちに見えた単語に、
思わずげんなりとした表情が目に浮かぶ。
何の薬かは解らないが残念ながら人間ではない男では条件を満たせない。
最も、満たせたとしてもとても提供を願い出る気にはなれないが。
ちょうどいい匂いを漂わせ始めた串焼きを一本手に取って口に運び、
不用意に噛んだことで肉汁の暑さに目を白黒させる羽目になり。

「あ、つ…っ。あ゛ー、ついてないなっと」

自分の不注意さを棚に上げてぼやきながらふと空を見上げると、
まだ夕刻手前といった所。動き出すには少し時間があると食事を進め。

カイン > 「さて、日も傾いてきたしそろそろ残りを片づけるか。
 小オジキにこのあたりでの塾なんて考えたくもない」

食事を終えて体に力が戻るのを感じながら、
野営の後片付けを済ませればそのまま森の中へと足を踏み入れていくのだった。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からカインさんが去りました。