2018/12/14 のログ
■ジェネット > 山脈を抜ける険しい山道。
そこを、黒い異国風のフルプレートに身を包んだ女騎士が一人行く。
腰に下げた二対の剣をかちゃかちゃと鳴らしながら、頭頂の兜飾り――にしては妙に生々しい馬耳を揺らして、山を登る。
先のタナール砦の戦いで、魔族の脅威とその生命体としての能力基本値の差を散々思い知らされた今、
人馬族としての生まれ持った対人優位性――速度、膂力、それから弓の才にあぐらをかいては居られない。
魔族を打倒し、大好きな人間族が憂いなく生きられる世を作るためにも、戦士として強くあらねばならぬ。
そんな思いから、敢えて人化の術を用いて人馬の長所を封じ、小回りの効かぬ大槍と大弓を置いて、剣を取った。
治安が悪く、ともすれば遺跡から這い出す魔族が出るかも知れぬと聞く山脈であれば、修行の場としては丁度よかろう。
「さて、女ひとり旅。騎士の装いといえど、賊なり魔族なりが釣れてもいい頃合いだが……
いや、それより人参を切らしたのが痛いな。行商人でも通りがからないだろうか。農村からの野菜売りなら文句なしだ」
ひとりごちながら、慣れない二本足で小石を蹴って山越えを目指す。
■ジェネット > そもそも、だ。
魔族の、これは指揮官クラスに限るのだろうが……強力な個体。
それに人間族が対抗できている、というのが不思議なものだ。
人間族はたいてい、人馬より生き物として脆い。
それはそういう種族なのだからしょうがないとして、そんな人馬が手も足も出なかった魔族相手に
一進一退を繰り返すだけの強さとはどこにあるのか。
尊敬する団長閣下のように竜騎士である、とか。なんか居ると聞いた大魔導師のような、歩く人間兵器みたいなやつとか、
そういうのは置いておくとしても、人間は肉体の性能の割に強い。
弱いから強いとでもいうのだろうか。その不思議な強さがどこからやってくるのか、この修業の旅で掴めればいいのだけれど。
「むぅ、まずは初回ということでフル装備で来たのが間違いだったか。
狼の一頭さえ釣れないな……次からは鎧無しで来てみるか……」
そもそも、隊伍を組んでいるならともかく単独で、それも異国風の騎士が山道をうろついているのが不審ではある。
あからさまに罠ですよ、誘っていますよと言い張っているようなものだが、それに気づかないのが人馬クオリティか。
どうしたもんかな、と脇道に逸れてみたり、獣道に分け入ってみたり。
■ジェネット > 「だーれーもー居ない!!」
もう疲れた、と兜を脱いでポニーテールに縛った黒髪を揺らす。馬耳も揺れる。
道の端に寄って、肩当て、腕甲、胸当てと上半身の鎧を脱いで袋に突っ込み、傍らに置く。
それから出発前に荷物に詰めておいた人参の最後の一本を生で齧り、口に咥えたまま簡素なシャツの胸元をぱたぱた。
「冬なのになんでこんな汗だくになって山登りしてんだろうな私。
次からメグメールのほうで修行しよう、久々に街道警備の仕事してもいいし……はー……」
でかいため息を吐いて空を見上げる。いい具合に月明かりと星空が綺麗だった。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にエリーナさんが現れました。
■ジェネット > 「やっぱり難しいことを考えると頭が痛くなる。私は私らしく振る舞うのがいい」
ぽりぽりと人参を齧りながら思い至る。
魔族がどうこう、強さがどうこう――とか考えても、それで強くなるわけではないのだ。
頭空っぽのほうが筋肉詰め込めると偉い詩人も歌ったと言うし、そういう生き方をして脳みその方は未来の騎手に任せるとしよう。
■エリーナ > 「ありゃりゃ?なーんか声がすんなーって思ったら、お嬢さんなにしてんだ?」
立木の中から、闇から、やっぱりこれまた黒い暗色の魔女姿の女が姿を現す。
長身に銀の長髪。魔女の三角帽を指でついっと上げながら、金縁眼鏡の奥の金眼が、すらりと、人参をかじる女性を見つめる。
腰には一応、剣。リュックサックには、色々と雑に詰め込んでいるのか
様々な材料となりうるものが顔を出している。
■ジェネット > 「んぁ?」
この暗い山の中で女の声。不審にも程がある。
すっと目を細め声のした方を見れば、如何にもな格好の"魔女"の登場と来た。
麓では特に魔女が人を攫うとか、そういった良くある類の不穏な噂は聞かなかったが、警戒に越したことは無いだろう。
腰の剣にそれとなく剣をやりながら姿勢を正して、咳払い。
「強いて言えば登山、だろうか。そちらは?」
観察するように視線を走らせながら、逆に魔女の目的を問う。
■エリーナ > 「んー?」
あ、これは無茶苦茶警戒されてるな。まあ仕方ないか、こんなナリだし。
なんて思いながら、その場で止まって、両手ぷらぷらさせる。
こんな古典的な魔女なんて、完全に本の中の存在だろうに。
世慣れしていないのかね、このお嬢さんは。
「そりゃあ、魔女は色々作るだろ?薬の材料探しだよ。急に寒くなったから風邪が流行っててさ。
風邪薬の在庫がちょっと心もとないんだよなー」
まいったまいった。
実際まいった。この調子で風邪っぴきがふえちゃ、死人もばたばたでるだろうに。
ため息を一つ。
■ジェネット > 「なるほど、な……」
魔女にもいろいろあるという。
昔、旅の中でそんな話を聞いたことを思い出す。
それこそ、魔法を極めた歩く人間兵器から、呪詛を巧みに操る呪い師。
それから、その言を信じるのであれば、彼女と同じく薬学に長けた薬師もまた、魔女の号を冠することがあるとかなんとか。
尤も、そのタイプの魔女は結構珍しい――と、聞いたような、そんな気がする。
「なるほど、風邪か。幸いにも私は生まれてこの方引いたことがないが、ひどくなるとまずいらしいな。
肺をやられたり自分の熱で蒸し焼きになるのだろう? それは大事だ。是非治してやってくれ。
ところでこう遅くまで材料集めとは大変だろうが、無事集まったのか?」
■エリーナ > 「うむ。そーゆーことだよ」
何処の国で魔女が弾圧された時、その多くはベイガニズムに通じる、森の知恵者だった。
ガチンコができるような魔女たちは、正面突破をするか、化けてするりと逃げ出した。
その結果どうなったかって?魔女の居なくなった周辺の村落は滅びましたとさ。
お薬はちゃんと飲みましょうねー。お姉さんとの約束だ。
「おう。風邪。ははーん。お嬢さん身体丈夫だけど……一回軽いのでいいから引いといたほうがいいぞ?
なんでも、怖いことは一度体験するのが一番の予防薬だ。
そうそう、肺や自分を茹でちゃうようなのは、ちょっとキツい。
あそこまで言ったら、上位神官から疾病退散を受けたほうが良い。うちの商品で治すのはちょいと高い。
ん。上々だね。もう一個リュック持ってくるべきだったよ。
これで当座は凌げそうだが……油断はいかんからね。また来て集めつもりだ」
まっとうな薬師がみたら「なんだこれ」っていうような物しかリュックにはないが、うちの流派じゃこれで作れるんだよなー。
■ジェネット > 「引きたくても引かないんだなあ、何故か」
汗で湿気ったシャツを寒空の下で着っぱなしでも、不思議と健康体なのだ。
シェンヤンではなんとかは風邪を引かないという言い回しがあるというが、何だったろう。
私が該当するということは、たぶん豪傑は~とか、精兵は~とか、そういうニュアンスだったのだろう。
それはさておき、風邪の話を聞きながら何気ない動作で鎧を着け直していく。
話を聞く限りでは、町医者の類のようではある。
けれど、つい先日町娘のような魔族に危うく馬肉ステーキにされかかったばかり。
見た目や振る舞いで判断するのは早計と理解するくらいの脳みそはこの頭にも入っているのだ。
「上々か、それはよかった。人間が病に苦しむのは見ていて可哀想だからな、ちゃんと助けてやってくれ」
■エリーナ > 「あー。んー。丈夫すぎるかあ。 ま、いいか。健康で悪いこたないし」
…………頭の耳。馬か。人化の術の失敗だな?
ケンタウロスとなれば、色んな病理も人間とは違ってくるだろうな。
馬鹿は風邪を引かないとはいうが、馬鹿は『風邪を知らない』んだ。もしかしたら無自覚に引いているかもな……。
ん。普通の動作で鎧をつけ直したから、ガチ警戒は解いたか。
しかし、おおらかか粗暴ときくケンタウロスだが、随分穏やかな娘だな。
「ああ。この辺をもう2回くらい来りゃ、このシーズンの風邪薬は出来るな
自分ができる範囲で誰かが苦しんでるとか、ちょっと嫌すぎるからな。
……………例えば、ただの女に警戒してるような……ちょっとスランプな戦士に手助けすることだって、できるんだよなあ」
■ジェネット > 「うむ、戦士は身体が資本だからな!
健康第一、だ。それもこれも人参のおかげだな!」
咥えていた最後の一欠片を噛み砕いて飲み込み、王国産の甘さはやはり格別だなと頷く。
自分の種族を見破られているとは露知らず、再び鎧を身に纏って兜を被り直して盾を背負う。
薬師型の魔女と言えば、名ばかりの普通の長老か少しばかり物知りな、所謂書物が友人、というタイプの女性、というイメージだ。
が、この魔女は自ら剣を帯びて薬草を探し、夜の山を単独で徘徊するタイプ。
想像の埒外の存在に、静かに警戒しながらも努めて平静を保つ。
「もう2回か、なかなか大変だなあ。
うむ、そういう心がけは好ましいと思うぞ」
うんうんと、少なくとも言葉の上では人間族の味方らしい振る舞いの魔女に頷く。
が、続く言葉には眉を寄せて。
「…………そう、か。凄いな。そういう戦士がいれば是非助けてやってくれ、うん」
――私のことを言っているのか。
で、あるとすれば、警戒せざるを得ない。
「登山に来た」だけの女の内心をピタリと言い当てる魔女など、ただの薬師と見ていては呑まれてしまうだろう。
バイザーを下ろした兜の中で、どうしたものかと思案。
逃げるべきか。適当に誤魔化して下山すべきか。早まった判断だろうが、いっそ襲いかかって倒すべきか。
――それとも、口車に乗ってみるか。
■エリーナ > 「ああ、人参は栄養たっぷりだからな。ヤダとかいうガキにゃ無理やりねじこんでいい
世のお母さんは大変だ」
ふーむ、ガチ警戒はといたが、近づけばどうなるかわからないな。
さてさて、こういうタイプは、まだるっこしいことはダメだろうなあ。
「ああ。まあ、私は魔女だからな。ひとっとびだ。対して苦じゃないさ」
ほーら、眉を寄せたぞ。言い当てられたのがそんなに怖いか?
強き戦士であるケンタウロスが。ただの護身の剣のようなものをもった女が怖いか。
「ああ。助けたいね。 アンタ、もう一回強いやつに会うと死ぬんじゃねえの?
言ったろう? 自分ができる範囲で誰かが苦しんでるとか、ちょっと嫌すぎるんだよ」
ゆるりと指をさしてみる。
一流と呼ばれるものなら、一足飛びに間合いを詰められる距離。
はてさて、しかし、そこそこ生きてるハーフエルフを舐めないでもらいたいね。
バイザーまでおろしちゃって。
さあ、どうする? どうする。 勇猛なる人馬の戦士。
■ジェネット > 「…………」
もう一度、強敵に出会ったら。
易々と死ぬつもりはない。無いが、今のままで無事に生きていられるかと問われれば、自信満々に頷くことはできない。
草原の戦士とも、帝国の武人とも違う別次元の存在、高位魔族――
あれとやりあって勝つとなれば、命を拾っても人馬としては死ぬかも知れない。
けれど。
「私の考えを勝手に読むのはやめてくれないか。人間の習わしには、恥ずかしながらまだ疎いのだが……
心を覗くような行いはその、ここらの人間族では当たり前なのか?」
もしそうだというのであれば、この辺りに寄るときは娼婦のことだけ考えるとかしなければ。
馬鹿でお気楽な人馬騎兵、自信満々で強い、比肩するもの無き草原の覇者たる種族の末席が、まさかこうも落ちぶれていると。
それを見られては、故郷の大父に申し訳も立たぬというもの。
「それに、あなたが今助けるべき"出来る範囲"は、病に苦しむ民だろう。流れの戦士にまで手を差し伸べている場合なのか?
………………ひとまず、此処に住む魔女が手を貸してくれる"かも知れない"ことは覚えておく。
己の力でどうにもならんと、それでも勝たねばならぬと思ったときは、この辺の村であなたの事を聞いて回るとしよう」
だから、今は助力無用。
出会ったばかりで深くこちらの背中に踏み込む魔女に、すぐさま両手を挙げて飛びつくほど
切羽詰まってもいなければプライドを捨ててもいないから。
申し出には感謝するよ、と頭を下げて、背を向ける。
それから数歩歩いて立ち止まり、
「出来る範囲での助力をひとつ請うてもいいかな。
此処らで一番人参のできが良い村、どっちにある? 今から移動して朝までにたどり着ける範囲で頼む」
■エリーナ > 強敵。大方、魔族だろう。
このお嬢さんは人間に対して友好的な風が吹いている。
ならば激突したのは、人間の敵だろう。
私だって「やる」方だ。戦士の空気は、少しくらいよめるし……
なによりこのお嬢さん、解りやすい。
「あー、心を覗くとかそういう特別なこっちゃないよ。
アンタ、顔にですぎ。所作に出過ぎ。……普通、此処まで距離のあるヤツを其処まで警戒はしない。
薬つくるやつだって言った上で、その警戒心。今が夜だとしてもやりすぎだ。
夜にしか採れないものもある……そういう花がある……聞いたことはないか?なくとも、想像力をひろげてはみないか?
命のやり取りに心得がある者からすれば、酷く怯えてるようにも見えるんだ……」
最後の方は、自分で言ってて悲しげだった。
だって、悲しいのだから。おそらくは負けたのだろう。
そして、その事を誰に話すでも、どう晴らすでもなく……1人で抱え続ける。
そんなもん、悲しいし辛いじゃないか。青春の悩みじゃない。生きる死ぬのことだ。
「私は薬を作れるとはいったが…… 薬しか作れない、なんて言った覚えはないな。
ああ、それでいい。このへんで聞くついでに「魔女のお薬屋さん」ってのを覚えときな。道標だ」
戦士の意地、矜持か。それを抱えたまま死んだヤツを多く見てきたよ。
私が手を入れた武具を使っていれば、そんな事にならなかったかもしれないのにさ。
そうかも……しれなかったのにさ……。
お嬢さん。アンタがそうならないことを祈るよ……。
「うん? ああ、元気を出したいってこったな?
そうさな。土が良いのは北東の村だ。徒歩でも、朝焼けの頃には着くだろう
それとな」
ポケットから、陶器の瓶を放って渡す。
「本来店にゃあんまり置かない、魔力的な薬だ。
立てないほどの疲労でも、装具つきで10里は走れる
お守りだ」
■ジェネット > 顔に出過ぎ。
――昔から言われていたことでもある。
そもそも、人馬族の気風からして人間族ほど嘘や謀が得意ではないのだ。
彼らの基準で見れば、あるいはそれ以上に思慮深く知恵の回る種族からすれば、よほど間抜けに見えるのだろう。
だから、顔の見えぬ兜をいつも身につける。
表情を見せぬように、飄々とした態度が真であると思わせるために。
それを、よりによって今日は油断してしまった。
油断して兜を脱ぎ、油断して警戒を怠り、油断して――
「……そうか、そう見えたか。けれど勘違いはしないでほしい。
確かに私はあなたを警戒している。警戒しているが、それは怯えではないということを。
ただ単に、得体の知れないものに警戒心を抱くのは皆同じことだろう?
私は偶然、直前に見た目通りではないものを見て、殊更警戒するに越したことはないと学んでいただけだ」
怯えを抱けば、しょうもない死に方をする。
やばい、まずい、自分より強い――危険を危険と捉えることと、必要以上の危険意識で正気を欠くのは別のことだ。
その視点で言えば、油断ならない魔女だとこそ思えども、彼女に対して怯えまでは抱いていない。
「ああ、どうも。薬もまあ、飲むかどうかはさておいてもお守りがわりに預からせてもらおう。
それじゃあ、薬が早く行き渡るといいな」
放られた瓶をがしゃりと握り、袋に突っ込んで示された方へ歩き出す。
やけに距離を詰めてくる、おそらくお人好しな――それ故に、人馬の背中にずかずかと踏み込んでくる変わり者の魔女。
願わくば、次に会う時までには私が成長していますように。
かの魔族をも打倒できる程度には、なにがしかの力を身に着けているといい。
それで、もう大丈夫だ、と言えたならばそれが一番なのだ。
――人参を喰って、王都に帰ったら。
あの娼館に行って、お気に入りの子を指名して。
それから、団長閣下に頼んで訓練も受けさせてもらおう。
まずは、そこからだ。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からジェネットさんが去りました。
■エリーナ > 「………………結局は、お節介か」
助けたいと思っても、相手は自分じゃないのだから、そうそううまくは行かない。
わかってる。わかってる。
わかっているさ。
「わかっているけどさ」
ふわりと、浮遊する。浮遊魔法程度なら、苦もなくやれる。
飛行や空戦レベルとなれば、特別な道具がいるが。
周辺の木々よりも高く浮き上がる。
そして。
「飛べ」
首に埋め込んだ、精密空間転移の護符を発動させる。
視界の果てから視界の果てへの連続転移。
そうら、魔女だから、ひとっとびだ。
願わくは、勇敢な戦士に、栄光を。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からエリーナさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にジードさんが現れました。
■ジード > ひんやりとした寒さを感じさせる山中を一人歩く男の姿がある。
物とりや追剥の跋扈する危ない場所だというのに、道行く足取りは確かな物。
掲げたランタンの明かりが、少し開けた場所を示した所でフッと足を止め。
「――よし、休憩にするか」
言葉にするが早いか荷物から小瓶を取り出し、中の液体を幾つか地面に垂れ流す。
と、緑色の煙と臭気が一瞬周囲に立ち込めて消え。
「けほっ。…これがあるからあまり使いたくないんだけどね、この獣除け」
ぱたぱたと手を横に振って煙を払いながら丁度いい大きさの岩を椅子代わりに腰かけて息を吐く。
■ジード > 「追剥の類は基本的に人間だから何とかなるといえばなるんだけど、
野獣の類は説得って訳にもいかないし興奮すると薬の効きも悪いしなあ」
最初から関わらないのが一番だとしみじみ漏らす。
元々さして荒事が得意な訳ではないので致し方がないが少々情けない愚痴も漏れる。
かといって護衛を雇った場合、薬の類を使うと護衛からも文句を言われるのがなんとも面倒だ。