2018/09/09 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にカイサーさんが現れました。
■カイサー > 上司命令でかりだされた用事が終わり帰宅途中に巻き込まれた騒動がようやく治まり、気付けば夜遅くになってしまっていた。月明かりが森の木々を縫って射し込んでくるものの、これ以上の移動は危険と判断し、さてどうするかと小さくため息。ふと愛馬が勝手に足を進めていくのを、止めようとするがなにやら先は木々が生えておらずぽっかりと光が射し込んでいる。そこには自然に湧き出たであろう温泉が暖かい湯気をたてて出迎えてくれていた。
馬から降り、そっと温泉に手を入れればちょうど良い温度。今日も酷暑で汗をかいており、綺麗好きな女聖騎士としてはいてもたってもいられなくなってしまう。
「よく見つけてくれた、礼を言うぞ。今日はここで体を休めよう」
愛馬は近くの茂みの草を食べたりして好きに動いているが、口笛を吹けばすぐに戻ってくるよう教育している。
一応あたりを伺ってみるが、人の気配は感じられない。
こんな夜更けに出歩く者もいないだろうと、純白のマントを外し、騎士服をゆっくりと脱いでいって。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にジェイコブさんが現れました。
■ジェイコブ > 戦場から戻り、報告に向かった執務室で新たに与えらえた任務は、山賊の根城への斥候だった。
山を根城とし、時には街道にまで降りてくる山賊の手がかりを探すために、単独で山に潜んで数日が経っていた。
既に根城を変えたのではないかと思うほど、痕跡も見つからない中の斥候は大いに消耗し、前日に見つけた温泉にいっそ入ろうかとさえ思うほどだった。
見つけた温泉は天然のものらしく、もしかしたら山賊が使っているかもしれないと思い、場所だけは記録していた。
「あれは…?」
特に今日もこれといった収穫のない斥候任務が続いていたところで、遠目にうっすらと見える人影に気づく。
そして、普段ならば冷静に判断するべきところを、短絡的に人里から離れた場所のため、山賊の一味であると早合点して武器を手に駆け出す。
「なにっ?あ、貴方は…!」
温泉の周辺は木々のない隠れられない場所であり、間近まで駆けこんだところで異変に気付いた。
十中八九人影が無防備であることは予想していたが、それが会ったことのある女性で、着衣を脱いでいる様子に出くわすとは思ってもみなかった。
面食らったまま、ぽかんとした表情で突っ立っている様は、物音と月明かりで相手にも気づけてしまうことだろう。
■カイサー > 騎士には不向きな程に豊かすぎる乳房を押さえていたサラシをしゅるしゅると解くと、ほぅ…と思わず息を吐いて身体の緊張が緩む。
白いレースの下着も脚からするりと脱げば、騎士服に隠されていた肉体は、むっちりとした雌そのものの体つき。長い髪をまとめてお団子にし、衣服を畳み、さあ温泉につかろうと踵を返したところで、不意に強い気配に気付き身体がキクンッと強張り
気配の方へと顔を向ければ、月明かりの下、ぽかんとした表情で棒立ちになっている男と目が合う。
「―――――~~~~~ッ?!」
悲鳴をあげそうになるのをこらえたのは、聖騎士としての意地なのか。しかしこちらは男が誰なのかまでは判別できていないうえに相手は武器を持って臨戦態勢であるのにも関わらずこちらは裸一貫という無防備極まりない状況。今更ながら己の危機管理の甘さに卒倒しそうになるが、兎に角この場を逃れようと足を踏み出した途端。
「きゃぁあッ!!!」
森に響き渡る悲鳴とともに思い切り足を滑らせて、温泉に落ちてしまうという、何とも情けない体たらく。
■ジェイコブ > 山賊の一味ならば、そのまま根城を吐かせる心づもりでいたものの、武器を手に駆け付けた先には、裸体を晒す女性が一人いるだけだった。
月明かりに照らされる白く肉づきのいい肢体が目の前に現れて、一瞬妖精か何かに惑わされたのではないかと疑うほど、現実感が沸かない光景に目を奪われる。
それが知った相手であることに気づくのにも時間がかかり、結果としてその間に相手の動揺に気が付かなかった。
「驚かせてしまってすまない…っ!?だ、大丈夫か!?」
ようやく呆けていたことに気づいて我に返り、武器を収めていこうとするよりも、逃げ出そうとする相手の動きの方が速かった。
驚いた相手がそのまま足を滑らせて温泉へと落ちていくと、慌てて駆け寄りながら助け起こそうとする。
「怪我はないか?簡単な処置ができるものならある…のだが…」
あまりに慌てて、温泉に革鎧を着たまま入ってしまうことになるが、それに構わず温泉の中に入り、相手の怪我の有無を確かめようとするだろう。
そこでようやく、裸体のままの相手に詰め寄る形になっていることを思い至り、気まずそうな表情を浮かべながらも、目を逸らすこともできずにいた。
■カイサー > 完全に濡れ鼠なありさまで温泉から顔をだせば、まとめてお団子にしていた髪も解けてしまう。
生まれてこのかたこんなに恥ずかしい思いをしたことはない程に、顔を真っ赤に染め上げて両手でたぷんたぷんのおっぱいを隠しながら、男から逃れようと。
ぱくぱくと口は動くが動揺のあまり言葉がすぐには出てこないまま、結果心配する男に詰め寄られながら眉が八の字に下がりまるで恥ずかしさのあまり泣き出しそうな表情。
「~~~~ッッ だ、大丈夫…だ、け、怪我はない。すまないが頼むから離れ……」
離れてくれないか、とようやっと男の顔がまともに視界に入るなり、男が見知った者と気付き、目を見開くと更に顔を真っ赤にして口をはくはくと開閉して。
「ジェ、ジェイコ…ブ……?」
男の名を口にするなり、くらり、と眩暈。
■ジェイコブ > 「そうか、無事だったか。それならよかった」
見た目こそ派手に倒れ込んだ相手に、怪我がないことがわかれば、安堵のため息を漏らす。
濡れて身体に張りつく長髪や、肉づきのいい身体つきは、以前に媚毒を盛られたときにも見たとはいえ、それだけで牡に訴えかけるものであり、目は離せず。
「…?ああ、そうだ。山賊の偵察に来ていたんだが……どうかしたのか?」
怪我の確認のために近づくと相手が顔を真っ赤にしていくと、気づかれていなかったとは知らず不思議そうな表情になる。
以前盛られた媚毒の影響かと考えがめぐって、観察するようにまじまじとした視線を送ってしまって。
「おっと、しまった。これでは装備がダメになるな、薪を後で集めなければ」
意外と深さもあったことで、落ちた相手も怪我をせずに済んだようだったが、同時に自らも濡れ鼠となってしまった。
とかく任務で消耗して余裕がなくなっていたこともあり、傍に相手がいることを忘れて鎧ごと自分の上着を脱ぎ捨てて、筋骨隆々とした肉体を露わにしていく。
■カイサー > どうかしたのか?と不思議そうな顔で訊かれ、まじまじとした視線で見られると、いつもの気丈な様子と打って変わってへなりと眉尻が下がり視線も泳いでしまう。
「そ、そうか…任務中なのに邪魔をしてすまなかった…」
男の視線から逃れようとするがもはや温泉の端に追い詰められ逃げ場がなく、口元までもぐって身体を縮ませてどうにか身体を隠そうと。
ついで男が鎧を脱ぎ始めると、もうどうすればよいのか分からずまるでウサギの耳が垂れてしまったみたくプルプルと身体を震わせてしまう。しかしどうにか普段の冷徹さを取り戻そうと試みるが、目の前に濡れた逞しい雄の身体を見せ付けられてどうにもこうにも意識してしまって。
「す、すまない、それもこれも私がこんな場所で湯浴みなどしようとしたばかりに君を巻き込んでしまった。よ、鎧は私が弁償させてくれ。薪も、今から私がかき集めてくる。すまないが、あ、あちらを向いてくれないか…」
言外に、着替えるから私を見るなと伝え。
なんだか自分ばかり相手を意識しているみたいなのがより一層羞恥を高めてしまう。
■ジェイコブ > 「いや、まるで進展がなくて焦れていたせいで、ろくに確認せずに突っ走った俺が悪い」
元はと言えば、任務を前に功を焦った失敗から来たことであると、顔まで浸かる相手に苦笑する。
鎧は濡れただけのため、適当に岸に並べて、一応武器だけは手元に近いところに置いていく。
普段は天の上のような立場にある相手が、混乱したように気丈さを緩めてしまう様子に可愛げを感じて笑みを零して、自らも何日ぶりかの湯に身体をつけていった。
「それはキミに非があることじゃない。あとで乾かせば問題なのないことだし、キミもゆっくり浸かるといい」
緊張している相手が義理堅くなんでも背負いこんでしまいそうな物言いをすると、軽く頭を振って制止していこうとする。
そして肩まで湯に浸かっている内に、リラックスしたことで色々と冷静にないたてきて、気恥ずかしさを誤魔化すようにぽりぽりと頬を掻く。
「……それで、その、前のことなんだが…あれから影響などは残っていないだろうか?」
相手へと視線を向けながら、ややもったいぶって口にするのは、相手が媚毒にやられたときのことで、彼女に悪い影響が残っていないか確認しようとして。
その記憶を思い起こすうちに、自然と血流は下半身の陰茎へと集まってしまうが、平静を保った素振りを見せようとしていた。
■カイサー > ゆっくり浸かるといい、という言葉は下心なくそのままの意味であることが分かるからこそ断ることもできず。
「……そ、そうか…ならば、甘えさせてもらおう…」
大柄な男の隣で身体を隠すように体育座りでちょこんと。女としては高身長に分類する体躯をしているが、ジェイコブが隣にいるとまるで自分が子供になってしまったかのように小さくか弱く感じてしまう。
言いにくそうに男が話しかけてきたのは、以前騒動について。
「…っ あ、あぁ…。あの時は……本当に世話になった…。その、きちんと礼も伝えられず失礼を…。」
あの時のことは、今も夜になると思い出しては、一人身体を火照らせる事もしばしば。はしたないと己を咎めても止められずに一人で慰めた回数は両手にもあまるほどになってしまっていた。それは果たして媚毒の所為なのか、それとも元よりこの女のもつ淫らさなのか。
過剰なまでに潔癖でいようとするお堅い聖騎士は、見下ろしてくる男を見上げて。
「あぁ、その…お蔭様で…今は…その…問題ない…」
言いながら目元がじわじわと赤らんでしまうのを隠し切れない。男は平然としているのも関わらず、自分はあの時のことを思い出し無意識に太ももをもじもじとこすり合わせてしまっており、澄んだ湯では月明かりからその淫らな動きが男には見えてしまっているかもしれない。もちろんカイサーは、男が隣で平然とした顔で勃起していることには気付いてもいなくて。
■ジェイコブ > 「こんな奥まった山の中で温泉なんて、そうそうありつけない贅沢を独占するわけにはいかないしな」
出ていこうとする相手にかけた言葉自体はそのまんまの意図であり、何のかんのと言っても、温泉に入りたかったのも本音の一つだった。
控えめになりながら、横に座り込む相手が再び湯に浸かれば、満足そうに頷いていく。
「いや、毒に身を蝕まれていた状況では、無事に戻れただけでもよかったくらいだ。お互いに無事でなによりだったよ」
ことが済んでからは、護衛として都市まで戻ることになったが、お互いにかける言葉が見つからず、という気まずい状況だった。
下手すれば無礼打ちもあり得たことで、騎士として任務に就く間はお咎めはなかったが、その確認も込めて、相手の答えを聞いていた。
「……そうか。俺はあれからずっと、妙に昂ってる心地でね。キミにあっただけでこの始末なんだが、キミの方は何もなかったかい?」
相手の返答には、湯面の下で太腿を擦り合わせている様子を眺めながら少し間をおいて返す。
そして、腰かけていた両脚を起こして、屹立する肉棒が露わになるのも構わず立ち上がる。
そして重ねて問いかけながら、相手の顔を覗き込む目は、その奥の心を見透かそうとするように細められていくだろう。
■カイサー > 難攻不落の鉄壁のガードと聖騎士仲間に揶揄されるほどに潔癖な性格が災いしてか、性的なことには全くといってよいほど免疫がないカイサーは、隣で悠然と構える男と違って普段からは想像がつかないほど動揺しているのが見て分かってしまうだろうに、そこには触れずにいてくれるお男の態度にかなり救われていた。
あの騒動があってからというものの、どうジェイコブと接すれば良いのか皆目検討がつかず、ただ時間が過ぎてしまっており、今日こんな形ではあるが会えてある意味良かったのだろうか…と温泉とジェイコブから溢れる雄の色気にくらくらとのぼせてしまいそうで。
しかし、自分が目をそらしていた事を真っ直ぐ問われ、え…?と思わず顔を男に向ければ、目の前には勃起した逞しい雄の肉棒と、心を見透かすような真っ直ぐな男の瞳。
思わず、く…ゥン……と無意識に喉が鳴ってしまったのは、男に激しく抱かれたあの夜のことを思い出したからか。
とろん……とまるで媚毒でやられてしまったかのように瞳を潤ませて男を見つめかえす女のは、あの冷徹さは完全に失せて無意識に雌を匂いを漂わせてしまう。
「……ずるいぞ…そんな事を…いまさら……」
見透かされた瞳から逃げるように、ふいっと顔をそらし拗ねたように返す言葉の色も、もはや甘ったるいものになってしまっていて。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からジェイコブさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からカイサーさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」に光流さんが現れました。
■光流 > 所用で里を離れて数日。
船や馬車を利用し、ようやく里の付近まで来ていた。
ここからは徒歩でしか向かえない。
何故なら"彼"が暮らしているのはミレー族の里。
結界で簡単に入り口がわからないようになってはいるが、
見つかれば里の住人は奴隷として捕らわれてしまう。
だから鬼は獣道ですら無い山中を歩くしか無い。
特に最近は見慣れない者の姿が多く、彼らの中に不埒な考えをもつ者が
いないとも限らない為、注意が必要だった。
「―――ここ、さっきも通らなかったか?
……チッ。余所者の仕業だな。目印を消しやがって。」
風呂敷に包んだ荷をドサッと地面に置き、悪態をつく。
里へ導く目印の位置が変わってしまっていたが為に、辿り着くのに手こずっていた。
時刻は夜へ移り変わろうとしている夕方の終わり頃。
完全に日が落ちれば山歩きは更に険しくなる。
焦りを滲ませ、荷を抱えて再び進む、足。
草を踏み分け、木々を避け、歩き回る。
褐色の首筋を汗が流れていく。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にガルルさんが現れました。
■ガルル > ミレーとかかわりのある行商。
獣道を夜の闇に紛れて山中にでも荷を運び、不足したものを売ったり、逆に村や集落で作ったものを仕入れて売ったりとして、お金を稼ぐ少年。
少年が向かう先も、そんな集落の一つではあったのだが、目印が何者かによって消されていた。
「まぁ… 覚えてるから大丈夫だけど…」
その時、狼の血が混じる少年の鼻を擽るのは変わった匂い。
だが、その匂いは何度か行商をして覚えたミレー族たちの匂いも混じっていて…。
「もしかして、山賊…?」
でも匂いも弱いし…。
血の匂いとも少し違う。
月のような金色の瞳を細くし考えながら少年は注意深く足を進め始める。
匂いの風下に回り込み、少年は偵察気分で足を進め、近づいていく。
麻痺毒を塗ったナイフや、煙玉を直に取り出せるところに引き寄せれば、生まれる衣擦れの音。
■光流 > 目的地は1つ。自分の世話になっているミレー族の里だけ。
そう思わせる力強い足取りが、ふと止まる。
木と木の幅が広くなり、少し開けた場所で。
荷を下ろし、肩のコリをほぐすように首を回した。
「―――――…。」
男にしてはやや長い睫毛を備えた眼が、冷たい眼差しで振り返る。
そして、やはり唇から発せられる声音も隔意の有るもの。
「誰だ。」
金目の物なぞ持ってもいないが、生き物と在らば有無を言わさず狙う山賊の類いか。
それともこのあたりのミレー族を狩る不届き者か。
どちらにせよ、里に引き連れていくわけにはいかない。
――――必要ならばここで掃蕩しておかねばならない。
■ガルル > 開けた場所に出る相手。
風上に立つ相手の匂いを嗅ぐ少年。やはり、ミレー族の匂いがわずかに交じっている。
普段であれば気づかれる事も無く近づけていたが、ただの山賊ではない様で此方を気取り、声を掛けられる。
その冷たいまなざしを茂みの中から見つめるだけで、心臓を掴まれたような気になり動悸が激しくなる。
「そっちこそ─。 僕の知ってる人の匂いがする…。 誰…。 あの人たちに何をしたの?」
茂みの中から緊張し、震えた声で答えを返すのはやや高い少年の声。
身じろげば、大きなリュックががさりと茂みを揺らし、相手からしたら少年の体の大きさを誤認させるかもしれない。
■光流 > 茂みの向こうで揺れる影と、まだ声変わりをしていないのだろう少年の声はギャップがある。
夕日を背に受けた鬼の表情はほとんど無だが、疑心はわずかな緩みを見せた。
どうやら賊では無く―――、また、ミレーを狩る者でも無いようだ。
しかし、姿を見せる気配の無い相手に身元や事情を話す不用心さは、持ち合わせず。
「誰のことだ? ……。」
匂いと言われ、自分の腕を嗅いでみる。
生憎とここ数日は人の多い港町に滞在しており、乗客の多い船にも乗船したが故に、
様々な者の匂いが染みついてそうだ。
―――長時間自分を嬲った男の匂いも、有るだろう。
よもや数日前に離れた里の匂いを嗅ぎ分けられるとは思っておらず、特定できない。
「来るなら来いよ。それともかくれんぼがしたいガキか。」
真正面からぶつかることを好む鬼は、辛抱利かない。
こうしている間にも陽は傾いていく。
一刻も早く進みたい。ここで足止めを食らうのは痛い。
手のひらを上に向け、ちょいちょい、と指が手招く。
■ガルル > 村の誰と聞かれれば、安易に答える事などは出来ない。
返す言葉は無く無言で通す。
相手を越えなければ里にたどり着くことも出来ない。
「…」
ガキと言われれば事実を指摘されて血が巡る。
自分より強い相手であろうが不意を突けば何とかなるはずと、少年は経験の無さ故に甘い見立てを立てる。
「これでもくらえっ!」
挑発に乗った少年。
咄嗟に足元の木の実を拾い上げ、シュッと鋭い音を立て投げつけると、一拍おいて、ぶつかったりした衝撃で煙が噴き出す煙幕を生む煙玉を相手の足元に向け投げつける。
少年の作戦は単純な物、おとりの木の実と本命の煙玉で相手の視界を奪い混乱に乗じて麻痺毒のナイフで切りつけるといったもので、
相手の足元で煙が吹けば、茂みからナイフを腰だめにして相手に飛びかかるるが、それはあまりにも稚拙なもので、訓練された相手から見れば児戯にも等しいだろう。
■光流 > 激昂した少年の声とともに投げつけられる、何か。
それは避けた鬼の赤い髪を掠るように背後へと落ち、――――
「オマエ………、……」
何か言いかけた鬼の姿を瞬間的に暴発した煙が覆っていく。
確かに、少年の思惑通り視界が奪われた。
吸いこみかけて肺が拒絶する煙を遮断すべく、浴衣の袖で口元を覆った。
有毒な煙ならば手遅れだろうが、命を落とす時は呆気無く落ちるものである。
―――しかし、幸運にもただの煙だったが為に多少の咳き込みと目の痛みを感じる程度で、
気配を露わに飛び掛かってくる少年の体を躱し、物騒な物を手にする
その片腕を躾混じりに強く握ってやろうと、少しずつ霧散していく煙の中で手を伸ばし。
「……っ 本当にガキじゃねぇか。」
先ほどの影から、もう少し成長した男が出てくるとばかり思っていた鬼は真正直に声を上げながら。
■ガルル > 固い木の実はあっさり避けられる。
が、足元に投げつけた煙幕はぶわっと広がり、相手の姿を隠す。
相手を倒すことに頭一杯の少年は茂みから飛び出しナイフを突き出す。
が、あっさりと交わされながれる体。
踏鞴を踏みそうになるが、何とか堪えようとしたところでナイフを持つ手を強く握られ、小さく苦悶の声を漏らす。
「っく…。」
相手に飛び出したときに帽子は落ちたのか、髪の毛から飛び出す狼の耳、金色の瞳でキッと相手を見上げ。
「このっ! 山賊め! 里の人たちに何をしたっ!」
なんとかその手から離れようともがくも、外すことができずにじたばたとするだけの、パンパンに膨らんだ大きなリュックを背負った少年。
腕から逃げられなければ靴で相手の脛を蹴り上げようと抵抗を繰り返す。