2018/08/17 のログ
影時 > 「地を歩むならば、足跡が出来る。柔らかい土であれば、よく残ってしまうな。

 ラファル、知っているか? 狩人は足跡から獣の種類のみならず、大よその大きさや目方を測る。
 俺も同じことをやれるが、其処に他所とは違う色、種類の土が混じっていたらどう考える?」

履物を変える。
靴底の形状が違うものであれば、次第によって足跡を見分けるものを困惑させるのも、手としてない訳ではない。
今、口にするのは狩人ばかりが心得とするものではない。
此れは、他のミレー族の里を探し当て、落とす者達も使うであろう手管である。
隠れ里から出て採取や狩りに勤しむものが残す痕跡を探り、其れを辿って住処を探り当てるのだ。
ミレー族の里を落とすために、その専門家を呼ぶというのは想定される選択肢として、これも考えられる一つだ。

「ますます、逃げと時間稼ぎに加え、近づけさせないことが肝要よな。
 ……ラファルよ。暫く前にタナール砦が魔族に占領された際、あっという間に奪還したことがある騎士団があると風の噂に聞く。
 如何なる手管かは俺も知りようがないが、同じことをやれるとなると、如何ともし難い。
 力業には力業となると、この辺りの地図を書き換えなきゃぁならんだろうなあ。

 ――そう、だからまずは此れよ。
 幾つも結界を敷く。そのうちの一つが敵の動きを鈍らせる罠の結界だ。この辺りの手管はどうだ?自信はあるか?」

鳥獣を捕獲するときの罠は、人間にも使える。人間もまた獣なればこそ。
落とし穴やら麻痺を誘発する毒草が周囲にあれば、それを絞って塗り付けた罠も、十分な脅威だろう。
精霊のまやかしによる守りは、腕のいい魔法使いや精霊使いを伴っていれば、突破されかねない。

この辺りまで来れば、件の場所に近い雰囲気があるだろうか。
静かに足を止め、息を吐こう。覆面越しに嗅ぎ取る森の匂いが肺腑に満ちる。

ラファル > 「うーん……『外』、別の場所からの来訪したということが読み解ける……くらいかなぁ?
 もともとあるはずのないものがあるということは、誰かが持ってきた、もしくは外から来た誰かが居るということが推測できるとおもう。

 ……道しるべ?」

 ふと、先ほどの匂いを思い出す、違う種類の土が転々とあれば、それは立派な道しるべではないか、と。
 土程度は気にしなければ誰も気にしない、そして、気をつけて見ればわかるものでもある。
 別の種類の土が定期的にアレバそれは道となり得るのではないか、と。

「罠、は使ったことがありません。
 仕事の円滑のために、解除の方法優先で覚えたので、設置までは。
 設置自体はできても、それが上手いかどうかは。」

 一応知識はあるが、ドラゴンゆえに使ったことはない。
 侵入のために発見解除には自信が持てるが、設置となると人間の心理もあるので危ういだろうと自分でも思う。
 結界を作るほどの技量は難しいかも、と。

 

影時 > 「――その通りだ。

 土に詳しいものであれば、どこそこの地を経由してきたものである、と。
 匂いや味で分かる、らしい。……あくまで伝聞もあるが、飛び抜けた何かを持つものなら、其処まで見取るだろうよ。
 仮に里の地質と周囲の地質が……、土が違うならば足跡を辿ると共に土を見て、知りえちまうぞ。

 だから、移動するときは樹上を飛び移るといいだろうな。
 降りる時は出来る限り、風をうまく使って足跡が付くのを抑えろ。顔を見られるの厭うなら、他の姉妹も含めて被り物も忘れるな」

伝える情報としては、飛び抜けた者が混じっていた場合の想定がどうしても混じる。
昼間の森林は兎も角、夜間の作戦行動となれば、ここまでの細かな探索、捜索が難しいだろう。
しかし、戦術として昼間を情報収集と休息に宛がい、夜間に襲撃、明け方の奇襲というのも、兵を動かすものとしてやることだろうか。
これを踏まえ、最低限の方策として具体例を示す。他の姉妹は兎も角、身軽な動きは彼女だからこそできるものだからだ。

「そうかそうか。なら、教え甲斐がありそうだなァ。
 敵は多く、単独であった場合は俺と同格かそれ以上と考えた方が良い。敵が多い場合、力はあっても3人、4人ではままなるまい。
 故にな。仕込みは簡単でもあった方が良い。
 敵を足止めするのもそうだが、此方か打って出るにもどの位置に居るのか、知り得る手段も居るだろう。
 
 ――仕掛け方は幾つものあるが、仕掛け方の要点ならばすぐに教えることができるかもしれんな。
 獣道、というコトバは知っているか?」

罠、ないし類する仕掛けを推す理由はこれだ。
如何に個々人が力あるものであったとしても、人員を多く注がれた場合に対処に時間を費やすからだ。
その場合、迅速な敵の察知手段と足止めを為す方法が必要だ。斥候を併用したいが、そうすることができるものは里人には居ないだろう。
だから、攻性は低くとも、仕掛けはしておきたい。闇雲に仕掛けるではなく、想定される場所であればある程度の効果を見込めよう。

どこか愉しげな声を覆面の下から零しつつ、またしても弟子に問うてみよう。

ラファル > 「そういう意味なら、幸運だったかも。
 うちの荷物は、全部空輸だから……足がつきにくい。

 姉様達に伝えておくよ、移動は空で、って。

 ただ、マスクは……一人意味ないのがいるよ。」

 一番うえと、自分は完全に人化ができる、が、真ん中の姉に関しては、それができない。
 そして、人竜であることを誇りに思っているのか、出来てもしようとしないだろう。
 仮面していても、特徴の塊の尻尾と翼、それらは、調べればすぐわかる。
 ええもう、かなりド派手な企業でもありますから。
 空の移動はともかく仮面は真ん中だけ難しいと頭を悩まそう。
 ソも、隠れる気はあるのだろうか、ないかもしれない、ドラゴン的に。

「ふむふむ。
 できる限り、一体一の構図を作るというところですね。
 簡単でも気をそらし、その間に一人倒せばいいし、ダメージを与えられれば幸い、と。
 仕掛けが動いたところを目印にして強行すれば大丈夫。

 獣道は、道として鳴らされてないけれど、動物が何度も移動して、その結果道のようになった場所……ですよね。」

 彼の思う斥候というものに値するのは、むしろ今目の前にいる少女。
 楽しそうに言葉を放つ師匠に対しての質問には自分の知識を引っ張り出して返答をする。
 あそこ小さくて、入りづら……あ、今の姿なら行けるかとか考える

影時 > 「つくづく、竜ならではのやり方よな。
 俺が今更言うまでもないとは、思うが地上からの視線に気を配っておけ。
 そこに「ある」と分かっている誰かが動向を見守るとなると、荷物を運ぶ頻度で襲撃の時期を見定めるだろうよ。

 ああ、徹底しようもないとなると……なっちまう、なっちまうとなぁ、……見敵必殺しかあるまいなァ。
 里の門、いや、中に置くしかなかろうな。入ってきた敵は一人として、逃さず屠るために」

姉妹も色々だ。完全に人化が出来ないとなると、消去法として見られてもいい位置に置くしかないだろう。
見た者は須らく屠るという事が必要となる位置だ。しかし、消去法として恐らくはという形で思うのは、次女だろうか。
最終的な防衛線の要とするには、戦力の程をよく知らぬ故に少しばかり不安がある。
ともあれ、遊撃が効く三女、切り込める長女という配分が出来るとすれば、こういう置き方をせざるをえないかもしれない。

「然り。――何の縛りもなければ、力押しで済ませるだろう? 俺もそうする。
 そうもいかんなら、どうしても準備が必要だ。
 出来る限り相対せざるをえない敵の数は、少ない方が楽よな? 俺も御前も。

 そう、獣道というのはそうやって出来る。
 何故出来るかというとな、獣にとって邪魔なものが少ない、踏破しやすい道だからだ。
 故に山の中を何の知識もなく、あるいは兵となって経験が少ない者が歩くとすれば、少しは踏み鳴らされて歩きやすい道を選ぶわな」

言いつつ、例えばとばかりに外套の下の腰の雑嚢から一つ、極細のワイヤーを巻き付けたリールと手製の木の道具を取り出す。
丁度、小動物が行き交いそうな具合の細路を見つければ、それを横切る高さにワイヤーを張ろう、
樹の幹に巻き付け、箸を細い木の枝に巻き付けてピンと張るように仕掛ける。杭代わりの木の枝が抜けると道具に辺り、音が鳴る。
実際に己が歩み、わざとワイヤーに引っかかってみせれば弾けるように響く音が山中の静寂を乱す。一種の鳴子だ。
此れを幾つか仕掛け、巡らせることで「結界」を生じさせる。魔法的なものではない。――敵が来たと知らせる仕掛けだ。

ラファル > 「あー……うん。
 気をつけるよ、空気で隠れたほうがいいかなー。

 真ん中の姉さまは、むしろ前に出るの苦手なタイプだし。
 門を開けた人をなぎ払う役に徹してもらうよー。」

 基本は自分が荷物を運ぶ、だから、隠れるなら得意中の得意。
 シルフィードにお願いすれば、姿を隠してくれるだろう

 そして、隠れるのが意味がないと言う言葉に漏れる師匠の疲れた声。
 真ん中の姉は魔法が得意だから、それで、門を開けた存在に門と同じ幅のビームとかそういった魔法をドーンとぶっぱなしてもらう固定やりたい砲台になってもらおう。
 呪文の詠唱など、いろいろな準備もあるだろうし、それがいいと思う。
 逆に考えれば、魔法で、防御の結界を張って、侵入を防ぐという手段もありだろう。と

「うん、そだね、何もなければ最大戦力でどっかんとすればいいと思う。
 ボクとしては、敵は一体でも少ないほうがいいもんね。
 竜雪姉さまは多分その人数ものともしないし、竜胆姉さまは魔法で数を一気に吹き飛ばすかんじだけど。……うん。

 ふむふむ。
 獣道はそういうふうに……なるほど。」

 行軍の助けになるのか、と少女は感心した。
 そういう思考がなかったから、獣道ももっと覚えたほうがいいな、と。
 これから探すか、とも。

「?それは、転かすための罠にしないの?
 こけた先に落とし穴を仕込んで無力化とか」

 考えたのは、転んだ先に、槍衾の落とし穴を掘って底に落とす。
 ひとりでも落ちればいいし、多く落ちればその分相手の戦力が減るだろうと考えて。

影時 > 「すまんなぁ。 
 考えてやっているコトとは思うが、万全を期そうとするとな。どうしても細かくなっちまう。
 成る程、そういうならばそのように布陣して間違いないだろうよ。

 ……心得はあるように見えたが、戦い慣れしているようには見えなかったからな」

元々、自分はこの件に関して、部外者である。関わりのないものである。
だから、弟子やその母親がやっている物資運搬について、とやかく言う事ができる資格はない。
しかしながら、夜間でも視界を通す術やら遠見の術等がある世の中で有れば、遠方からの監視というリスクを減ずる工夫が居る。
此れが烏合の衆を追い払い、根絶やしにするのであれば、いい。
問題なのは正規の騎士団が関わるかもしれないということだ。返り討ちにすると、余分な動きを誘発しかねない。

難しいものだ。
しかし、魔法の類が得意となれば一気にやれることは多くなる。
最終的な時間稼ぎを行う要になれるかもしれない。その為にも、敵の進軍を妨げ、遅延させる準備が必要だろう。

「俺も、其の手の大技は幾つかは心得が無くもない。

 ――いいや? ラファル、脅威というのは常に足元にある訳じゃねェぞ。
 例えば、此れはちょっと手が込むが、横合いから丸太が叩き付けるような仕掛けに繋げるコトが出来る。

 云うならば、仕掛けの連鎖よ。手品の類に近いな。
 注意を一方に引き付け、認識していない方向からの急襲に繋げる。
 さて、ここに御母堂から提供された宿に籠っている間に書いたものがあるぞ。此れを見ながらやってみるとするか」

それも、いい。それもまた、罠の一つだ。他所の国ではバンジーステークやらいう類のものは凶悪な罠の一つに数えられる。
見える脅威、見えない脅威を織り交ぜることで、行軍の速度を遅滞させることが見込める。
これらを飛び越え、一挙に本陣に躍り込む敵在らば、魔法や竜の力にものを言わせた投石で打倒す方が早いだろうか。
懐から取り出す和綴じ本を見せよう。薄い本の表紙には、こうある。――「竜にも分かる罠の作り方・初級編」と。

言いつつ、手渡しながら浮かべる人の悪い笑みを消して、こうも告げよう。
全て読み終えたら、焼いて処分しろ、と。そう言い含めながら弟子に差し出す。

ラファル > 「にゃ?ドラゴン早いし、積載量多いし、荷物運ぶのべんりだからしてたんだ。
 それに、その場所の担当、ボクだし。
 あと、師匠がそういうの、いろいろ僕らより詳しいからお願いしてるんだし、意見は欲しいと思ってるよ。

 うん、竜胆おねえちゃんは戦場にたった経験ないよ、戦ったことも。」

 彼の質問に対して、正確な情報で返していく。
 外部だからこそ、判るものもあるだろう、内部の状況は必要な分を伝えるのは信義とも言えるので、ちゃんと説明する。
 コチラの目的は、防衛であり、逃走と安全の確保、敵の殲滅ではない。

「師匠にも……うん、あるんだろうね。

 ということは、逆に見える罠を配置して相手の油断を誘って、見えない罠でというのもあるってこと?
 例えば、何かありそうですよ、と言う罠を見せて、それに警戒を払っているうちに別の罠が発動する、とか。
 
 ―――本。」

 彼の説明を受けながら、懐から出てくる書物に目を落とす。
 『竜でもわかる罠のつくり方。』そうか、わかっちゃうかー。
 少女の口元がにやぁぁ、と面白そうに三日月を作り出す。

「はぁい。」

 書物を受け取り、最後の一言に了解の意を込めて返答。

影時 > 「そういうことか。ならば、了解だ。
 この国に来て幾つか見たし、俺もやったが害を成す飛竜を駆る、あるいは捕獲するのをやる奴はその経験を下地にする。
 それはそうだ。伝聞するよりも、自分で得た経験の方が強い。
 他人に言うまでもないコトだが――拘りが過ぎれば、囚われる。飛びながら、身を隠す手段があるとすりゃァ、其れに勝るものはないな。

 分かった。その意味でも、あの次女殿はやっぱり本陣に置いておくのが最善だな」

成る程、と。聞けば納得できるものがある。
人の姿、竜の姿双方で身を隠すことができるならば、この場においてもやはりうってつけの人材、もとい竜材であったろう。
能力と他の戦力の把握が出来てゆけば、より明確に布陣を整えてゆくことができる。
可能であれば、幾らか戦いなれている者との協働が望ましい。
常駐しているものがそうであるならば、共に行動させる方がいいとも言い添えよう。

「まァなぁ。何にしろ、使わずに済むなら一番いい。
 
 を。分かってきたな。その通りだ。
 派手に音を鳴らすような、或いは火薬仕掛けで光を生むような仕掛けでたじろがせ、誘導して次の罠に繋げる。
 この前教えた分身が使いこなせるなら、罠を敷設した要所に置いて伝令代わりに出来るだろうな。
 狩猟用の罠はこうもいかんが、里や群を守るようなものなら、手前ェの首を絞めない限りで幾らでもやれるなぁ。

 ――親や他の姉妹に悪戯したい、驚かしたいとか、思ったことがあるなら素質があるぞ」

本には今まで説明したもののおさらいも含め、よく使う縄の結び方、材料の調達の仕方から始まり、具体例、心得まで記した。
出来る限り簡単に目を通せるように工夫した関係上、どうしても基本的な点に終始した感は否めない。
だが、「悪戯、悪用ヲ固ク禁ズ」という旨は最後に明記しておくのも忘れていない。
最初にも教えたが、己が提示するのはいずれも目的を達するための「手段」である。その例だ。
遊ぶのも良いが、其れが過ぎるとかえって囚われる。其れを弁えた上で行使することもよく、教えておく義務が己にある。

「……さーて、んじゃァ、実用の例を仕掛けてみるか?」

では、と。再び気配を抑えつつ歩き出そうか。
教本通りの罠の仕掛け方から、前に教えた分身を使った応用――どれ位の距離まで感覚を伝え合えるか否かを実演と共に確かめ、試す。
何れも時間はかかるが、要点さえ押さえてゆけばきっと一通り修められるだろう。そう信ずる。



 

ラファル > 「あそこは場所が場所だしね、追っ手に捕まらない、見つかりにくい、早くする必要がある、となるとねー。
 うん、ほら、空気を集めてしまえば、それが見えなくなるんだ。」

 屈折率というものを、体系的に説明はできないけれど、概念的には理解している。
 空気をたくさん集めて、周りにまとえば立派な光学迷彩、身を隠す、その一点では少女は三姉妹最高能力を持つ。
 次女は本陣で、防衛で確定らしい、身体能力的にもそれが一番なのだろう。
 姉との戦いはしたことないけれど、大体は分かる。
 自分より強い齢の大雑把なものよりはもう少し踏み込んだもので。
 あとは、あの人たちとの共同戦線に対して、どう動くかとか、罠を設置の許可とか、であろう。

「うん、一応基礎だけは解除のために覚えてるし、師匠が教えてくれる方法はわかりやすいし。
 うん、うん、いつもやりたいと思ってるかなー。
 分身が便利でいいし、ほら、ここにいながら罠を仕掛けることもできるんだし。

 はぁい。」

 そして、始まるのは罠の仕掛け方の実際的なもの。
 教本では教えられない心理的なこととか、そういったものが重点的になるのだろう。
 作り方や仕掛けかたはこの本に書いてあるのだし。
 
 そして、最後の一文に、えぇぇー。と残念そうにつぶやいたのち、燃やすのだった。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」から影時さんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からラファルさんが去りました。