2018/03/20 のログ
■ルーフェン > 「気にするな、雌の価値は胸で決まるわけではないからな」
かかかっ、と笑って見せる。しかし、彼女と視線は合わせないのは何となく言葉尻に怒気の気配を感じたから
しおらしい雌も怒らせると恐ろしい事を長い間生きてきて自分は知っている
彼女に「おしめ」なるものを探索するように頼まれればその場から逃れる為に了承して幌馬車の中へ戻る
それ程大きな馬車ではないし、彼女の説明を聞いたから探せば容易に見つかるだろう
ベッタリと血の付いた衣装箱を再び開き、中をゴソゴソとあさってみる
「そうかあ、孕まねば乳は出ぬのか…ドラゴンであったら、動物でも魔物でも小さい頃から食らうがのう…」
不便じゃな、と感想を零しながらガサゴソと衣装箱をあさり、面倒になったので最終的にひっくり返す
どうやらそれらしいものを見つければ、むんず、と掴み取り立ち上がれば、彼女の傍へ
呼び出された水精霊に気がつけば、云百年ぶりに見た、とか零しながら彼女に「おしめ」らしきものを差し出す
「そうか…それの匂いじゃったか…微妙に乳臭いな」
彼女が「おしめ」を受け取ればじーっ、と彼女がそれを取り替える様子に興味深げな視線を送る
■レイカ > 「そう思ってるなら、そういう視線を投げないでください…。」
確かに、私は女としてはおそらく魅力のかけらもないだろう。
胸は薄いし、目つきも鋭い。言葉遣いだって、最近は気を付けているけどきついときもある。
だが、それでも女として見られないのはやはり不服だ。私だって女を捨てたわけじゃないのだから。
おしめは、まだ綺麗だった。
水の精霊に布をきれいにしてもらってから、しっかりと拭いてあげて汚れを取る。
この汚れ方からして、どうやらそこまで長い間放置は去れていないらしい。
ということは、襲われたのはつい先ほどということになるか。
おしめを変えながら、私はいろんな考えを巡らせていた。
ミレー族を襲っていたわけじゃない。
おそらくここを通っていた時に運悪く、山賊と鉢合わせたというところか。
「お乳のにおいは仕方がありませんよ、赤ちゃんなんですから。」
だけど、私にはこの甘いにおいを感じることができない。
我が子を抱けないけれども、こうして赤ちゃんを抱くことはできるのだから。
■ルーフェン > 「…判った、次からは舐め回すような視線をレイカには向けよう」
少々怒っている、というのを判っていて尚、こんな風に冗談を彼女に返す
雌は恐ろしいとは判っていてもつい、こんな風に返してしまうのは単純におつむがちょっとアレだからである
何処と無く不服そうに見えるけれど、彼女の心の内までは理解が及ぶことはなく
彼女の手際は見事であったけれど何処か上の空と言うか、おしめをかえて綺麗にしながらも、
全く別のことを考えているのは何となくであったが感じ取れる
推測に過ぎないが自分と入れ替わりに何処かへ逃げていった山賊の事でも考えているのだろう
彼女は森の中に多くのミレーを匿っているから、そこへ思考が至るのは当然のことと思う
「そういうものか…?
まあ、それはそれとして、その赤子どうすればよい?
お主、山砦にたくさん匿っておったじゃろ?そいつも連れて行って面倒みるか?」
自分が何処か、その辺りの人間に押し付けてもよいのだが、この国は治安がよろしくない
で、あれば彼女に頼むほうが余程、安全だと自分には思えた
自分が連れて帰っても、自分もドラゴンであり、同居人も龍であるから、人の赤子は手に余る
…というより、人であれば人の輪の中で育む方が自然の成り行きと思えた
■レイカ > 「……カキョクさんに叱ってもらいますよ?」
同じ女なのだから、セクハラで訴えれば少しはわかってくれるはずだ。
まあ、ここのところ彼女はなかなか戻ってくることが少ない。
とはいえ、いつも持ち歩いている笛を使えばすぐにでも来てくれるとは思うけれど。
出来ればこれは最終手段…これを使うことなく、毎日を過ごせればそれでいいと、私は考えていた。
「ドラゴンと人間じゃ、いろいろと勝手が違いますからね。
でも、この甘い匂い…私はかわいいと思いますよ。」
ふわふわのマシュマロみたいに柔らかいほっぺに、くりくりとした丸い目。
とても小さい命だけども、確かにそこに存在している命。
この命だけが奪われなかったのは、奇跡といってもいいだろう。
だから、その先の「奇跡」はこの人に託すつもりだった。
「……拾った以上、責任がありますよ。
ルーフェンさん……この子を、街の孤児院に連れて行ってあげてくれませんか?」
マグメールならば、確か孤児院も数多く点在しているはずだ。
私は故あって街には行けない、けれどもルーフェンさんならば行ける。
だからその責任を、私はこの人に押し付けようとしていた。
里にこの子を入れるわけにはいかなかった。
たとえ赤ちゃんでも、あの里の情報を持ち帰らせるわけにはいかない。
そう…連れて行くわけにはいかないのだ。
「あそこに、人間を受けいれるわけにはいきません。
この子には気の毒とは思いますが……人間界で暮らさせたほうがいいでしょう。」
願わくば、良心的な人に拾ってもらえることを祈る。
■ルーフェン > 「それは良いな!わしもまだあやつの怒った所は見ておらぬ故」
なんて面白い事をいう人間なのだろう、と眼を爛々とさせる
実際に叱られたら、あっという間に消し炭にされてしまうのかもしれない
身体の芯から燃やし尽くすような…そんな術を、恐らく彼女は持っているであろうから
「拾ったわけではない。箱の中にしまって置かれたのを偶然見つけただけじゃ」
あっさり彼女が引き取ってくれると思っていたから、彼女の言葉を聞けば、あからさまに面倒だ、という顔になる
そもそも、孤児院に連れて行った所で根掘り葉掘り聞かれるだろうし面倒なことこの上ない
そもそもが助けよう等と思ったわけでなく、この赤子が助かったのは誰のお陰でもない全くの偶然なのだ
「…赤子だぞ?人間1人くらい増えてもミレーの連中は文句をいうわけではないじゃろ?
それとも、ミレーの連中は人間の赤子1人受け入れられぬほどに狭量なのか?
あやつらが悲惨な眼にあったのはこの赤子のせいというわけではあるまいに…」
ぶーぶーと文句を垂れる
隠れ里のミレーたちが人間に悲惨な目にあわされて逃げてきたというのは何となく察していた
他にもまだ、色々と言いたい事はあったけれど、チッ、と舌打ちを1つすれば、少し離れて
人型から巨大なドラゴンへと姿を変じる
『1つ、貸しであるぞ?』
彼女の頭の中に直接語りかける念話
力を絞らずに語りかけたから彼女の頭のうちには驚くほど大きく響かせたのは態とであった
彼女に赤子を幌馬車の中へ乗せるよう指示すれば、むんず、とその幌馬車ごと抱えて飛び立とうとする
■レイカ > 「…………。ハ、ハぁ…。」
やっぱり変わった人だと、私は思った。
怒られたいということもそうだけども、怒ったところを見てみたいと。
私は遠慮したい、彼女とはいい友達でいたい。
怒らせたいなどと思ったことはないし、何よりも彼女もれっきとしたドラゴンだ。
私なんか、あっという間に焼かれて灰になるに決まっているから。
「なら、見つけたあなたがちゃんと運んであげてください。
それが人間流の、責任の取り方というものですよ。」
それに、別に手渡す必要はない。
孤児院の外においておけば、おそらくそこにいるものがその子を見つけ、かくまってくれるだろう。
箱の中にしまわれていたのならば、この子を逃がすために母親が選択したのかもしれない。
おしめがあったこともあるし、間違いはないはずだ。
「……それでも、です。ミレー族のためだけではなく、そのこのためでもあるんです。
いつか大きくなった時に、ミレー族を擁護する酔狂な人間になると困りますからね。
それに、あの里のことを話さないとも限りませんから。」
その可能性を捨てきれない以上、私はこの子を里には連れていけない。
以前ならば二つ返事でしただろうけれども、今のは私は違う。
30人規模のミレー族の里の長として、皆を危険に合わせる確率は、できる限り減らしたいのだ。
文句をたれつつも、しっかりと運んでくれるらしい。
少し頭の中に響く大音量の声に耳鳴りがするけれど…嫌がらせだろう。
このくらいなら…まあ、代償と思えば安いものだ。
大きなドラゴンが、街のほうへと飛び去って行く。
それを見送りながら、私はその場を…祈りをささげてから離れた。
■ルーフェン > 「わし、ドラゴンだし。人種の事なんて知らんもーん」
と。喉元から出かかったが敢えて言葉を飲み込む
あーだこーだと彼女と言い合っても、結局彼女はこの赤子を引き取ることはなさそうである
それが彼女の里の長としての判断なのだろう。隠れ住まうに人数が増えてしまえば何れそれも難しくなる
合理的と言えば合理的のような気もするが、もう少し慈悲を掛けてもよいのではないかと思わぬでもない
結局、ドラゴンはそれ以上の口出しを止める
風来坊な自分と違い、彼女には彼女自身に課した責任があるのだろう
自分が折れる形というのが気に食わなかったが、彼女の言に理が無いわけではないというのは判った
『………』
幌馬車を掴めば彼女に一瞥し、ごう、と強い風に身体を浮かせる
見送る彼女から視線を離せば、幌馬車を落とさぬよう気をつけながら速度を上げていく
『しかしあの娘…未来永劫、あの里に隠れ住まうつもりなのだろうか…だとすれば難儀な事よ
……おうおう、泣くな、人の子よ。我とともに空を駆けるなど滅多に出来ぬ経験ぞ』
幌馬車の中から鳴き声が聞こえる
流石にこの姿のまま王都に近寄ることも出来ないから一思案必要だろう
面倒なことよ、とうんざりしながら一先ずは大空を飛んでいく――――
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からレイカさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からルーフェンさんが去りました。