2017/01/30 のログ
オーリ > 殺気を孕んだ視線が此方を睨みつける
ご丁寧に手には刃物が握られ、何かあれば此方へ飛びかかってくる、という気配は見て取れる
彼女に向けていた瞳を丸くして、はあ、と嘆息を零せばそれきり、視線を外し
剣呑な雰囲気の彼女を気にすることなく雨に濡れた外套を火の傍で乾かし始める
彼女が自分の行くべき道を示せば、そちらへ視線をチラ、と向けて助かる、と小さく礼を告げ

「…迷い込んできただけで此処に至った道もハッキリとはせんから、話のしようがない安心しろ
 道を教えてくれたついでに少し火に当たらせてくれ。外套を乾かしたらすぐに消える」

自分から距離を取る彼女
焚き火を独り占め出来るのはありがたく、露骨に警戒されようとも気にすることはない
だいたいが夜中に雨に濡れた男がひょっこりと現れたら誰だって警戒する…自分であってもそうする
……とはいえ、些か彼女の警戒は以上にも思えるのだけれど

「…追われてるのか?若い身空で大変だな、俺も人のことは言えないが…
 何をしでかした…?殺しか?盗みか?まあ、どちらにせよ、こんな何もない山の中まで追ってくるとも思えんが」

ポケットを漁ると、道中で拾い集めた植物の若芽や樹の実を口の中へと放り込む
行動食のようなもので対して味も良くないが口にしておけば何も口にしないよりは幾分身体の調子が良い

ファトム > 特に何かをしてくるようなそぶりは、人間は見せていない。
こっちに襲い掛かってくるわけでもないし、攻撃してくる様子もない。
武器も持っていないし、本当にただ迷い込んだだけなんだろうか。

いや、そんなことはないはずだ。
少女は、集落が襲われた時のことを思い出していた。
旅人を装って、やってきた人間を迎え入れた結果、皆殺された。
油断しちゃだめだ、警戒をしておかないといけない。
人間は皆、嘘つきで信用なんかできない種族だ。

「……嘘だったら殺す。
火は…別に使いたかったら好きにしろ、でも乾いたらすぐにいなくなれ。」

たき火を明け渡したけれど、人間のそばにいるよりもずっとましだ。
ともかく、襲い掛かってくる様子もないし何かしようとしている様子もない。
火を使って、ここの森を焼き払ってミレー族の里を見つけやすくする、なんてこともなさそうだ。
警戒はする、けれど何もしてこないならこっちからも何もしない。

「……人間には関係ない。
それに、人間はとても欲深いから、お金になるとわかったらこんなところにも来るだろ。
お前たちは…ミレー族をただの金もうけにしか考えてないんだから、……っ!」

ポケットを漁りだした人間。
何を出してくるのかと、少女はミセリコルデを構えて警戒した。

そこから出てきたのは、ただの木の実だった。
食べ物と知ると、ミセリコルデの刃をおろしてほっと一息つく。

オーリ > どうも此方を警戒して頭の中でぐるぐると様々な考えが頭を巡っているようにみえる
自分が彼女を害する理由は一切ないし、そんな事をしても自分に利益があるわけではない
好きにしろ、と言われたのでいよいよ、遠慮なしに火の傍に腰を下ろせば火に手をかざしホッ、と息をついた

ポケットから行動食を口に運びながら彼女へ視線を向ける
自分はこの国に来てまだ火が浅いのでよくわからないのだが、これだけ「人間」という単語を
使うからには彼女はどうやら人ではなく、亜人かそれに類する種族なのだろうというのは想像がつく

「確かに関係はないな、挨拶みたいなもんだ、気に触ったなら謝るよ
 ……どうかな、金になると判っても労力に見合う程でなけりゃ早々、動きはしないだろ
 こんな山の中にまで女一人殺すなり捕まえに来たって大した金にゃならんさ…君が王族とかってんなら、
また話は違うだろうけど」

ポケットに手を入れれば露骨に此方を警戒する様子を見れば首を傾げる
取り出した行動食を口にする様子にあからさまに、ホッ、と安堵する様子を見せれば、苦笑いを浮かべ

「そう、露骨にホッとするなよ、気が抜ける
 ……そこの木の陰、俺の短槍が立てかけてあるから、そんなに心配なら見張っておけ」

自分が此処へ至るに歩いてきた方向、焚き火から数歩の所に立つ一本の木を指し示した
そこには、火のそばにいる人物を警戒させまいと立てかけておいた男の短槍が置いてある

ファトム > 火のそばに腰を下ろした人間を睨みつける。
火を怖がらないのは人間だからだろうし、やっぱり警戒はしておく。
火はまた、新しく起こすだけだしちゃんと消しておけば、後で問題にはならない。

「………ミレー族はとても高値で取引されてるんだろ?
貴族が言っていた、私たちは奴隷とか、そのあたりで需要があるからって…。」

この人間、少しおかしい感じがする。
人間のはずなのに、人間の世界でのミレー族の価値を知らないのだろうか。
容姿がいい、女のミレー族は汚い街で高値で取引されている。
少女が人間をここまで警戒するのは、またあの地獄に戻しに来たのかと思っている。
そして、人間に何もかもを奪われた少女の人間嫌いは、修復することはとても難しい。

逃げ出せるミレー族はまだいい。
だけど、逃げ出して捕まったミレー族はみんなひどい目にあわされる。
その、ひどい目に会い続けた少女は人間に対し酷い嫌悪と憎悪を抱いている。

「………何かしたら殺す。」

強い口調、そして目つきで言い放つ。
距離を放しているから、何かしてもすぐに対処できる。

ちら、とそっちには確かに一本の短めの槍が立てかけられていた。
この人間、これでいきなり襲い掛かることもしてくるかもしれない。
ミセリコルデの刃を向けながら、もう一歩人間から距離を取った。

オーリ > 彼女の説明を聞けばなるほど、と合点がいった
この国では彼女の種族は取引の対象になるらしい…眼の前の彼女も襤褸を纏っているが、なかなかどうして美形である

「…なるほど、そういうわけか…
 すまんな、この国へは流れ着いたばかりで…事情をよく判っていない。
 おかしな事を言うかもしれんが勘弁してくれ」

結局はどこの国もそう違いはないのである
弱いものは強いものに虐げられる…弱肉強食、世界の基本定理に外れることはない
ともすれば、この眼の前の彼女も人間相手に酷い目を見たのだろう…この警戒っぷりも合点がいく

「……何もしないでも殺されそうだな
 そういう、眼をしてる。俺なんぞ殺しても何の足しにもならんだろうに」

信用してほしいとは思わないが、流石にこう憎悪や嫌悪を向けられては針の筵である
居た堪れない、というのはこういう事を言うのだろうなあ、と手近にあった彼女が集めたであろう薪を
焚き火に焚べる
乾き始めた外套の裾についた泥を手で退ければ、彼女へ視線を向けて、立ち上がるだけだから、襲うなよ?と
ひと声かけてゆっくりと立ち上がった

「それじゃあ、身体も温まったしボチボチ往くかな
 どうも、歓迎されざる客なようでもあるし…」

脇に抱えていた外套をひょい、と彼女へ向けて投げれば背を向けて
立てかけてあった短槍を手に取ればもう一度、彼女へと向き直った

「…外套は焚き火の礼にくれてやる
 そんな身形でこんな山の中にいれば寒かろうし、偶然、男にでも出くわせば変な気でも起こすかもしれん
 迷惑料だ、要らなきゃ勝手に処分しろ…じゃあな、借りは返したぞ」

木に立てかけてあった短槍をひょい、と担ぎ。懐にしまった薬草を確り持ったことを確認すれば、
彼女が指し示した街道に続く道へと向かい歩き始める

ファトム > この国に来て間もない人間は、ミレー族のことをよく知らないという。
信用できない言葉だ、そもそもミレー族がいない場所なんてあるんだろうか。
毎日、愛でるという目的で少女を見ていた貴族の周りには、少女と同じような境遇の少女がたくさんいた。

毎日、血が出るまで殴られたこともあったし、大事なところを傷つけられたりもした。
少女に至っては、最も大事なものを毟り取られてしまった。

そういう事情をよく知らない人間もいるということを、少女は初めて知った。
だが、だからといって目の前の人間を信用するつもりなんてさらさらない。
いつか、この人間も金に困ってミレー族を襲うとも限らない。
人間は皆、自分勝手で欲深くて、そして何より恐ろしい。

「…少なくとも、ここにやってくる人間は一人減る。
私は人間を絶対に信用しない…、信用したら裏切られる。」

とはいえ、信じた人間なんか一人もいなかった。
みんな、少女を下げずむような眼で見ていたし、この男も信用できない。
変な人間も中に入るけれども、この人間はどっちかはわからない。

先に、立ち上がるだけだと一言いえば、本当にそうかと疑う。
手の動きに注意しながら、少女は男に対してミセリコルデの刃を向けた。

本当にそれだけだったから、少女はまたほっと一息ついた。
歓迎していない客だというのはその通りだし、人間というのは甘い顔をすればすぐつけあがる。

たき火のお礼に、と何かを置いていった。
人間がつけていた服、温かそうでちょっと気になっていた。
それをくれるというけれど…そのお返しをよこせと、もう一度言うんだろうか。

少女は警戒しながら、後ろを振り向いた人間を見送った。
本当に何もしなかった人間を。

「……ここのこと、絶対に誰にも言うなよ!」

少女は、そう後ろ姿に向かって叫んだ。

オーリ > 立ち上がる、と事前に断ったにも関わらず、じっ、と彼女が此方に向ける猜疑の視線に気がつけば、
ここまで筋金入りだと呆れるよりも苦笑が浮かんでしまった
余程、手酷く裏切られたのだろうが、まあ、生きていれば人間だろうが亜人だろうが、
一度や二度くらいはそんな経験はするものだと自分は思っている

言葉通り、ただ立ち上がり彼女がわかりやすく安堵の息を零せばとうとう、笑い声が小さく溢れる
義理堅くも外套を彼女へと放り投げ、背中を向けて歩き始めれば背後から声が聞こえた
わかっている、とでもいうように背を向けたまま、軽く手を上げて返事を返すが、悪い顔を
彼女の見えない所で浮かべて振り返り

「……そうだ。1つ言っておく、ちゃんと水浴びをしろ
 あんたのような女性にこういうのはどうかと思ったが…その、なんだ…少々匂うぞ?」

あれだけ敵意を向けられたのだ、冗談の1つくらいは許されるだろう
最後にそんな仕返しを彼女へすれば、怒声か、はたまた明確な殺意か…彼女の反撃を
もらうよりも早く、暗い森の山道を逃げるように駆け出すのだった……―――

ご案内:「九頭龍山脈の奥深く」からオーリさんが去りました。
ファトム > 少女にとって人間とは、とにかく嫌悪と憎悪の対象でしかない。
だからこそ、人間が近寄れば警戒もするし、山奥で自炊生活を送っている。
人間は大嫌いだ、だから信用なんか絶対にしてやらない。

―――…しかも、笑われた。
体が、匂うと言われた。

「………っ!
お、大きなお世話だぁっ!!」

ちゃんと水浴びだってしてるし、髪の毛は毎日きれいにしてるのに。
冗談を冗談ととらえなかった少女は、まるで逃げるように去っていく人間に怒鳴っていた。
やっぱり殺しておくべきだった、そんな後悔も生まれる。

でも、投げられた外套は…とっても、温かかった。

「………ふん、今日のところは見逃してやる。」

そんな少女の悪態を聞くものは、だれもいなかった。

ご案内:「九頭龍山脈の奥深く」からファトムさんが去りました。