2016/10/11 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にエクシオさんが現れました。
エクシオ > 悪漢がうようよ蔓延ることで悪名高い山賊街道。…もっとも、賊でなくとも大概な連中は数えきれない程存在する。

今、山中に一人投げ出され捨てられる形となった少女はほっと安堵した事だろう。自由だ、奴隷市場に連れられればどのような凄惨な地獄が待ち受けていることか―

一方で、奇しくも馬車が進んでいった方角を目指して一人歩き続ける旅人と思わしき筋肉質な一人の男性。まだ少女に気付いてはいないが、歩いているうちに視界に留まる事だろう。

「流石にしんどいな。山ん中うろうろし続けるもんじゃねぇ…」

額の汗を拭いながら、歩き続けること数分。ようやく、男は山中に一人投げ捨てられる少女の存在に気付いた。

「お…」

男は少女を見れば、きょろきょろと周辺を見回す。そして、誰もいない事を知れば

「ラッキー」

邪心が見え隠れする笑みを浮かべながら、そういって少女のすぐ傍まで近づいていく。

リリエン > たった今まで気持ち良く仮死状態でいたけれど、未だ眠い気がする。
誰も居ないならこれ幸い、もう少し眠って過ごそうか、などと。

呑気に欠伸を洩らしたところで、ふと、近づいて来る足音に気がついた。
くるりと其方を振り返り、生来、然程良くはない視力で足音の主を確認すると、
無意識のうち、僅かに眉根が寄ってしまった。

「……男ひとり、か」

男が複数で接近中、よりはだいぶマシな状況ではあるものの、
歓迎すべき事態であるとも言い難い。
とくに、下着すら無く薄手のローブ一枚などという、軽装であればなおのこと。

見ず知らずの相手をいきなり疑うのも宜しくないかも知れないが、
何よりもまず、あの笑顔が宜しくないものに見えるのだ。

とはいえ、仮死状態から復活したばかりの身。
深い眠りに就いた直後は、いつだってそうなのだけれど、
今、立ち上がろうとすればきっと、足が縺れて盛大に転ぶ。
ゆえに、ぺたりと両足を投げ出して座った体勢のまま、
唇をきゅっと引き結び、男を不愛想に見据えることと相成った。

エクシオ > こんな山中に一人で居る…ましてやそれがまだ右も左も自身では判断が付きそうにもない少女ときた。

己に限らず、こんな無防備な少女がいれば多少なりとそういう欲望は自然とこみあげてくるものではないだろうか。

邪心を含みながらも、勝ち気に笑みを浮かべた男は少女にとっては十分に忌避すべき対象として映る事だろう。

しかし、自身を目にしてなお逃げ出したり怯える事なく反抗的とも言える表情を返す少女に、男はどこか感心した様子を浮かべ

「んな怖い顔すんなよな。こんなとこで一人でぶらぶらしてるのが悪いぜ」

つまんなさそうな顔をして少女に返す。座った態勢のままそこから動かない少女のすぐ目の前まで近づいて腰を下ろせば、少女が着用するローブ…それから首にはめられた紅い首輪に手を引っ掛けて、くいっと軽く押し上げ

「いいねえ、諦めの良さは大事だぜ。」

少女の首に着けられた、紅い首輪が何を意味しているのか、状況と合わせればだいたいの見当はついた。

「んじゃぁ、邪魔が来るといっきに冷めちまうからな。暴れんなよ?」

そういって、筋肉質な腕を少女の華奢な胴へ回せば、やや無理やり担ぎ上げようとする。

リリエン > 男の側の都合など、己の知ったことではない、と思う。

特段怖い顔をしている心算も無いが、首が痛くなりそうな角度で
見上げているのだから、心なし、睨みつけてしまっていたかも知れない。
何れにせよ、怖い顔、と言われればますます顰め面になるのが人情であろう。

「ぶらぶら、などしておらんわ。人聞きの悪いことを言うな、下郎が」

紡ぐ声音は愛らしいソプラノボイスだが、中身は全く可愛くない。
直ぐ傍へ腰を落とした男の手が、真新しい紅い首輪を引っ張れば、
為す術もなく引き寄せられながら、ぐ、と喉を詰まらせて。

「こら、気安くわらわに触れるな。
 ―――おい、…わらわは荷物ではないぞ、なにを勝手に、……おい、きさま!」

相手が何を納得したのか知れないが、荷物のように担ぎ上げられれば、
さすがにじたばたと手足をばたつかせ、抗わずにはいられない。
両手でばしばしと相手の身体を叩き、両足は勿論蹴りを試み、
なんとかして逃れ出ようとする、のだが。
手数こそ多いものの、一撃一撃は大変に弱々しい。
相手に然したるダメージを与えられる、とは思えず。

エクシオ > 恐怖心を見せまいとする抵抗か、それとも諦めを含んでの恨めしさか。どちらにせよ、少女の敵対的な態度は変わらず、ましてや気丈にも己への罵倒もついてくるという有様。

しかし、無抵抗な少女がそうして強気でいるのは男にとってまるで脅威でもなく

「はは!そいつはごめんなぁ嬢ちゃん」

機嫌よく笑い飛ばす。だからどうした と暗に蹴とばす旨の返しでもある。可愛らしい声に似合わぬ反抗的な態度は、男の邪な楽しみをだんだんと具体的なものにしていく。

「おうおう、ごめんな。礼儀はなってねぇかもしれねぇよなぁこんなのはよぉ」

構わず、少女を担ぎ上げれば、必死の抵抗なのか細い手足を己の身体にぶつけてくる。だが、こちらは曲がりなりにも鍛えている。ごつごつとした筋肉質の身体に与えられる打撃は極めて微々たる程度のものでしかなかった。

「はは、元気がいいお嬢ちゃんだな。でも鍛え方が全然足りねぇぜ」

余裕なのか、高く笑い飛ばしながら少女を担いだまま、人が到底訪れない、また気づかないであろう茂みの向こうへと少女を担いだまま去っていく。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からエクシオさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にエクシオさんが現れました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からエクシオさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からリリエンさんが去りました。
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」に砕華さんが現れました。
砕華 > (日中でも、影が差し込んでいる場所は、肌寒い季節に移り変わった。
このまま、冷える時期が続けば、紅葉も進み、絶好の行楽日和になる日も近そうだ。
現に、既に落ち葉になっているものの中には、赤く、黄色く色づいた葉が、いくつか落ちている。
毬に纏われた木の実や、食べることは出来ないが、小さな木の実なども、そこかしこに落ちている。
季節はすっかりと、冬へと向かう最中、秋へと移り変わっていた。

砕華は、先日オープンさせたばかりの、薬屋『紅一朝』で使う、薬草を探しに、今日も山へと出かけていた。
今日の目的は、薬草だけではない。
冬へと射し変わる最中、植物たちは必ず、次の春に備えて、種を体内に残す。
その種を採取し、店の裏にある庭で、育てるために必要なのだ。
手持ちの薬草だけでは、とてもではないが、店を賄えるだけの品数は、どうしても揃えられない。
逸れに、露天商をしていたときならばいざ知らず、きちんとした店を構えたというのに。
その品が、数種類しかない、というのは、些か寂しいものがあった。)

「さて、このあたりで、ミズミ草が見つかればいいのだけれども。」

(ミズミ草とは、主に山に生える薬草の一種で、頭痛薬の材料になる。
欲を言えば、もう少し別の種類の薬草も、見つけたいところなのだが、何しろこの山は、思っていた以上に広い。
探し回って、そのまま山に迷い込み、店を開くことが出来ない、などとあっては、せっかくオープンさせた店が、泣いてしまう。
だから、今回はミズミ草だけに絞って、山探しに来た、というわけだ。

幸い、この山は、祖国シェンヤンの山の生態系に酷似している。
先日、探しに来た際も、シェンヤンでも見かけられる薬草が、多数手に入った。
ならば、群生する性質を持つ、ミズミ草も必ず見つかるはずである。
背中に長刀、そして、肩に籠を背負い、慣れた足で山道を、静かに歩いていく。)

「それにしても……動物の気配もないね。
島民の準備に入っているのか、それとも、このあたりに塒は、無いのかな?」

(街のほうでは、山賊も出る故に、あまり近寄るものがいない、と言う話だった。
近頃は少しでも、治安がよくなった、と言う話だが、動物の気配すら無い山は、正直少し不気味である。
鳥の鳴き声すらも響かない、木漏れ日の差す薄暗い森は、あまり長居したい場所でも、無かった。)

砕華 > (ミズミ草は、一見すると、苔のようにも見えるが、隋分を多量に含む草だ。
木の根元、特に雨が降った翌日などは、その周辺が持ち上がり、踏み締めると、僅かにだが、水が溢れ出す。
足元に眼を凝らし、気の根元などは、足で踏みしめて、草を寝かせる。
ただの雑草を引き抜いたところで、利益など無いし、目的の薬草を的確に見つけないと、頭痛薬も作れない。
もっとも、別の薬草が見つかり、それがいい薬になる、という事も珍しくは無い。)

「あら……?これって、シロツメクサ?」

(現に今、踏み締めた木の根元、そこにあったのは、肉厚の鋭い葉を持つ、食虫植物であった。
シロツメクサ、中に取り込んだ蟲を消化し、餌にする食虫植物なのだが、その捕食法が少し変わっている。
半分消化し、白っぽくなったところで、次の獲物をまた、その体内に取り込む。
取り込んだ際、まるで詰め込むように、体内で蟲が、堆く詰め込まれていく。
「白」っぽくなったところに、「詰め」込むことから、シロツメクサと、シェンヤンでは名づけられていた。

この食虫植物もまた、立派な薬になる。
草の中で分泌される消化液を、食虫植物と一緒に磨り、それを煮詰めて固めると、食べ物の消化を助ける働きがある。
飲みすぎた翌日の、酒を消化する際や、食べ過ぎた際の胃痛・胸やけなどに効果がある。)

「これは、幸運。それも、かなり長く育っているね。」

(開いているのかいないのか、よく分からないような細目が、嬉しそうに釣り上がった。
シロツメクサは、探そうと思って、見つかるような、薬草ではない。
木の根元などに、生えていることはあるものの、群生もしない。
其処に一本生えていると、後はしばらく見つからない。
シロツメクサは、植物には珍しく、縄張りを持っているのだ。
木の根に寄生し、其処から、ほかのシロツメクサに対する毒を発生させ、自分だけのテリトリーを作るのだ。

しかし、それゆえにシロツメクサ一本で、多量の薬が作れる。
肉厚の葉一つでおおよそ、30日分の薬が作れるのだ。

砕華は、肩に背負った籠を、土の上に置き、長刀を構えた。
護身用ではあるが、時にこの長刀は。毒を分泌する薬草を採取するための、刈り取り草にも変身する。
シロツメクサの根元に歯を当て、引き切り、転がった草を、長刀の腹に乗せて、籠の中に放り込む。
後に残った、白っぽい消化中の、蟲の残がいには、静かに手を合わせた。)