2016/10/10 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にリリエンさんが現れました。
■リリエン > 荷台いっぱいの奴隷を乗せて、ゴトゴト走る荷馬車から、
ごろり、投げ落とされたひとつの荷物。
ごろごろごろ、道端へ力なく転がった人型の荷物を一顧だにせず、
荷馬車は西日の差す街道を一路、奴隷売買で賑わう街へと向かう。
買い取ってからならば、殺した奴隷と交わる嗜好の者も居るだろうが、
はじめから死んでいては買い手がつかない、という理由で、
輸送途中に冷たくなった積み荷は投げ落とされたのだが―――
馬車の立てた土埃もおさまり、しんと静まり返った路傍にて、
投げ落とされたままに仰臥した死体が、ぴくりと指先を跳ねさせた。
幾度か瞬いた後に赤い目を開き、暫し、暮れゆく空の色を眺め。
「………ふむ。上手く、いったようだ」
のそり、上体を起こして左右を確認、腰の脇へ手をついて前後も確認。
誰の姿も見当たらない、とみると、ほっと安堵の息を吐いた。
此処が何処かは知れないが、少なくとも最悪の事態は免れたようだ。
もう暫くこうしていれば、自力で歩いて何処へでも行けるだろう、と。