2016/09/04 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道」にテイアさんが現れました。
テイア > まだすこし暑さを残す陽の光が差し込む街道。そこに、ガラガラと乾燥した土を巻き上げながら荷馬車が疾走する。
しかし、普通のものとは様相が異なり金属のフレームで強化された物々しい出てだちに、それを牽引する獣は大型の鳥であった。
それを先導するように、三羽が先を走り馬車を護衛するように側面にも後ろ側にも鳥が並走、追従する。
それらに跨っているのはいずれも人外種族であり、ミレー族であったりエルフであったり様々だった。
それぞれがそれぞれ、様々な鎧を着込み武装している。
種族にしろ、装備にしろ統一感は全くみられないがその動きは統率され全く乱れがないといえる。

「――どう、どうどう…。」

その先頭で走る銀の羽毛をもつ鳥に跨る者の白銀の鎧が陽の光を反射する。
銀の髪を風に靡かせて、額あてと、そこから下げたゴーグルのレンズ越しに異なる彩の瞳で前を見据えるのはエルフの女だった。
すっと右手をあげて、後列へと合図を伝えると徐々に減速してやがて隊列が止まる。

「見張りご苦労。…やはり、速度は3~4割ほど減といったところか。悪くない。」

止まったそこには、小さな小屋が建てられ自警団の者が交代で昼夜詰めていた。
山賊街道は長い為、森からの中継場所といったところか。
そこから出てきた者たちに声をかけると、騎獣から降りていたわるようにその首を撫でる。
馬車の中の荷を確認するように伝え、体感速度のつぶやきを女はこぼした。
過日の要請の折、ドラゴンフィートから譲り受けた馬車のテスト走行というのが本日の目的。
騎獣――オルカモントを用いた場合の実際の速度。馬よりも劣るようであれば、この獣を使うメリットはない。
そして、早く走ればそれだけ振動も大きくなる事から馬車に積んだ荷物にどう影響するのかなども見ておきたかった。
それに加え、この馬車を囮として山賊をおびき出すことが叶うならば一石二鳥といけるわけだが、そう運良くはいかないだろう。
積み荷の確認を行っている間、周囲を警戒しつつ鳥たちに水を飲ませ暫し休ませる。

テイア > 「隊商を襲った山賊に、旅人を狙った少数の追い剥ぎ…この街道も相変わらずだな。」

頻繁に追い剥ぎや山賊が出るのは、この街道では日常茶飯事の出来事だ。
しかし、ここ最近その手口が目に余るものが目立つようになっていたことから過日、ドランフィートより協力の要請を受けた。
実際、少しずつ物流にも影響が出始めた矢先の要請に森の民は快諾し自警団がこの街道へと派遣されている。
協力といっても、ドラゴンフィート側の警護の者たちと一緒に動くわけではなく、森の者たちは森からダイラスの間を中心に警護し余裕があればさらに北西の方まで足を伸ばしている。
日によっては、ドラゴンフィート側の者たちとともに動くこともあるが殆どは独自で動いている状態である。
詰所にいたミレー族から受け取ったリストにざっと目を通すと、予想に違わぬ事件の数に嘆息が漏れる。
実際は、それは氷山の一角であって警戒の目を逃れた山賊の愚行はもっと多いということだ。

「引き続き警戒を厳に。…彼らにとってはこの詰所も邪魔だろうからな。」

いつ襲撃されるとも限らない。今更言われるまでもないことだろうが、と思いつつ注意を促して。
馬車を護衛するエルフの一人から、水を受け取るとゴーグルをあげて口をつける。

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道」にレアンさんが現れました。
レアン > さて、この街道に来た目的だが、大した理由はない。というのも、山賊や追い剥ぎが多数出没するというのは周知の事実で、商人や旅人たちも困っている。
傭兵たちも駆り出されて、退治も行っているのだがこれがなかなかキリがない。当然、小競り合いも日常茶飯事的に起こっており、そこには双方の『落し物』も色々と落ちているというわけだ。
早い話、文字通りおこぼれを頂こうと言う算段だ。冒険者と言えば聞こえはいいが、ただの風来坊、言ってしまえば定職に就いていない自由人だ。つまり、その収入には波があり、今この瞬間においてはその最低辺を突きぬけていたのだ。

「ま、まぁ……ここなら、食べられる野草も生えてるしな……」

一応自分にも冒険者を続けている理由はあるのだが、それ以前に文字通り生きるか死ぬかの死活問題を解決しなければならない。
腹の虫を泣かせながら、ふらふらと歩いていると前方に警備隊の詰所だろうか。小さな小屋が街道沿いに建てられていた。

「……うう、せめてパンひとつぐらい恵んでくれないかねぇ……」

よく見れば、荷馬車も止まっているではないか。隊商かもしれない。……金はないが、同情でパンひとつぐらいはくれるかもしれない。上手く取引できれば、護衛の手伝いをする代わりに食糧と賃金を頂けるかもしれない。
欲という匂いにつられ、彼はふらふらと詰所へと向かって行った。

「ちぃーっす、邪魔しますよーっと。えーっと、そこに停まってる荷馬車はアンタたちのもんかい?」

話を交わしている人物のうち、よく目立つ銀髪のエルフへと話しかける。はて、しかし、この女性どこかで見た覚えがあるような、ないような。
首を捻りながらも、彼は護衛として雇わないかと申し出てみたのだった。

テイア > 「ふむ、だいぶ差が開いていたようだな。…荷崩れはなし、梱包方法も問題なしか」

水を飲んでいれば後方から土煙があがっているのが見える。
それは段々と近づいて、四本の蹄、それにつけられた蹄鉄が地面を叩く音が聞こえてくる。
比較のため同時刻に出発した四頭の馬が引く荷馬車だ。
運んできた荷馬車の荷物を確認していた者から報告を受ける。
幸い荷崩れも、振動による損傷も見られないとの報告に胸をなでおろす。
本格的にオルカモントを使用できそうだと。しかし、まだこの段階でははっきりとは言えない。
設定した目的地まで行ってみないと、と護衛の者たちと話をしていると一人の男が詰所へと近づいてきた。
それに、其処にいる者全員に緊張が走る。

「ああ、そうだが…。護衛としてか?生憎私たちは隊商というわけではないのでね。」

山賊の斥候という可能性は捨てきれないため、警戒は怠らないまま男の問いかけに答える。
護衛として雇わないかとの申し出にゆるく首を振り必要ない事を伝える。

レアン > 「そうかぁ……そいつは残念だ。折角のメシ種にありつけると思ったんだがなぁ……」

ぐぅと大きな腹の音を響かせながら、がくりと肩を落とす。
――しかし、このままタダで引き下がるわけにもいかない。
どうしてか、どこかピリピリとした雰囲気を感じさせる面々の表情をぐるりと見渡しながら、
ふむと一人合点したように頷きながら、ちらりと荷馬車を眺めた。

「ま、取り敢えず一休憩ぐらいはさせてくれよ。野垂れ死にそうな可哀想な冒険者をほっぽり出すほど、
 あんたたちも鬼畜じゃないだろ?―――アンタたちが野盗の集団でもなければ」

雰囲気からして、彼女らが決して盗賊団等の類ではないことは分かっていたが、
『もしかすると』という可能性は捨てきれない。
隊商ではないと彼女は言ったが、荷馬車は普通のそれとは異なる意匠だった。
隊商ではないのなら、彼女らはこの一風変わった荷馬車を運ぶ目的があるに違いないのだ。
金や物資が受け取れないのであれば、彼が狙うのはひとつ。――『情報』だ。

「……あんたたちはどこに向かうんだい?こんな荷馬車なんて引いてたら目立ってしょうがないぜ?
 ここがなんて呼ばれてるかぐらいはアンタたちだって知っているだろうに。
 こんな目立った荷馬車なんて引かせてたら、あっという間に盗賊どもがたかってくるぜ?」

まず知るべきは彼女たちの目的だ。
隊商ではないと言うのなら、何かしらこの荷馬車を引くことで得られる成果や報酬、
あるいはその必要があるということだ。上手くいけばその情報をどこかの誰かに売ることができるかもしれない。
情報は多いに越したことはない。そこから取捨選択出来る能力さえあればいいのだ。
ともかく、彼は興味半分、疑念半分で彼はまずはストレートに話を聞いてみることにした。
もちろん、その情報も知りたいというのはあったが、彼女がどう答えるかで、彼女の人となりを知ろうとしたのだ。