2016/02/07 のログ
ヨル > 「ま、まぁ。あんな乱戦私がやれるような仕事じゃないし。」

(役割分担だ、と考えて無理矢理自分を納得させる。
しかし、役割となれば自分も何かしなければならないので、木に背を預けたままゆっくりと立ち上がって、周囲を見渡した。
――此方側にはゴブリンの姿は見当たらない。しかし、反対側はどうだろうか。)

「こっそり街道を抜けて、反対側の山に行って……倒す。」

(静かに呟いて、握り拳を作る。
つまりヨルは、ゴブリンの増援だったり、隠れ潜んでる敵に狙いを付けて不意打ちをメインで戦って行こうと考えた。大多数の戦いではきっと何も出来ない、一体に集中出来ないから。
――考え方が新米だなぁ、なんて考えた自分に溜息を零し、緩やかに移動を開始。乱闘騒ぎをそっと走り抜けて、反対側の山中へと入り込んで行った)

ヨル > (通り抜ける際、戦闘の場所からはかなり距離を離し、見つからないように姿が丸見えな街道は素早く走り抜けた。
周囲に接近する気配はない。多分。他にも何名か此方の山中に入り込んでいるのか、数名の冒険者の雄叫びのようなものも聞こえる。)

「考える事は一緒かな…。」

(さて、単独のゴブリンはいないかな――そう思って背負った剣の鞘に手を掛ける。まだ日の登っている視界、街道に狙いを定めて隠れている存在が居るのなら此方側からなら良く見える。――もっともそれは、自分も同じ条件なのだが、幸い大声を出している新米冒険者も居るようで此方に注意はあまり向いていないようだ。)

ヨル > 「あっ、居た。ちっちゃいやつ。」

(見据えた先には、自分と同じ長剣を片手に、今か今かと飛び出すタイミングを伺っているゴブリンが居た。凶暴に歯を剥き出しにしている辺り、気付かれたら真っ先に猛攻を仕掛けてくるに違いない。
――ここは、不意打ちで、尚且つ一撃で…。
音を立てないように、右手で掴んだ長剣を引き抜き、音を立てないようにそっと背後の木影へと移動して足音を殺して一歩、一歩確実に慎重に進めていく。)

「……っ。」

(ゴブリンの唸り声が聞こえ、思わず息を呑む。まだ冒険者になって数か月程度。未だに戦いは怖い。
――怖い目に遭わない為に一撃で決めなきゃ。
柄を握る手に汗が滲み始め、震え出しそうな身体を必死に抑えながら、その距離を詰めて行く。)

ヨル > (距離が詰まる。
ゴブリンはもはや痺れを切らしている様子で木の影から身を乗り出して街道の戦いを見ていた。
その背後に迫るヨルは、剣の届く範囲まで近付く事に成功すると、姿勢を落として、長剣を真っ直ぐ両手で後方に構え、突きの構えを取る。
――一発、一発で。お願いだから。
そう思い剣に力を入れて突き出そうとした途端、)

「ッ!?」

(街道の大型のゴブリンが雄叫びを上げ。
それに続くように目の前のゴブリンも叫びを挙げた。剣を振り上げ、すぐさま飛び出そうとするかのように木の影から飛び出そうと地面を蹴ろうとしたのが見えて、)

「こ、この――ッ!!」

(焦った。
ヨルは慌てて剣を動くゴブリンに突出し、その肉体を貫いた。
ぐえ、と呻き声を挙げるゴブリン、確実にその身体を貫いたのだが――。
心臓とは程遠い、右肩に浅く突き刺さっただけであった。)

「う、わっ!?」

(当然ゴブリンは剣を突き立てられた事に気付き、振り返り、剣を振るってヨルの剣を弾き、バランスを崩させに来る。
慌ててヨルも後方に飛ぼうとするが、山の足場は坂になっていて上手く距離を離せない。敵として認識したゴブリンは、ヨルを見据えて怒りの叫び声をあげていた。)

ヨル > 「っ………や、やば…。」

(普段は、平らな大地での戦いである。
そこですらやっとの事で、一匹ずつなら倒せる程度。
それが山の中、足場が急でバランスの取り辛い地形ともなれば――。
思考を遮る様にゴブリンが長剣を振り翳し、斬り掛かってくる。
咄嗟に剣を構えてその一撃を防ぐが、ゴブリンは既に地形に慣れているのだろう。その勢いで斬り返しを行ってヨルへ連撃を与えてくる。)

「わっ、くっ……!このっ!」

(目の前で散る火花と、重荷に身体を押される。反撃をしようとするものの体勢を立て直そうとすれば追撃が叩きこまれ、防戦一方になり――距離が詰められて行く。)

ご案内:「山賊街道」にルーキさんが現れました。
ヨル > (焦るな、焦るな――ッ!
自身に言い聞かせるように内心で叫ぶ。だが迫る死の恐怖は思考能力を奪って行く。
そんな中、背後に何かがぶつかった――見なくともこれはわかる。
追い込まれたのだ、木の元まで。)

「や、……し、……ぬ…!」

(剣撃の重みが増していく。
ゴブリンはその表情を勝利を確信したものへ変えていく――ような気がした。実際に表情があるかどうかはわからないから、曖昧な表現となるが。
そしてゴブリンは大きく振りかぶった剣を、ヨルの前面に構えた長剣へと叩き付けた。)

「きゃっ……っ!?」

(剣を叩き落とされた。ゴブリンはその剣を、ヨルがしたように突きの構えを取る。焦りが思考を鈍らせ――確実に迫る死に背筋を凍らせた。)

ルーキ > その冒険者の戦いを上空――木上から眺める影が一つ。
腕組みをし、幹に寄りかかり、バランスよく枝の上に立ちながら。
手は出さない心算でいたが……しかし、今にもゴブリンの剣が少女の身を貫きそうになった瞬間。

皮膚の下に隠し持った刃を投げつける。
空を切る刃先はそのまま一直線に、ゴブリンの眉間へと。

「………無事かい?」

そうして頭上から少女に話しかける。よく通るアルトの声で。

ヨル > (瞬間、目の前に居たゴブリンの身体に何かが突き刺さった。暫くの硬直の後、突きの構えを取っていたゴブリンは力が抜けたように剣を落とし、その場に倒れ込んで――もう、動かなかった。)

「……え?」

(引き攣った表情のまま困惑の表情が浮かび、非常に妙な表情を浮かべながら何が起こったのか思考を整理しようとして、頭上から聞こえた声に恐る恐る見上げて。
そこには人の姿があった。それも木の上に。
放心したように木に寄り掛かりながら座り込んでしまうと、思考が追い付かない侭とりあえず頭に浮かんだ言葉を口にした。)

「………、だ、大丈夫です。ありがとう、ございます。」

ルーキ > ゴブリンがもう動かないのを遠目にも確認すると、枝を軋ませながら彼女の目の前に軽快に降り立つ。
少女の返答を耳にしながら、未だ続いているのか――冒険者と魔族の戦いの音を聞き流しつつ。

「良かった。随分危なかったが……戦いに慣れてないのか?気を悪くしたら済まないが」

首を傾ぎ、問う。ゴブリンの眉間から刃を抜き取り、血を拭って懐に収めた。

ヨル > (街道ではゴブリンと冒険者達の乱闘が続いている。とはいえ、ゴブリンの増援は山中に入り込んだ冒険者達が仕留めているらしく、その数は徐々に減り、このままいけば人間側がゴブリンを殲滅するか、ゴブリン達が逃げ出す事になるだろう。
――正面に降り立った女性の姿に思わず見惚れていた。ローブコートを纏っているが、スタイルの良い女性のように伺えた。そして何より、
――うわなんだこの人恰好良すぎ…!
と、表情には出していないが感動していた。)

「……ぁ、あー……えっと、まぁ、はい。まだ冒険者になったばかりで。まだ平地でしか戦ったことがないもんで…。」

(ゴブリンから武器を引き抜きつつ問いを掛けてくる女性へそう答える。
座り込んだまま自分の戦い慣れていない理由を説明すると、まぁ山中の戦いは初めてだったという事もあって、苦戦してしまった、いや命が危なかった。平地ならどうにか、そうは思うものの、気まずそうに視線を落とす。)

ルーキ > どうやら戦況は人間に有利に展開しているようだった。
別に自分がどちらかに加勢することもなかろうと、少女の方へ改めて向き直る。
年の頃は自分とそう変わらないようだが―――

「……なるほどね。まぁ新米ならば、なるべく早く戦いに慣れることかな」
「平地だけじゃなく、どんな場所でもいつも通り戦えるように。余計なお世話かもしれないが……」

言いながら彼女に手を差し出す。立つのならば手助けをする心算で。

「わたしはルーキ。まぁ…そうだな。冒険者のようなものだ」

ヨル > (やがてゴブリン達が再び叫び声を上げたのが聞こえるが、先程の加勢を促すそれではなく、やや弱気な叫び声。恐らく逃げる事を指示しているのだろう。
ヨルはかなり簡素な服装をしていた。厚手のシャツなので、斬られる分にはある程度阻害出来るのだが、先程のように突きで来られていたら防ぎきれなかった可能性が高い、というか防げなかった。尚、相手の雰囲気故に年上だとヨルは思っていた。)

「ご、ごもっともっす。……本当はそれも兼ねて、この戦いに参加したんですけどね~…。」

(結果は見ての通りで、と漸くにして緊張が取れたらしいヨルは左手で自分の後頭部を引っ掻きながら苦笑いを浮かべた。
そこでふと、手を差し出された事に視線を向ければ、)

「あ、ありがとうです。……っと、申し遅れました。親米冒険者のヨルです。所属はダイラスの冒険者宿っすね。」

(と、差し出された手を握り、身体を起こそうとしながらそう、自らを名乗った。――冒険者のようなもの、という言葉を聞いて"自由稼業の傭兵さん…とか、かな"などと思考するが口に出しはしなかった。)

ルーキ > 見ているとわかる簡素な服装に瞳を細める。自分も似たようなものだが。
手が握られれば腕を引き、彼女の身体を起こす手助けを。

「その心意気や良し。でも普段の鍛錬も怠らずに、だな。見ず知らずのわたしが言えることでもなさそうだが…」
「――ダイラス?わたしはどこにも所属してないぞ。此処に寄ったのは偶々さ」

あっさりネタばらし。しながら肩竦め、笑う。

ヨル > (腕を引かれ、立ち上がらせてもらえれば「ありがとうです!」と本日何度目かの礼を告げつつ、叩き落された長剣を拾い上げ、背中の鞘へと納め。)

「鍛錬は一応してるんですけど…うん、こういう地形のやり方も加えないとダメっすね。……いやいや、ご指摘の通りですし、言ってもらえるとやる気にも繋がりますから。」

(にへ、と表裏の無い笑顔を浮かべつつ、)

「…あれ、そうなんですか。だったらほんと…私は運が良かったんだなぁ。」

(その偶然が無ければ死んでいたか、そうでなくても怪我を負っていた事は必須だったかもしれない。ともすればそんな偶然に感謝せざるを得なくなり、悪運が強いのかなぁ、なんて内心で考えていた。)

ルーキ > 拾い上げられた長剣を見遣り、感心するように眉を動かす。

「いつどこで襲われるか、わかったものじゃないからな。念には念を入れておいて損はないさ」

事実、木の上で戦いを見物していたらいつの間にやら真下でも小競り合いが発生していた。
そんな風だったから、彼女の悪運は確かに強いのかもしれない。

「さて……これからどうするんだ?見た感じでは、戦いもそろそろ終わりそうだが」

ヨル > (長剣はリーチが長い。先程のような不意打ちも、音さえ立てなければ相手に致命傷を与えるのに向いている。
但し重量も当然あるのである程度鍛錬は重ねないといけないのだが、最近漸く自由に振えるようになってきた。)

「そうですねぇ…あぁ、まあ私はまだ街から離れた場所にはまだまだいけないですけど。」

(かといってそれを理由に鍛錬を怠るつもりはない。
いずれは遠くの街へ行かなければいけないし、それには実力を伴う事は必須。いつまでも悪運には頼れない、自分で何とか出来るようにならなくては。
――そんな中でどうやら戦いも終わりの様子、もう既にゴブリンの気配は殆ど無くなり、冒険者達も漸く落ち着いたらしい様子だった。)

「ん……この辺りは多分もう終わりですし、一旦街に戻って次の戦いに備える、ってとこですかね。…まぁ、ちょっと肝が冷えたっていうのもあるんだけど。」

(あはは、と苦笑いを零しつつ、どうするかについて回答しつつ、)

「えと、ルーキさんはどうなさるんです…?」

(と、聞いて見た。勿論答える気がないなら深く問うつもりもないのだが。)

ルーキ > 対して此方は短剣。リーチこそ小さいが、自分の場合は体術でそれを補っている。
あとは皮膚の下に仕込ませた隠し刃も。

「とはいえ、王都周りもすっかり危なくなってきているからなぁ。……ん」

落ち着いたらしき冒険者達、いわば街道の方へ視線を向けて――

「……わたしか?……もう少ししたら街に戻ろうかな、と。考えてるよ」

長居する心算はなかった。ゴブリンやら下級の魔物に見つかったら面倒だ。

ヨル > (恐らくヨルよりも格段も上手の冒険者。
登場の仕方といい恰好良かったと思ってすっかり惚れ込んでいるらしいヨルはじぃ、とルーキの様子を見据えつつ、身のこなしくらいは盗めるように、などと考えつつ。)

「ああ、最近は魔族の集団発生も多いみたいですし…やっぱり早く実力、つけないとなぁ。」

(同意するように頷きながら、未熟なままではいつ死んでもおかしくない世界になりつつあると思えば再度、覚悟を決めたように強く頷く。)

「…あ、そうなんですか?なら一緒に帰りませんか、多分皆バラバラとはいえ戻る街はダイラスの方だと思うので、襲撃とか受け辛いでしょうし。」

(ルーキの内心を知る由もないヨルなそんな提案を掛けて、首を傾げて反応を見ようとした。)

ルーキ > まさか自分に惚れ込んでいるなど露ほども考えていないから、その瞳の意味もよくわかっていない。

「今回のようなゴブリンだと良いけども、いつ上級の魔族に襲われるかと思うと…な」

腕組みをする。倒れた死体を見つめていれば提案を受けて振り返り……。

「……んん、まぁわたしは構わないが……じゃあ、ありがたくご一緒させてもらうよ」

ヨル > (無論、惚れ込んでいるというのは同じ冒険者というか、戦う者としてという意味ではある。ヨルの名誉の為、念を入れておく。)

「上級魔族……あはは、私、見たら腰抜かしちゃうんじゃないかな…。」

(想像しただけでぞっとする。
何しろ上級魔族と言うと、正真正銘の化物。きっと出会ってしまったらどうしたらいいのかわからなくなるのだろう。)

「じゃあ行きましょっか。……あ、もしかして街道みたいなとこ、歩くの苦手だったりします?」

(少し悩むような仕草を見て、ふと首を傾げる。
何かあまり目につくのは困るのかどうなのか、ヨルにはわからない何かがあってもおかしくはないので、念のためと。)

ルーキ > 「いずれ、腰を抜かさず立ち向かえる日が来ると良いな」

エールのように言葉かけ、笑った。

「……いや、別にそういうことはないよ。…それじゃあ行こうか」

問われればかぶりを振る。そこでふと思い出したように問いを一つ。

「そういえば新米といったが、ヨルは今いくつなんだ? そうそう年嵩というわけでもなさそうだが……」

ヨル > 「……気が遠くなるなぁ。」

エールを受け取れば苦笑いを浮かべつつ左手で再び自らの後頭部を掻き。

「ん、ならいいんですけど。はい、そうしましょぉ!」

問題ないという様子のルーキを見ては頷き、ではではと山を下って街道へ向かおうとすると聞こえた問い掛けに足を止めて首を振り返り。

「んっ、私っすか?18になったとこです。」

ぐっと何か自信ありげに握り拳を作ってきりっとした表情を浮かべてみた。
意味は特にない。

ルーキ > 「鍛錬を怠らなければすぐだよ」

等と言いながら、彼女が歩き出すならついていく心算。
そして彼女の年齢を聞けば一度頷いて。

「そうか。ならわたしと同い年だな。まぁだからといってどうということはないんだが。……それじゃ、行こうか」

きりっとした表情に笑い、さ、と軽く促すようにして。

ヨル > 「すぐ……そ、そうなのかぁ。」

(でもそれって才能とかもあるんじゃ、そんな風に思考したがそれを言い出すとキリが無い事はわかっていたので押し留めた。
ヨルが歩くのに合わせて着いてくるのを見れば足早に山を下りつつ)

「へぇ、そうなんですか。同い年なんだ――……ってええ?!」

(ずるずる、と山を下りながら滑り、慌てて立ち止まり振り返ったヨルの表情は驚愕に満ちていた。
――年上だと思ってた!!
これに尽きる。)

ルーキ > 努力は才能に勝る。それを主張しておきたいところだが――
足早に下りる彼女についてゆきながら、ふと驚愕の顔が此方に向いた。

「……何かおかしいか?身長も同じくらいだし、不思議なことはないと思うが」

此方は大体同い年くらいだろうか…とか勝手に思っていたから驚くこともない。

ヨル > (考え方はきっと人それぞれである。しかし努力しない者に可能性は訪れないのだから、大切さの意味は理解しているしそれを怠るつもりは勿論無いのだが――はてさて、驚いたまま硬直したヨルへ不思議そうな表情を浮かべる相手。)

「え、あの、いやだって……すっごい落ち着いた物腰だし…!」

(――自分と大違いじゃん!
そんな内心の突っ込みを浮かべつつ、雰囲気の違いは年齢に依存しない事を知ったヨルであった。
自分が落ち着きが無さすぎるだけなのかなぁ、なんて考えだし始めて肩を落とす)

ルーキ > 「……そんなに落ち着いて見えるか?…わたしはあまり意識してないが…」

内心の突っ込みなど聞こえないから、不思議そうに首傾ぐばかり。
むしろ彼女のような性格、というか立ち振る舞いが歳相応なのだろう。

「まぁ、雰囲気がそうだからといって畏まる必要はないから、そこは安心してくれて良いよ」

むしろ畏まられると困ると言わんばかりに苦笑する。

ヨル > 「すっごい落ち着いてるっていうか、クールだよね。うん。」

尊敬の眼差しを向けながら首を傾げるルーキを見てはこくこくと頷いて見せる。
ヨルが年相応かと言うと、これまた少し落ち着きが無いような気もする。ともすれば年相応がそんなものかと考え――はしない。考えても答えは出ないから。

「えーと……あー、うん…それもそっか。わかりまし……っ、いや、わ、わかったよ!」

(思わず緊張してしまい、言動が丁寧語に戻りかけたが首を左右に降って言い直しつつ。
ともすれば山を下るのを再開しつつ、年齢を聞いた事でふと疑問が浮かび今度はヨルから質問してみることにした。)

「そういえば、ルーキさ……ルーキは、もう冒険者?をやってて長いの?」

ルーキ > 「ありがとう。あまり落ち着きすぎているのも何だがな」

二人だけでは答えは出ないだろう。ということで「歳相応」に関する思案はこれまで。
再び下り始めたところで問われれば、少し考えているような間が空いて。

「……冒険者としては、長い方ではないかな。ただ剣術や体術については、幼い頃から父や兄に教わっていたから自信はあるよ」

ヨル > 「えぇ、そうかな。恰好良くていいじゃんって思うけどな~…。」

(ともあれ、格好良いなぁと思うのは紛れもない事実でありこうなれたらいいなぁと思うのも事実で。そしてそれはヨルのみに値する事なのかもしれない。
問いに対して少し間が空き、不味い質問だったかなぁ、と背を向けて山を下りながら考えていると、再度背後から回答が聞こえる)

「へぇ、そうなんだ…。私は殆ど自己流だからなぁ、そういうとこもしっかり学ばないとダメかも。」

(と言いつつも幼い頃から、というのは大きい気がする。己は小さい頃よりも最近になって剣を握るようになったのだから、当然技術などないわけで。
つまり、身に着けるならそこから、という事かなと思案する。)

ルーキ > 「あまり落ち着きすぎていると、さっきみたいに歳を間違えられることもあるだろう?」

冗談めかす。とはいえ格好良いという評価を貰えたのは嬉しい。

「自己流も悪くないが……まぁ、他者の技術を取り込んでみるのも一つの手かもしれないな」
「何なら真似る、というのも方法の一つとしては悪くないさ」

どう身につけようと、それが自己に合っていることが何より重要でもある。
そう考えながら助言を続ける。

ヨル > 「むむ、それはまぁ…大人びた雰囲気の宿命っていうか。」
「でも老けてるって意味じゃなくてこう、うぅん良い言葉が思い浮かばないなぁ!」

(冗談のように言うルーキに頭を悩ませるヨル。
けれど思っている事は事実で、もっと上手い褒め方があるかもしれないなぁ、と考えつつ。)

「なんだかんだ言っても、それが一番の近道だよね。」
「それにルーキの言ってる体術とか、組み込むとさっきみたいな状況からでも切り返せるかもしれないし。」

(ふむふむ、と頷きながらも、自分の技術として取り入れる技術はまだ沢山ある事を知るヨル。
当面の目標を決めながら、やがて街道へと出た。先程の争いの後か、ゴブリンのものか人のものか、血が夥しく大地を穢していた。
尤も、死体は既に回収されたのか、ゴブリンの亡骸さえそこにはなかった。死体は死体で別途使い道があるという話を聞いたことがあるが、その影響だろうか――なんて思考しながら。)

「ありゃ、皆もう帰っちゃったのかな。」

(見渡すと、あまり残った冒険者の姿は見当たらなかった。)

ルーキ > 「はは、まぁあまり気にすることでもないかな。こればかりは直りようもない」

頭を悩ませているらしき彼女に笑って、宥めるように声をかける。
上手い褒め方であれ貶し方であれ、自分は気にも留めないと。

「体術か。でも長剣だと限られそうだな……。何せ短剣と比べて動きづらくもなる」

なんてことを言いながら街道へ。血に塗れた大地の中、冒険者も見当たらぬ周囲を一度見渡して。

「戦いが終わったならさっさと引上げるのが吉かもしれないな。後から湧いて出て来られても困るだろう」

ヨル > 「んー…むむ。まぁ、褒めてることは伝わってる、からいいよね…?」

(自分の顎に手を宛てつつ振り返れば表情を伺うように視線を向けて。
どちらにせよ気には留めないという様子で笑みを浮かべるルーキに少し安堵したように表情を緩ませた。)

「リーチの関係があるからねー…でもさっきみたいに接近された時に使えるのとかないかなって。足払いとか…いっそ普通の蹴りでもいい、のかな。」

(その辺りはやってみないとわからないかな、と腕を組み再び悩むような様子を見せつつ
――戦いの後の街道はまだ血生臭い。きっと暫くしない内にゴブリンが救援を連れてやってきたり、或いは賊の出現もあり得るかもしれない。)

「んー、そうだね。さっさと帰ろうか。ここは賊も出るらしいし、敵はゴブリンだけじゃないもんね。」

(同意するように頷けばダイラス方面に街道を歩き始め)

ルーキ > 「そうだな。少なくともわたしはそう受け取ったよ」

安堵したような彼女の表情に、此方も更に笑みが崩れる。

「足払い、もしくはその場から距離を取る身のこなしでも習得すれば、格段に有利になるだろうね」

パッと頭に浮かんだことを述べる。
血の臭いが鼻先に漂った。そして歩き出す彼女に合わせて自分もその隣を行きつつ―――

「ある程度落ち着いたら、二人でお茶でもしたいところだな。まぁ都合がつけば、だが……」

ヨル > 「よかったよかった、てっきり気にしてるかと思っちゃった。」

(ふにゃりと笑みを浮かべて振り返り、後ろ向きに歩きながら。
久しぶりにこうして気を抜いて話せる相手に出会えたことに、感謝しつつ。)

「成程ね…ちょっと参考にしてみようかな。」

(慣れるまでに時間は掛かるだろうが、組み込めれば戦術の幅も広がって格段に戦いやすくなるだろう。
ともすればそれを参考にまずは習得を目標として、脳内に予定を組み込んだ。
ヨルの隣を歩くルーキの続く言葉を聞けば、一瞬瞬きをして首を傾げると、理解に至った様子で)

「あ、それいいねぇ。って言っても私は当分ダイラスに居るし大体暇してるから、誘ってくれれば行っちゃうよ?」

(彼女の言葉に好意的に頷きつつ、是非是非と言葉を付け足して瞼を伏せて無邪気に微笑んだ。)

ルーキ > 「細やかなことは気にしない性質なんでな、わたしは。覚えておくと良い」

さて、体術は彼女の戦術に組み込めるか否か。
そればかりは努力の賜物でしかない為、自分がどうこう言うことでもなかろう。

「そうか。なら近い内に誘うよ」
「そうでなくても、わたしは王都とダイラスを行き来していることが多いから。どこかで見かけたなら声をかけてくれて良いよ」

ヨル > 「ほぇー…それはそれで意外な一面というか。安心したけどね!」

(戦術において、百聞は一見に如かずとも言える。つまりは覚えて、使ってみないと実際どうなるかはわからない。
そもそも上手く行かないかもしれないし、もしかすると奇跡的なほどにマッチするかもしれないのだし。
ようは努力と相性次第である。)

「お、じゃあ愉しみにしてる~。」
「ふんふん、そういう事なら今度見かけたら私から誘ってもいいかもね。それこそアナタが忙しくなければ、だと思うけどさー。」

(彼女の言葉に頷きながら、ではこちらから誘う事があれば、少しは良いお店でも見つけておこうかなぁなどと考えつつ。)

ルーキ > 努力と相性。それが彼女の戦術に上手くマッチすることを内心願いつつ。

「わたしは特に忙しいわけでもないし、いつ誘ってくれても構わないよ。まぁのんびり待つことにするさ」

良いお店。割とどこでも良いとは思っているが、見つけてくれるのならそれは有難いことである。

さておき、街道からダイラスにかけての道のりは緩やかな雑談などを繰り広げて。
街に着いてからは再会を約し別れたのだろうか。それはまた別の話として―――

ヨル > (折角教わった道しるべ。先ずは一つ一つ、己の技術を増やし、磨いて行こう。)

「そっか?わかったよ、じゃあお互いに、タイミングがあった時に。」

(ふふ、と頬を緩ませて頷きつつ。
冒険者業ばかりで暫くそういった日常的な面から離れてしまっていた事から悪くないな、なんて思いながら。

二人は互いに帰路につき、いずれは御茶会の予定を視野に入れつつ、ルーキとは街で別れる事となり。)

「さて…私は私で頑張って行かないとね。」

(新たな目標、モチベーション等色々と得た事で、ヨルは再びこの生き方に希望を見出して行くのだった。)

ご案内:「山賊街道」からヨルさんが去りました。
ご案内:「山賊街道」からルーキさんが去りました。
ご案内:「山賊街道/山中寄り」にヨルさんが現れました。
ヨル > (先日の戦闘から少し時が過ぎ。
ゴブリンの集団はもう居ないらしく、時折潜んでいるゴブリンの残党目当てに新米冒険者の娘は山中へと身を潜め、進んでいた。)

「やっぱり実践も含めないと鍛錬にならないしね…。」

(先日の戦い方から色々戦略を考え、体術をとりあえず掴み程度で習得。
勿論まだ完全にマスターしたわけではないが、このように足場の悪い場所での戦いは特訓出来ている……はず。
しかしどの程度通用するのかは試してみなければわからないと少女、本日も山でゴブリン狩りでもしようと目論む。)

「……山賊が居たらさっさと逃げよっと。」

(ゴブリンで苦戦するのに人間相手ではきっとろくに戦えないだろう。
――第一、人を斬るのは苦手、だし。
同族を斬るというのは、さすがに気が引けるというもの。よってもしゴブリンより先に人影を見つけたら、諦めて撤退するつもりだった。)

ヨル > (暫く歩いた後、ゴブリンらしき足跡が山中のさらに奥へ続いているのが見える。)

「あ、近くにいる?」

(そう思うも束の間である。
周囲に視線を向けると、複数の足跡と。
複数の血痕、武器が転がっていたり――。
つまり、戦闘の痕跡。)

「あ、あれ……、此処、もしかしてヤバいんじゃ。」

(血の痕も昨日の戦いのもの、ではないように思う。
見る目は相変わらず無いに等しいがそれでも、乾き切っていない血痕を見たら。
――素人だってさすがに、わかるわよ。
と思えばやや額に冷や汗た伝う。
息を殺して周囲に視線を向け、神経を尖らせる。
気配探知についての技術はまだ習得中、実用性もないが何もしないよりは精神的に良い。
かくして、周囲に注意を向けながらゆっくりと後退する事にした。
まだ近くに居るかもしれない、そんな場所を堂々と通って通り抜ける覚悟は、ヨルには無い。)

ヨル > (山中とはいえ、街道にはそれなりに近い。
街道に飛び出して逃げれば良かったかもしれないが、戦闘がここであった以上。
――もし他に隠れてたらヤバい。
だとすれば今まで自分が歩いてきた道を戻る方が確実。
そしてそんなヨルは周囲から回り込まれたりする可能性の考慮を、すっかり忘れていた。
故に注意するのは視界に映る正面ばかりで、背後や、遠くに潜んでいる可能性は考慮していない。
戦闘を終え、どちらかが獲物を待ち構えている可能性や、第三の勢力も考慮はしない。
とにかく離れる事ばかりを必死に考えていた。)

「や、やっぱり一人で来るもんじゃないなぁ…。」

(集団戦は、己にはまだ早い。)

ヨル > 「……え。」

(聞こえた。
何が?――音である。
山の奥、つまり坂になっている上の方から複数の足音。
最初は戦闘している者達の音かと思ったが、すぐにそれは勘違いだと察する。
武器を持った、人影が堂々と、姿を隠す事なく、明らかな迄な敵意を持って此方へ向かって歩いてきているのが、ヨルにはわかった。)

「さ、さんぞく!」

(武器を咄嗟に引き抜き、坂の上へと向けて構えるが、山賊らしき男達は表情も目つきも買えずに下ってくる。
奥から降りてくる男は片手にゴブリンらしき首を持っていて、戦闘は既に勝利に終わったようだ。そして、次の戦闘。
つまり、自分達の『本来の獲物』を探しに降りてきて、『見つけた』。)

「五人……こりゃ無理だっ!」

(視界に収めただけでもその人数。その誰もが弓、剣、斧――つまり武器を持っている。
どう考えたって親米のヨルが相手に出来るわけがない。
そう考え終る前にヨルは山を駆け下り始めた。――背後から聞こえるのは怒声。
『逃げるな』だとか『待て』だとかそんな声と共に、多数の駆け足の音が聞こえる。
――やばいやばいやばいッ!
自分よりも明らかに体格のいい彼らの速度は、自分の足の速度よりも圧倒的に速い。
剣を片手に持ったまま全力疾走の追いかけっこが始まった。)

ヨル > (坂道を蹴り、蹴って、いっその事飛ぶように坂を下って行く。
息を切らし、必死の形相で腕を振って逃げる。
まだ距離はある、街道に出る事は出来そうだ。
――でも不味いなこれ、街道に出ても他に人居ないと追いつかれるんじゃ…!
時折木が目の前に立ち塞がるが、反射的に手を伸ばし、木へと触れるようにして身を反転。
180度回転したところで剣を握った柄で木を殴るように押して加速、地面を蹴って僅かに宙に浮き。
身をそのまま回転させ、加速度を保ったまま着地、走る。)

「は――、はあっ!」

(汗が額から、肌から滲みシャツが張り付くような感覚があり、気に障るがそれを気にしている時間はない。
街道へはあと僅か、とりあえずは安堵して地面を強く蹴ったところで。

不意に足に何かがぶつかり、バランスを崩し、転げ落ちる形で街道へと飛び出た。)

ヨル > 「痛っっったぁぁぁぁ~~~~……!」

(頭を庇うように石畳の地面を転がりつつも、そのせいで剣を少し離れた場所へと落してしまう。
咄嗟に起き上がり何に躓いたのかと視線を向けるとどうやら山賊の一人が放ったらしい弓矢が正確に自分の足元を射抜いたようだ。
それもその筈、先程の木から抜けた先はほぼ一直線に駆け降りていた。
山での戦いに慣れた山賊が足元を狙うくらい、ワケはなかったのだろう。)

「ああもう、折角距離稼いだのにっ!」

(慌てて剣を落とした場所へと走り、柄に飛びつくように手を伸ばしては一回転して拾い上げる。
その場所に弓矢が二本降り注ぎ、一本はヨルの周囲。
もう一方は先程ヨルが居た場所を貫いていた。
焦りつつ剣を拾い上げるが、既に山中を走る山賊達は街道まで迫りつつあった。
弓を構えた山賊は山中に潜んでいるのだろうか、すぐにその姿は確認できない。
――……どうしようこれ。本当に不味い。
山中から見晴らしの良い街道を弓で狙う。
幾ら素人のヨルであってもその危機的状況が理解できないわけではなかった。
震える手で剣を構えながら、降りてくる山賊達を睨み付ける事しか出来ない。
尤も、睨み付けるというよりは怯えた視線になっていた事をヨルは知る由も無いのだが。)

ヨル > (――こんな時あの人ならどうするのかな。
先日出会った冒険者、らしい同年代の少女を思い出す。
彼女は同じ年齢ながら考える事も技術も圧倒的に自分なんかより上だった、と認識している。
このような不利な状況で彼女ならどう動くのだろう。)

「………っ!」

(少なくとも。
この状況で逃げ腰になったら付け入られる事だけはわかる。
怯えを強引に振り払い、街道へと飛び出してきた三人の山賊に視線を向ける。
表情こそ、怯えは抑えこまれたが両脚は震え、腕もまだ微かに震えている。
魔族相手なら兎も角、相手は人間だ。しかも複数人。怖くない筈などない。
だが、それでも黙って負けるなんて出来る筈もない――勝利を確信した笑みを浮かべる男達が近づく中、歯を食い縛り――地面を踏みしめた。

が。その時、山の中から悲鳴が聞こえる。
その声は山賊の声、そして続いて聞こえるのは、複数ものゴブリンの雄叫びだった。)

ヨル > (『助けてくれーッ!!』と叫ぶその声は恐らく山中に潜んでいた弓を持った山賊の一人なのだろう。
複数、それもかなりの数のゴブリンが雄叫びを挙げているらしく、ヨルに迫ろうとしていた山賊達は、敵意の対象を変えた。
彼らはヨルよりも厄介な相手に気付いたようで、慌てて山中へと戻って行った。
それこそ、目もくれずに。)

「――………。」

(そして続いて聞こえるのは山中での争いの音。
ゴブリンや山賊の叫び声や、武器のぶつかり合う音が聞こえる。
――……逃げろ。今すぐ、私!
剣を背の鞘へと納め、身を翻し、石畳の街道を蹴って走り出した。
少しでも距離を取り、危機的状況から逃れる為。)