2015/10/18 のログ
ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」にフィリオソリスさんが現れました。
フィリオソリス > 黒鱗が上空を舞っている
その姿は巨大ではあるが夜の闇に紛れ視認することはむずかしいだろう
「ふむ・・・このあたりでよいじゃろう」
それは下界を物色するかのように何度の旋回をした後,突如としてその高度を下げる

直滑降.
隼のようにというにはいささか派手すぎる動きでもって
その竜は地上に顕現した

フィリオソリス > ほとんど激突する勢いでもって地面に降り立つ.
むしろ突き立つといったほうが自然であったかもしれない.

地震かと思うような轟音と振動.
クレーターのような大穴があき,土煙が舞い上がる

「いかんいかん.やはり飛ぶのは苦手じゃ」

煙から現れる姿には傷一つない.
だが流石に少しは堪えたのか首を振る.

フィリオソリス > 「あー.うむ.うむ.なかなかよい.自然もまだ色濃いし地脈も力に満ちておる.気に入ったぞ.これだけ肥沃であれば雄の一匹や二匹おるじゃろう」

当たりをぐるりと眺めるようにみわたしながら納得するよう一人うなずく.

「まぁおらんでもよい.われがここにおると知らしめれば良いだけじゃしのう」

その声には,はじめて一人暮らしをはじめる若者のようなそんなわくわくした気持ちが感じられる.

フィリオソリス > 「さて,手頃な洞窟でもあればらくなんじゃが……」

そういったところで足下のクレーターに横穴―――おそらくこの辺りに走ると言う遺跡か坑道の一部であろう.が開いていることに気付く.

人ならば団体であっても余裕で通れるだろう通路だが
竜である自分にとっては頭を通すのでも精一杯であろう.

「うーむ.この辺りは洞穴も規模が小さいのう.……仕方あるまい」

言葉とは裏腹にあまり悩んだ素振りも見せず身体を丸め力をこめる.
ミシミシと身体中から異音が鳴り髪が逆立つ.

フィリオソリス > 「ぐっ…がぁっ…あっ…ぁ」
ぽろぽろと鱗が少しはがれ落ちる.
苦しいのか声を上げ異音と共に身体が小さくなっていく.

長い黒髪に褐色の肌.年の頃は13と言ったところであろうか.
その姿はどう見ても一糸まとわぬ少女のそれであり,この場には似つかわしくない姿であった

フィリオソリス > 「かっ…はぁ…ふぅ」
四つん這いの状態から立ち上がり髪を払う.

そして自分の身体を確かめるように身体を揺らす.

「うむ.人化の法は成功じゃな.さすがはわれじゃ」

軽く伸びをしながらぽっかりと空いた洞穴を眺めた.

「さて,浅いダンジョンでは婿殿に申し訳がたたんからのう
 とりあえず一番奥まで参るとするかのう?」

そういうとすたすたと洞穴に向けて歩き出すのであった.

ご案内:「九頭龍山脈 山賊街道/山中」からフィリオソリスさんが去りました。
ご案内:「山賊街道 休憩所」にホムラさんが現れました。
ホムラ > 「くそ、なんでこんな事に…!」

金属がぶつかり合う音。
或いは人の叫び声、断末魔、狂気に駆られたような笑い声が聞こえてくる。
――山賊街道沿いにある休憩所へと、商人を護衛した傭兵部隊が到着した。
しかしそれを待っていたかのように周囲の物陰から何名もの山賊が飛び出してきてすぐに包囲されてしまった。
山賊にリーダーらしき者は見当たらなかったが、それでも数が多く、手早く突破する事も後戻りも出来る様子はない。
通常、温泉宿への山道へ逃れる事が出来れば入口で迎撃する事も可能だが当初からその道が塞がれてしまったとなっては話が別だ。
幸い遠距離攻撃や魔法攻撃を持った山賊が現れていないのか、商人が直に攻撃されるという事はないが、あまりの数の多さに傭兵部隊は苦戦を強いられていた。

(ああもう、数が多すぎるよッ!!)

こんな時でもある程度の役を演じているが、それでも限界がある。思わず叫びそうになったが大剣を全力で振り回す事で発散した。
動きが然程早いわけではないので攻撃を躱されるがその箇所からの攻撃は少なくなる。
しかしその分は他の傭兵へと雪崩れ込み、追い詰め、商人の元まで迫ろうとする。
そんな攻防がどれ程続いているのか、認識している者が果たしてどれだけ残っているのか。

ホムラ > "ぐわーっ!"という叫び声を上げた者がいる。
振り返ると一人の傭兵が盗賊に囲まれ、体を無残に切り裂かれ血飛沫をあげていた。
最早助からないであろう彼に盗賊は容赦せず、そのまま押し倒す勢いで切り掛って行く。

「やめろッ!」

気付くのが遅すぎた。そう思いながらも『スレイ』は彼らの元へ突進して行き、夢中に剣を突き刺していた何名かを大剣によって弾き飛ばした。
その際、骨を砕くような感触があった事からその場に居た数名は再起不能にできただろうか。
――もっとも、その代償として味方が一人やられた事になるのだが。

"ひいい!"と悲鳴をあげる小太りな商人。荷馬車の影に隠れているが全方位から囲まれているので無意味だ。
傭兵部隊も商人を守る様に円陣を組んでいるが、皆疲労が溜まってきているのだろう。
先程死亡した傭兵も相当な手練れだった、それが容易く敗れる程に追い込まれている。

(本当にヤバイい、どうし――)

そう考えた直後、背後から金属音が響き、大きく前へとバランスを崩しかける。

「ちッ!」

両脚を踏ん張り、背後へ向けて大剣を大きく振るう。
唖然としていた山賊がその大剣に反応しきれず頭部に直撃を受け、荷馬車の方へと弾き飛ばされた。
だがその山賊は二度と動く事はなく、そのまま絶命か、気絶したように見える。

ご案内:「山賊街道 休憩所」にロトさんが現れました。
ロト > (ドドドド、と街道の向こう側より何かが疾走する音がする、と
言っても只今街道で山賊と傭兵部隊が争っている音に比べたら小さい小さい音。
馬と言うより黒狼に跨っている存在は慣れた様子で馬上ならぬ狼上から 漆黒のナイフを取り出すと
それを今にも崩れそうな傭兵ではなく、余裕しゃくしゃくな山賊の首に向けて しゅっと投げ ぶしゅう、と命中させて倒してゆく。)

「次。我が下りたら 山賊を食い千切れ。」

(手綱はない、狼から宙返りをして地面に下りる為り、傭兵部隊が円陣を組んでいる外から加勢する様に
外から崩すべく剣を振るい始めた。意識は山賊へと向けながら、)

「加勢する。我は狙うなよ?」

(傭兵部隊に声は届いているだろうか、言葉を継げながらも 剣を振るって山賊を翻弄しにかかってー狼が山賊を追い散らし始めたか)

ホムラ > 山賊を迎撃する最中、別の個所から物音と、山賊の断末魔が聞こえた。
突然の出来事に戸惑う山賊達だが、それは傭兵部隊も同じ事だった。
――何しろ加勢すると言って現れたのは銀髪に黒ドレスを纏った少女と、魔物とも見える巨大な黒い狼だったのだから。

「なんっ――……。」

という。
言葉を最後まで繋ぐ前に我に返る。
突然の襲来者に戸惑った山賊はたちまち陣形を崩した。故の隙。
地を踏みしめると温泉宿へと山道への道筋を切り開くべく方向転換。そこに立ち塞がる山賊達を大剣で横薙ぎに払い、道を切り開く。

「走れッ!突破し、そこの山道へ!」

声に我に返った傭兵部隊は周囲の唖然とした山賊を切り崩し、商人と荷馬車を押して山道へ向かって駆けて行く。
漸く我に返った山賊達だが、黒狼と銀髪の少女に圧倒され、その数を減らして行く。
このまま戦い続ければどうなるか、冷静に判断できた者は我先にと逃げ出したが――それでもまだ狙う者は居なくならない。

「何者かはわからないが…加勢に感謝する!」

出来るだけ低い声にしたつもりだったが、女性らしさの混ざった声となろうか。
逃げ行く傭兵部隊の後を追う山賊達の前へと走って回り込めば大剣を振るい威嚇する。

「悪いが、ここは通せないな。」

先程剣を刺してダメージを受けなかった『スレイ』に道を塞がれると同様した山賊達はその足を止めた。
それが逃げるべきだったと後悔するのは、もう間もなくだろうか。

ロト > (魔物というか黒狼、山賊を弄んでいるとしか思えない余裕っぷりでもって追い掛け回したり、
やばそうな傭兵から引きずり倒して頭突きで突き飛ばしたり、言葉通りに喰い散らかしたりーもうそれは悲惨な喰い散らかしよう
少女は見た目は確かに身軽なドレス姿に簡易な防具しか身に着けていない。ただ俊敏さが増しているようで、
剣を振るいながら 一本二本と、投げナイフで山賊の足とか頸とか狙って投げ飛ばし、命中しなくてもその間に近づいてー
山賊の目の前で 真一文字に剣を薙ぎ払えば両断して 1人屠った)

「…よし、通じたぞ。追い込め追い込め ただし深追いせぬ様に。」

(一段と動いて率先している存在と会話が成り立った気がする、狼へと命を下し、じりじりと狼とともに逃げる山賊を追走開始する 主に山賊に向けてだが言葉を発するとすれば)

「逃げられぬと知れ」

ホムラ > 黒狼による蹂躙により、山賊は容易くその数を散らせて行く。
何名か飛び掛かって行くがその俊敏さに圧倒され、気圧され、或いは食い千切られた。
敵わぬと思いて銀髪の少女へ敵意を向けるが、こちらもまた俊敏だった。『スレイ』と異なり重量を持つ鎧を殆ど身に纏っていないからか、その剣捌きに対処できないまま、一人、また一人と致命傷を負わされて行った。
一閃払われた刃によって山賊が絶命し、息絶える。その様に無謀だと気付いた者達が慌てて逃げ出す。

しかし彼女達はそれを許す様子がなく、遠くに逃げてしまった者は兎も角として逃げ出そうとする者達を片端から殺戮して行った。

対し、『スレイ』の方へ向かってきた山賊達も振り払う大剣の餌食となり、状況悪しと気付いて逃げ出し始めた。
しかしその位置は『スレイ』と黒狼を連れた少女に挟まれる位置となっていて、逃げられる者は僅かだろう。

「此方は逃げ切ったか。」

後方を振り返る余裕が出来て、視線を向けた。
そこに傭兵部隊の姿も商人の姿もなく、山道を上って逃れた事がわかれば、一安心というもの。
視線を戻し、山賊達と再度相見え様としたが――既に戦意を失った彼らは死亡し、あるいは散り、既にその場には生き残った山賊は残っていなかった。

「――……終わったか。」

ふう、と溜息を零すと大剣を構えを解き、

「何者とも知れぬが、助かった。感謝する。」

『スレイ』よりは長身の銀髪の女性に黒兜の頭を向けると、そう声を掛けた。
但し、その圧倒的な力と、何者とも知れぬ相手の為、武器こそ降ろしてはいるが警戒する意識を込めて、ではあったが。

ロト > (主に山賊を食い千切ったのは少女と狼どっちかと言えば、黒狼の方だった。その狼が喰い漏らしたものを屠って翻弄していたのが少女だったとも。
重量な鎧は俊敏さに欠けるから身に着けていないのであって、剣捌きは素人でもなくその手の筋の者という代物。

最後に対峙した怯えた山賊を―ざしゅっと首を飛ばし、その首が地面に落ちる間に胴体を4つに斬り屠って、勢いよく血みどろの剣を振るい落とせば
びしゃっと殺戮極まりない地に血しぶきが散って落ちた)

(あちら?そういえば傭兵部隊の姿と商人の姿はない。どうやら殺戮中に逃れたらしい。
まぁ、いないだけ逃れたのだろうと辺りを見渡す素振りをするのは、主に黒狼。わふ、と鳴いて)

「―終わったのう。」

(抜き身の剣を鞘へと手慣れた動きで収めれば、改めて黒装束の者へと視線を向け、狼へと視線を向けー狼はその場でお座りを)

「何 問題ない。助けになれば良しとする 傭兵の中でも 汝 際立って動いていたしの、」

(久方振りに実戦出来たしの、と警戒気味に此方を見る様子に肩をすかして見返そう。率直な感想を淡々と口にし)

ホムラ > 見た限り、彼女の剣筋は手練れの者に見受けられた。
尤も『スレイ』は自分を手練れと認識しているわけではないが、それでも大した実力者であると認識できる程度の目はあった。
残った山賊を切り刻む姿は、それこそ戦い慣れた者の動きだろう。

戦いを終えて、黒狼が見た目と違い可愛らしげな仕草をする様子を見て僅かに首を傾げる。
黒狼と共に戦う傭兵や騎士なんて者は噂にも聞いた事が無かったが、一体。
そう思いながらも此方へと視線を向けてくる彼女に視線を――尤も兜越しではあったが――返しながら、淡々とした感想を耳にして、

「あのまま行けば此方はもっと犠牲者が出ていたからな…礼は言わせてほしい。動けていたわけでもない、あの中では体力があっただけさ。」

皆が万全の状態であったなら突破も容易かったのかもしれないが、数で押され、山道を上った疲労から殆どの傭兵は疲労していた。
唯一、ミレー族である事を隠している『スレイ』は疲労知らずで、その戦いで動けていただけだった。

「――…ところで、君は一体。傭兵というわけでも無さそうに見えるのだが…。」

どういった者であるのか、それが分からないと警戒を解いていいのかもわからない。
尤も疑えばそれこそ際限など無いし、どのような存在であったとしても敵意を向けるつもりはないのだが。

ロト > (傭兵と比べたら個の武は集団の武とは違うので協調性としては微妙だっただろう。集団で如何こう出来るものではないからだ。
それを補うために移動手段兼護衛の為に狼を利用したらしいが

黒狼の耳が時折ぴんぴんと揺れたり立ったりしているのは警戒しているらしく、
少女はと言うと狼を護衛に置いてさも警戒しておらん的な振る舞いをしており。
まぁ見た目だけならそうとはいえ中身は違うかもしれず。
兜越しに…彼だろうか彼女だろうが、分らないので存在と称すが、存在を見て

「うむ、確かに受け取った。指揮力はあるのじゃな。冷静な判断と経験がないと出来ぬよ?」

相手の正体は分からないが 只者ではありまいと思っている。 ふむ、山賊の再来は無さそうだ、狼が遂には毛づくろいをし始めたからだ、とはいえ再びがあれば即行動は移せる それが狼。

「私か、傭兵まがいな事をちょっとしてみたのじゃが、戦える貴族じゃ。」

何だろう、戦える貴族とは。普通貴族とは守られる側が多いだろう。
ただ少女は先程まで戦っていた方。隠してもいない事なので、
爵位は伏せて貴族なのだと告げて様子を伺ってみる。

ホムラ > 個の実力としては申し分がない、どころか集団であった相手を容易く制圧して見せた狼と銀髪の彼女。
狼は未だに警戒をしている様子を示しているが、此方に、というよりは周囲にと言った様子に見える。
とすれば少女は差して気にも留めずに此方に集中している事から、成程役割分担も上手く取れているのだな、などと思いつつ。

「…通常、普段であればこのような真似はあしないのだがね。」

頭を少し下げるようにして左右に首を振る。
無論咄嗟の判断で先程のような声掛けが出来るのは、多少なり戦場を経験していなければならないだろう。
冒険者としてはそれとなりの経験者である『スレイ』は、知らず知らずの内にそう言った経験値も積み重ねていたのかもしれない。
だから、自分自身としてはあまり自覚がないのだが。

「なんと…貴族の方でしたか。これは失礼を……しかし、嗜み程度という割には随分な実力のようにお見受けしましたが。」

貴族、という言葉を聞けば思わず口調を正す。
確かに衣装を見れば傭兵や冒険者のような戦闘向けの恰好ではなく、むしろお嬢様だとか、そう言った人物に見られる服装に見える。
だとすれば少々無礼な口調だったかと思い、内心では、

(あー、やば…まさか貴族さんが居るなんて…。)

なんて考えながら、口調や仕草を乱さぬように言葉を紡いでいた。

ロト > 狼は普通の狼の倍は大きい。それが今では毛繕いをして周囲の警戒に当たっている―毛づくろいをし乍ら。
兜を被っている存在も時折見るが 見るだけだ唸ってもいないしちらーっと見てまた逸らし。

「そうか、普段ではない面が見られたのは 貴重としようかの」

もうちょっと派手な事を出来たがそれをすると 戦える貴族像が崩れる、極論言えば人離れしちゃっている的な事も
出来るのだ。この姿ー貴族風 な時は人の様に振る舞っておかねばと。
目の前の存在は経験値が高いらしいときちんと認識をした、実戦でこれだとまだ見ぬ将来が楽しみであり。

「…急に言葉遣いが変わったの。誰も見ておらん、言葉遣い無理あるんじゃったら崩せ崩せ。
…育ち方が嗜みを超えた教え方であったからの、剣術は自信はあるでの。」

実力はどの程度かは言わない、がそれよりも気になったのは急に丁寧になった言葉遣い。 きょろきょろと見渡したのは狼、わふっと鳴けば、
少女が 手をひらひらと動かして 「誰も見ておらん」と「崩してしまえ」と零し―でも狼に載ってはふつうないだろうとツッコミ待ちを。

…出先でこんな所に出くわすんじゃったら もうちょっと服装を考えるべきであったわ。失敗じゃ。

ドレスに簡易的な胸当てに腕輪。身軽にも程がある。そして先程投げたナイフ数本と剣しか持っていなかった。色々と有り得ない。

ホムラ > 先程の強さを見せつけた狼とは雰囲気が異なってさえ見える。
大人しくしていると可愛らしいな、と思う程で。時折視線を向けているのを見れば僅かに首を傾げて見つめ返してしまうのは大抵無意識だ。

「そんな誇るような物ではありませんがね。冒険者をやっていると、自然を身に付くものですから。」

片腕を目の前に掲げて首を左右に振りつつ。
貴族を名乗る少女の動きは、所謂『貴族象』とはかけ離れて見えていた。
しかし貴族や王族の中には実力者も居ると聞くし、彼女もその一人だと言うなら納得がいく話でもある。
気になるのは、何故この場所に居るか、なのだが――口調について指摘されると思わず固まってしまった。

「え、あ。……ん、こほん。では、本来の通りに。」

これまた予想外な物言いに戸惑ってしまい、素の少女らしき言動が毀れたが咳き込んで誤魔化しつつ、同意するように頷いて見せ。

「成程、つまり師が居て、剣術を教わったと。その実力を見るに確かに並の者の教え方ではないらしい。」

もっとも基本を習い、それを応用して自分独自の技術にしてしまう天才肌も居るのだが。
どれほどの実力なのか、興味はあったがあれだけの山賊をほぼ単騎で圧倒してみせた彼女は見ずとも大した実力なのだろうとは把握する。
――しかし、まぁ、それにしても気になる事と言えば。

「しかし……荷馬車を引き連れて居るというわけではないようだが、こんな場所に何故一人で?」

幾ら実力があるとはいえ、見た目は自分より身長は高くとも少女だ。
危険地帯と呼ばれるこの場所でここまで軽装、荷物もそれらしい物を持っているように見えない彼女が何故こんなところにいるのか、少々疑問に思った。

(まさか……既にこの人の連れも山賊に襲われたとか?だとしたらのんびりしてる場合じゃないよなぁ…。)

片手を兜の顎の部分に寄せて、考え込むような仕草を見せつつ。

ロト > (黒狼は正体としては魔物に近いが、それを飼い慣らして護衛兼移動手段に用いたのは少女位だろう。
大きさもあるが今は血で汚れているが綺麗だったらさぞかしもふもふし放題なのは言うまでもない。

「冒険者稼業は長そうじゃの、私よりは経験がありそうじゃ」

冒険者には個々に装備が違ったり能力が違うと聞く。経験もあればレベルに応じて仕事が違うとも。依頼する側としてはそれ位は分っているつもり。
爵位は伏せたが 一応は公爵ではある、伏せたのは正解だろう、貴族と名乗ったら言葉遣いが変わったのだから。
言葉遣いが元に戻ったので 無理は禁物と薄くにこやかに笑い、

「うむ。 例えで言うのなら 剣聖に赤子のときから叩き教えられたともいう。
あれはな、5歳の時に… 森に剣と三日間の食料持たされて潜んだ事…」

視線が遠くになって思い出しただけで頭痛がする。これまた正体も伏せたが 正味魔族だ、魔族の5歳は5歳雖も強い者は強い。
で、強烈な教えは思い出にも語りたくないモノへとなりー
今ここに居ると言う事は その試練は乗り越えた事に為るのだが一先ず置いといて。

「修行なのじゃが。狼もいるし、一晩位だったら抜け出ても大丈夫じゃ、寧ろ暇だったら鍛錬する」

(荷物は最低限に。本当に最低限しかない。能力で荷物は隠すとしても。時折鍛錬として抜け出している事も嘘偽りなくそこだけは本当のことを口にしておこう。

「今日の鍛錬は 先ほぞの山賊屠りで終わったので そろそろ帰るのじゃ。」

化せられた課題が終われば 帰ると言うのを繰り返すらしく、はたと気づいた少女が今度は逆に聴いて見ようと口を開く。

「汝は 傭兵部隊の方に戻るのかの?あっちの方じゃったと思うが」

あっちとは、狼が主に視線を向けている方を指さしているが、どっちに退却したかは見ていないので 狼が間違っていたら指先方向は間違っている事に