2015/10/19 のログ
■ホムラ > 触れてみたい気もするが、それは今の自分を崩す事になりかねないのでとても出来ないし、きっと狼の方もそれは許してはくれないだろうな、と思いながら。
「いや、それは…どうかな。私も然程長いわけでは。」
どれくらいか、と言われると身分がばれてしまう為に自ら言う事はしないのだが。
本来の身分を晒されていたらさすがに口調を直さざるを得なかっただろうな、それをされなければ『スレイ』はそのままの口調で話す事とした。
「剣聖……なんというか、随分凄まじいというか、驚きだな。」
(マジものじゃないっすか……予想を大幅に越えてきたなぁ。)
言動と内心がほぼ一致した瞬間である。
彼女の言う試練とは、想像以上に困難な試練だったらしく、少し自分はまだ恵まれている気さえしてしまった。
「修行、か…成程、余裕があれば訓練をしていると。貴族というより戦士の其れだね。」
戦う貴族とはよく言ったものだ、なんて関心してしまう。
それは剣を扱う者としては当然なのかもしれないが、これなら先の傭兵や山賊よりも彼女の剣の方が鋭く振るわれていた事に納得がいく。
「ん?ということは、先程の山賊は君の鍛錬の対象だったのか。…それは、何というか、私達は悪運に恵まれていたというべきなのかな。」
偶然とはいえ、彼女の狙いの相手であったからこそなのだろう。
だとしたら我々は悪運があったという事と言っても過言ではなく、彼女が現れなかった場合の事を考えると肝が冷える思いだった。
そこでふと、問いを掛ける少女に一度動きを停止し、
「ああ、そのつもりだ。護衛の依頼を請けていてね、ここからさらに街に向かわなければいけないんだけど…迎えに行かないといけないからね。」
視線の先、温泉宿の方の山道。一本道となっていて山賊が襲撃しようにも入口から登るしかない箇所。
この道の作りのお蔭で山賊はこの休憩所を占領しても宿までは攻め込めない理由となっている。
なので逃げ込んだ彼らを呼び戻さないと、依頼の遂行も出来ない為に少女と別れるのならば、そちらに向かう事になるという意図を頷いて示し。
■ロト > 口に出して欲求をもし言われでもしたら 考えたかも知れない。狼の意思は少女次第であるからして。相手がどう思っているかは分らずじまい。
「今度 手合せしてみようかの? どうかの?」
1つ提案をしてみようではないか、相手と是非手合せしてみたいとお願いを口にしてみた。貴族云々の前に一個の武人として戦士として手合せを所望してみたと。
「例えで言うてみた、剣聖だと思うのだ、あの苛烈さは」
思い出したくもない思い出。ちょっとトラウマレベルともいう。まだ食料があってよかった、無い時もざらにあった…。
でもそれらも無事にクリアして今に生きるとしたらと乗り越えて今に至る。どちらにしろ 強さの裏にトラウマと。
「貴族は…副業かの。戦士と言うより騎士じゃが。」
戦う貴族、即効で作った言葉にしてはいい方か。然し騎士にしては馬ではないので疑問がついてしまうかと。
さてそろそろ、と先程よりは汚れはしているが移動手段たる狼が寄ってきた。それに難なく乗ると狼が腰を上げ
「運は流れモノじゃ、体力はあるといいと逃げたものに告げるがよい。
護衛がへばったら如何すると。街か…急がなければ休む事を勧めるぞ? 山賊や魔物は沢山出るからの。」
(手綱は相変わらずないが、狼はゆっくりと動き始めた、わふっとまた鳴いて動きが止まり 狼に載ったまま少女は口を開き)
「…ん。ああ、忘れておった。 我は ロード。 公爵をしておる。ではな。」
最後の最後で 名前と爵位を口にし、来た時とは違いゆっくりとだが小走りに狼が走るとそのまま 街の方へと一先先にとばかりに去って行ったー
■ホムラ > 「手合せ、私と?……ふむ、私のような者で良ければ構わないが。」
あまり実力者という程の存在でもないし、貴族身分の彼女に対して己のような、という感覚はある。
勿論、ミレー族という身分としては相応に断るべきではあるのだろうが――腕の確かな相手、自分の鍛錬としては着実に良い相手ではあると言える。
故、了承すると頷いた。
「ああ、例えだったか……しかし、そうだね。そこまでの試練を持ち出すのは並の戦士ではない、と私も思う。」
若干同情するように頷きはする。ある意味では、己と同じような生活を強いられていたのだから。
余程思い出したくない様子の言動を聞くと、尚の事で。
そういう意味では自分と重ねる部分もあったのか、『スレイ』よりは『ホムラ』としての感覚を述べていた。
「む…成程。其方の方なら納得は行くが……馬ではないのだね。」
騎士というなら馬、という認識がどうしても出てしまうのだが、乗っているのは狼。
先程鍛錬を共にしたという事から相棒として、とういう意味合いなら納得は行くのだが――と、ふと、狼が彼女の元へと近付いて行くのが見えた。
「ふむ、そうだね。結果一人犠牲になってしまったわけだから…ね。
少し休息を取ってからとしようか、とは思っているよ。」
傭兵部隊も疲労しているし、商人もすぐに動きたくはないだろう。
それに、日も傾いてきているし、宿も傍にあるのだから休むタイミングとしては絶好であると言える。
ふと、そこで少女が名乗りを上げると一度ふむ、と顎に手甲の腕を伸ばして触れながら、
「私は『スレイ』という。冒険者の『スレイ』……ああ、また会おう。手合せの時を楽しみにしている。」
結局、彼女の本来の正体など知る由もないまま、小走りに狼に跨って去っていく背を見送りながら、緩やかに踵を返して、温泉宿の方へと向かって歩いて行くのだった。
ご案内:「山賊街道 休憩所」からロトさんが去りました。
ご案内:「山賊街道 休憩所」からホムラさんが去りました。