2020/10/10 のログ
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2【イベント開催中】」にイスラさんが現れました。
■イスラ > 「 本当かな…似合っている?とても、そうは思えないのだけど?」
調子の軽い友人達の声に。訝し気、疑わし気な目で応えてしまう。その理由は。
冷やかし気味に足を運んだオークションにて、気紛れ半分で買わされてしまった、シェンヤン風情のドレスのせいだ。
そう、ドレス。何処からどう見てもあからさまに。女、が身に纏う為の物。
どちらでもあり、どちらでもない、娘としては。些か不釣り合いにも思えてしまう。
特にこの手の民族衣装は、過剰な程吸い付く様に体型を誇張する。
豊かとはいえない、それこそ正しく中性的に細身の肢体が。似合う、と評された主な理由なのかもしれないが。
絶対彼等の場合、からかいが大半に違い無い。そういう悪友達なのだ。
まだ、買い物を続けるという友人達の背を。舌を出しつつ見送ってやれば。
「 …帰るまでの辛抱さ。我慢、我慢…」
ホテルに帰れば、着替えれば良い。そう気を取り直せば。改めて周囲を見渡した。
現在位置は。オークション会場を抜けたカジノ内。
所狭しと遊戯台やら何やらが並び、欠けに興じる客達が行き交って。
中央のステージ上では淫猥な催しが行われている、そんな場所。
ご案内:「◆港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”2【イベント開催中】」にエイガー・クロードさんが現れました。
■エイガー・クロード > このようなオークションに足を運ぶのは、実は何度もある。
職業柄もそうだが、貴族としてこういうところへの招待状はよく受け取る。
だから装いも普段とは違って、高級なものであると同時に異国風なものにしたのだが。
ここにきてからというのも、中央のステージ上の催しは無論、どうにも空気が合わないというべきか。
端的に言えば、飽きていた。こういうところに
ワイングラスを片手に、静かに壁に身を預けて周辺を異国から買った視線隠しのアクセサリーの下から観察する。
目に付く男はみなどこか野心を秘めていて、女もそれは同様で。
こういう場ではある意味彼らのほうがふさわしいのだろうが……。
ふぅ、と疲れたような息を吐いて歩き出そうとしたとき
「っと、ごめんなさい」
誰かとぶつかってしまった。少年のように見えたが、シェンヤンのドレスを身にまとっていることから少女だろう存在。
スリットの入ったドレスはどこか扇情的にも見えなくはないが、よく似合っているように見える。
「私の不注意でしたわ。大丈夫?」
■イスラ > 「と、たっ…!?」
折角来たのだから。少しばかり遊んでいこうかしらん。
そうとも考えるのだが。落ち着かない格好のせいで、冷静な判断力を以てギャンブルに挑むのは難しそうだ。
どうした物かと首を捻っていたのなら…突然。背中に衝撃を感じて。つんのめった。
「っ、つ――いや。大丈夫だよ、気にしないでくれたま…、え?」
どうやら。誰かと衝突したようだ。歩いて来た向こうが悪い…等とは言わない。
往来の激しいカジノの通路で、立ち止まっていた此方も悪いのだから。
お互い様であるのなら、謝罪は必要無いのだと。片手を挙げつつ振り返って…
ぅゎ。と。小さくだが、驚きの声を上げた事に。相手は気が付くだろうか。
「 ――失礼、確か…クロード卿?
王城にて、お姿を拝見した事が御座います。
…ボク、いえ、私は。トルリダ家の末子イスラ――と。申します。」
こほん。咳払い。それから、思いっきり態度を取り繕った。
…これで、思い出して貰えるかどうかは。曖昧だ。
此方が彼へ告げた通り。向こうも、大勢の貴族が集まる宴の中等で、見掛けたか否か、という程度だろうから。
だが、もし記憶に有るのなら…その時は。燕尾の仕立てに身を包んだ少年が、父や兄の後ろに居た姿――の筈だ。
■エイガー・クロード > その少年のような少女のような子は、自身へと振り返ると同時に驚いたような顔をしていた。
はて、なぜそのような顔をされるのか、自身の装いに何か問題でもあったのだろうか。
そう思った次に飛んできた言葉に、一瞬顔がこわばった。
「……あぁ、イスラ……。トルリダ家のイスラ……」
オウム返しのように呟きながら自身の記憶を探る。
ここで自分のことを知っている相手に会うのもそうだが、こうした場でほかの貴族と会うことはあまりない。
故に中々記憶を手繰り寄せることができなかったが。
「あぁ!ごめんなさい、思い出しましたわ。
確かどこかの宴の時にお父さんやお兄さんの後ろにいた子よね?」
ようやく合点がいったというように顔を明るくさせる。
ましてやこんなに礼儀正しく相手してくれるとは思わなかった。
「こうして顔を合わせるのは初めてね。あらためて。
クロード家の現当主、エイガーよ。とてもよく似合ってるわね」
社交辞令のような挨拶を交えて、そしてその目の前にいる少年の格好を見ていう。
この言葉は本心であるのは、なんとなく確信はできるだろう。
それがいいかどうかは別として。
「せっかく着飾ったお召し物が汚れなくてよかったわ。
でも……」
確かこの子は、その時は男の装いだったはずだ……と視線で語る。
■イスラ > 「 覚えていただけたのでしたら光栄です、クロード卿。
…もっとも代々文官の家系です、卿のような華々しさとは無縁の家ではありますが。」
どうやら。多少は記憶されていたらしい。
…不肖の隠し子を、形からでも一員として。繰り返される宴席にて、他家へと顔を売らされている真っ最中。
そういう意味では。父兄の思惑は上手く行っているという事なのかもしれない。
名ばかり紹介され、何処か見世物じみていた自覚の有る当人としては。やんわり苦笑するしか出来無かったが。
「 何卒お見知りおきを。クロード卿。
…この格好ですか。何と言うか…友人達の戯れ、なのですが。
貴兄からもお褒めいただいてしまうと…彼等に対して、とやかくと言えなくなりますね?」
似合っていると褒められたなら。
…まぁ、気安い友人故の揶揄は含まれていない筈、順当に評価されているという事だから。まるっきり嬉しくない訳でもないが。
此処暫く男の側に偏りたいと思っているので、どうにも素直に喜べない。
ちなみに、記憶されていたその際も。父に願って、男の格好をさせて貰ったのであり。
大概の夜会等ではドレスである事が大半だ。…理由は、然り。
「 卿なら事もなく、受け容れていただけるでしょうか。
――私は、所謂。どちらでもない、どちらでもある――そういう、身体をしておりますので。」
普通は。余程の馴染みか…肌を重ねる事となった相手にでもなければ、早々に明かす事でもないが。
この人になら、言っても大丈夫だろう。そう思った。
王城であろうと、今と同じように喋っていたこの人なら。偏見を抱かれこそすれ、逆に、抱く側にはならないだろうと。
■エイガー・クロード > 「いえいえ、その文官こそが国を安定しているのは事実。
なにより、私のようなものらが華々しく戦えているのは、あなた方が国を支えているからこそですよ」
くすくす、とその言葉に嘲笑するようなものではなく、純粋な言葉と、癖のようなものなのだろう。
どこか軽快さと、そして真心がこもっているように感じた。
「なるほど。……なんというか、愉快な友人をお持ちなのね」
どこか感心したような、それでいて気の毒な声色を乗せる。
しかし見れば見るほど、似合ってるというべきか……。
肌がきめ細かなのもあって、素材と装飾が、非常に上手くかみ合っているというべきか。
「……ふむ」
その言葉--どちらでもない、という言葉を聞き、暫し思案する。
観察するような視線を、つま先から頭頂まで。
しかしその視線は奇異なもの、というよりも、どこまでも人を見る目で。
「事情はわかったわ。まぁ、そういうことならどっちを着てもおかしくないのね。
……あなたには失礼なことを言うけど、やっぱり似合うわ」
くすくす、とおかしそうに笑いながら。
「綺麗、美しい。それは、男であっても女であっても、言われて嬉しいのではなくて?
あなたはたぶんだけど、どちらで見られてもそう思われるにしているのでしょう?」