2018/10/26 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にレイン・レジネスさんが現れました。
レイン・レジネス > 二日続けての酒場通い――もっとも、場所は大きく変えたが。
先の夜は富裕地区で、いかにも金のありそうな面々に囲まれての深酒。
そして、その酒気がようやっと抜けたばかりの今宵は、
いかがわしさの塊のような街に腰を下ろしている。

「お酒と美人。……え、美人は無い? 自分で見つけろ?」

あっせんはしてないよ、とすげなく断られてカウンターにつっぷす。
程なく出てきたグラスを掴んで、琥珀色の中身を一息に飲み干した。

レイン・レジネス > 一杯、二杯、三杯――少しばかり酔いが回り始める。
カウンターに伏せていた体を持ち上げて、椅子の上に真っ直ぐに――

「っと、と」

――反った。
起き上がる勢いに体が負け、椅子の上で、ぐいんと反る。
そうして天地を逆さまに、自分の後方、酒場の景色を見た。
そろそろ客が増えてきた頃合い。博打の音も、品の無い冗談も、様々な音が渦巻いている。

「……楽しそうだなぁ」

と、呟く声は寂しげに。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」にチヅルさんが現れました。
チヅル >
チヅル > 折角の休日だからと、足を伸ばしたのは港都市。
海鮮を楽しみつつ、日が落ち始めれば適当な酒場へ入り込む。

「マスター、どこか空いている席は・・・・・・うん、そこだろうね、そうだと思ったよ」

カランとドアベルを鳴らしながら空席を訪ねれば差し出されたのはまるでホラー映画のように仰け反り辺りを見回す女の隣。

(こりゃ生贄にされたな・・・)

などと物騒な感想を抱きつつ、女の下へと歩み寄り。

「こんばんは、お姉さんとなり空いているかな?」

僅かに顔を傾けて目線を合わせるように問い掛ける。
一瞬遅れて太い三つ編みがその動きを追うように揺れる。

レイン・レジネス > 「ん? ……ああ、まぁ」

隣が開いているか――と問われたなら、実際の所、埋まってはいない。
反っくり返らせていた体を元の位置に戻して応えた。
それから改めて周囲を見渡せば、なるほど、いつの間にやら席が埋まっていたようだ。
そういうことも有るだろうと、肘を置く位置を少しばかり、相手の反対側に寄せてスペースを空けた。

チヅル > 「どうも、それじゃあお邪魔するよ――マスター、軽めのをひとつ。それとナッツもいいかな」

空けられたスペースに身を下ろす。
そのまま両肘をテーブルに預けるように軽く前傾姿勢のまま、カウンター越しの店主に注文を頼み――出てきたカクテルを受け取り、女性へ向けて軽く掲た後一口飲む。

「ん・・・マスター、いい趣味をしてる。美味しいよ」

頬を薄く色付かせながら、満足げに頷き舌鼓を打つ。

レイン・レジネス > 暫くの間は、特に何を話すでもなく飲んでいた。
隣に見知らぬ誰かが座るのは良くあることだ。それこそ、どんな街でも。
だから邪魔をしないように、つつましく酒を勧めていたが――

「――駄目だ、分からない」

飲みかけのグラスを置いて、女は言った。
それから首をぐるりと横へ向けて、些か焦点の合わぬ目でこう続けた。

「君。男? 女?」

チヅル > 一言の呟きと共にぐるり、まさにそんな音が聞こえそうな勢いで振り向く女の目は
焦点がぶれておりそこそこには酔いが回っている様子が見て取れる。

「さて、ね?」

こういう時ついはぐらかしてしまうのが悪い癖なのだが、
少し肩を竦めながらおどけた様に質問を質問で返す。
どう見られているのか、それを知るのが数少なく、またお世辞にもよいとはいえない趣味である。

「どっちだと思う?」

レイン・レジネス > 「見て分からないから聞いてるんだよね……」

と呻くように言って、女はグラスを額で蓋するように頭を下げた。

「大体の人間はまぁ、骨格とかで見分けがつくんだけどさ。
 酔ってるせいか何なのか……君はどうも、分からない」

これで相手が好みの美女だと言うのであれば、嬉々として口説いていたのだろうが――
好み云々の前に、恋愛対象となりうる男か女か、それが分からないのだ。
当惑に満ちた目はだんだんと、酔いが回ってピントがずれ始めている。
首もぐらぐらと、縦ゆれを始めた。

チヅル > 「おっと、大分酔いが回っているみたいだ・・・大丈夫かい?」

まるで首の据わっていない赤子のように揺れる首を見ては心配げに肩に手を伸ばす。
振り払わないのであればしっとりと温かい掌が肩に置かれ、心配げに覗き込む深い蒼色の瞳が映る事だろう。

「私の場合は、うん。結構線細いからね、確かに見てくれじゃあ分からないか。私は女だよ、残念かもしれないけれど」

今のところは、とは言わず。取り敢えず今の性別――尤も、これも周りの目線が生んだ結果なのだが――を答える。

「さて、このままだと危ないね。どこかで休んで行くのかい?場所が分かれば送っていくけど?」

首を傾けながら女性に問い掛ける。

レイン・レジネス > 「……女? 本当に?」

自己申告は有るが、それがいまひとつ確信に至らない。
果たして目の前の相手は〝どちら〟なのか……。
些細な様だが重要な問題だ。特に〝一夜の相手〟を探している立場では。
やがて女は、覗き込んでくる目から逃れるように身体を引く――というか、また傾く。
千鳥足で立ち上がりながら、カウンター向こうの店主に会計を要求し、どうにかこうにか支払いを終えると。

「いや、気にしないでくれ。多分大丈夫……たぶん、きっと」

おぼつかない足取りはそのまま、女は店を去って行く。
或いはどこかの路地裏で、そのままひっくり返ってしまうのかも知れないが――それはそれだ。

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からレイン・レジネスさんが去りました。
チヅル > 「そうか、それじゃあ気をつけてね」

覚束ない足取りで去っていく姿を見送り、やがて店から出た後。
再びカクテルを傾ける。
酒には弱いほうなのだが、たまにはこんな日もいいかとしっとりと――

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール”」からチヅルさんが去りました。