2015/10/25 のログ
ロゼッタ > (面と向かって声をかけても無視をするようなら、ますます作り物なのではないかと勘繰ったが、返答が来たので意思疎通は出来る存在だと認識した。むしろ、その反応は声かけを待っていたかのような受け答えにも見えて、数度不思議そうに瞬きをする。次いで、ふふ、と囁くような笑い声を漏らし)

ならば尚更珍しい。
此処はカジノ帰りの輩がよく寄る店だからな。大抵は男か、男女が――― 失礼。

(言葉の途中でカウンターに置かれたグラスに手を伸ばし、ほんの少し注がれたワインを口にして。満足げに頷くと、マスターはふたつのグラスにワインを注ぎ、片方を彼女の前へ置くだろう。)

この店で一番のワインだよ、私から君へ。……ワインは好きかね?

エルレストベーネ > ふふ……お誘いかしら?
それともコレも賭け事の続き?

ベットはありがたく受け取るわ

(男のグラスは、つまり、挑戦権だ
受け取る以上、良いか悪いかいずれにしても結果は出る

カジノの延長線上とも言える
賭けの対象は自身、腕は相手次第
受け取ったグラスを優雅に傾けると、それだけで目を引くような様である

ボトルは開栓前、マスターがグルでないのなら、薬のたぐいもないだろう
イカサマの話をしていたのだ、そういった行為も十分に有り得る
もっとも、少女は人形故に薬にかかることもかからないことも出来るのだが)

……ワインは、良いわね
寝かされて熟成する様はまるで人の人生のよう

私は、そうした他人の人生や答えがほしいのだもの

(濡れた唇が艶めかしく笑った)

ロゼッタ > 誘い? ………ふん、面白いことを言うのだね。
君が誘うに値する者か、私は未だ知らないというのに。

(皮肉っぽい口調で言うと、己もグラスを手に取った。少し揺らせば甘くほろ苦い香りが広がって鼻孔を擽る。うっとりと目を細め、濃紫色の液体を眺める―――否、液体越しに彼女を見据えた。巧妙な美しさ。まるで人目を惹くために作られた陶磁器人形のよう。ワインを一口含み、舌の上に乗る香りを味わい、飲み込む。 その間に聞こえた彼女の声に、興味深そうに首を傾げ、)

的を射た表現だねえ。
……しかし、他人の人生が欲しいとは… どういった意味だろうか。

(艶やかな唇が紡ぐ言葉の意味を、そのまま受け取るべきか。一種の比喩表現なのか。底無しの美しさから真意が読み取れず、 ならば波紋を起こそうと)

たとえば 他人の生き様を掌の上で弄びたい、 だとか?

(眼鏡の奥の眼を光らせ、彼女の反応を窺う。)

エルレストベーネ > くすくす……誘うに値しないのなら、思わせぶりなこともベットもしないでしょう
そこはお互い、話し相手が必要だった、それで十分でなくて?
そも、こんな魔族にグラスを渡す以上は、それ相応の出会いを求める以外になんの理由が?

(グラスを回しつつ、その香りと味を楽しみながら面白がるように視線を交わす
からかっているのか無邪気なのか、その目は嬉しそうに笑っている)

文字通り、全部知りたいだけ
その熱も、感情も、思いも、過去も
……貴方の全部を

私は答えが知りたいだけ
だから私の欲しい答えをくれる人をずっと探しているわ

だからその人の生のすべてが欲しいの

(比喩だろうか?
嘘をいう感じではないようにも思える

少なくとも、おそらくはそのためにここにいるのであろうし、それは弄ぶためではないのだろう
……もっとも、結果的に弄ぶことになる可能性がないわけではないだろうが)

ロゼッタ > ………知ったようなことを…私は気まぐれに声をかけただけだ。
容姿端麗な女騎士に恐れ入って声もかけられない、ヘタレ共とは違うのでね。

(減らず口を叩きながら悠然と笑み、先程からこちらを窺っている他の客たちを、茶化すように睨みつけ。小さく鼻を鳴らしてグラスに向き直った。
ワインに身も心も委ねながら、彼女の話にも聞き入っている。何せ非常に興味深い。言った通り、気まぐれで声をかけただけではあるが、実際はあらゆる魅力に引き寄せられたのかもしれない。容姿や、その他形容できない価値に。そう思う程に彼女の言葉は、意味深長で――― )

面白いね。成程、全てを知りたい……か。
君は満たされたいのだね。 空っぽな器を満たしたいのだ。 このワインのように、濃厚で芳醇な”人生”で。

(滔々と語りつつ、揺らぐ視線は彼女の方へ。)

――― 君の欲しい答えとは、どんなものなんだい?

エルレストベーネ > つまり、気まぐれを起こす程度には狂ってしまっているんでしょう?

(そもそも声をかける必要も無ければ、ワインを振る舞う必要もなかったはずだ
そのコストを払う理由があったから払っただけのことだ
それがなんとなく思ったことだとしても、それはそう感じてしまったのだから

感じることは避けられない
そして感じてしまったことをどうするかは本人次第だ

そしてわざわざ接触する選択をしたというくらいには、きっとそうなのだろう)

そう、満たされたいわ……喜び以外のすべてで
怒りも悲しみも後悔も情念も妄執も
私にはすべて、魅力的に思えるわ

ふふ……貴方の色はどんな色?
香りは? 味は?
安いワインのように口当たりよく万人に向けられたものかしら?
深いワインのように起こせば香り立つものなのかしら?

私は、その答えを感じたいの

(その答え探しすら楽しむような体で、答えた
求めている、と言っても妄執のそれではない
欲ではあっても強欲でも焦りでもない
ただそれに浸りたいがための過程であり道であり、その探すことさえも楽しんでいるかのような口ぶりだった

少女は喜びしか知らない
故に歪であり、人間を凌駕しながら人間未満である
そういう、人を引き付けるための道具だった)

ロゼッタ > 狂うだなんて俗っぽい表現はよしてくれたまえ。
素晴らしい酒に酔っているのさ。

(端正な眉間に皺を寄せると、グラスを掲げて揺れるワインを眺めた。そう、今夜は少しばかり酔いが深い。普段なら一瞥して終わりの見知らぬ客に声をかけているのだから。もっとも、彼女の作り物めいた美しさが興味深かったのもあるが。)

(言っていることも、容姿も、全てが”人間”らしくない。魔族だと彼女は言ったが、今まで出会ったどんな魔族にも適応しない、独特の雰囲気を感じた。しかしそれが何かと形容は出来ない。―――難しい顔をして、カウンターに肘をつき彼女の顔を覗きこむ。瞳の奥に何が宿るのか、悟ろうとしても、悟れない。楽しそうに問われれば、口元を歪めるようにして笑い)

欲しいならば求めればいい。
答えを待つのではなく、君自身が引き出してやるといい。
それに値すると思った者からね。

……… ただし、ワインの栓がそう簡単に開くと思っては、 いけないよ。

(彼女は求める過程を大事にしているのだろうと。しかし自分は違う。欲しいならば奪う。過程や手段など構わずに、得るもののみが価値だと思っている。故に、彼女の考えを全ては理解できないから、己の理論から考察した意見を述べた。)

エルレストベーネ > くす……酔ったまま溺れないと良いのだけれど?

(女の動作はすべてが美しい
その指のひと差しですら、目が離せないほど
そして完璧であるがゆえに、歪だった
すべてが良すぎ、そして味わいたくなる、違和感があるというのにむしろそれを正しいと認めたくなる

そんな欲を掻き立てる歪さだ)

ふふ、だからそうしているでしょう?
蓋の方から開けてもらいたがってくるのだから、願ったり叶ったりだと、そうは思わない?

(歪ゆえに惹かれ歪ゆえに求めたくなる
そういう人形だ

すべてが優れていながら、どこかが足りない
そこを満たしたくなるのが人の性というものだ
そこを刺激したくなるのが人の性なのだ

むしろ本人がそう望んでいるのだから何も問題はない

毒ならば皿まで食らうのが礼儀だろう)

それで……貴方は選ばれるボトルに値すると?

(その真紅玉の瞳が妖艶に色づいた)

ロゼッタ > 君はつくづく面白いことを言うね。
泳げないのに深海に飛び込む馬鹿は居ないだろう?

(かたどられた美しさを目に焼き付けながら言い、ワインを飲み干す。グラスを置いて唇を指先で拭い、その指でカウンターをコツコツ叩いた。マスターを呼ぶためではなく、ただ―――己自身の所作として。平素から鋭い視線は酔いが回って据わりかけており、しかし意思だけはしっかりと残る。何故なら自分は、 泳げるから。 欲の海では溺れない。 美の視線に射貫かれ、背筋にぞわりと悦を感じても、今は未だ。)

ああ確かに、君ほどの美しさなら、ボトルの方から寄って来るだろうねえ。
しかし今まで開けてきたワインは、君のお気に召すものではなかった。
だから今も、求め続けているのだろう?

(とん、とん。カウンターを小突く音をわざとらしく響かせて。妖艶な色味の視線を、鋭く尖らせた視線で受ける。口元には歪んだ笑みを侍らせて)

私を選びたいのなら、それ相応の価値を見せておくれよ。
全てのボトルがそう易々と手に入るものだと思うな。

(彼女が何を求めているのか、段々と理解する。一方で安易に身を委ねるほど、自分は酔っても溺れても居ない。手に入れるまでの過程を楽しみたいと言うのなら、 貴女に酔いしれ狂うまで、溺れさせてみればいい。)

エルレストベーネ > くすくす……でも、仕掛けたのは貴方だし?
まずはエスコートしてくださらない?

……ねえ、貴方は何を私に教えてくれるの
私は見せ札を晒したのだから、今度はそちらの番でしょう?

(そのカウンターを叩く指に、ゆっくりと指を絡ませる
まるで剣を持つ手ではないような白くしなやかで細い指が男の指を嬲るように這う
ただ軽く触れ合っただけの指が、妙に艶めかしい

望むものを伝えたのだ、持っているけどチラ見せもしないまま探れ、というのでは賭けにならない
香りなりなんなり探らせろ、とそういうことだ
ベットを受けたのだ、つまりはレイズに応えろと、そういうことだ

海に身を投げだしたのだから、セイレーンはその様子を嬉しそうに眺めつつ誘うのだ)

ロゼッタ > (平然と身構えていた笑みが、一瞬ひくりと引きつる。己の指に絡まったのは柔らかな細い指。多少触れただけと言えばそれまでの感覚なのに、腕を通して身体の奥まで探られるような――― 息を詰まらせ、視線を逸らすと)

……気まぐれに声をかけただけ、と言っただろう。
君に色事を仕掛けた覚えはない。

(取り繕うように言い放ち、目を伏せて考える。その間にも指先からは彼女の感覚が伝わる。 勝負せずに降りるなんて男が廃る。しかしそう簡単に攻略されるのも気持ちが悪い。取っ掛かりひとつだけ。手をかける場所を少しだけ開けて、相手の出方を見る。これは駆け引きだ。どこまで彼女が、己を求めるかを確かめる。 エメラルド色の瞳を開き、)

何を教えてほしいんだ。

(つい、と顔を近づけた。 唇が触れ合うか触れ合わないか、絶妙な距離で睨むように見据える。)

君は私の、何が知りたい? 何が欲しくて、こんな真似をする?

エルレストベーネ > 色事?
構わないわ、別にそうでもそうでなくても

くすくす……それを、2度、聞く?

言ったでしょう、貴方の過去、感情、熱、後悔、自信、全てよ
喜び以外のすべて
貴方を教えてほしいとそう言ったはずよ
無論……喜びも含めてもらえるなら、それも

その戸惑い、動揺、息遣い、震え
すべてが愛おしいもの

だからそれを……教えて?

(筋肉のこわばり、固まった表情、逸らした視線、詰まらせた息
そのすべてが愛おしい
少女にとって、喜び以外はすべて喜ぶべきものだ

男の一挙手一投足が愛でるべきものだ

男はわかっているのだろうか
拷問であろうと戦いであろうと、教わる方法は色事でなくてもどんな手段でも構わないのだ
相手が嫌がらず、己も嫌ではないから色事がその一つにあるに過ぎない

そのエメラルドの瞳に紅玉の視線を重ねれば、鏡写しのように己の底を見られているようなきがするだろう
人形は相手を映すだけだから

人形のその歪は美しさを高める
そして人の欲を煽り、人の欠点を隠す
魔族でありながら魔族でなく、人以上でありながら人に劣るもの
それは、とても都合のいい、芸術品だ)

ロゼッタ > (至近距離で見据える彼女の顔立ちも、声色も、仕草も。総てが完璧と表現するに相応しい美しさを保っている。このような女性に迫られて、幾人もの人間が全てを彼女に与え、何かを与えられ、互いを満たし合って。―――少しずつ、彼女から顔を離してゆく。これ以上近づいていたら、心の奥底の弱い部分を掬われる気がして恐ろしかったのだ。)

……全て、ねえ。

(故に震える声色を、顔を逸らして誤魔化した。絡めていた指も離し、緩く吐息をつく。やがて視線を彼女に戻し、薄らと笑んで言った。)

私は色事が嫌いだ。欲望をぶつけ合うだけの行為など、反吐が出る。
私が喜び以外―――怒りや哀しみや動揺を感じるのは、そのような行為だ。
この世には色欲を何よりも嫌悪する人間がいると、 覚えておけ。

(今宵自分が教えられるのは、彼女が欲するものを手に入れるための手段。過程を楽しむ彼女が、これを教えたことで如何様に動くのか、自分が知ったことではない。ただ、ベットされた分は、返したことになるだろうか。)

私に価値を見出し、欲するなら、奪って見せろ。
そう簡単にはいくまいが、ね。

(苦みすら混じる笑みと共に立ち上がり、マスターを呼ぶ。「支払いはいつもの通りに、彼女のも一緒に」と告げて、ジャケットの襟を正し、カウンターを離れよう。去り際、彼女の前に名刺を残すのも忘れず。肩書はない、名前と連絡先のみのシンプルなもの。)

私の名はロゼッタ。ロゼッタ・シャンゼルジュだ。
では、……良い夜を。

(ふわりと手を振り、用心棒を侍らせて店から去っていく。 ―――― 細く紡がれた縁がどこかでまた交わるかは、いずれ分かること。)

エルレストベーネ > ああ、それは素晴らしい

つまり生命の神秘を否定する
それは強がりですか、虚栄ですか、逃避ですか?
それとも殉教者、もしくは純愛論者ですか?

生命である以上、色事の否定はありません

色事を否定から入る以上、そこには何がしかのこだわりがあります
神であれ悪魔であれ、何かを絶対であると信じているか、
もしくは何らかの後悔や不安、傷を抱えているか

少なくとも、今まで出会ってきた方々はそうです
ですから……貴方の心の底を見せてください
何なら、力で奪っても良いですし、もしかしたら同意かもしれません

ですが、今宵は深いですから
それは残念ながら次の機会としておきましょう

くすくす……ひとつ、楽しみが増えました

(感情を、見せてくれた
素のそれは非常に魅力的だ
怒りであれ悲しみであれ恨みであれ不満であれ、感情は全て尊い
人形にはそういったものが全て魅力的に映る
汚い部分も醜い部分も愚かな部分も見苦しい部分も、全て喜びとして受け入れる

故に、人形には、自らをさらけ出し、不安を見せても受け入れられそうな、そういった怖さがある
魅入られる、とはそういうことだ)

これはこれはご丁寧に
申し遅れました、私はエルレストベーネ=ブラニッシュ
エルとお呼びください

ではいずれ、またどこかでお会いしましょう

(そう言って見送る人形の瞳は、笑っているようでも嘲笑っているようでも微笑っているようでもあった
その瞳は、見るものの感情を映すだけなのだから)

ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 酒場」からロゼッタさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス “ハイブラゼール” 酒場」からエルレストベーネさんが去りました。