2021/05/07 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 『アケローン闘技場興行試合!
夜の部は、もうすぐ開始です!』

喧騒の中、アナウンサーの声が響く。
その中央の試合場で、試合開始の時を待つ剣闘士。
今日の対戦相手は知らされていない。
たまに、前触れもなく魔王とかをぶっこんでくるので油断できないが、

「(まあ、そうは言っても流石にそうそうそんな強いのは出さないとは思うけど)」

等と考えていると、

『それでは、対戦相手の準備が出来ました!
今日の対戦相手は――』

とアナウンスが流れる。
男は、そちらの方に意識を傾ける。
今日の対戦相手は誰だろうか?

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にスピカ=キャスタルさんが現れました。
スピカ=キャスタル > 【待機中】
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 「避けられ……!」

真っ直ぐ行った以上、カウンターを食らう事は想定して然るべき。
ぴたりとくっついて、こちらを投げ飛ばそうと背中を向ける。
だが、剣闘士クレスは、仕事の事には勤勉である。
想定して然るべき事は、きちんと想定して対処している。

「おっと!」

彼女が投げの体勢に入ろうとした瞬間、こちらは足を使って横に逃げ、彼女の身体を引きずる様にする。
背負投げというのは、身体全身のバネを使って行うもの。
故に、身体を横に引っ張られ、体勢を崩されては、投げる事はできず――寧ろ、引きずられて踏ん張りが効きにくくなる事で、

「女の子を下敷きにするのは、ちょっと気がひけるけ、どっ!」

足を払い、更に体重をかける事で彼女を押し倒そうとする。
全体重をかければ、女性らしく小さな体を持つスピカの身体は、こちらの体重を支えきれないだろうという読みである。

スピカ=キャスタル > *あぁ、この浮遊感、足が離れたのか。さっきは顔で次はお尻かぁ。今日はよく転ぶね。*

完全に虚を突いたと思った半ば付け焼き刃の投げはあっさりと返される。
思考が加速し景色がスローで流れていく錯覚を覚えそれならばと最悪の展開の中での最善の一手を模索する。

「コレがあったか。ここまで来たらタダじゃ転ばないよ。」

目の端に映る布、先程クレスが腕に巻き付けた上着へ手を伸ばし強引に引く。
自身が倒れる事が回避出来ないのであればせめて共倒れに、痛み分けの五分であればまだ形勢は返る可能性はある。
余裕のある表情は崩さないもののその実自身が徐々に追い込まれているのは実感していた。
魔法が封じられ膂力では相手が上、手練手管を用い優位を取ろうとするもこの場での闘いに置いて熟練者は相手。
徐々に狭まる箱に閉じ込められたかのように選択肢は潰されていく。

「ジリ貧なのは自覚してるけど、最後まで抗ってみるってのも一興だとは思わないかい?」

クレス・ローベルク > 相手が武術にも魔術にも長けていたので自覚するに時間がかかったが、純粋な膂力であればこちらが上なのである。
ならば、真に必要なのは裏の掻き合いではなく純粋なパワープレイである。
腕を引かれるが、そんなものは引かせておけばいい。
魔法を使わない五分の勝負であるならば、有利なのはまだこちらであるのだから。
とはいえ、勿論。選択肢は多いに越したことはない。

「だから、悪いけどこっちを使わせてもらう、よ!」

左手で取り出したるは、男の代名詞とも言える武器、試練の媚薬。
一回打てば感覚が鋭敏化し、二回目からは、発情。
三回目となれば、最早戦闘など不可能になるその薬の、一回目を彼女の首筋に突き立てようとする。

これが決まれば、男は格闘でも、媚薬による発情でも勝利できる事になる。
選択肢が増えれば、それだけ相手が対応しなければいけないものが増え、その両方が通しやすくなる。

「悪いけど、最後まで手は抜かないよ、スピカちゃん!」