2020/07/31 のログ
■クレス・ローベルク > ――試合が始まり、男もそれに集中することにした
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場 観客席」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
■クレス・ローベルク > 『クレス・ローベルク選手のランダムマッチ、試合前のBETは十分後に締め切ります!
開始以降は、賭けた側の賭金の積み上げのみ受け付けますので、お早めのBETをお願いします!』
ランダムマッチ。
それは、闘技場によって抽選された選手一名と、闘技場側の選ぶ剣闘士が戦う試合形式だ。
剣闘士自身も試合相手が解らないこの試合方式は、時たまとんでもない相手が飛び出してくることもあり、非常に人気の試合方式だ。
まあ、そんなモンにつきあわされる男は溜まったものではないが。
「(こういう時だけは、きちんと抽選するんだからなあ)」
闘技場の運営の意向によっては、ハンデがついたりもするが。
だが、どうなるかは最終的には蓋を開けるまでは解らないのだ。
そして、その蓋は今、この時に開かれる。
『さあ、それでは抽選によって選ばれた選手をご紹介しましょう。
今日の選手は――』
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にソラムさんが現れました。
■ソラム > 「......私か」
抽選された画面にでかでかと浮かぶ自身の名前を見つめ、そう呟く。
相手はクレス・ローベルク。いつの日か、酒場であった剣闘士だった。
いつかは戦うのではと思っていたが、まさかこんなに早く戦うことになるとは思わず、思わずふっ、と笑ってしまう。
“.....上等だ”
そんな風に思い、背中に吊るバスターソードの柄にそっと触れる。
■クレス・ローベルク > 試合場に現れたのは、風変わりなコートを着た少女。
男と倍近い年齢差とはいえ、その背に持つ大剣は、彼女が戦闘をする意思がある事を如実に物語っている。
「やあ、ゾス村ぶりだね。本当に来てくれて、感謝の限りだ」
暫く会ってなかった知り合いに語りかけるような、気安い口調で話しかける。
経緯は省くが、男はこの少女に一度、闘技場に参加するよう誘ったことがある。
闘技場の試合をより盛り上げるため――ではなく。
闘技場で彼女を合法的に犯すために、である。
「さて、久闊を叙するのもいいけど、お客さんも待ってるからね――早速試合を始めよう」
そう言うと、男は腰のロングソードを抜いて、構える。
スタンダードな中段の構え。
どの様な攻撃にも対応できる、尤も対応力のある構えだ。
「まあ、ちょっとしたハンデでね。相手が女性の場合、最初の攻撃を譲ると決めているんだ。
そういう訳で、先に攻撃してきて良いよ。俺はそれを、防御はするけどカウンターはしないからさ」
不敵な笑みを浮かべてそう言う男。
挑発にも聞こえる様な口調だが、さてソラムはどう返すだろうか。
■ソラム > 「......ハンデ、ね」
そう言いながら右手を背中の柄に回し、一気に抜き放つ。
黒くてかりのある金属とシルバーメタリックのツートンカラーのバスターソードは重厚かつ重みのある印象をクレスに持たせる。
「私に先手を譲るのなら、手は抜かないから」
男がロングブレードを中断に構えるのを見ると軽々と右手でバスターソードを真横に構える、ブォンと風切り音がする独特の構えをすると、一気に地をけり加速し、相手との距離が近づき、バスターソードの間合いに入った瞬間跳躍し上空へと舞い、相手の不意を突く。
■クレス・ローベルク > 構えるだけで、風切り音が聞こえる程の力強い構え。
構えである。まだ、振ってすらいない。それも、片手である。
「(いや、怖っ!?)」
ゾス村の酒場でもその膂力は見たが、想像以上だ。
そして、その膂力は、腕力だけでなく、脚力にも発揮される。
質量のある風の様に迫る少女。
ならばと、男は少女に対して走り出さんとするかのように、足を前後に開いて構える。
少女の攻撃のタイミングを読み、それに合わせて懐に入る、とそういう画策だったのだが。
「上か……!?」
咄嗟に反応できたのは、男の剣闘士としての経験値故。
素早く後ろに一歩、二歩とステップし、彼女との距離を取ろうとする。
彼女の膂力に、落下の勢いがついた攻撃など、受けきれる筈もないが故に。
■ソラム > 「誰が斬るって言ったの...?」
バスターソードを放り上げ、踵落としの要領で柄の中心を蹴り落とす。
高速で落下していくバスターソードを空中で見送りながら、第二の刃となる純白のエストック、漆黒のハンドガンを同時に抜き放ち、地面に着地する。
■クレス・ローベルク > 「なっ……!?」
後ろにステップした所で、大剣がこちらに向かって翔んでくる。
風を切り、真っ直ぐ向かってくるそれ。
回避したいが体勢が悪い。だが、剣で受けても、剣を貫いて男の身体を貫くだけだろう。
「な……めんな!」
男は、翔んでくる剣に対し、剣を下に構える。
そして、タイミングを合わせて、思い切り上に振るう。
受けるのではなく、弾く。結果は、剣は一本へし折れたが、バスタードソードは空に弾かれ飛んでいく。
「今度は、こっちから行くよ!」
そう言うと、円を書く様に少女の周囲を走り出す。
真っ直ぐ走らないのは、ハンドガンの狙いを絞りにくくするためだ。