2019/09/11 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」に白尾さんが現れました。
白尾 > 「はぁ、めんどくさいなぁ」

そういいながら出てきたのは狐耳をはやした少女であった。黒の下着に赤と白の薄手の上着を着た、巫女? 巫女にも見えなくはない格好の少女。
片手には白木拵えの日本刀を握っている。

闘技場がしっかりした闘技をやるのが珍しくなった昨今。観客は下種いショーを楽しみにする連中が増えているのはわかっている。
それでもお金の問題やしがらみから参加せざるを得なくなった自分の状況が正直悲しかった。

「ひとまず名乗っておこう。ボクは白尾。アシュトレト教最高司教だ。君の名を聞こう」

肩書は一応ウソではないが、宗教自体すさまじく弱小宗教だ。最高の下に聖職者がいるかといわれるといないぐらい信徒が少ない。
それでもまあはったりは大事だろう。

クレス・ローベルク > 『異国の美少女狐耳……巫女?白尾――!』

おおおお――!と、周囲から歓声が上がる。
巫女であるかどうかは外見的には怪しいが、それはそれとして美少女である。
否が応でもテンションは上がるというもの――まして、それが媚薬や剥きを得意とする、クレス・ローベルクが相手となれば。
男も、これはやる気が出るぞと、握り拳を握り――ふと、実況席のアナウンサーが、何か合図しているのを見た。

「(何々?"対戦相手""犯すな""節度のあるセクハラを"……節度のあるセクハラって何だよ)」

しかし、相手が名乗りを上げれば、直ぐにその指示の意味は理解する。
要は、相手は宗教指導者。
下手に犯してしまえば、誰を敵に回すか解らない。
この際、数は問題ではない――たとえ信者が一人であっても、その信者が闘技場へのスポンサーである可能性は、否定できないのだから。
そして、セクハラ自体を禁止しないのは、下手に大怪我させるぐらいなら、セクハラで戦意を削れという事なのだろう。

男は、観客席に頷いてみせ、白尾の名乗りに応える。

「OK。俺はクレス・ローベルク。あんまり楽しい気分じゃあなさそうだけど、暫くの間お付き合い頂けるかな?」

にこりと笑い、剣を構える。
剣に纏わせてある、『衣装のみ切断』の魔法は既にオンにしてある――相手の力量を測りかねている現在、尤も恐ろしいのは、相手に下手な怪我をさせることだ。

「俺のマイルールでね。相手が女性であるならば、最初の攻撃権を相手に与える事にしている。
さあ、攻撃してくると良い。それを以て、試合開始としよう」

男はそう言い、相手の攻撃を待つ。

白尾 > 「ふーん、そう……」

なかなか舐めた態度である。だが、先手を譲る、といわれてもなかなか困る。
戦場なら首を切り裂けば一撃だろうが、ルール的にも、興行的にもいろいろな意味で大問題である。
あまり良い手も思い浮かばず、拳を握る。

「じゃあ、ひとまずいくよー」

刀を抜かずに、そのまま拳を振りかぶって胴体を殴る。
ぽふんっ、という気が抜けた音がした。

クレス・ローベルク > 突然振りかぶられた拳に、男は一瞬反応が出来なかった。

「……!?」

てっきり、何かしらの魔法を使ってくるのかと思っていた。
故に、反応が遅れた――というのもあるが、しかし最大の原因は、その拳が遅すぎた事だ。
回避が容易過ぎるが故に、男の戦闘判断が一瞬、『これは優先順位が低い』と判断してしまった。
故に、攻撃はそのまま胴に直撃し――そして、何の効果も及ぼさなかった。

「……」

『……』

……。
気まずい沈黙が、流れる。
アナウンサーも、男も観客も、一言も発さない。
しかし、何より気まずいのは男の方だ。
一応、このルールは、『男性の腕力で力押しした結果相手に何の見せ場もなく勝ってしまう』事を防止するのが目的の一つなのだが、これは見せ場というより、ただ遊んでいるだけである。

「……まあ、一撃は一撃ということで」

この状態では剣での攻撃はできない。
故に、男は右手を相手の胸元に伸ばす。
狙いは、胸元を隠している服の生地を、ずり下げる事。
初手からセクハラというのはどうかという気がするが、幾ら何でも此処からマジの打撃なり斬撃を行うのは、観客がテンションの落差についていけないだろうという判断だ。

白尾 > 「ひゃああああ!?」

服の胸元をつかまれて、ズラされる。胸を覆っていた布は下げられて、その乳房が露わになるだろう。
胸を触られて悲鳴をあげながら慌てて後ろに飛ぶ。そして慌てて服を直すも、そのピンク色の乳首はクレスのみならず多くの人に見えただろう。

「へ、へんたいだね!!!」

若干赤くなりながら、刀を抜く。サイズ的には小太刀だが、少女が小柄なので若干短い程度の刀のサイズに見えるだろう。
そんな小太刀を逆手に持ち、前に構えながら間合いをうかがい始める。

クレス・ローベルク > 後ろに跳ぶ少女を、男は敢えて追撃しない。
今はまだ、彼女に勝つべきところではないからだ。
故に、男は悠々と、隙だらけでさえある程にゆっくりと歩いて、

「お褒めに預かり、光栄の至り……ってね。
ほらほら、さっさと本気を出さないと、次は何をされるか解らないよ?」

出来るのはセクハラだけで本番はできないのだが。
しかし、それぐらいの緊張感は持って貰わないと困る。
少しずつ距離を詰めながら、相手を観察する。
獲物は小太刀――逆手持ちという事は、打ち合いよりも防御を掻い潜って傷を負わせるスタイルだろうか。

「ま、それならこっちは男らしく正々堂々いきますか!」

動きを、歩きから、走りへとスイッチする。
脇に引いた剣の切っ先を相手に向け、そのまま真っ直ぐ突っ込んでくる。
リーチ的に、白尾よりも男の剣のほうが長い――故に男は、彼女の身体が剣のリーチに入った瞬間に、

「せやっ!」

振るう。
狙いは、シースルーの赤い袴……そして、その奥のハイレグだ。
ハイレグの生地を斬って、股の部分を露出させられれば言うことはない。
しかし、この斬撃の目的は、相手を更に後ろに下げる事にある。
相手が下がると同時、こちらは追うように跳躍し、相手の首筋に、男の代名詞とでも言うべき『試練の媚薬』を打ち込む算段だ。

白尾 > 「よっと!」

その鋭い突きに対して、白尾は踏み込む。ぎりぎりを見切り、薄皮を切り裂くぐらいの最小限の回避でそのまま懐に潜り込んだ。
ハイレグの股間部分の上が切られ、へそのあたりが見える。
しかしそれも気にせず懐に入り込んだ白尾は、するり、と踊るかのように後ろに回り込むと飛び上がり、頭のうしろから股で首を挟みこんだ。
柔かいその太ももや、毛の生えていない鼠径部の感触を楽しむ余裕もなく、足をそのまま首に巻き付けると、体重を一気に後ろにかけた。

体勢を崩せばそのまま首投げだし、崩さなければ手も使い首を締め付けられる、なかなかえげつない投げ技だった。

クレス・ローベルク > 「ひゅう」

滑り込むような回避をされた事に、称賛の口笛を吹く。
正直、名乗られた肩書からして、本当に戦闘など出来るのだろうかと疑問だったが、なるほど、ただのお転婆娘という訳ではない。
だが、その技はちょっと不味いぞ、と男は思う。
幾ら軽いとは言え、流石に体重全てを首にかけた状態で地面に叩きつけられたら、流石に命が危ない。

「ぐ、ぐうううう……!」

故に、男は、体重を崩さず、崩すことにした。
つまり、彼女の体重を上半身全体で持ち上げ、ゆっくりと上体を後ろに倒す。
謂わば、首ブリッジの変形だ。
勿論、そのままでは、手で首を締められてしまうが――

「何で……俺が、君を振りほどかずに、そのまま受け容れたと思う?」

首ブリッジの状態で男は言う。
何せ、気道が凄まじく曲がっているので、声は絶え絶えだが、それでも言う台詞は、

「この状態が見た目面白いからじゃあ、ないぜ……この状態が、都合が良いから、なんだぜ」

目立たないようにさりげなくブリッジの後ろに隠した手が、腰のホルスターに伸びる。
それに気付けば、或いは止めるなり、逃げられるかもしれないが、それは白尾の注意力次第と言えるか。

「この状態が、一番、君に薬を打ちやすいから、なんだぜ……!」

素早く、腰のホルスターから薬品注入器を引き抜き、太ももに打ち込むとする。

白尾 > 「ひやあああ!?」

さすがに気づかずに太ももに薬を撃ち込まれ、慌てて逃げるように離れる。
レオタード部分が切り裂かれ、その股間の縦筋が視界に入るだろう。

「……媚薬、ですか」

股間を空いた左手で押さえるが、乳首が充血し、服の上からでも立っているのが分かるし、股間もまた内側の太ももが汗以外の液体でぬれていた。

「うう、サイテー」

そういいながら油断なく構える。相手の仕掛けをうかがっているようである。

クレス・ローベルク > 身体を起こしつつ、男は息を整える。
さっきのは危なかった――何せ、一度目では発情効果はなく、単に敏感にさせたり、血行を良くしたりする効果しかないのだ。
彼女は体質的に効きやすいらしいが――しかし、それでも無視をして、そのまま首を締められる可能性はあった。

「おいおい、この程度で最低とか言ってたら、この先やばいぞ……っと」

空となった注入器を投げ捨て、新しいものを引き抜く。
右手には衣服だけを切り裂く剣、左手には媚薬注入器。
それを誇示する様に構える男だが、実は心の中では全く違うことを考えていた。

「(結構無防備だよな、彼女)」

こんな時でなければ、犯していたものを、と少し残念に思う。
実際、羞恥で染まる顔と戦闘中に無防備な彼女の姿はムラっと来るものがある。
あの太ももの柔らかさも良かった――彼女が逆向きに取り付いてくれたなら、あの鼠径部の匂いも嗅げたのだが。

「(折角だし、ちょっと役得楽しむか!)」

そう思い、男は駆ける。
リーチに入った瞬間、右手の剣を、上段に振り上げ、振り下ろす。
狙いは、胸元から臍、それから股間のすじまでのライン。
そこを露出させる――というのが、男が彼女に見せる、『フェイントとしての狙い』。
それを回避するために彼女がどうするか、それによって、次の狙いは変わってくるが――

白尾 > その剣の振り下ろしをぎりぎりで見切る。
服はすっぱりと真っ二つになるが、肌には傷はつかない。それくらいの距離感で見切ると、降ろしきる寸前の剣を踏みつけた。
絶妙なタイミングである。降ろす勢いがまだ残っているところに踏みつけの威力が加わり、腕への負荷がすさまじくかかる。
がしんっ、と音がして手がしびれる、あるいは剣を落とすぐらいの衝撃が加わるだろう。

「でりゃあああああ!!!」

そのまま、踏みつけた脚と逆の右足を振り上げる。
狙いはクレスの顎である。当たれば一撃で脳を揺らし、意識を刈り取る足技がクレスを襲う。

クレス・ローベルク > ぐん、と腕が下へと引っ張られる。
それを察知した瞬間、男の手は、剣を手放していた。
刹那の判断と言える――だが、危機はまだ去っていない。
振り上げた足が、掬い取る様に男の顎を捉えた。

「ぐっ……!?」

それでも、何とか意識を繋いだのは、男の類なき鍛錬と経験の賜物か。
しかし無事ではない。意識も視界も揺れて、戦闘行動どころではない。
一歩、二歩とたたらを踏んで後ろに下がる。
左手に媚薬注入器こそ保持しているが――その姿は隙だらけに見えるだろう。

白尾 > 「ここっ!!」

打撃技を本気で繰り出しても、残念ながら非力な自分ではクリティカルヒットは出せない。
そのまま正面から顔に抱き着くと首に両足を回す。露わになった腹や、鼠径部が顔に押し付けられる。雌の匂いもするだろう。

先ほどと逆の向きで、今度は前に倒れるような姿勢だ。
そのまま体重をかけて白尾は後ろに倒れていく。そのまま抵抗できなければ無様に投げ飛ばされるのだろうが果たして……

クレス・ローベルク > この、首を足で挟んで体重を身体の後ろにかける技――これには、返し技が"ない"。
相手の痛点を突くなどの方法で力を緩めさせない限り、まずもって脱出の方法がない。
だから、男は脱出しない事を選ぶ。否、そもそも、この状況こそ、勝機。

体重を後ろにかける白尾は直ぐに気づくだろう。
男の身体が、一切動かないことに。
良く見れば、男は足を肩幅に広げ、踏ん張っている。
そう、男の身体が倒れないのは、単に、踏ん張っているからで――それで済んでいるのは、彼女の身体が軽すぎるからである。
重さ32kg。確かに、何の備えもない状態でその体重が首にかかれば危ないが、予測できていたならば、身体全体で支えきるならば、支えきれない重さではない。

「……」

男は、喋らない。
というか、喋れない。顔に鼠径部が押し付けられているのだから。
だが、無言で少女の身体を両腕でガッチリとホールドする。
そう、逃げられないように、すり抜けられないように――である。

白尾 > 「ひゃああ!!?」

慌てるがその小柄な体格では倒しきれなかった。
逆に太ももをつかまれて逃げるのがかなり厳しい。そのまま顔面を押し付けられながらも、逃げようともがく。
服は前側が切り裂かれ、硬くなった乳首も観客に見えるだろう。

クレス・ローベルク > どんなにもがこうが、男に腰掛けている以上、性器の位置は変わらない。
既に切り裂かれたハイレグの所を、ぺろぺろと犬のように舐める。
あまり、長くやりすぎると降参してしまうだろうから、適度に、快楽に翻弄され、男の右手に意識が行かなくなった所で、

「ぶすり」

もう一本、媚薬を打ち込む――二度打ち込まれれば、今度は発情の効果が体に現れるだろう。
意思力があれば、戦闘は可能ではあるが、性に不慣れである彼女が耐えきれるかどうか。

白尾 > 「ひやああああああ!?!?!」

媚薬をさらに追加され、秘所を舐められて叫び声をあげる。
さらに体が発情しているのは、見た様子からもわかるだろう。
焦った様子の彼女は、しかしそのまま腕を自分の太ももと相手の顔の間に突っ込み、そのまま襟を握った。そしてその体勢から、全身を使って引っ張る。
腕と足で頸動脈が締まり、7秒で気絶するだろう。気づいて振り払われるか、そのまま決まるか。

クレス・ローベルク > おいおい、まてまて。それは下手すれば死ぬやつだぞ。
そんな声なき声が聞き届けられる訳もなく。
見事な襟締めがキマる。
後一撃食らわせれば、気絶しようが事実上男の"勝ち"なのだが、しかし流石に7秒ではどうにもならない。

「……っ!」

堪らず、男は全身を振り、白尾を振り落としにかかる。
腕の戒めのなくなり、今なら抜けられるだろう。

白尾 > 「つっ!!!」

そのまま仕切りなおすことはせずに、そのまま打撃技を繰り出す。
このまま更なる辱めを受け、犯されかねないと思った白尾が決めにかかったのだ。
振り落とされるように頭から地面に向かうふりをしながら、そのみぞおちに寸勁を繰り出す。きわめて短い距離で最大の力が発揮できるように繰り出されるその拳は、最初と異なりかなりの威力を持っている。
かわせなければ一撃で沈められるかもしれない。
同時に足は後頭部を狙う。かかとで後頭部を打ちぬこうとしていた。
そちらもそちらでうまく当たれば意識を一撃で刈り取れるだろう。

クレス・ローベルク > 男は、詰みを認識した。
この攻防には、"勝てない"。
ならば、出来ることは一つしか無い。

「ピンチの時は、観客に……!」

寸勁の一撃を、腹で受け止める。
痛みというよりは、腹の中心に向かって、身体が潰される様な感覚。
だが、その間に、男はホルスターから、媚薬注入器を取り出す。
そして、後頭部を撃ち抜かんとする足の太ももに、注入器を突き刺す。
ダメージを食らった男の力では、防御は出来ない。
しかし、注入器の操作ぐらいならばできる――

「ガフっ」

注入器の尻のボタンを押下し、薬品を中に入れたと確信したと同時、男は倒れる。
三回目の効果は、『意志の力でも耐えられないほどの発情』である。
そして、勝利した以上、彼女を犯す者は居ない――闘技場とて、面子が有る。勝者を犯すルールはない。
発情状態で、彼女は闘技場の外へと丁重に送り出される事だろう。

白尾 > 「はぁ、はぁ」

どうにか倒しきった白尾は、しかし最後に打ち込まれた媚薬で完全に発情が極まる。

「ひあああああああ♡♡♡」

ぶしゅっ♡ ぶしゅっ♡ と愛液を吹き出し、情けない声をあげる。
そのまま耐えきれない絶頂の中、自然と自分の胸と股間に手を持って行き……
人前で自慰をする羽目になり、さんざん恥ずかしい姿をさらしてしまうのであった。

当然、闘技場のルール上、発情した彼女は襲われることはない。
しかし、自慰する彼女を止めることもないのだ。
そうして観客の大部分と一緒に公開オナニーをした彼女は、大量の賞金をもらいながら、恥ずかしさはぬぐえないのであった。
クレスはきっとそのシーンを後から録画などで確認し、悔しい思いをするのだろう。

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」から白尾さんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にスイさんが現れました。
スイ > ワアァァァァァァァァァァーーーー……ッ!

……狭く暗い通路を通して、観衆の沸き立つ声が怒涛のように響き、そしてすぐに止んだ。

その1分後。アリーナの方から選手控室へと、半裸の男性が戻ってくる。
筋肉は熱く張り詰めて鎧のごとく、全身からタラタラと汗をたらし、雄の匂いを振りまいている。
彼の肩には、まるで丸太か米俵でも運ぶように、女性闘士が無造作に担がれていた。
女はぐったりと脱力し、衣服に覆われていない箇所にはもれなく擦り傷やアザが見える。

「おやおや……?」

少し目配せするだけでも分かる。先程まで闘技場にて試合が行われており、この男が勝者で、この女が敗者なのだ。
ここアケローン闘技場で行われる闘技は、勝者が敗者を好き勝手に嬲ってよいという暗黙の掟があるという噂。
アリーナにて武闘の延長として陵辱が行われることが多いとも聴く。
しかし今回の場合、勝者の男は持ち帰っての陵辱を選んだようだ。それが敗者の女にとって救いとなるかどうかは、さて。

「……くくっ。勝者みずから敗者を介抱するとは、親切な殿方だこと」

控室の壁際に背をもたれさせ、自らの前を行き過ぎる男に聞こえるか聞こえないか程度の小声で、ぼそり。
男はその声に気づかなかったのか、単に無視したのか、反応を見せずに向こうへと消えていった。

後ろ暗い噂がさまざま囁かれる闘技場にて、このうら若き見た目の娘スイはあえて挑戦者としてエントリーした。
賞金が目的でもあるが、勝ちを重ねて闘技場付きの闘士として認められるのもそれはそれで一興。
……そんな目的を持てるくらいには、実力もあるつもりである。落ち着き払って、出番を待っている。
おそらく次あたりお呼びがかかるはずだ。たぶん。

スイ > 『西控室、次の闘士、―――さん。すみやかにアリーナに上がってください!』

闘技場の係員が現れ、スイの知らぬ名を呼ぶ。その声にすばやく応じ、ミレーの少女がベンチから立ち上がった。
ふぅ、と2つ3つ深呼吸をすると、何やらぶつぶつとつぶやきながらアリーナの方へと歩いていく。
……力強い足音にかき消され、普通なら本人以外に聞こえないであろう小声の独り言。
しかしスイの狐耳は彼女の決意の言葉を聡く聞き取っていた。そして、それ以外の彼女に関する情報すらも。

「……ほう。次勝てば5連勝、奴隷の身分から脱するに十分な賞金額に達する、とな。
 うまく行くといいな……それより今日は危険日だぞ、万が一にも負けないよう、せいぜい気を張るこったな……」

通路を行くミレーの少女闘士に向けて、励ますような、あるいは嘲るような口調で小声をさえずるスイ。

やがて、歓声が間を開けて2度響く。試合が始まり、そして終わったのだ。
しかし先程の男のケースと違い、最後の歓声が収まってもなかなかチャレンジャーは帰ってこない。
再びミレーの少女が姿を見せたのは10分後のことであった。

「……ハッ。ダメだったかよ」

力なく項垂れ、目尻には大粒の涙を纏い、脚を引きずるようにして帰ってくる少女。
その口元から頬や顎までを覆うように白濁液がまぶされ、時折鼻提灯すら作る始末。
脚の間には顔以上に大量の精液がまとわりつき、一歩歩くたびにゴポリと粘つく音を立てて股間から雫が垂れる。

「開始直後に脇腹に蹴り1発、その後抱え上げられて壁に投げられること5回、戦意喪失。
 すぐに口にチンポをねじ込まれて1発、体位を変えながらまんこに3発、終いに掃除とばかりに口で1発。
 ……くふっ。確実に孕んだぞ。奴隷脱却どころじゃなくなったなぁ……ええ?」

スイの眼前を通り過ぎるズタボロのミレーに、またも小言。
きっと聞こえているだろうけど、打ちひしがれた彼女はやはり反応を示さないまま去ってしまう。

終始控室の壁際にいて、試合を見ていたわけでもないのに、スイには先程の試合の顛末が詳細にわかっていた。
スイには、100m向こうの空間での闘技と陵辱が、間近で行われているかのように『聞こえ』、そして『伝わって』いるのだ。

「それはそれとして……吾輩の出番はまだかね?」

スイ > 『えー、西控室の次の闘士はスイさん。アリーナに来てください』

ようやくスイに声がかかった。待ちわびたように壁から背を離し、首を回すとコキコキと肩が鳴る。

「やっと吾輩の出番かぇ、待ちわびたぞ! 相手はどんな奴だ? 雄か、雌か!?」
『顔を合わせてのお楽しみですよ。……それよりスイさん、武器は持たないのですか』
「――ふ、吾輩の武器はこれじゃ。これで十分よ」

スイは己の足元を指差す。
彼女が履くのは重厚な革靴。分厚いなめし革で靴底だけでなく、踵とつま先までも幅広く補強したものだ。
さすがに鉄板を仕込んだ所謂安全靴には及ばないものの、蹴りのダメージを何倍にも高められる『武具』である。

「とはいえ闘技場は初めてだし、肩慣らし程度に気楽に挑むとするかね。ククッ……」

そう言いつつもスイは久々の対人バトルに胸を踊らせ、スキップ気味な歩調でアリーナへと向かって行くのだった。

…………。
………。
……。

10分後、スイは控室に戻ってきた―――担架に乗せられて。

「お゛ッ♥ お゛ぅっ♥ イ゛グッ♥ だめ、またイグぅ♥ そ、そっと運んで……あ゛ウッ♥」

股間を中心におびただしい量の精液をまとい、四肢を波打たせて激しく痙攣し続けている。
2~3秒ごとに大きく腰を跳ねさせ、はしたない濁声を上げながら潮を吹き、搬送する係員の腕や胸を容赦なく濡らしていく。
情けなさすら感じる痴態を見せつけられ、あげく己の衣服まで汚されてしまった担架の後ろ側の係員。正に怒り心頭の面持ちだ。

常人の数百倍の五感精度と完全なる操身術を身に着けた、かつての〈大妖怪〉スイ。
使い慣れた戦闘靴を履き、万全のコンディションにて、勝つつもりで闘技に挑んだスイ。
過去2.5レスにわたってくどいほどに強者ムーブを醸し出していたスイ。
……そんなスイでも負ける時は負ける、それが興行闘技会の怖さである。どこにどんな強者が潜んでいるかわからない。

『小娘てめェ!いつまで悶絶してやがんだ!つーかよくも俺の服を汚してくれたなァ!?クソ狐が!アケローン舐めんな!!』

控室の隣の医務室にて、救護班の係員によるセカンドレイプが始まる――。

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からスイさんが去りました。