2019/07/11 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 『アケローン闘技場興行試合、参加者募集中!』

ダイラスのあちらこちらには、いつもそんなチラシが張られている。
何と言っても、闘技場はダイラスの一大娯楽施設である――試合をやればやるだけ儲かるのだから、闘技場側も必死で人を掻き集める。
そんな訳で、今日も今日とて、闘技場は大盛況であった。

「さあて、今日はどんなのが対戦相手かな――」

軽く剣を振ったりストレッチしたりしつつ、試合場の中央で準備運動する男。
毎度のことながら、男には誰が来るのか知らされていない――所謂、"公平性を保つため"である。

『――試合の準備が整いました!それでは、今日の選手に、入場して頂きます、今日の対戦相手は――』

「(おっと、始まるか)」

試合が、始まる。

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にナカムさんが現れました。
ナカム > 『お金のためにと飛び入り参加!!傭兵のナカム、入場です!!』

アナウンスと共に入場してきた一人の男が歩いてくる。
ボロボロの黒い外套に、刃を潰した闘技場用の直剣。
頭は寝起きのように癖がひどい。

「あー、よろしく?紹介の通りナカムだ」

これから戦う相手に挨拶をするのに慣れず、あいまいな顔で口を開く。
あいさつを返してくれるならば、ホッとした表情を浮かべた後、ニヤリと笑って。

「じゃ、始めようぜ。先手はもらうが良いかい?」

そう言って剣を抜くだろう。

クレス・ローベルク > 入場してきた男を見やる。
見る限り、外見で特に変わった所はない。
魔族だの魔法使いだのが跳梁跋扈している闘技場では、ある意味珍しいとさえ言える風体。
強いて異常を挙げるなら――外套の内に、防具の一つも見えぬ事ぐらいか。

「(ただのバカなのか、それとも、致命傷を受けぬだけのの自信があるのか)」

計れないな、と思いつつ、男もまた、挨拶を返す。

「ああ、宜しく。俺は剣闘士のクレス・ローベルク。
まあ、こういう舞台は慣れないだろうけど、緊張することはない。
要は、戦って勝てばいいことに、変わりはないからさ」

ぎこちない挨拶に、こちらはにこやかな笑みで返す。
わざわざ緊張を解そうとでもするかの言に面食らうかもしれないが、男からすれば対戦相手はパートナーだ――負けるのは駄目だが、実力を出しきれずに負けられるのはもっと困る。

「ふむ、本当は先手を取らせるのは女性だけなんだけどね。
良いや。特別サービス。ビギナーには、優しくするべきだしね」

そう言うと、男も剣を抜く。
こちらは刃こそ潰れていないが、魔法により、斬れない様になっている。
要は、ナカムと同じく、刃を潰した剣である。
剣を両手で中段に構え、男は言う。

「――それじゃ、何時でもどうぞ」

ナカム > 「んじゃぁ…、遠慮なく!!」

有言実行、許可をもらった次の瞬間には走り出す。
地面を這う蛇のように音も立てない歩法は、青年の戦闘経験を暗示するだろうか。
相手の目の前まで一息のうちに移動する。
そのまま首に一閃。

刃を潰しているとはいえ剣は剣。
当たればただでは済まない攻撃を当然の如く放つ。

もしも回避されたならば、攻め込むため更に一歩踏み込もうとする。