2018/12/17 のログ
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 円形闘技場は、今日もかなりの人入りである。
とはいえ、その大半は退屈そうな表情である。その理由は簡単で、先に行われた第一試合、第二試合の挑戦者が、男であり、しかも大して強くなかったのである。

彼等は血肉踊る戦いか、或いは麗しき女戦士が無惨に犯される所を見たいのであって、そこらのオッサンがボコボコにされる所を見ても、あまり楽しくはないというのが本音なのだろう。

『アケローン闘技場、定例大会にようこそ!第一試合、第二試合共に、未だ闘技場の雇われ剣闘士、クレス・ローベルク選手が連勝しております。このままだと、今回の大会は挑戦者側の賞金なしとなってしまいます……!』

闘技場の中央には、前回、前々回の挑戦者を下した青い闘牛士服の男が、やや引きつった笑みで立っている。男としても、このまま何の見せ場もなく大会が終わるのは不本意だ。

「(せめて、次は激戦の末倒せるぐらいに強いのか、可愛いのが着てくれよ……!)」

『それでは、次の戦士をお呼びしましょう!次の戦士は――』

大体、そういうことを思っているときには、激戦の末ボッコボコにされるぐらいに強い、筋肉隆々の男が来たりするのだが。
さて、今回の戦士は――?

ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にエレミアさんが現れました。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」にカナムさんが現れました。
ご案内:「港湾都市ダイラス アケローン闘技場」からカナムさんが去りました。
エレミア > 人入りは良いもののいまいち盛り上がりに欠けている闘技場。
そこに新たな挑戦者の名前が上げられる

『次の挑戦者です!聞いたことのある方もいるかもしれません!戦場の淫売と謳われる
登録名、エレミアぁぁぁ!』

ようやく、女性を紹介できる、と意気込んだ解説役が叫びをあげる
その声と共に男の正面から現れたのは…一目見た感想としては奇妙な格好の女性だ。
魔術師のトレードマークともいえるとんがり帽子に身体の急所を守るだけの軽鎧
腰に佩いた剣はいかにも安物で剣に精通しているとも思えない

『おおっとみなさん逃げないでください!大丈夫です!噂通りならこの挑戦者、軽くこの闘技場を吹き飛ばせる魔術を使えます!しかも軽く呪文を口ずさんだだけで、です!
しかし、お客様を危険に晒す闘技会ではありません!彼女には制限がついております!』

と、その解説役の言葉に応えて、相手の女性が腕を上げる。
その腕には闘技場のマークがついた腕輪が嵌っている…

『これは彼女の魔力の放出を抑える…あくまで抑える、効果の腕輪です!彼女にも確認しましたがこれを嵌めた状態では大した魔術は使えないとのこと!
しかし、それだけではハンデを与えるだけですので…彼女の得意とする詠唱の省略は縛り付けておりません!』

おぉ…?、と闘技場がどよめく。魔術は使えるものの出力は制限。しかし並の魔術師では使えない詠唱の省略は縛っていない
この挑戦者と闘技場お抱えの連勝中剣闘士、どっちが強いのか、と興味を惹かれ…盛り上がりが少し戻ってくる

『魔力が縛られた状態でもこの定例会の予選を勝ち上がってきた彼女!この勝負、どうなるのか!
さて、では両者が軽く挨拶を済ませた後、鐘が鳴ります!みなさまどうぞお楽しみください!』

散々観客を煽った後、一旦その大声が途切れる。
それと同時にゆっくりと…奇妙な格好の女性が近づいてくるだろう

「はじめまして…♪、エレミアよ。イイ男がいっぱいいるって聞いたから参加してみたのだけど…予選、とかいうのはつまらないのばっかりだったの。
…楽しませてね」

仕草は優雅に。しかし挑発的に一礼をするだろう。
男が挨拶なり、礼を返せば…すぐにでも開戦の鐘は鳴るだろうか

クレス・ローベルク > 「エレミア……!?」

一応、話として聞いたことはある。
数多の戦場に現れ、強力な魔術を行使する戦場魔術師[ウォーメイジ]。
それも、ただでさえ性欲が昂ぶる戦場で、二つ名が付くほどの、すこぶる付きの性情家だ。

「そりゃハンディ・キャップも付けますわなって感じだけど……」

そんな事を呟いている内に、向こうから声をかけてきた。
内心としては不安もあるが、それを表に出すほど幼くもない。にこり、と何時もの営業スマイルを浮かべて、

「そりゃ、君程の女性相手じゃあ、大抵の男性は骨抜きになってしまうだろうね。
俺も精々、退屈させない程度の甲斐性を見せるとするよ」

そう言うと、腰に差した二本の内、一本の剣を抜き放つ。
魔力を感じられるならば、その剣には、「生物を傷つけない」という魔法がかかっている事が解るだろう。

「レディ・ファースト。相手の実力の高低にかかわらず、最初の一撃は女性からと決めているんだ。
さあ、魔法でも剣でも攻撃をどうぞ。それが、試合開始の合図だ」

そう言うと、剣を構えて彼女の攻撃を待つ。

エレミア > あら、私を知っていたの?なんて笑い
相手の剣には目を細める

「…変な剣持ってるのねぇ。そういう歪んだモノ、好きよ?」

と、軽口を言って少し離れる

「あら。私が鐘代わり?じゃあ遠慮なく」

男が走れば一足で詰めれる距離。
普通の魔術師なら詠唱が間に合わず斬ろうと思えば切れるだろう。しかし…

「『奔れ、砕け、爆ぜろ』」

三音。特に溜めもなく彼女の口元から音が漏れる
ただそれによって生み出された現象は劇的だった
彼女の両肩と頭の上に1つずつ魔方陣が形成され、そこから魔法が撃ちだされる

それも、速度が違う電撃、氷塊、炎球の三種。
確かに出力自体は駆け出しの魔術師が覚える魔術だ。
当たったとしても到底致命傷にはならずたとえ無防備で全て受けても痛みに悶絶するくらいだろう。
しかしそれらを同時に、となるといかなる術か。

(この程度でやられないでよね…♪)

と、思いつつ魔術の結果を見ようとにんまりと笑みを浮かべている

クレス・ローベルク > 詠唱特有の溜めも、長口もない、短い呪文による攻撃。
とはいえ、男は疑問には思わなかった。魔導機械やマジックアイテムを使った魔術などは見慣れた物だ。
勿論、魔術師としては規格外の強さの証明である事は理解できる。だが、規格外クラスの相手など、剣闘士をやっていれば当然のように遭遇するものだ。
故に、男は対処を焦らなかった。

「はっ、と!」

まずは、速度の早い電撃に、敢えて剣を突き出す。
剣という避雷針に誘導された電撃は、しかし剣の刀身を激しく瞬かせただけで消滅する。
電撃を構成する魔力が、魔剣に籠められた魔力に無為に反応し、消滅したのだ。
そして、次に飛んでくる氷塊は、等速で飛んでくる上に軌道が直線だ。
その次に飛んでくる炎球を確認しながらでも、剣を振るえば簡単に弾き飛ばせる。

「それじゃ、そろそろ俺も遊んでもらおうかなっ!」

そして、三発目の炎球は、見ただけで対処が済んでいる。
まるで中に花火でも仕込まれていた様に、内側から弾ける炎球。
魔術師なら視線による魔力注入によって、暴発させたのだと看破できるだろうが、しかし、それを冷静に分析させる暇など与えるつもりはない。
滑る様に女魔術師の懐に入り、まずは、

「おっぱいぽろりゲットォ――!」

魔剣状態の男の剣は、生物以外なら切れ味抜群。
横薙ぎに彼女の胸を狙うその一閃をまともに受ければ、男の言葉通りの事が起きるだろう。